◆月●日(WWWに捕まってから2日目
目を覚ますと知らない天井でした。あとあたまいたい。
湾岸病院の電脳にあるテトラコードと呼ばれるプログラムと、それを守る大型ウィルスを寄せ付けない認証コードを目当てに襲撃して失敗。
保険として送り出された猛雄おじさんがストンナのPETを奪おうとして、頑なに寝てる+離さないのでストンナを誘拐する羽目になったんだそう。
Dr.ワイリーはストンナを人質にしてストーンマンに洗脳プログラムを施したと聞いて、真っ先に部屋を出ようとしたら止められたです。
ネットナビのビーストマンはそんなオペレーターを訝しがっているですが……どうしてこんな親切なんでしょうね、このワイルドおっさん。
因みに頭のタンコブは西古というWWWの幹部が掛けた催眠術が原因で、パキケファロサウルスになって大暴れしてたみたいです。なんでや。
西古の催眠術は強力だけど何になるかはランダムらしい……それって催眠の意味あるんですかね、いやあったんでしょうけど。
あと、その西古さんはストンナの頭突きで腰痛めたらしい。なんかゴメンです。
おねむの時間まで、部屋から脱走しようとする度に猛おじさんに阻止されたのを記しておく。
Ж月※日(WWWに捕まってから3日目
科学省が大惨事になったニュースが報じられました。WWWのマハ・ジャラマが手引きしたのだそう。
テトラコードを奪われ殆どの機器は壊されましたが
良かった……いや良くないのですか? 命あればモーマンタイなのです。なんかヒノケンがミイラになって運ばれたのが見切れましたが、まぁ大丈夫でしょう。
ニュース番組ぐらいは見せてくれましたし日記は書かせてもらってますが、それ以外のPET機能はDr.ワイリーの細工により使えません。ネットは繋がってもメールや電話は出来ないって地味に凄い。
つまり暇なのです。
まあ見張りの猛おじさんのおかげでちょっかいは受けていません。WWWのしたっぱさん、私のことを怖い目で見ていますもん。エッチな目つきもちょこちょこ。
おじさんの睨みが無かったらストンナは苛められてたかもしれません。まどいさんは意地悪でストンナの頬を捏ねてきますが、その程度なら大丈夫なのです。
そういやマハ・ジャラマさん、科学省を陥れたのになんか叱られてました。遠くからDr.ワイリーの怒鳴り声が聞こえていましたもん。
ロックマンにまた負けたとか、フォルテを逃したとかどーのこーの……なんかヤバそうな内容ですし日記はここまでにしましょ。
Ω月Σ日(WWWに捕まってから4日目
洗脳ストーンマンを使ったテトラコード強奪作戦が成功したと猛おじさんから聞きました。しかも今日中に3か所全て。まっずいですねぇ……お父さんの善意が仇になるとは。
何が拙いかって、ストーンマンが悪者扱いされることなんですよ。
ストーンマンは必ず取り返すのでいいんですが、その後ストーンマンは「やはりWWWの手先」という悪役のレッテルを貼られるかもしれません。
Dr.ワイリーによって洗脳プログラムを施されたとはいえ、ストーンマンは元々はWWWのネットナビ。そんなストーンマンがWWWのネットナビを連れて3箇所の電脳に侵入してテトラコードを奪ったんです。
しかし猛おじさんの話によると3回目、即ち湾岸病院はオフィシャルが本気で警護し、市民ネットバトラーも投入してきたそうです。
メタルマン、キングマン、オフィシャルが雇った市民ネットバトラーで、ストンナとストーンマンの知り合いでした。
お父さんが認証コードを施したキングマンとメタルマンは大型ウィルス「メカドラゴン」の妨害を受けずストーンマンに猛攻。しかしストーンマンは耐えきり、テトラコードを抜き取ったそうです。
トラキチとたま子さんには悪い事しちゃったですね……ストーンマンが洗脳状態だと気付いてくれるといいんですけど。
猛おじさんも不思議がっていましたが、なんで今更になってオフィシャルが本格的にテトラコードの防衛に回ったんでしょうか?
