ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

77 / 112
省略してもいい、或いは書かなくて良いような内容を足しては消してを繰り返してました。
さっさと禁断のプログラムを渡して次に行きたいのに……orz


【強さの重み】

 車椅子に腰掛けている少年―――浦川まもる。

 退院してからよく浮かべるようになった穏やかな笑顔だが、モニターの後光に照らされた姿はまるで裏ボス。

 先ほどまでストンナと雑談していた時とは違う雰囲気に宛てられ、熱斗は思わず背筋を伸ばす。

 

「さっきぶりだね熱斗くん、炎山くん」

 

 まぁ当人(まもる)は気にする素振りも見受けられないが。

 

「……どういうことか説明してもらえるか?」

 

 炎山はと言えば、自身のファンが重要な現場(こんなところ)に居るのが信じられず無意識でそう呟いた。

 熱斗も彼に同調して何度も頷くと、まもるはさもありなんと言わんばかりに苦笑いを浮かべる。

 

「ここは『禁断のプログラム』を封じる為に作られたインターネット。そのサーバーだよ」

 

「『禁断のプログラム』を封じる為の?」

 

「そう。『禁断のプログラム』の正式名はギガフリーズと言って、復活したプロトの抑止力(カウンター)として作られた、世界中のインターネットを凍結させる程のプログラムだ」

 

「あまりにも強力なので万が一起動しても被害を最小限に留めるよう、現在のインターネットから隔離されたインターネットの中心部……通称シークレットエリアに封印した。それがウラインターネットの真実なのだヨ」

 

 まもるとメガトによって次々と明かされる真実……犯罪者が蔓延るウラインターネットが、世界最強の凍結プログラムを封印する為に用いられたエリアだったということ。

 世界中のインターネットを凍結させるプログラム……それが誇張ではないことを熱斗と炎山は理解し、思わず唾を飲んだ。まだ見ぬ脅威・プロトの恐ろしさも。

 

「表のインターネットから隔離された広大なインターネット……犯罪者の隠れ家にはもってこいということか」

 

「加えてギガフリーズの隠れ蓑としても都合が良かった。ニホンで言う『木を隠すには森の中』というヤツだ」

 

 真の用途を知らぬ犯罪者にとっては都合の良い避難場所……だがオフィシャルやギガフリーズを知る者に見つからないようにする為の盾にもなっていた。

 

 それは兎も角。

 

「それで、まもるがここにいる理由は?」

 

 熱斗にとって、ギガフリーズやウラインターネットの真実云々よりも、大事な友達の安否の方が気になるらしい。

 

「ウラインターネットとギガフリーズ、そしてその護り手である『S』を作ったのが、ボクのお父さんだからだよ。ボクはその二代目で……シークレットエリアの管理人なんだよね」

 

 そう言って照れ笑いするまもるだが、言っている事と役職はとても重大で衝撃的だった。

 なんでもなさそうに言う彼を、限界まで瞼を開いて硬直する熱斗。炎山は炎山で「またとんでもない知人を持ったな熱斗のヤツ……」と顔を手で覆った。

 彼らが衝撃を受けたのも無理はないと肩を竦むメガトと、悪いことしたなーと頬を掻くまもる。

 

「こほん……まぁ諸々は道中で説明するよ。熱斗くんに炎山くん、まずはこれを」

 

 車椅子を操作して近づき、固まっている彼らの手にあるものを握らせる。

 漸く意識を取り戻した熱斗と炎山は握らされたものを見やる……それはナビカスパーツだった。

 

「シークレットエリアの行き来を一時的に可能とするウラノテガタだよ。キミたちの為に急造したんだけど、インストールして30分後に強制プラグアウトされるから気を付けてね」

 

 う、結構デカい、と難色を示すも熱斗はナビカスタマイザーを起動しロックマンに組み込む。

 

「じゃあ三人とも、プラグインを。この先に『S』と『ギガフリーズ』がある……そこで全てをはっきりさせるよ」

 

「私のフロストマンが案内しよう。私がどう関係しているのか説明しながらネ」

 

 道を空けたまもるを横切ってメガトが巨大モニターにPETのプラグを差し込む。

 まだまだ多く残っているであろう謎がこの先にある。真実の内容もそうだが情報量の多さに炎山が眉間を抓むも、熱斗が前に出る。

 やや遅れて炎山も彼の隣に立ち、モニターに映る浦川まもるのナビマークを見あげた後、二人同時にPETのプラグを手に取る。

 

「プラグイン! ロックマン.EXE、トランスミッション!」

 

「プラグイン! ブルース.EXE、トランスミッション!」

 

