やっぱり省略とかできないなぁ、箇条書きでもどんどん書いちゃいます。
湾岸病院は今、かつてない程の危機に見舞われている。
悪意のある者からのハッキングにより湾岸病院の象徴「命の木」……正確には植物の生育をコントロールする『ウッドプログラム』が暴走。侵入者が持ち込んだと思われる外来種の茨が地下コントロール設備から無尽蔵に伸びていき、設備の半分以上を機能不全に陥らせている。
犯人は同じ『ウッドプログラム』の劣化コピー品をプログラムパーツとして装備した木属性のネットナビ・プラントマン。
この病院に隠された『テトラコード』を求めてハッキングを仕掛け、オペレーターのアネッタの手によって大量の茨を繁殖させたのだ。
電脳に至ってはもっと酷い。大勢のならず者ナビ達が侵入、ばら撒いた植物プログラムやウィルスにより電子機器はメチャクチャ。外部ネットワークとの接続が遮断され、病院の設備からプラグインするしかナビが入れないのだが……それも茨や蔦が邪魔をして入りづらい。
犯人はプラントマンと同じくWWW配下である雷属性のネットナビ・クラウンマン。その手下として多くのヒールナビを従えて病院の電脳になだれ込んできた。
電子ロックや外部ネットワークを塞ぐ植物プログラムを用いて妨害、突破せんと突き進むロックマンとアシッドに数と有利属性を持って立ち塞がる。
幸運にもクリームランド有数の科学者であるメガト及びニーチから「娘が世話になったから」と、最新鋭の防衛ウィルスとセキュリティを無料で導入。
大きなお腹を持ったコミカルなドラゴン型ウィルス『メカドラゴン』と強固なゲートが電脳の中枢……手術室の電脳を厳重に守ってくれている。
おかげで浦川まもるの手術に専念できる。
三回も手術に失敗し、一度は諦めて絶望していたこの子に漸く訪れた転機なのだ。
その勇気ある一歩を、【わーつべ】で繋がった患者や子供達が後押ししてくれた―――あの時のまもるの真剣な眼差しは、今でも医師の心を震わせている。
後先を考えるな。今はまもるの手術を成功させることを考えろ。
(頑張れまもるくん……必ず成功させるからな!)
医師は改めて決意を固めメスを持つ―――後は我々医者が成すべきことなのだから!
―――
光熱斗と鳥海日向の不幸は、ロックマンとアシッドが水属性で被ってしまった事と、クラウンマンが電気属性だったことだ。
『ヒーッヒッヒ! サンダークロー!』
『うわっと!?』『あぎゃんっ!?』
高笑いしながらクラウンマンが蛇腹状の両腕を勢いよく伸ばす。ロックマンは難なく回避するも、元々運動性がイマイチなアシッドは胸部を掴まれて感電してしまう。
思わぬラッキースケベに頬を赤くするも、遠慮なくアシッドを掴んだまま振り回し、バスターを構えていたロックマンに向けて放り投げる。
『危ない―――ぐあっ!?』
『スキアリですぞ、プラズマボール2!』
恐らく女性であればロールでもアシッドでも助けるであろうロックマンが咄嗟に受け止めようとするも吹っ飛び、狙いすましたかのようにパラボールを召喚。
電気球2つをクルクル回りながらパラボールがぶつかり合ったロックマンとアシッドに接近、電気玉が複数ヒットし大ダメージを負ってしまう。
『『うあぁぁぁっ!?』』
「アシッド、ロックマン!」
「くっそー、こんな時に限って……!」
鳥海が叫ぶ中、熱斗は二度目の失態が嫌になって頭を掻く。N1グランプリで極めたガッツスタイルを手放し新たに手に入れたアクアカスタムスタイルが仇になるとは。
疲労に加えてダメージを負ったロックマンとアシッドが膝をつく中、クラウンマンの戦いを見ていたヒールナビ達は「今なら勝てるんじゃね?」と群がり始める。
『ヒーッヒッヒ、お前達やーっておしまい!』
『『『アイアイサー!』』』
クラウンマンが号令を下せばヒールナビ達は己の片腕を『キャノン』や『ソード』へ変える。
