・バックアッププログラムは以下の条件で起動できる
1.PETと繋がっている状態でナビのデリートが確認された時
2.PETと繋がっていない状態が30日以上続いた場合
このため、バックアッププログラムを用いたネットナビの量産は基本的にできないという設定にさせてもらっています。
色々とあいまいな設定でございますがご了承ください。
ストンナがヘッドフォンでマサ一押しのエンカを聞きながらパソコン作業をしている中、大型ウィルス保存用サーバーでネットバトルが繰り広げられていた。
ずんぐりとしたフォルムからは想像も出来ぬ俊敏性を見せ猛攻するフロストマンに、相手の攻撃をも飲み込む津波で怒涛の連続攻撃を仕掛けるウェーブマン。
対して、ロックマンはマジックマン戦で見出した新たなスタイルチェンジ「エレキシールドスタイル」の防御力によるカウンター、ブルースは炎山と共に僅かな隙を見出して本体の王冠を狙い打って出た。
フロストマンとウェーブマンの厄介な所は、ガード機能を持ちながら頻繁に使用する波状攻撃アイスウェーブとウォーターウェーブだろう。
激しい攻撃に混ざる
そんな激戦の結末は―――
『ホォ~……』
『月ナミだけどやられた~』
キロクラム夫婦の敗北であった。
「いやはや、流石は世界大会の優勝者と準優勝者だ」
「負けてしまいましたわねぇ」
フロストマンは目を回し尻もちをつき、ウェーブマン(王冠)は飛び跳ねて悔しがっている。
負けたネットナビをPETに回収した夫婦は、いつも通りの無表情ながらもどこか満足げに頷く。
「ご苦労だったブルース……またしても驚かされたな」
『はい。世界は本当に広いですね』
「やったぜロックマン!」
『ありがとう熱斗くん! それにしても強かったね……』
珍しく疲労感を表に出すブルースを見てほっと息を撫で下す炎山と、冷や汗を拭う熱斗とボロボロのロックマンが互いにサムズアップして健闘を称え合う。
それらが意味しているのは一つ……N1グランプリの頂点を争ったオペレーター2人ですら疲れを見せる程の強敵だった、ということ。
「さて、立て続けで悪いが時間がない、手短に行こう」
ついてきたまえ、とメガト・キロクラムが歩を進めるが、ニーチはストンナの傍に座った。
ニーチを見やると彼女は「構わず行っておいで」と手を振る。なので急いでメガトの後に続く。
どういうわけか浴室へと歩みを進めていると、「清掃中」と書かれた立て札の前にこの旅館の女将……浦川まもるの母・浦川キミエが立ち塞がっていた。
「御三方、ようこそいらっしゃいました」
深く頭を下げる様子からして、清掃中だから今は入れないというわけではなさそうだ。
顔を上げたキミエの真剣な表情を前に、メガトは右肩に左手を添えて一礼する。
「キミエ夫人、漸く浦川カンジさんとの約束を果たせそうです」
「……これも運命というやつどすかねぇ」
一礼するメガトに続いて熱斗と炎山を見比べたキミヨはそんなことを呟いた。
雰囲気に呑まれ問う空気になれなかった二人に「後は頼みます」と言ってから道を空ける。
黙って歩を進めるメガト、それを追う2人。がらんとした浴室の中で再び歩を止めた。
「……あのさメガトさん、先にひとっ風呂に浴びようってオチだったりする?」
「あいにくだが今の私はガチなのだよ熱斗くん」
ならばどうしてこんなところに……そう言いかけた炎山だったが。
「炎山くんに熱斗くん。君達が知ろうとしている事は、恐らく君達の想像以上に深く、そして複雑な真実が隠されている。ここから先に進めば後には引けぬが……」
―――どうするかね?
