フォルテを取り込み更なる強化を遂げた原初のネットワーク・プロト。
その片腕から繰り出す一撃は、CFストーンマンが全力で防がないと粉々になる程のパワーで。
その両肩から放たれる機関銃は、フォルテの『エクスプローション』に匹敵する高火力で。
頼みの『ギガフリーズ』ですら吸収する、正しく電脳世界を滅ぼす凶悪な存在であった。
そんなプロトは、高い耐久値を超えるダメージを負ったことで
『「ええー……」』
下からボロボロと電子データとなって分解し崩れていくプロトを見上げ呆然と呟く
CFロックマンがしたのは、『ヘビーシェイク』でヘビーアレイを投げつけ、『ランダムメテオ』の杖を設置し流星群を呼び寄せ、ガッツマシンガンを連射した……それぐらいのはずだ。
しかしプロトはネットワークに接続された状態で碌に動けない。恐らく戦闘外であればネットワークに自らを溶け込ませ、さながら溶解液のように電脳世界を浸食しただろう。
故に滅茶苦茶ダメージが入り、とっておきだった『クサムラパネル』+『フレイムマンV3』の出番もなくプロトのHPはゼロとなった。
『「イヤァ……ぷろとハ強敵ダッタです……」』
盾役のCFストーンマンが『ヤッテヤッタゼ』と言わんばかりに息を撫で下すが……大してダメージを負ってはいなかった。
防壁にもなる両の剛腕で防いだ回数は、プロトの巨大な片腕を2回、機関銃の連続射撃を2回……その間にプロトのHPはガンガン削られたのだ。
『バカなバカなバカな、何故バトルチップ程度でデリートされるんじゃ!?』
突如として大音量の叫びが響き驚くCF二人組だが、宙に浮かぶモニターを見て納得する……青筋を浮かべたDr.ワイリーがドアップで映し出されたからだ。
そりゃそうだ、世界を混乱に陥れた原初のネットワークが、レアでもなんでもないバトルチップ数枚でガリガリ削られたのだから。
とあるレアチップオタクは「バトルチップは使い所が肝心でマス」と言っていたがラスボス級にまで及ぶとは……恐るべし『闇太郎のレアチップ講座』(わーつべ人気動画)。
『「あーっと……多分フォルテのままの方が強かったと思う。
『「寧ロわいりーましん1号ノ方ガ手数ト戦術ノ幅ガ利イテテ苦戦シソウですネ、同ジ重装甲デモ複雑ナぱたーんガ面倒ですノデ」』
『冷静に分析するでないわ!!!』
CFロックマンはフォルテの憎悪と総合能力の高さの方が強いと言い、 CFストーンマンはワイリーマシン1号の豊富な攻撃パターンの方が面倒だと言う。
子供達の「
『おいオメーら!』
すると突如としてCFコンビの後ろで空間破壊が生じ、そこからドリルモードのドリルマンが現れる。
相当に大きな穴で、穴の先には電脳とPET(この場合はパルストランスミッションシステム)を出入りするポータルが見える。
何故わざわざドリルマンの空間破壊ワープで出入り口を広げたかというと。
『ジジイの悔し顔を拝むのも悪くネェが、お約束の時間だゼ!』
そう言われてCFコンビはハッと気付き、プロトがいた場所を見やる。そこにはプロトの残骸であろう赤いスライムのような巨大物体が震えている。
モゾモゾとプロトの残骸にいくつもの膨らみが現れ、それらが千切れてプロトバグとして誕生していくではないか。しかも沢山。
『「ヤッパリ出タですカぷろとばぐ!」』
アメーバの如く本体から分離して増えていくプロトバグにCFストーンマンが叫ぶ。
CFストーンマン曰く「こういうボスキャラは最後っ屁が怖い」とのことで、プロトに挑む直前にドリルマンに頼んだのだ。ストーンマンですら潜れるような大穴のワープ空間を用意して欲しいと。
プロト戦に参加しない分の戦闘リソースですら注ぎ込んだ、ドリルマン最大の空間破壊は功を奏し、見事ポータルへの道を開いたのだ。
後はこの膨大な数のプロトバグから逃げればいいのだが……ワイリーの用意した『道』がプロトバグには存在していた。
『そうじゃプロトバグどもよ、電波に乗れ! これだけのバクが世界中にばらまけば、ネットワーク社会を混乱に陥れる!』
『「諦めが悪いぞワイリー!」』
クリームランド旅行時に遭遇した「メットール・クライシス」に匹敵する数の、無人戦車を暴走させる程のバグが世界中に飛び散ればどうなるか。
先程までの怒りを忘れて悦ぶワイリーに対しCFロックマンは怒鳴るが、すぐさまニヤリと笑いだす。
思い出すは、フォルテにプロトを奪われ追い詰められた時に助けてくれた
―親分さんが
『「今がその時だな!」』
―ロックマン.EXE・データアクセス。データファイル【GIGA_FRIEZE】使用権利を行使。
―座標指定、予測効果範囲計測(うげ、メチャクチャ広い)…、出力調整……えぇい最大にしてやれ!
