ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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ドリルマンって格好いいよね。


【ロックマンVSドリルマン】

 

 クリームランドのストーンマンとナイトマンの活躍の影響で、重量級ノーマルナビことヘビーナビというカテゴリが誕生した事をきっかけに、世界では種類豊富なカテゴリが生まれつつある。

 そのナビカテゴリの一つとして、下半身を4つのローラーにすることで高速戦闘を可能とした「フォアローダー」という量産型ネットナビが誕生した。

 これはストーンマンの「ローラー移動プログラム」に習って開発されたもので、両腕を折りたたむ事で車両と化し一層スピードを上げることができる。

 

 そんなフォアローダー型ナビは、専らスピードを愛する走り屋ネットナビと化している。

 特にウラインターネットでは大流行しており、ルール無用のバトル&チェイスを楽しむなど迷惑なナビが続出し、一種の暴走族ブームですら起こっていた。

 

 今日もウラのフォアローダーは、科学省で起こっている一大事なんぞ知らんとばかりに走る。

 

 赤いカラーリングで統一されたフォアローダーの暴走族「裂弩(レッド)武零苦(ブレイク)」もその一つだ。近日ウラランカーから忠告を受けるのではと言われている程に日夜暴走を繰り返している。

 オレらの視界に入ろうものなら問答無用で轢き飛ばしてやる、そんな殺意を滲ませながらスピードに酔いしれて走り続けるのだ。

 

 

 しかしこの日―――「裂弩(レッド)武零苦(ブレイク)」は伝説を目の当たりにする。

 

 

 轟音と排煙をまき散らしながら、イノシシのようなバイク型ネットナビを駆る赤いネットナビ。

 ヒートガッツスタイルとなったロックマンは片手でハンドルを握り、もう片方を巨大なバスターに変えて猛スピードで走り続け……地面から出現した巨大ドリルを避ける。

 

 ただ避けるのではない……体の重心と後輪の急加速を合わせた見事なスピンターンでスレスレの所を回避する、まさに神業と言っていいドライブテクニックだ。

 巨大ドリル―実際はドリルに変形したネットナビ―はそのまま宙へ飛び、操縦者は転回しながらバスターを放つも当たらず、ドリルは空間に穴を空けて逃げ込む。

 バイクは瞬時に体制を建て直し再び加速。並走しながら呆然と見ていたフォアローダー達を抜き去っていく。

 

「オメーやるじゃねぇか、本当に初心者かぁ!?」

 

 敢えてハンドルを譲りエンジン出力プログラムのみに注力していたが、初めてとは思えぬ見事なハンドリングに喜んでいた。少々荒々しいだがそれも良い。

 

「ありがとう! 思うように操縦できるんだよね!」

 

―――熱斗くんは怖がってたけどボクは結構好きだなぁこのスピード感……!

 

 そんな危ない思想に染まりつつ、ブオン!とエンジンを吹かし前輪を浮かしウィリー走行、直後にパネル下からドリルが飛び出てくる。

 今度は機体に掠り「痛ェッ!」とバイクが叫ぶも、ロックマンは今度は逃さないとガッツマシンガンでドリルを撃ち抜く!

 

「ガッ―――クソがぁっ!」

 

 ヒートガッツスタイルで手に入れ組み込んだプログラムパーツ「ブレイクバスター」より、ナイトマンに匹敵する高硬度ドリルに何か所も凹ませた。

 

 痛撃を受けるもドリルマンは直進を続け、再び空間に穴を空けて飛び込む。

 浮かした前輪を落とした衝撃で軽く跳ねるも、体の重心を前に移すことで強引に着地し再発進。ロックマンはバスターを構えたまま縦横無尽に視線を向け続ける。

 

 追いかけっこを続けるにつれて、ドリルマンの空間移動は距離に応じた「溜め」が必要な事を見抜いた。

 事実ドリルマンは、短いスパンで錯乱と奇襲を兼ねた突撃を繰り返している。次の奇襲も近い内に……。

 