Dr.ワイリーはそれに関して事情を把握しているようでしたが、解らず終いでした。
因みにストーンマンはこのまま借りパクするらしい。ストンナうがーって怒りましたが猛おじさんに諫められる。くやしい、けど従っちゃう。
今夜中にWWW製の高速艇に乗り、ストンナを送り返してくれるそうです。送迎は猛おじさんと、見張りが二人。相変わらず下っ端さんに良い目で見られていないです……。
おじさんは必ず無事に送り返すと約束してくれた上、どうせ止めとけといっても取り戻しに来るだろうから、必ず大人の力を借りて来いと言ってくれました。
ありがとう猛雄さん。結局理由は聞けなかったけど、悪党だし怒りっぽいけど優しい人でした。
―――
人々が眠る真夜中の街中を走る一人の男。
その男は小柄な少女を抱きかかえ、鬼気迫る様子で走り続けている。息も絶え絶えで時折後ろを振り向くが、それでも前へ前へと走り続けている。
「はぁっ、はぁっ……おいチビこっちで本当にあっているのか!?」
「はいです、もう少しでオフィシャルセンターに―――右の路地裏に!」
脇に抱えられた少女の指示に迷わず従い右側の路地裏に入って身を潜めると、ガラの悪い男2人が横切って頻りに周囲を見渡す。
「どこいった犬飼のヤロウ!」
「必ず始末しろ、万が一にもヤツがオフィシャルに捕まったらオレ達がワイリー様に始末されちまう!」
「解ってる! あのクソガキめスタングレネードなんか使いやがって!」
「とっ捕まえて高値で売り飛ばしてやる!」
夜中なのに大声でベラベラと話し合う2人は拳銃を手に持ったまま走り出す。
やがて遠ざかって聞こえなくなった足音を頼りに犬飼は路地裏から出ると逆側へと走り出す。
「あのロリコンどもめ、まだ諦めてなかったのか!」
「ごめんですおじさん……」
体力が回復したからかストンナも犬飼に並走する。
WWWの高速艇に乗り込み、ビーチストリートに到着したストンナ・犬飼・下っ端2人。
Dr.ワイリーとストンナの親は知人らしく、知人の娘だからと仕方なく送り返すよう命令。
ストンナの面倒を進んで見ていた犬飼と、その監視役として下っ端2名が高速艇に乗り込み、ストンナをビーチストリートへと送り届けたのだ。
後はストンナだけでオフィシャルセンターに行けば保護される……そう思っていたのだが、下っ端2人はそれだけで終わらせるつもりはなかった。
度重なる失敗でいずれは始末されるだろうからと独断で拳銃を構え、ストンナの身柄を引き渡すよう犬飼に命じたのだ。ストンナを人質に、キロクラム夫婦から莫大な身代金を得るつもりらしい。
ついでに片方はロリコンの気があったらしく厭らしい目で見てきたので、ストンナは反射的に「仕込み防犯セット(手作り)」が一つ「スタングレネード」を投げつけた。
そうして今に至る。連中に見つかれば犬飼は始末され、ストンナは再び誘拐されてしまう。
その前にどうするかといえば―――オフィシャルに自首しに行くと犬飼が言い出したのだ。
「オレにはよ、娘がいたんだ。離婚した妻が引き取った」
必ずオフィシャルまで送り届けると約束して共に逃走する最中、犬飼はポツポツと語り出す。
「オレに似てねぇが可愛い娘でなぁ、最強のネットバトラーになって欲しくてキツいトレーニングをさせて怒られたもんさ」
共に走り、ストンナが疲れたら抱えて走り、時に隠れ、遠回りして。
「オメーを見ている内によ、全然似てねぇのに娘と重なっちまった。だから必ず、オメーの父ちゃん母ちゃんへ送り返すって決めてたんだ」
疲労が溜まる一方だが、それでもストンナを庇い続けた。その理由が彼の独白にあった。
「なぁ……オフィシャルに自首して罪を償ったら、また娘に会えるかなぁ」
物陰に隠れてWWW下っ端をやり過ごす中、疲労困憊の犬飼は改めてストンナに話しかける。
ぶっきらぼうで怒ってばかりだった彼の横顔は、とても弱弱しかった。
「会えます。生きていれば絶対!」
そんな彼にストンナは力強く叫んだ。
最初の印象こそ誘拐犯の悪党だが、3日間ずっと見張っていた彼と接して解ったのだ。悪人だし褒められた性格ではないが、確かに彼は一人の父親だったと。
今更かもしれないしが、それでも自ら償おうと思い直した彼をストンナは尊敬する。だから応援したくなるのだ。
自分を見上げる無表情なストンナの真摯な言葉を前に、犬飼はジワリと涙を零す。
『ケッ、これだから人間ってのは面倒なんだ!』
「んだとぉ!?」
そこへ水を差すのは犬飼のPET……ビーストマンだった。瞬時に頭が沸騰して怒り声になる犬飼だったが。
『やるべきことが解っているクセに、回りくどい事しかしねぇんだからよ!』
続くビーストマンの言葉に声を詰まらせる。ストンナは「それが人間ってもんですよ」と困ったように頷いていたが。
『犬飼、オレをPETごと捨てろ! いずれ増援を呼ばれちまうぞ!』
「バカヤロウ、今更オメーを捨てるなんざできっか!」
「ふ、二人共落ち着くですっ」
発信機が埋め込またPETを手放せと申し出るビーストマンと、なんだかんだ長く付き合ってた相棒を置いてけるかと断る犬飼、声が大きいと焦るストンナ。
「「見つけたぞ!」」
物陰でそんなに騒いてたら見つかるのは当前だ。
逃げようと立ち上がるも拳銃を突きつけられて身動きが取れない。それを良い事に、ストンナを脇に抱えた犬飼を的確に狙い撃つ為に近づいてくる。
最早これまで、せめて小娘だけでも……身を盾にしようと身を捻る犬飼。
そんな両者の間に、何故か魚を加えた野良猫が横切り。
「魚返せーっ!!」
「「どわーっ!?」」
ほぼ深夜の朝釣りで釣った魚を取り返すべく、見事なタックルで二人組を背中から押し倒したマサ!