各々のバトルチップを身構えて襲い掛かるヒールナビ達にアシッドは思わず腕で頭を守り、ロックマンはまだ負けていないとバスターを構える。
諦めず『インビジブル』を転送しようとした熱斗と鳥海だが―――その手が止まる。
『ヴォオォォォ!』
『『『ギャーーーッ!?』』』
野太い咆哮が轟くと同時に、ガッツマンだろうとも飲みこめる極太の炎が横切ったのだ。
思わず顔を腕で覆う程の熱波がロックマンとアシッドを襲うが、炎に飲み込まれたヒールナビ達は絶叫を上げてデリートしてしまう。
『ヒートスタンプ!』
『ひょひょっ!?』
呆然と炎に焼かれデリートされた部下達を見送っていたクラウンマンに新手が襲い掛かる。巨大なライターが上から落ちてきたのだ。
かろうじて意識を取り戻したクラウンマンは回避するが、巨大ライターが直撃したパネルは瞬く間にマグマと化し、投石を投じられた水面のように炎が波打ちクラウンマンに降りかかる。
火を浴びて熱い思いを受けたクラウンマンはたまらず跳躍。その間にも新たな獄炎が周囲の植物プログラムと木属性ウィルスを焼き払い、巨大ライターが展開してナビと化す。
アシッドは危機を救ってくれたものの新手のナビを前に身構えるが、ロックマンは違った。
『ヒートマン!?』
「どうして!?」
『ケッ、オメーを助けるハメになるとはな』
驚くロックマンを見てヒートマンが嫌そうに言う。ロックマンと熱斗はライター型のナビ……ヒートマンを知っていたのだ。
だが短時間に詰め込まれた情報量が多く熱斗は混乱していた。ヒートマンは元WWWのヒノケンのナビで、元WWWといえばエレキ元伯爵が悪さをしたばかりで……。
『早い話がオフィシャルの援軍だよ、オレ
『ヒノケンがオフィシャルの仲間……ってこと!?』
あの暑苦しい犯罪者の顔を思い出すと信じられずにいる熱斗だが、PETに映る光景を目の当たりにすると強ち嘘ではないと思ってしまう。
面倒くさそうにヒートマンが指差す先には、口から炎を直線状に吐いて植物プログラムを焼き尽くす炎ナビ・フレイムマンと、まだまだいるWWW配下らしきナビ集団を蹴散らす『OFFICIAL』の腕章を付けたナビ達が。
オフィシャルネットナビは片腕を火炎放射型強化プログラム『ヒートバーナー』に転じ、ヒールナビだけでなく植物プログラムや木属性ウィルスを撃退、まるで焦土作戦のように病院電脳の不具合を排除していく。
想定より早いオフィシャルの到着に舌を巻いたのかクラウンマンは思わず尋ねる。
『WWWの裏切り者が小賢しい真似を……どうやってあの茨を突破したのです?』
『オフィシャルより怖ぇヤツらとバッタリ会っちまったんだよ―――フレイムタワー!』
律儀に答えながらも隙有りと言わんばかりに『フレイムタワー』を放つヒートマン。
炎の柱を避けるクラウンマンを見ながら「ああ、彼女らか」と鳥海は納得する。
「緊急コールだとしても30分も経ってないのに……恐るべしサロマちゃん」
「サロマさんを知っているの? オレあの人と友達なんだ」
「命の木の生育には自然保護団体とも関りがあったのよ、私個人は除草剤や肥料の関連でアドバイスを。ここ数か月の間に随分と逞しくなったけど、まるでバーサーカーみたいな行動力ね」
鳥海の答えに心当たりがあるのか思わず声を上げる熱斗。
N1グランプリで知った事なのだが、元々ストンナと交流があったサロマは彼女から色々と教わり、その結果アグレッシブに魔改造されたのだ。
それは兎も角として『リカバリー』で回復したネットナビ2人も応戦。戦闘力が高いロックマンはヒートマンと共にクラウンマンを追い詰め、電脳に詳しいアシッドはフレイムマンを筆頭に戦うオフィシャル軍団を誘導する。
「ということはサロマさん達も―――」
―ブイィィィィン!