CFロックマンは胸元のナビマークに手を添えて青い炎を抜き取ると、電波に乗ろうと電波塔ポータルを目指していたプロトバグ全体が一斉に振り向き、させるものかと言わんばかりに大波の如く押し寄せてきた。
手に翳す青い炎が揺らぐと足元のパネルに霜が走り、振り上げれば腕の軌道を描くように氷が浮き出る。そのまま両手を添え……一気に解き放つ。
『「ギガ、フリーーーズ!」』
眼前まで津波の壁の如く迫ってきたプロトバグが一斉に青い氷に覆われ、余波なのかCFロックマンの後方で扇状の氷が広がる。
凍結プログラムの威力凄まじく、氷はプロトバグを経由して瞬く間に広がっていき、電波塔のポータルまで巨大な
『「サ、サムイ(寒ィ)……」』
後ろにいた幼女とドリルマンの体中に霜が浮かんでた。余波で済んで良かったね。
『な、なんということじゃ、電波塔が!?』
ご丁寧にモニターに接続しっぱなしだったワイリーの悲痛の叫びが響く。
ディスプレイでは頭を抱えるDr.ワイリーと、ギガフリーズによって凍結されたのか、機器が停止し支える力を失って倒れる電波塔が見える。
その他にも、電灯、紫の電気を放つ巨大機器、空調……そしてモニターまでも機能停止してディスプレイが閉じて……。
『「いや強すぎ!!」』
こちら側にまでじわじわと氷が浸食していき、慌てて背を向けて走り出すCFロックマン。禁断プログラムの二つ名は伊達や酔狂ではないのです(byランク1)。
空いた空間に入れようとCFストーンマンの背を押してあげているドリルマン……彼が居て本当に良かったと思う。このままでは自分達も凍結してしまいかねなかった。
さぁボクらも飛び込もう―――そう思ったがふとプロトが居た場所を見てしまい、目を見開かせる。
そこには、吸収しきれなかったのかフォルテが倒れており、その横に扉が立っていた。
((なんだろう……不思議と引かれるものがある……))
フォルテに、ではない。何の変哲もない白い扉……プロトの亡骸から出てきたそれが妙に気になるのだ。
『「熱斗サン早クスルです!」』
『急いで飛び込め、2分も持たねぇ! そもそも5分も経たず氷漬けになるぞ!?』
立ち止まったCFロックマンを案じて穴の向こうから二人が叫ぶ。
小柄とは言え万が一CFストーンマンが分離しても困るので大きめに穴を空けたとはいえ、ワープ穴はじわじわと狭まっている。1分も経過すればロックマンですら通りにくくなる程に小さくなるだろう。
しかし二人の叫ぶも空しくCFロックマンは立ち止まったまま……どころか扉に向けて走り出したではないか。
『「ごめん二人とも、先に入ってて! あの扉の向こうに、オレ達の知るべき全てがある気がするんだ!」』
そう言って浸食する霜を避けながら走り、扉を開いて行ってしまった。
せめて気を付けてとか早く戻ってと言わせて欲しかったのに、とCFストーンマンは大きな腕で頭を抱えるが、ドリルマンは急かすように彼女の背を押してポータルに乗せようとする。
―――PETへ転送される直前、何かが横切ったような気がしたが……フォルテは倒れているし違うだろう。
『やっべ見つかる所だった……ジャパニーズニンジャマンと違ってコソコソするのは苦手なんだよ。さっさと持って帰るか』
―――
「―――……っ!? っだぁぁぁ……」
私ことストンナが目が覚めると、体中に物凄い違和感が!
