ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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主にワイリーとフォルテの後日談です。エグゼ4の伏線あり。

追記:クラウンマンの事を忘れていたので足しました。


【めでたしのウラ側で】

 

◆Dr.ワイリーのその後

―――

 

 プロトをデリートし、ロックマンが発動した最強の凍結プログラムによってWWW本拠地全ての機器が停止し始めてから十数分後。

 

 激しい潮の流れと乱気流によって荒れるデモンズ海域。その海底を潜水艦が進んでいた。

 

 空は勿論、海の荒れ模様までも無関係だと言わんばかりに静かで暗い海の底。

 丸めの機体にドクロを模した船首という、開発者の趣味を反映したかのような独自性の強い潜水艦は、ドクロの両目から照らされる光を頼りに悠々と前へ向かっている。

 潜水艦の側面に塗装されているのは、これまた堂々と主張している「WWW」のロゴマーク。これらが意味することは一つ。

 

「おのれ小僧共、いやプロトめ! あそこまで脆いとは思わなかったわい!」

 

 反響音(ソナー)が静かに響く操縦席で毒づいている操縦者は、やはりというかDr.ワイリーだ。

 

 彼は本拠地が機能停止する前に、熱斗達が船で脱出するよりも潜水艦に乗り込み脱出したのだ。

 これとは別に、団員や幹部が乗り込み島とニホンを行き来する大型の潜水艦がある。ワイリーが乗っている中型潜水艦は、自分1人が助かる為の脱出用だ。コテコテの趣味満載な見た目から見ても解り易い。

 

「まぁいい……あのフォルテがプロトに吸収された事だけでも成果じゃと考えるとしよう」

 

 電脳世界最強の、力を求め人類を憎むネットナビの排除。それはネットワーク社会の破壊に次ぐ大きな一歩だとワイリーは考えている。

 なぜならワイリーは諦めていない……膨大なネットワークがある限り、世界を滅ぼす手段など幾らでも探すことができるのだから。明確な邪魔者は一人でも減ってくれた方が都合がいい。

 

『相変わらず、前向きで曇りなき信念をお持ちのようですね』

 

 ボイスチェンジャーを使用しているのか、性別を特定しにくい合成声がスピーカーから響く。

 ワイリーは声の主が誰なのか解っているのか、特別驚きも慌てずもせずに話し出す。

 

「素直に頑固と言えばよかろう。皮肉のつもりか?」

 

『失礼、私なりの敬意のつもりでした。此度の作戦は悲願だったでしょうに、失敗しても落ち込まず新たな悪の道へ邁進するアナタへの……ね』

 

「お前の悪への拘りっぷりは、もはや性癖の領域じゃな」

 

『辛辣ですね……いやその言い方はマジで凹みますね』

 

 通信相手の反応を聞いて、してやったりと言わんばかりに笑うワイリー。

 これがマハ・ジャラマといった幹部達が聞けば驚くだろう。常に人を見下しているかのように怒る彼が、こんなにも親しく誰かと話すなど、ありえないレベルで見られないのだから。

 

『おほん……話は変わりますが、これからどうなされるおつもりで?』

 

「―――そちらへ来い、とは言わんのじゃな」

 

『アナタの考えはある程度なら解りますが、ワタシはアナタほど万能ではないので』

 

「なら敢えて言うが、ワシは暫し雲隠れする。無人戦車や電波発信装置、その他諸々のデータは全て送ったし、ワシもお役御免じゃ」

 

『感謝します。建設用ロボットを含め、アナタが流してくれた技術力は我がZ国に大きく貢献できました』

 

「うむ。お前も科学者として邁進するのじゃぞ」

 

『まぁ今後は色々と(・・・)ありそうですがね……お達者で』

 

 そう言って通信は途切れ、ワイリーは口角を僅かに釣り上げた後、操縦に専念するのだった。

 

 

 

 

「―――色々あるのだよ。ワタシにとっても、世界にとってもね」

 

 そう言って通信を切った男―――Dr.リーガルは顔を上げ、巨大なモニター画面に映し出される、隕石らしき物体とそのデータの数々を見つめていた。

 

捨て駒(クラウンマン)もそれなりに役に立ってくれたし暫くココ(・・)を留守にして出向くとしよう―――アメロッパ国際宇宙局に」

 

―――

 

 

 

◆ウラインターネットのその後。

 

―――

 

 目覚めた直後、激しい痛覚データと倦怠感データ、更には寒気データが全身のプログラムに行き渡り苦痛を見出す。

 これもまた人間の業と憎みながら苦痛で一気に意識が覚醒し、呻き声を上げる。後に深呼吸という形で、自らを構成するプログラムを均整していく。

 