不意を打たれた二人組は当たりどころと倒れ方が悪かったのか、コンクリートの地面に顔を打ってそのまま気絶。
唖然とする犬飼とストンナを他所に、魚屋のマサは野良猫相手に取っ組み合いをしていた……。
―――
行方不明になった
太陽も登らぬ早朝に大勢のコワモテが幼女を囲ってやってきた事に驚いたオフィシャルネットバトラーだったが、事情を聞いてストンナを保護し、自首を願い出た犬飼猛雄を誘拐犯として逮捕。WWWの追手も一網打尽にして一安心だ。
水平線から出てきた朝日を、手錠をかけられた犬飼はどこか清々しい顔を浮かべて眺めていた。
「猛雄のおじさん……」
とことことストンナが近づいてきたのに気づき、犬飼は屈んで彼女と視線を合わせた。
「こんなことになっちまってすまねぇな」
「詫びるならビーストマンにもですよ」
『全くだ、とんだとばっちりだぜ』
己のネットナビにも言われて口を噤むが、直ぐに弱々しく笑みを浮かべ、手錠を掛けられた手でストンナの髪をくしゃくしゃと撫でる。
「父ちゃん母ちゃんを安心させてやれ。そんで、大事な相棒を取り戻すよう手助けしてもらいな」
大事な娘なんだ、きっと聞いてくれるさ。
言葉にせずとも伝わる犬飼の意図にストンナは頷き、その胸元に軽く頭突く。
「これでチャラにしてやるです。さっさと罪を償ってお子さんに会いに行くですよ」
「……参ったなぁ」
パキファロサウルスになった時よりも痛いぜ、と犬飼は涙を滲ませる。
そんな二人のやり取りをオフィシャルネットバトラーは黙って見守り、マサと漁師仲間は漢泣きするのだった。
オフィシャルがメガト・キロクラムにストンナを保護したと連絡したのは、その日の早朝だったという。
・犬飼猛雄
当作ではエグゼ3の依頼が1つ「ゆいごんのナゾをといてください」の父親は犬飼だという設定。
若くして離婚した後、アメロッパでサーカス団を開くも経営難で廃業。借金返済の為にWWWに加入した。極偶に娘と連絡を取っていたがWWWに加入したことは内緒にしている。
娘はストンナと同い年だった為、元々誘拐するのに抵抗があり罪悪感に苛まれ。紆余曲折あってストンナを助ける事を決意。その後オフィシャルに御用となった。
・WWWのしたっぱ
目先の欲望に負けて独断行動をしまくったチンピラ。ワイリーの目が無ければこういう事をやらかす連中ばっか。すぐに拳銃を使わなかったのはいざ始末しようとして怖くなった為。
・マサ
趣味の朝釣をしに真夜中のビーチストリートに来てた。
折角の大物を野良猫に獲られて追いかけた所、黒服の男2人に気づかずタックル。その存在に気づいたのは、取っ組み合いの果てに野良猫を逃がした後。
美味しい魚を持ってかれた代わりに美味しい所を頂いた。アニメ版の印象も強くお助けキャラ感が強いぞマサさん。
・マハジャラマ
買収した科学省の職員に究極プログラムを持たせ、科学省のしたっぱとなったヒノケンに罪を被せようとした。
どういうわけか熱斗が究極プログラムを取り付けてくれたのでかなりラッキー、トラウマを植え付けた。
その後、フレイムマンとともにロックマンにウラインターネットまで追い詰められ、たまたま居合わせたフォルテに魔改造マジックマンをデリートされた。
・科学省事件
ファイア、アクア、エレキの究極プログラムでしっちゃかめっちゃかに。被害者はゼロに等しいし原作よりは被害が小さいが……。
湾岸病院でヒーロー扱いされたこと、同じぐらい活躍したのに受刑中だからと評価されなかったヒノケンに対抗心を燃やしてたこともあり、熱斗はマハジャラマに手引された職員に騙されてしまう。
この件に関しては次回。
・光熱斗
友達を目の前で誘拐されたのに更にトラウマを重ねる羽目になった可哀想な主人公。
エグゼ3、小学生向けゲームとは思えない程の事をやらかしたよなぁ……。
何より親しいと思っていた科学省の人に騙されたってのが小学生にはキツすぎる(つまり作者のせい
いつも感想や誤字報告ありがとうございます!