「真下から来るぜぇっ!」

 

 ヘルボアの直感がそう告げた。

 

 短い付き合いであるはずの彼を信じロックマンは機体(ヘルボア)ごと地面(パネル)スレスレまで傾け大きく転回。

 グルングルンとほぼ真横状態のヘルボアが回転する中、ドリルマンがパネルから出現。

 

 この荒々しい走行の中でありながら見逃さず、ロックマンはバイクを乗り捨て跳躍、瞬時に空間へ逃げ込もうとするドリルマンに狙いを定め―――。

 

―――『ラビリング2』、スロットイン!

 

 熱斗が送信した『ラビリング2』を放つ!

 

「ウガァッ!?」

 

 高速で飛ぶ電気輪(ラビリング)がドリルマンの本体に直撃し。ドリルの回転すら止まってそのまま地面(パネル)に落下する。

 痺れて碌に動けぬ中でもドリルマンは諦めておらず、麻痺さえ解ければ『ドリルドライブ』で再度……そう思っていたのだが……。

 

 眼前にはロックマンが、高硬度ドリルですら撃ち抜く巨大バスターを向けて構えている。

 その後ろでは態勢を立て直したヘルボアが、バイクモードからネットナビモードへと変形している。

 

「大人しくプロトを渡すんだ」

 

「くっ……」

 

 

 

―――この一部始終を見て感激した「裂弩(レッド)武零苦(ブレイク)」により、ウラでは「伝説の紅いバイク乗り」の伝説が語り継がれるのだった……。

 

 

 

 ガッツマシンガンの威力と連射性は身を以て理解している……抵抗しようものならドリルを回転させるより先にコチラがハチの巣になる。

 麻痺が解けたドリルマンは諦めてドリルモードを解除し膝をつく……だが内部に埋め込んだ以上ワイリーでなけば【プロト】は取り出せない。

 

 悪足掻きの時間稼ぎなのは重々承知の上で―――思いの丈をぶつける。

 

「すまねぇ……クラッシュマンのアニキ……!」

 

『アニキ? お前アニキがいるのか!?』

 

 銃口を向けたままのロックマンに変わり、反応した光熱斗のディスプレイが表示される。

 

「本当の兄弟じゃねぇがオレのアニキも同然だ……オレはアニキの仇討ちの為にWWWに手を貸し、自律型ナビに生まれ変わったんだ!」

 

 光熱斗の反応を好機と捉え、しかし誰かに聞いて欲しいと言う本心からドリルマンは語る。

 かつて同じ土木現場の電脳に勤めていた兄弟分……荒っぽいが漢気のあるオレンジのネットナビの後ろ姿を思い出しながら。

 

「仇だなんて……一体誰なんだ?」

 

「クリームランドさ! クラッシュマンのアニキはウラの依頼でクリームランド電脳に襲撃し、デリートされたとワイリー様から聞いた!」

 

 ナビ使いの荒いオペレーターと喧嘩してウラへ逃げ込んだまま行方不明となったクラッシュマン。

 世話になりっぱなしだった兄貴分を追って自らもウラへ飛び込み、探し続けた末にDr.ワイリーの僕であるクラウンマンのスカウトを受けた。

 そこで知ったのがクラッシュマンの末路だ。悪党の自業自得だと解ってはいるが、Dr.ワイリーの言葉を鵜呑みにしたドリルマンは怒りに震えたものだ。

 

「【プロト】を復活させた暁には、真っ先にクリームランドを潰すとワイリー様は言った! だからオレはテトラコードを授かり、【プロト】を奪ったのさ!」

 

 例え世界中のネットワークが破壊されようとも、クリームランドを確実に潰す為に。

 

 ドリルマンの本心からの叫びに、ロックマンは複雑な顔を浮かべ、ヘルボアは男泣きしだした。

 ロックマンと熱斗は兄弟の絆というものを理解しているが、それとこれは別だ。【プロト】が解き放たれれば世界が滅ぶと言われているのだから。

 