「目が覚めましたか」

 

 苦痛が収まり倦怠感が若干緩んだ時、心プログラムを落ち着かせるような声に顔を上げる。

 

―――目の前にいるのは、これまで見た事の無い圧倒的強者だった。

 

 

「私の名はセレナード。ウラランカー・ランク1……ウラの王と言えば解りますか?」

 

 

 セレナードの自己紹介を聞いた直後に目覚めたネットナビ……フォルテは咄嗟に片手を振りかざし攻撃しようとした。

 

 だが目の前の存在のチグハグさに違和感を感じて止める。

 

 柔らかく薄い羽衣を靡かせ、金の装飾を纏う褐色のネットナビ。

 

 圧倒的な強者のオーラを放っているのに敵意は全く感じられず、向けられるのは穏やかな笑顔。

 

 強いのに弱い……その差がフォルテには理解できず思考回路にエラーを生じさせている。

 

(……理解できない?)

 

 このネットナビの不可解さも気になるが、よくよく考えようとして、自らの思考プログラムが上手く作動していない事に気づく。

 思考プログラムだけではない。外傷は全く見受けられないのに、今放とうとしたアースブレイカーの出力だけでなく全ての出力プログラムが低下している。

 

 だからだろうか。自身の周囲をネットナビによって囲まれている事に今更ながら気づいた。

 

「……落ち着いたか。ならばランク1の話を聞くがよい」

 

「今のキサマでワレらを相手するには不足。このお方の前で狼藉は許さぬぞ」

 

「……コシュー……コシュー……」

 

 そう言うのは、褐色ナビには劣るものの、確かな強者であるネットナビ……ミストマン(ランク2)ヤマトマン(ランク3)

 別段なんとも思っていない二人の視線がフォルテには癪だった。そこで不気味な呼吸音と殺気を出して佇むダークマン(ランク5)の方がまだ解るというもの。

 

 一番気に入らないのは、睨んでもなお穏やかな笑顔を浮かべて続けているこの褐色のナビなのだが。

 

「……オレはどうしてここにいる」

 

「ある少年とネットナビによってプロトが倒され、吸収しきれなかったアナタが排出。そこへギガフリーズ……禁断のプログラムによって電脳は凍結。アナタも例に漏れず凍結、封印されていました」

 

「ワイリーが言っていたアレをアイツ(ロックマン)が……だが何故オレを解凍した?」

 

「オレが頼んだんだよダンナ」

 

 フォルテが振り向けば、そこにはしたり顔で笑うボウルマンの姿があった。

 プロト奪還直後に乱入してきた強者。フォルテも梃子摺る程度にタフネスなネットナビだったが……。

 

「デリート寸前で逃げ出した腰抜けか」

 

「おう。オレは力比べが好きだがデリートされるのはゴメンな腰抜けでね」

 

「その腰抜けが、ウラインターネットの頂点相手に、オレを解凍するよう頼んだと? 何故だ」

 

「だって勿体ないじゃん。そんだけつえーのにデリートされるとかよ」

 

 そうケラケラと笑うボウルマンを、ミストマンとヤマトマンは呆れたように肩を竦める。

 戦った時もそうだったが、元から調子の良いヤツなのだろう。腹立たしくなりフォルテは舌打ちする。

 

「解凍されたオレが暴れるとは考えなかったのかアホが」

 

「それなら問題ねーよ。親分さん(ランク1)はマジつえーんだぞ」

 

 ボウルマンの「親分さん」にピクリっとセレナードが反応し、ミストマンとヤマトマン……ダークマンですら「アホかこいつ」と慌て出す。

 

「親分さんに掛かればオメーなんかコテンパンのケチョンケチョンだぜ。ねー親分さ―――」

 

―――ぼくじゃぁ

 

「―――その『親分さん』って呼び方は止めなさいと、いつも言ってますよね?」

 

「ズビバベン」

 

 フォルテですら気づけぬ瞬間移動(ワープ)からの顔面(ガン)パンチ。

 顔面が「前が見えねぇ」状態となったまま直立するボウルマンを、セレナードは煙を上げる拳を他所に穏やかに笑い続ける。だがその強者のオーラには、はっきりと解る程に怒りが溢れ出ていた。

 

 これがランク1……と戦慄するフォルテを他所に、セレナードは怒りを鎮め振り向く。

 

「まぁボウルマンの頼みもありましたが……そちらの方も起因していますね」

 