突如として背後から鳴る駆動音に驚愕する熱斗と鳥海が思わずと言わんばかりに振り向く。
いつの間にか壁のように廊下を塞ぐほどに成長した茨や蔓にチェーンソーの刃が食い込んでいる。そのまま刃はバリバリと硬い茨を斬り裂き、人1人なら通れる穴が空く。
そこから飛び出てきた人物は敵意がない事を示す為に防護マスクとゴーグルを外し始める。
「救助に来ました! 落ち着いて……熱斗くん?」
「ダイスケさん!」
新たな助っ人、それもN1グランプリで競い合ったライバルにして知人が来たと知って安堵する熱斗。ヒノケンに比べればグッと親しみがあるからね。
穴の向こうでは、速見ダイスケと同じく防護服に包まれた自然保護団員がチェーンソーや鉈などを使って蔦や茨を除去し、逃げ遅れた人々を外へ避難させる。
そして噂をすれば影ありというか。
「急げ急げ―――ってどおぉっ!? んな所で立ち止まってんな危ねぇ!」
電子ロックが外され勢いよく開く扉から飛び出したものの、熱斗と鳥海、そしてチェーンソーを持つダイスケに驚き急ブレーキをかける赤髪の男。
そして熱斗達に怒鳴る人物こそ噂のヒノケンだった。熱斗は本当にヒノケンが窮地に駆けつけたのだと知って驚く。
「ヒノケン!?」
「あぁん? オレぁ火野ケンイチだが……って光熱斗ぉ!?」
互いに目を丸くして驚くも、ヒノケンはイヤイヤと首を振って二人の間をすり抜ける。
「んなことより手術室だ、急がねぇと!」
「手術室がどうかしたの!?」
ズカズカと除草活動中の団体らを押しのけて進むヒノケンを後ろから呼び止める熱斗。
ヒノケンは知らないだろうが、手術室はまもるの為に稼働中だ。最悪の事態が頭の中を過ぎった以上、熱斗とクラウンマンを追い詰めるロックマンは気が気でなかった。
その後、事情を聞いたダイスケとクイックマンとバトンタッチしてヒノケンの後に続く。
なおも粘るクラウンマン率いるWWW軍団を、アシッド・クイックマン・フレイムマン・ヒートマン・オフィシャルナビ達が迎え撃つ。
(ヒッヒッヒ、後がありませんなぁ……頼みますぞプラントマンに――――)
『ダブルボム』を放りながら、高速移動するクイックマンを前に焦るクラウンマン。
要のプラントマンさえいれば、足止めに加えて『例の物』を手に入れるチャンスは必ず訪れる。
もしもの保険もワイリーが用意してある。頼りないが、病院を制圧すると聞いて金目的で集まったウラのネットナビ達やWWW傘下の手下どもも居る。
何としても時間を稼ごうとするWWWと、一刻も早く病院を取り戻したいオフィシャルとの戦争が始まった。
―――
ヒノケンが熱斗・鳥海・ダイスケの三人に合流する2~30分ほど前の事。
「いい加減に離すねクソジジイ!」
「私まだ
「ヒゲ生やすヤツみなジジイだヨ!」
「このカイゼル髭のダンディズムが理解できんとか勿体ないネー!」
「そもそもストンナは一度寝ると朝まで頑なに起きないし梃子でも動かない子なので……!」
プラントマンのオペレーターである南アメロッパ人の少女アネッタ。
対するはストンナを腕に抱えるナイスダンディことメガトとその妻ニーチのキロクラム一家。
アネッタはPETを、メガトとニーチはそのPETを掴んだまま離さず眠り続けるストンナを持って綱引きをしていた。刺々しい茨の真ん中で。
メガトとニーチを相手に拮抗する程に力持ちだったアネッタだが、周りが茨で囲んでいるので迂闊に力の均衡を崩せずにいた。
流石のプラントマンもアネッタを有利にするよう茨をコントロールすることはできず、個室のドアと窓を茨で塞いでPCの中からアネッタを応援している。
『ええい何をやっているんだいアネッタ! さっさとPETを奪って認証コードを……!』
「今やってル、静かにしてロ!」
どうやらアネッタが掴んで離さないPETの中に大型ウィルスの攻撃対象にならない認証コードを所持しているらしく、力ずくで奪おうと今も戦い続ける。
拉致が空かないのでこのまま茨でオペレーター共々傷つけてしまおうか……そうプラントマンが思案している中でふと気づく。
(……熱い?)