 

 

―――

 

 プラグインしたロックマンとブルースを待ち構えていたのは、神聖な空間だった。

 

 雲一つない広大な青空。静かに波打つ水面。古代遺跡、それも神聖な儀式の場と言われれば納得するようなエリア構造。

 彼らが見てきた、敢えて暗く禍々しい空間を築き上げていたウラインターネットとは全く違う。ナビ二人に至っては、その神聖さに圧倒され呆然とする程だ。

 

「ホー……シークレットエリアへようこそだホー」

 

 フロストマンが話しかけた事でロックマンとブルースは意識を取り戻し、ゆっくりと歩き出すフロストマンの後ろに続く。

 

「ここがウラインターネットの中心部……とてもそうだとは思えないな」

 

「うん……とても静かで落ち着く場所だね」

 

 そう言って歩くブルースとロックマンは、心成しか心地よい空気ですら感じられる。

 

「元々こういう場所(エリア)だったけど、外周りをネット犯罪者がうろつくようになってからはああ(・・)なったんだホー」

 

 間延びした癖に妙に声の高い、まるで子供のような喋り方をするフロストマン。見た目は大きいしパワーもあるが、中身はバブルマン並に小さいようだ。

 

 話によればギガフリーズを閉じ込める為に作られたインターネットには、堅牢なセキュリティを多数配備されたシークレットエリアと、ギガフリーズの余波を遠ざけるだけの何もないエリアが存在していた。

 『何もない、インターネットから隔離されたエリア』だからこそ、ネット犯罪者はこぞって逃げ場所として集まり、各々が好きなように改造した結果が現在のウラインターネットのテクスチャなのだという。

 

 そういえば、とロックマンは思い出して尋ねる。

 

「フロストマン、キミは『S』の事は知っているの?」

 

「えすー? セレナード様の事かホー?」

 

「セレナード……それがウラの王の名か?」

 

 そうだホー、と頷くフロストマン。素直か。

 

 ブルース及び炎山は(こんなヤツがよくウラランカーになったな)と思ってメガトを見やるが、彼は相変わらずの無表情だ。

 

『フロストマンの力は保証できるよ。尤もS……セレナードを含めたシークレットエリアのウラランカーには到底敵わないがネ』

 

『そんなに強い奴らなのメガトさん?』

 

『無論。いずれもセレナードに挑み、生き残った強者(つわもの)だヨ』

 

 大抵のナビならデリートされるからね、と脅しながら説明する。

 

 どうせ今後シークレットエリアを訪れる機会などないと断言できるし、伊集院炎山なら噂ぐらいは聞いているだろうと、極秘であることを条件に上位4名をざっと解説する。

 

 ウラランク5位……侵入者を10,000人デリートすることで復讐のチャンスを与えられた、セレナード抹殺を目論む伝説の殺し屋にしてシークレットエリアの門番ダークマン

 シークレットエリアの管理人の立ち合いと『ウラノテガタ』が無ければ真っ先に相手しなければならない、不意討ち闇討ち騙し討ちなんでもござれの危険な暗殺者だ。

 

 ウラランク4位……規格外のフィジカルを持ってしまったが故に強者を求め彷徨い、祭り感覚でウラランカー争奪戦に勝利しそのままウラの王に電撃挑戦した無頼漢ボウルマン

 ボウルマンについては熱斗ですらも覚えがある。デカオとガッツマンが挑んだ『NAVIRE』初回、パワフルすぎて器材を悉く破壊ししたことで放送事故を起こしたネットナビだ。

 

 ウラランク3位……セレナードを恐れたオフィシャル秘密諜報部によって抹殺(デリート)を依頼されるも、今や王の右腕として忠誠を誓う元オフィシャル精鋭部隊長ヤマトマン

 炎山もヤマトマンに関連した資料は知っていたが、当時のオフィシャルは組織的に腐っていたとも調べがついている。科学省同様、プロトと関連性しているのだと推測される。

 

 ウラランク2位……オカルトパワーを操れるが故に慢心してウラの王に挑んだ結果、真っ向から鼻っ柱を折られ、以後10年以上セレナードの左腕として戦い続けるミストマン

 意外にも熱斗とロックマンが知っていた。光裕一郎の昔話で、サンダーマンやファラオマンのようなネットナビの研究を国ごとにしていた事があり、その中で強かったのが消息不明中のミストマンだという。

 

『そんな強いヤツらばっかなのか……じゃあフロストマンは?』

 

『フロストマンが、というよりは、私がウラランカーになる切欠があってネ』

 

『それはクリームランドの科学者として、ですか?』

 