その言葉の直後、熱斗と炎山は錯覚した。
ストーンマン以上に巨大で、ストンナ以上に強固な、メガト・キロクラムという名の壁を。
様々な事件を潜り抜けた優れたネットバトラーである2人だが、何しろまだ小学生だ。
歴戦の科学者にして一国を支える臣下……そして大事な姫と娘を守る父が放つプレッシャーに呑まれてしまった。
同じ科学者である裕一郎や巨大企業を築き上げた秀石にも引けを取らない、確固たる意志だ。
熱斗の脳裏に過ぎるのはついこの間のトラウマだ。ここで誤ったら取り返しのつかない事になるのではないかと思った瞬間、不安と恐怖で身体が痙攣してしまう。
小刻みに震える熱斗を案じて声をかけようとする炎山だが、それより先に動く者がいた。
『しっかりするんだ熱斗くん!』
光熱斗の相棒にして兄―――
その言葉に詰められた想いの数々を理解した熱斗の体から程よく力が抜け、自然体に戻る。
そしてパンパンっと己の頬を両手で叩いた後、
「行かせてくれメガトさん! オレ達は過ちを正す為にも、止まるわけにはいかないんだ!」
「そういうことですメガト氏……話してもらいますよ、アナタが知っている事全てを」
過ちを知ってなお立ち上がる熱斗とは別に、炎山も壁に挑むべく一歩前に出た。
オフィシャルネットバトラーとして幾度となくネット犯罪に挑んで経験を積んだ彼だが、熱斗を切欠に様々な出会いに恵まれた。
ストンナ、デカオ、タップマン、アシッド、トラキチ&キングマン、そしてキロクラム夫妻にフロストマン&ウェーブマン。
世界には炎山とブルースの想像と経験を超えた友や強豪がどこかにいる……それほどまでに世界は広いのだと改めて思い知らされた。
そんな良き出会いが炎山とブルースの背を押し、メガト・キロクラムという壁を破ったのだ。
2人を前にメガトは、薄っすらとだが微笑みを浮かべる程に喜び拍手を送る。
「―――おめでとう、キミ達は資格を勝ち取った」
熱斗の驚愕に同情しつつも、これ以上話を伸ばされてはたまらないと炎山は話を進める。
「ここまで焦らされたんです、いい加減『S』ないし『禁断のプログラム』の在処を教えてくれますよね?」
「むしろそれ以上を私は知っているヨ。『S』も『禁断のプログラム』も……『プロト』や『フォルテ』ですら、全て一つに繋がっている、という真実をネ」
その返答は想像を遥かに上回ったらしく、今度は炎山が目を見開き、代わりに熱斗は意識を取り戻し声を荒げる。
「フォルテって、ウラインターネットで会った!?」
「……どうやら遭遇したそうだね。すまないが其方は後回しだ」
逆にメガトは光熱斗とフォルテが遭遇したことを想定していたらしく、そのまま温泉へと足を運ぶ。
本当に清掃中だったらしく乳白色の濁り湯が空となっている。それを気にせずメガトは獅子の頭に手を近づけて弄り始める。
すると一部の岩が切り抜かれ、そこからコンソールのようなものが出てくる。驚いた少年二人に対しメガトは至って冷静にコンソールを弄る。
すると大岩は、あらかじめそういう仕組みだったのだろう、引き戸のように切り抜かれエレベーターらしき入り口を露見させた。
「こんな仕掛けがあったとはな……ここは一体?」
「それに関してだが、まず簡素に3つ教えるとしよう。ついて来たまえ」
炎山の質問ごと飲み込むかのようにエレベーターの扉が開かれ、そこに乗り込む。
やはりと言うかメガトは鳴れた手つきでボタンを押し、エレベーターは地下へと降りていく。
「まず『S』とはウラインターネットで10指に数えられる強豪『ウラランカー』と呼ばれる者達の頂点……ウラランカー1位にしてウラインターネットを統べる王の俗称だ。誰が広めたかは知らないがネ」
「ウラランカー……ウラインターネットでも特に強いとされる猛者である事と『S』がウラランカーである事は聞いていましたが、そいつらに接触すれば『S』の居場所が解るのですか?」
やけに長く感じる浮遊感を味わっている中でメガトが話し始める。
炎山とてオフィシャルとしてウラランカーの存在は知っており、此度の科学省事件を切欠に『S』を調べたのだが、まさかウラの頂点だとは。
しかし炎山の目的は『禁断のプログラム』であり、その所在を聞き出す為に『S』を探しているのだ。その手段がウラランカーにあると炎山は思っていたが。
「いや、残念ながら『S』の素性を知る者は極僅かだ。もしウラランカーを片っ端から倒して居場所を聞き出そうものなら、残念ながら世界が滅びる方が先だろう」
その思案をメガトが否定する。
「因みに私のフロストマンはウラランカー8位だヨ。ウェーブマンは違うがね」
さり気ない自慢に、どーだすごいだろう、と胸を張るメガトとPET内のフロストマン。
通りで強いわけだと熱斗が思う中、エレベーターが階層で止まり、ドアが開かれる。