暑い、ではない。確かにジリジリと焼け付くような熱波を感じる。一体どこから―――
『ファイアアーム!』
『!?』
熱源を探し出そうと振り向いた直後に炎が迫ってくる。プラントマンは己の危機管理能力に従い咄嗟に跳び、直後に炎の柱が通り過ぎた。
何者、と問うより先にその姿を捉える―――これでもかと己の属性が炎であることを示しているかのようなネットナビだ。頭だけでなく両腕からも炎が浮かんでいる。
更に、彼の後方では植物プログラムの多くが燃えカスとなって地面に広がっている。どう見てもこの炎ナビの仕業……つまりはWWWの敵と見なすべき相手だ。
『ヒャッハー! 雑草は焼け野原だぜーっ!』
『燃え尽きろぉっ!』
ヤケにテンションが高いオペレーターの声に追従して炎ナビが両腕を向けて攻撃。
両腕から火炎放射を、頭からは火炎弾を放つもプラントマンは落ち着いて回避を繰り返し、相手を状態異常に陥らせる『イエローフラワー&レッドフラワー』を咲かす。
だが『しゃらくせぇ!』と両腕をそのまま横に向け、ファイアマンを中心に直線状に伸びる炎が赤い花と黄色い花を瞬く間に焼き尽くした。
『無粋な輩だね、ノックもなしにゴウゴウと無駄に燃えちゃってさ』
『テメェみてぇな加減のねぇキザ野郎に言われたくねぇな! 無力な病人共が集まる病院そのものを襲うなんざぁ悪党の風上にもおけねぇ!』
目の前の炎ナビの火力と相性の悪さに舌打ちしながらも挑発するが、ファイアマンは怒りで逆に炎の勢いを増して攻撃し続ける。
無関係な人々を火事に見舞わせてきた悪党であるヒノケンとファイアマンだが、彼らにも最低限の矜持というものがある。
その一つが、逃げる力を持たぬ病人や怪我人に手を出さない、というものだ。身勝手な矜持ではあるが、そもそも病院を襲おうと言う発想が彼らにはないのだ。
「プラントマン! なんだ暑苦しいナビワ!?」
相棒であるプラントマンを燃やされたと知り、ギリギリとPETを掴む手を緩めずアネッタが怒鳴る。彼女もまた炎ナビが嫌いらしい。
そんなプラントマンとファイアマンの戦いをPC画面から見ていると、割り込むように新たなディスプレイが開かれヒノケンの顔が映りメガトと視線が合う。
『つーわけだ、待たせたなメガト先生……なんか愉快な事になってんな?』
「おー、ヒノ君にファイアマン! よく来てくれた!」
PETとストンナを綱に綱引きをしているキロクラム夫婦とアネッタという奇妙な光景。
そんな3人に冷や汗をかくヒノケンだがメガトは無表情ながらも嬉しそうに声を上げる。
『その様子だと大丈夫そうだな。今こえぇ援軍がドアをこじ開けっから待ってな』
なるべく早くと言おうとしふと耳を澄す……ぶおんぶおん、というエンジン音が聞こえてきたからだ。その音はドアの向こうから聞こえてきて―――
―ヴィイイイィィィン!