『まぁ他国の事情は知らないが、私の場合は特別でネ』

 

『……あ、そういえばメガトさんってまもるのパパと知り合いだった!』

 

「うん、湾岸病院で言っていたね。昔は科学省で一緒に働いてて、まもるのパパさんにはお世話になりっぱなしだったって」

 

「……確かまもるの父カンジが、シークレットエリアとセレナードを作ったのだったな」

 

 熱斗とロックマンの発言に、炎山が熱斗を、ブルースがロックマンをジーッと見る。

 光兄弟が気まずそうに眼を逸らす中、フロストマンが立ち止まった事で大きくてヒンヤリとした背中にぶつかった。

 

「ホー……この先だホー」

 

 フロストマンが指さす先には、広く長い階段があった。

 その両端には2体のネットナビが門番のように立ちはだかっており、侵入者に気づいた鎧武者のようなナビが槍の石突でエリアを叩く。

 

「待たれい、お主らは何者だ!」

 

 甲高い音に勝る大声に立ち止まるロックマンと、思わずソードを構えるブルース。静かな空間が一転して緊張感に包まれた。

 バトルチップを構えたブルースに向けて魔人のようなナビが手をゴキゴキと鳴らすが、フロストマンが大きな腕を上げて彼らを制止する。

 

「ウラランク8位、フロストマンだホー。この2人の事は"ウラノテガタ"を持っているホー」

 

 ロックマンとブルースは手首に装着された腕輪……ナビカスパーツ『ウラノテガタ』を見せる。

 その腕輪の紋章を見た途端にプレッシャーを引っ込めるも、どこか納得いかない様子で頷く。

 

「うむ……セレナード殿より話は伺っておったが、やはり納得できぬ。今一度、拙者らと勝負せい!」

 

「まぁ待てヤマトマン、今は非常事態だ。セレナード殿の命もあるが、彼らは管理人殿に認められた堅気の者なのだぞ」

 

「しかしだなミストマンよ、例のプログラムをセレナード殿から授かるのなら相応の力を我々に示すのが筋というもので……」

 

 あーだこーだと言い合う、鎧武者ことヤマトマンと魔人ことミストマン。

 どちらかと言えばヤマトマンの頑固さが原因の言い争いに困り果てていると、まもるが咳払いをして注目を集める。

 

『割り込み命令。シークレットエリア二代目管理人・浦川まもるの命令を最優先。

 

 "テトラコード"01、02、03、04が外部に強奪された事により"プロト"解放の嫌疑あり。

 

 浦川まもるは権利行使資格103に基づき、指定人物のシークレットエリア侵入を一時許可。

 

 浦川まもるの名において"セレナード"への謁見及び"ギガフリーズ"譲渡を申請。

 

 なお、"ギガフリーズ"譲渡後の"セレナード"の処遇の決定は後程判断を仰ぐものとする』

 

 まるで機械のように淀みない浦川まもるの発言。

 モニター越しにミストマンとヤマトマンを真剣な表情で見つめる中、先に頷いたのはミストマンだった。

 

「了解した。ウラランク2位『ミストマン』、シークレットエリア二代目管理人の命令を最優先とする」

 

「……ウラランク3位『ヤマトマン』、同じく」

 

 反してヤマトマンは不服そうながらも頷き、道を譲る。

 ヤマトマンのセレナードへの忠義を理解しているまもるは「ごめんね」と呟き、ロックマンとブルースに先に進むよう促す。

 

『なんか悪ぃことしちまったな……』

 

『しかしよく言う事を聞いたな』

 

「勘違いめさるな。我らはセレナード殿に忠誠を誓った際、シークレットエリア管理人資格を持つ者の命令を受諾する為のプログラムが埋め込まれている」

 

「無論、ワガハイらも了承済みだ。あくまで緊急時……それこそプロト復活を予期せぬと行使できぬがな」

 

「それほどまでにプロトは恐ろしいものってことなのか……」

 

「それに関してはセレナード殿が話すだろう……ついてまいれ」

 

 そう言ってヤマトマンとミストマン―なぜかランプがぴょこぴょこ独りでに動いている―が階段を登り、ロックマン達も続く。

 

 長い階段を登った先には……思わず見惚れる程に美しい水平線が広がっていた。

 インターネットの広大さとシークレットエリアの神聖さを掛け合わせたような、空と水面が重なる青と白の世界。ここがウラインターネットだということを忘れさせてくれる、清々しい光景。

 どこまでも広がる美しい景色を眺めていた人物……ネットナビが振り向く。

 

 

 