中は意外と明るく、白と薄紫のカラーリングで統一された広い空間となっている。だが眼前には巨大な壁が行く手を遮っている。
『ぱすわーど 01 ヲ 入力 シテ クダサイ』
いきなりアナウンスが流れ、壁に取り付けられた赤い目のようなものが点灯して熱斗がビビる。
「
メガトは気にせずそう告げると、赤い光が消灯し壁が開かれる。
どうやら壁ではなく扉だったらしく、メガトは先へと歩いていく。
「続いて『禁断のプログラム』とは、使い方を誤ればインターネットそのものを滅ぼしかねない、文字通り禁断の力を秘めたプログラムだ。『S』はそのプログラムを守る為に
「じゃあ『禁断のプログラム』はその『S』が持っているってこと?」
「『持っている』と言うよりは『
熱斗の疑問に答えるメガトだが、要領が掴めない熱斗は首を傾げる。
暫し歩いていると、先程と同じ扉が行き手を遮り、赤い目が点灯してアナウンスが流れる。
『続イテ ぱすわーど 02 ヲ 入力 シテ クダサイ』
「
再び開かれるドア。徐々にそういうシステムなのだと理解し、メガトの後ろに続く。
「そして『S』と『禁断のプログラム』の在処は―――この先なのだよ」
「この先に?」
「そう……炎山くんが
敢えて名字と共に呼ぶことに意味があるらしいが……今度は炎山ですら要領が掴めずにいる。
ここで最後だよ、とメガトが扉の前に立ち止まり、再び目が光りアナウンスが流れる。
『続イテ ぱすわーど 03 ヲ 入力 シテ クダサイ』
「
『全テノ ぱすわーどヲ 確認 シマシタ』
3つのパスワードによって開かれる扉が開かれ―――その絶景に目を奪われる。
エレベーターを降りた空間よりも広く、全てが巨大なサーバーで埋め尽くされていたからだ。至る所からサーバーの駆動音が鳴り響いている。
機械にそれほど詳しくない熱斗でも、これらが比較的古い世代の、しかし膨大な容量と高い性能を持ったサーバーなのだと理解できた。
「すっげぇデカいサーバーがいっぱい……」
「これほどまでのサーバーはアメロッパでも見たことがない……これは一体?」
「ウラインターネットのサーバーだよ」
炎山ですら呆然と見渡す中、部屋の奥から男の子の声が聞こえた。
駆動音に紛れてもはっきりと聞こえる声……その声の方角を見て熱斗は驚いた。
ひときわ巨大なサーバーのモニター画面に浮かび上がる、緑を基調としたUの字のナビマーク。そのモニター前にいたのは、車椅子に腰掛ける少年だった。
「病床にて眠り夢を見る監視者―――これほどまでの皮肉はあるまいよ」
溜息を吐いたメガト・キロクラムが、今頃どこを駆け巡っているのかも解らぬ友人に対し忌々し気にぼやいた。
「―――まもる?」
熱斗は思わず、にこやかに微笑む車椅子の少年の名を呼んだ。
「ようこそ。ウラインターネットの中心部―――シークレットエリアの入り口へ」
バラード『余が部屋で留守番とはな。いずれお前の秘密を明かせる程のネットナビになってみせようぞ、我が友よ』
・メガトとフロストマン
ウラ掲示板でも名が浮かびましたが、メガトはウラランカーでした。ウェーブマンはランカーではありませんがそれに匹敵するレベル。
まぁまもるの父と知り合いだった時点で色々知っていると早々に察せられたでしょうが。
・三つのパスワード
3つの扉を開くためのパスワード。ウラランカーの一部から聞けるヒントを頼りにウラインターネットを探し出す必要がある。原作ではエレベーターから直結している。
元ネタはロックマンDASHより。ずっと温めておいたクロスオーバーネタの一つ。
・まもる登場
ウラランカー編もバッサリカットマン。ガッツマンの友情出演もな。
何より、この登場の方がカッコイイと思ったから(ドーン)
次回は『S』、そしてそれを守るウラランカー上位と対面。
『S』やウラインターネットに関する独自設定がてんこ盛りとなっております。
いつも感想や誤字報告ありがとうございます!
更新速度について(6/11締め切り
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今のままでもいいから週一で
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もう少ししっかり書いて欲しいので月一で
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遅くていいから設定をしっかり練るべき
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気が向いた時でいいよ(完全にランダム)
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前のように1か月週一投稿して1か月休むで