「「「ひいぃぃぃぃチェンゾン!?」」」
因みにチェンゾンとはチェーンソーを持った殺人鬼の名であり、全国的に有名なホラー映画のタイトル名でもある。
扉の隙間から出てきたチェーンソーの刃に驚愕し、恐怖のあまりPETを離して全員で抱き着くキロクラム夫婦(+ストンナ)とアネッタ。
そのまま施錠を斬り、ドンドンっと扉を叩くような音がした後……扉が内側から蹴り飛ばされる!
「助けにきましたーっ!」
防護ゴーグルとマスクを被った、チェーンソーを持つ防護服姿の人物がズカズカと入り込み、残りの茨をバッサバッサと切り払ってくる。
しかしキロクラム一家とアネッタは抱き着いたまま、背後に茨があることを考慮しながらも後退る。傍から見ればチェーンソーを武器にした強盗団にしか見えないもの。
「おちつけって先生、こいつらこんなナリだが自然保護団体だから」
「銀行強盗団の間違いじゃないかネ!?」
インターホンからプラグインしていた火野ケンイチがひょっこりと顔を出して説明するも、あまりの怖さに叫んで否定するメガト。
隣でニーチとアネッタがコクコク頷いて首肯しているのがなんとも言えず、ヒノケンは思わず「まぁそう見えるわな」と呟いて苦笑い。
「その誤解は不服です! 私達は外来種と悪党が許せない怒りに駆られているだけです!」
休憩室に蔓延る茨を除去している団員達の中から身を乗り出し、防護マスクとゴーグルを脱いで不服だとメガト達に怒鳴る少女サロマ。
そのサロメの顔を見てアネッタが目を大きく開く。
「サロマサン!?」
「え、どうして私の名前を……アネッタ!?」
(
ファイアマンの猛攻をいなしながらもプラントマンはアネッタの様子を見て焦る。
サロマと呼ばれた女性とはどんな関係なのかは分からないが、その者がアネッタを説得しようものならそちら側に傾く可能性がある。
何せアネッタは―――
『ハダントツ!』
『うぐっ!?』
ミシリと嫌な音をしてプラントマンの脇腹に拳がめり込み、遅れて体が吹っ飛ぶ。
その直後にファイアマンが放った火炎放射が、プラントマンを殴り飛ばしたナビに直撃。そのナビは木属性ではあるが、パチパチと炎を爆ぜらせている巨体はビクともしない。
『
プラントマンを殴り飛ばして火炎放射の身代わりとなったネットナビ・ウッドマンが叫ぶ。
『邪魔すんな丸太野郎!』
『暫し待ってくれファイアマン、このナビはオレ達の知り合いだ!』
怒鳴るファイアマンに手を向けて制止を訴えるウッドマンだが、プラントマンはそれどころではない。
『プラントマン、お前自分がやらかしていることを解っているのか!?』
『……勿論さ。美しい花々が咲き乱れる世界を作る為に、ネットワーク社会を破壊する。それが
ウッドマンの問答に対して無難な回答を出す。その間にもプラントマンは思考を巡らせていた。
―下手な答え方は出来ない。
『生まれ変わった、だと?
―そんな
『……その通り! 今の僕は、美しく鋭い棘を持つ大輪の薔薇! 自然を破壊する現代を蹂躙せんと種をばら撒く悪の華!』
―このネットナビに怪しまれてはいけない。
『……確かにお前は、騙されやすいアネッタの助けになれないといつも嘆いていた。それでもお前は! 自分の明るさを! 南アメロッパの花々を!
―
『そんなの、大自然を守る為ならどうでもいい!』
―バレてしまっては……!