「……るぅぅぅ……筋肉がビキビキ言っているですぅ……」
こ、これがパルストランスミッションの副作用……ガードした腕とか痛いです、おおぅ泣きそう……。
気のせいか顔の筋肉もピクピク言っているです、唇の端とか攣りそうなことになっててちゅらい。
『オ、オイすとんな……』
なんかPET画面のストーンマンが唖然としているですが……おっとドリルマンも居たですね、狭そうにしてますが……。
「いやもう動けないです……ダルいです……」
座っている所から起き上がれそうにも起きれない……周りが真っ暗な事もあって凄く眠くなるです。
PETの明かりを頼りに戻るべきなんでしょうけど……そういえばワイリーさんは……まぁいっかぁ、です。
「けど良かったです、ストーンマンも、ドリルマンも無事で」
安心したら嬉しくなっちゃうです、熱斗さんも時期に戻るはずですし……?
なんですかストーンマン、解りづらいけど唖然としてて。隣のドリルマンなんか目を丸くしてますし。
『ワ、笑ッタ……すとんなガ、笑ッタゾ!?』
なんか言ったですかストーンマン? 眠くて聞き取り辛かったです。
「ん……さ、寒っ、なんか寒い!?」
『ギガフリーズの冷気の影響かな? 大丈夫?』
「無事だったんだなロックマン! ぎりぎり凍らされるところだった……ス、ストンナが笑ってる!?」
あ、熱斗さんも起きたですか、視界がぼやけているし何言っているか解らないですが。
というかストンナがどうしたです? 何驚いているんです? ヤバいことになってませんよね?
〇プロト戦カットマン
ストーンマンも苦手な『ヘビーアレイ』と『ランダムメテオ』が滅茶苦茶刺さる。一応ストンナは『インビジブル』などで対策している。
〇メットール・クライシス
詳しくは【クリームランドにご招待・中編】を参照。
蝗害って怖いよね。
〇ボウルマン
詳しくは【ストンナの日記・その16】を参照。
彼曰く「オレは
〇ギガフリーズ発動
青い炎からの瞬間凍結って浪漫だよね。プロトバグを一気に凍らせ、そこを中心にWWW電脳をジワジワと氷河地帯に変えているイメージです。
因みにワイリーは基地内の機器が停止し始めたのを切欠に脱出しています。そちらは後日談を書く予定。
〇扉の向こう
光正『プロトが崩壊し始めた、飲み込まれる前に―――はっくしょい!?』
熱斗『お、おじいちゃん大丈夫―――へっくしょい!』
彩斗『おじいちゃん、あなたに会えて良かった―――くちっ』
正&熱斗((くしゃみ可愛らしいな……))
原作に比べてほんのりギャグ風味。パルストランスミッションから解放されても、脳が勘違いしっぱなしで寒気が続いている(フラグが立ちました)
〇横切る影
ネタバレ:フォルテ回収。
〇ストンナ
パルストランスミッションの副作用。次回、ストンナの日記で詳細を書きます。
漸くエグゼ3編の終わりが見えてきました、後は日記と後日談を書くだけです。
更新が不安定になっても続けられたのは皆さんのおかげです、ありがとうございます。
まだまだ続きますので、引き続き感想や誤字報告等ありましたら、よろしくお願いします!