 

『その話は嘘なのですよ!』

 

 

 突如として熱斗のディスプレイから割り込んできた少女の声。

 三人が一斉にディスプレイを見れば、そこには熱斗を押しのける無表情の少女が映っていた。

 

 

 

―――

 

「す、ストンナ!?」

 

「はいどうもストンナ・キロクラムなのです!」

 

 割り込まれて驚く熱斗さんを押しのけ、私ことストンナは手元のPET画面に指を走らせるです。

 

 熱斗さんと炎山さん、お父さんとまもるくんとの間に何があったかは知らないですが、漸く例のプログラムを完成させたので2人の後を追わせて貰いました!

 多分科学省かなーと思ってバスに乗ったら大当たりで、立入禁止の科学省に潜り込んでここへたどり着いたのです。オフィシャルの方に許可は貰ってるですよ!

 

 WWWが科学省電脳に攻め込まれてると知って期待してたですが……ストーンマンは居ませんでした。

 なので代わりに、スクリーンに映っている、このなんか大事なプログラムを持ち逃げしたであろうカッチョいいネットナビで試されて貰うです!

 

 ストンナのPETと熱斗さんのPETをケーブルで繋いで、例のプログラム入りHDDをがっしゃんこ!

 

「あのストンナ、オレのPETに何ドッキングしてんの?」

 

「もしやそれが……」

 

 勝手にガシャガシャしているストンナを呆然と見ている熱斗さんに対し、炎山さんは心当たりがある様子。

 そうなのです、これがストンナが提案し、炎山さんを筆頭としたオフィシャルが許可を頂き開発した特殊プログラムパーツ!

 

「受け取るですロックマン!」

 

『え、え?? なにこれ?!』

 

 隙ありと思ってドリルに変形しても遅いですよ! 既にロックマン(突然転送されて慌てている)の腕に換装済です!

 

 対自律型ネットナビ鹵獲プログラム『バギュームアーム』、作動! 元ネタも見た目も勿論DASHの特殊武器のアレです!

 

『ぐ……お、おおぉぉぉ!?』

 

 HPが弱った、オペーレーター登録のない自律型ネットナビを吸い込みながら電子データにオーバーホール、吸引!

 熱斗さんのPETを経由してストンナのPETに転送し再形成、そのまま凍結プログラムで凍結し氷漬けに! やはりというか自滅プログラム的なのが混ざってたので削除(デリート)です削除(デリート)

 その場に残ったのはオーバーホールの際、異物扱いで吸い込まれなかったプロトのみ!

 

 解析しネットナビ名を確認してから……。

 

 

「ドリルマン、ゲットなのですー!」

 

 

 初試験は成功! これでストーンマンを取り戻してやるですよー!

 ところで皆さん、なにボケっとストンナを見てるですか後片付けや回収しないとでしょ?

 

 

 

 

『フザけた科学者もいるものだな……まぁいい。やはりザコはどこでも無能ということか』

 

 あ、嫌な予感がするのです。




というわけで試験と称してドリルマンを鹵獲した幼女。

○スピード狂ロックマン
好きな兄弟ネタ発表ナビ
「普段強気な弟がジェットコースターを怖がるのに対し普段温厚な兄がジェットコースターにハマるヤツ」

○フォアローダー
下半身を4つのローラーに転じた異形系量産型ノーマルナビ。
元ネタはロックマンバトル&チェイスに登場するその他レーサー。正式な表示名は「4ローダー」。隠しキャラに「ブラック4ローダー」が居る。
今後もロックマンシリーズの雑魚敵をモチーフにした量産型ネットナビを増やしていくつもりです。ジョーとかパンテオンとか。

○バギュームアーム
ストンナが開発した、犯罪自律型ネットナビを鹵獲する目的で開発した強化プログラムHDD。
元ネタはロックマンDASHの特殊武器。ディフレクターを吸い込むアレ。

次回、また出るよ!
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