 セレナードが指さす先に佇んでいたのは、バグの集合体である電脳獣……ゴスペルであった。

 但し大きさはフォルテの腰まで低くなっており、背中には翼が生えている。その翼からは、己を吸収しようとしたプロトのものとよく似ている。

 

 ゴスペルは低く唸りながらも、まるでフォルテを案じているかのように彼を見つめている。

 見つめられているフォルテはといえば、不思議と敵意がわかず、どこか親近感のようなものを感じられた。

 

「アナタの内部に潜んでいたようです。恐らくは共倒れを防ぐべくプロトに抵抗、そのまま一部を取り込んだことで完全な吸収から逃れたのでしょう」

 

 所謂、一心同体の間柄だったのだろう。そうだとすれば納得がいく。

 

 フォルテは近づくゴスペルにおずおずと手を伸ばし、抵抗しないからとその頭を撫で始め、ゴスペルは大人しくフォルテに撫でられる。

 

「ウラインターネットは来る者拒まず、去る者追わずが常。しかしその身体でウラインターネットを歩くのは危険でしょうしココ……ウラインターネット最深部であるシークレットエリアに隔離させてもらいます」

 

 暴れても困りますからね、と付け足すセレナード。

 

 言い分はともかく、弱った自分をデリートすることなく、秘匿されたエリアに招待するなど得体が知れない。

 

「……借りとは思わんぞ」

 

「無論、交換条件があります」

 

 そら見たことか、とフォルテは舌打ちする。

 強者のオーラが膨れ上がり、まるで自分をココから逃さないとばかりにプレッシャーをかけてくる。

 自分を手先として勧誘するつもりかと当たりをつけるフォルテを前に、セレナードは手をかざす。

 

 

 その手に浮かぶデータの名は………【アソビ大辞典】

 

 

「ワタシの遊び相手になりなさい」

 

「帰る」

 

 

 

「ボウルマンの頼みをセレナード殿が了承した時はどうかと思ったが……これが目当てかボウルマンよ」

 

「だーってオレ頭使うゲーム嫌いだもん。闇落ちマンはそもそも参加しねーしさっさと帰っちまうし」

 

「ダークマンな。まぁワガハイ達以外にも遊び相手が増えるのは良い。例えフォルテが回復し、あのゴスペルとやらが融合してもシークレットにいる限り害は出まい」

 

「然り。暫しフォルテにはセレナード殿の遊びに付き合って貰うとしよう」

 

「おう話が解るなアラビアンナイトマンにジャパニーズランスマン!」

 

「「お前は良い加減に名前を覚えろ」」

 

 今日もシークレットエリアは暇です。

 





〇Dr.ワイリーと通信相手
 ワイリーは資金調達の為、様々な兵器のデータをZ国に提供していた。通信相手はその国の科学者で、ワイリーにとっては特別な知人らしい。
 しかしワイリーは相手の真実を知らず、通信相手は軍事大国Z国の科学者としか認識していません。

〇翼の生えたゴスペル
 フォルテを吸収させまいとプロトの一部を逆に取り込んだゴスペルの姿。フォルテと融合すれば、バグによる強大な力と、初期型ネットワークによる幅広い飛行力を得られると推測される。
 翼は元ネタであるロックマンシリーズのフォルテとゴスペルが融合した本家が参照。マントも良いけど翼を広げたフォルテも格好いいなって思って。

◯アソビ大辞典
まもる「ちょっと様子を見ようとモニターを開いたら、ドヤ顔するセレナードと真っ黒になったオセロを見ながらフォルテがプルプル震えた……」

〇ボウルマン
 凍結されたフォルテを回収した張本人。自身をデリート寸前まで追い詰めたにも関わらず、その強さに惚れてウラの王に頼んだ。
 頭が弱い上に碌に他人の名前を覚えず、勝手に独特的なあだ名をつける。そして怒られても懲りないバカ。脳みそフィジカルなネットナビ。



▼▼▼

 これにてエグゼ3編完結と致します。エグゼ4編に入る前に

1:エグゼリメイクナビ一覧(エグゼ3編)
2:バトルネットワーク・ロックちゃん!?(エイプリール話)
3:その他(ロックマンDASHクロスオーバー、バブルマン関連、イレハンPvPなど)

 以上の番外編を執筆する予定です。
 本編をあまり考えないフリーダムな内容にする予定なので更新が早くなるといいなあ(その場任せ
 またエグゼ4に向け、活動報告で新規リメイク募集コーナーを改めて建てる予定です。

 もう暫くお付き合い頂けると嬉しいです。感想や誤字報告、いつもありがとうございます。
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