「ようこそ。私がウラの王にして『ギガフリーズ』の護り手……セレナードと申します」

 

 

 

 優しく、それこそ道端でばったり出会ったかのように、穏やかに話しかけた―――それだけでロックマンは激しい動悸に襲われ、ブルースは片膝をつきかけた。

 

『ロ、ロックマン!? どうしたんだ!?』

 

『ブルース……?』

 

「ゆ、油断しちゃ……ダメだ! このプレッシャーと寒気は……覚えがある……!」

 

「申し訳ありません炎山様、今オレは……アナタ様以外にひれ伏す所だった……!」

 

 穏やかに微笑んでいるだけのセレナードを前に、得体の知れぬ恐怖で震えあがるロックマンとブルース。これほどまでに動揺する2人を見るのは熱斗も炎山も初めての事だった。

 いつしかヤマトマンとフロストマンは片膝をつき、ミストマンは拳同士を重ねお辞儀している……さも当然のように自然体で。

 

 対してセレナードは、クスクスと嬉しそうに笑い出した。

 

「流石は世界一を争った者達です。普通のナビなら心が折れてたでしょう……まぁここで言う『普通のナビ』とは、ウラインターネットでも有数のネット犯罪者ですけど」

 

 「けど」と言い終えた直後、ロックマンとブルースを襲っていたプレッシャーが霧散する。

 2人の体は解放感で軽くなり、深呼吸をして心と体を落ち着かせる。

 

『これが……ウラインターネットを支配する王』

 

 画面上は美しいだけのネットナビ……しかし炎山は「オフィシャルという組織全てを投じても勝てるかどうか」と頭の中で断言してしまう。

 

 しかし、熱斗だけは別の事を考えていた。

 

『あの、セレナード!」

 

「なんでしょうか?」

 

 

『もしかして、お前がまもるの言ってた、大事な友達(ネットナビ)だったりしますか!?』

 

 

 ロックマンをも震わせるウラランク1位を熱斗は、友達の友達を見つけたような、真っ直ぐな目で見てくる。

 

 

 隣ではまもるが嬉しそうに微笑み、セレナードに向けて無言で頷く。

 

 

 それがとてもとても嬉しくて……王は力強く笑う。

 

 

 

「―――まもるを救ってくれてありがとう。光熱斗、そしてロックマン」

 

 

 

 彼こそが選ばれし者―――光正博士の意志を正しく継ぐ者だと確信できた瞬間だった。

 




・浦川まもる
シークレットエリア二代目管理人。サーバーメンテナンスや緊急時の権利行使など色々と賢い。
割り込み命令関連もロックマンDASHが元ネタ。拙者、普段はサブなのに重大な場面で登場してあれやこれやするキャラ大好き侍でござる。

・ウラノテガタ
浦川まもるが特例として開発したナビカスプログラム。シークレットエリアのショートカットを一時的に可能とする。
ダークマン涙目……かと思いきや、ウラノテガタ持ちをデリートするとカウントが100人増えるルールを持っている。
因みにめっちゃ容量大きいし使用は一度きり。終わったら早急に外して要らない子になるヤツ。

・ウラランカー上位
シークレットエリアを見つけ出し、セレナードを相手にして生き残った者のみがシークレットエリアの出入りを許される。
フロストマンはメガト・キロクラムが浦川かんじに関わっている事もあって、8位でありながら特例で出入りが可能となっている。

・ボウルマン
ロックマン3BLACKではミストマンに変わってウラランク2位だが、当作では4位。それでもヤマトマン・ミストマンと肩を並べる程の実力者。
ボウルマンがウラランカー入りしたのはつい最近で、偶然が重なってセレナードの下へたどり着けた。
 ボコボコにされても生き残り、逆に大笑いしてセレナードの子分(自称)になったという。

・めちゃつよセレナード様
経っているだけで美しく、そして強い。そんな王様。

・ただのセレナード
病弱な友を想い続け、友達に救われた事を喜ぶ一人のネットナビ。

次回こそ、次回こそはセレナードの秘密(当作設定)を明かしてから禁断のプログラムを……!

いつも感想や誤字報告ありがとうございます! 励みになっています。

◆更新頻度について(6/4投票実施・6/11投票終了)◆

 もう少しプロットや文章を練ってから投稿しようか悩んでます。

更新速度について(6/11締め切り

  • 今のままでもいいから週一で
  • もう少ししっかり書いて欲しいので月一で
  • 遅くていいから設定をしっかり練るべき
  • 気が向いた時でいいよ(完全にランダム)
  • 前のように1か月週一投稿して1か月休むで
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。