「よくナイ!!!」
突然アネッタの怒鳴り声が響き、思わずと言わんばかりにディスプレイを見るプラントマン。
声は震えており、ギュっと何かを握りしめている。サロマと呼ばれる女性が傍に付いている。
アネッタは目に涙を浮かべながらプラントマンを睨み、手に持っていた物を見せつける。
『―――なんだいその不細工な彫刻は?』
不気味な顔が彫られた木片を紐で括ったものを、プラントマンは冷めた目で見る。
「……おマエ、
―――それがアネッタの目を覚ますと知らずに。
いつも以上に真剣な眼差しで怒るアネッタの迫力を前に、プラントマンは思わず後退る。
そのプラントマンの動作を見て確信を得たサロマは、彼女が知る
「アネッタとプラントマンは2年前……リゾート地を建てようと企んでいた大富豪に騙されてアネッタの故郷の土地を売ってしまったの。それを取り戻す為にディンゴ……アネッタの幼馴染にも内緒で村を飛び出て、そのまま行方不明だった。今は私達と協力して故郷の土地を取り戻し、リゾート地の建設計画を阻止できたの」
これが証拠よ、とサロマは懐から取り出した写真を見せる。
ディンゴと呼ばれる赤毛に褐色の肌を持つ南アメロッパ人の少年とサロマが中心となり、南アメロッパ人達が集合して撮った写真だ。
全員が笑顔を浮かべており、何かを達成した喜びがヒシヒシと伝わってくる。
「このトーテムポールのお守りワ、アホディンゴが『村を取り戻シタラ彫ル』と約束してくれたヤツ! プラントマンおまえ忘れたとは言わせナイヨ!」
「というわけよ―――アナタは一体ダレ?」
涙目になって睨むアネッタは、もう騙されないと確信させた。
怒気を滲ませて睨むサロマは、同じく怒気を放つウッドマンをいつでも動かせる。
『―――もう少し使える駒だと思っていたのに!』
そう言ってプラントマンは逃げるようにしてプラグアウト。
『あ、逃げた!』とファイアマンが声を上げて、漸く全員が逃げられたと悟る。
「いかん、まさか手術室の電脳に!?」
「先生あいつらの目的が何なのか解ってんのか!?」
「説明は後だ、ヒノケン君とファイアマンは急いで手術室へ! その電脳には私の大型ウィルスがいるが、万が一にも侵入されてはならん!」
「お、おう!」
無表情にもかかわらずいつも以上に鬼気迫っているメガトの様子を見て、ヒノケンもただ事ではないと悟ってファイアマンをプラグアウト、PETを持って走り出す。
ヒノケンを見送った後、メガトはストンナを抱きかかえたまま振り向く。
そこでは泣きベソをかくアネッタを、サロマとニーチが優しく抱き留めていた。
―――
手術室前に設置されたソファの上に置かれっぱなしの、閉じてはいるがネットに繋がれ、今もなお起動し続けているストンナのノートPC。
それが突如として独りでに開かれ、画面が映し出される。
―ほんの一瞬だけノイズが走り、Uの字を描くような緑のマークが浮かぶ。
―――――まもるを頼みます
ノイズは収まり、マークが消え、再び「99%」の数字が表示される。
〇アネッタ
当作品ではロックマンエグゼ5に登場するキャラクター・ディンゴの幼馴染として登場。
騙されやすい性質を利用されてディンゴの故郷を悪徳商人に売ってしまい、その責任感に耐えきれず考えなしに村を旅立つ。
ハッキング力に秀でたプラントマンで情報収集するも突如として行方不明になり、戻ってきたら雰囲気が変わっていた上にワイリーという味方を見つけてくれた。
〇プラントマン(偽
当作品ではアネッタのネットナビで、情報収集中にDr.ワイリーに囚われ洗脳改造を施されたという設定。
WWWは味方だとアネッタを騙してPETを借り受け、バックアップデータをコピーしてプラントマン(偽)のバックアップデータを新たに作った。
アネッタのPETに保管されているバックアップデータによると、明るくひょうきんなネットナビだったらしい(有賀先生版プラントマンを基にしている)
〇アネッタとプラントマン(真)
悪事を働いたので罪からは逃れませんが、またどこかで登場させたいです。本来の明るくてひょうきんな、どっかの・サンフラワードみたいなプラントマンを。
〇チェンゾン
チェーンソー+ジェイソンから。まんま有名なホラー映画。
〇ストンナのPC
そういえばこの病院の電脳ってどこか別のネットワークと繋がっているらしいですね。
次回で後編として完結させたいです……メカドラゴン出したい……。
いつも感想や誤字報告ありがとうございます!