ストーンマン拾ったんで魔改造するです!   作:ヤトラ

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書かなくなった期間が長かったせいか、筆の進みが悪くなってます。
ロックちゃんエグゼは完結まで進めるとして、せめてエグゼ4編に絞らないと。


【第2章その2】

 サーキラーは同じところをグルグル回りながら射線上の敵を攻撃する性質がある。

 この「目と目があった瞬間に撃つ」のが地味に面倒なのだ。大抵のバトルチップは正面を見据えて放つので嫌でもサーキラーの射撃を許す羽目になる。

 

 だが何が嫌かっていうと、先のクーモス同様、他のウィルスとの組み合わせが厄介なのだ。

 

『今日ほどメットールに脅威を覚えた日はなかったよ熱斗くん……』

 

『ワガハイ、今はパンダでガスが竹槍がイヤになったでガッツ……』

 

『そもそもサーキラー2体だけで難易度が桁違いだ……なんなのだあの弾丸の雨は……』

 

『い、今から回復するねっ』

 

 なんてこった。ネットバトルの猛者であるロックちゃん・ガッツマン・キングマンがナーバスになっちゃった、恐るべしサーキラー、複数で出るなよサーキラー。

 ロールが自身の支援能力で回復してくれることや、ようやっとゲート電脳の最深部であるコントロールエリアにたどり着けた安心感もあって存分にだらけていた。

 

『皆様お疲れ様です、今スネークマンが原因を調べてくれてますので』

 

『ポク達、サーキラー相手にしなくて良かったプク……』

 

 ロール同様に戦闘力が低いグライド・バブルマンはサーキラーを除くウィルスに対処、上記3名に比べれば疲労は軽微だ。やいと・チサオの腕前が上がったとはいえ、サーキラーの混合編成相手は鬼畜過ぎると判断した結果である。

 

 ポチポチとスネークマンがコンソールシステムを操作しているのを眺めながら、各々は思う。

 

「次の刺客も濃いのかなぁ」

 

「せめてストンナとストーンマンが居てくれりゃなぁ」

 

「そもそもなんでこないな目に……」

 

「ほら、シャンとするヨ! 病は気から、ネ!」

 

 ジャスミンが落ち込む男3人の背中を引っ叩く。手加減した為か痛くなく怒りも湧かず、ニっと笑うジャスミンを見れば毒気まで抜かれてしまう。

 粗暴さとがめつさが目立っていたが、この少女も医師の卵ということだろうか。

 

「……そうだな! もうひと踏ん張りだロックマン!」

 

『うん!』

 

 そうして気力が回復した頃、スネークマンの手が止まりこちらへ振り向いた。

 

『ゲートが開かない原因が解りました。どうやら経年劣化による錆で動かないようです』

 

「サビぃ?」

 

『随分と古い機器ですが、定期的に油を差して長続きさせていたようですね。この付近で抽出できる植物油を歯車に差せば動作不良が改善されます』

 

 スネークマンは各PETにデータを送信、機器に差す植物油のレシピが表示された。

 

「ということは……」

 

 やいとがクルリと振り向けば、「毎度~♪」と言わんばかりに良い笑顔を浮かべるジャスミン。

 とりあえず材料さえ集まればジャスミンが抽出してくれるが、結局時間がかかるようだ。

 

「また材料探しか~。時間食うなぁ」

 

「ああ、それなのですけど」

 

 思い出したかのようにミリオネア夫人が声を上げて周りの注目を集めると、何気なく告げる。

 

「次の刺客は私とスネークマンが努めますわ」

 

「さらっとしとる!?」

 

 こんな至近距離で敵宣言をするネットバトラーが居るだろうか、いや居た!

 

「なんであんな変なネットナビの言う事を聞いているの!?」

 

「だって面白そうではありませんか。手間も掛けずナビの性別と見た目を変えるナビカスパーツだなんて」

 

「『ですよねー』」

 

 やいとだけでなく熱斗とロックマンも驚いてはいるが、同時にミリオネア夫人の享楽家な一面も知っていたので納得もしてしまった。

 そもそもバスターロッド・Gが既に面白いキャラをしているのだから、それもミリオネア夫人が仕事を請け負うことにした理由なのかもしれない。

 

『というわけで1対1(サシ)でお相手いたしましょう。先程コントロールシステムを掌握したので、もし全員で掛かるというなら面倒極まりないロックを掛けますぞ?』

 

『疲れ果てた我らを攻撃しなかったのはその為か』

 

『スネークマン、キミは良いの? ボクみたいに女の子にされちゃうよ?』

 

『別に性転換に対し忌避はございませんので。折角だからイメチェンもしたいので』

 

『余裕ぶっこいてやがるでガスなぁ……』

 

 (ナビ)の気も知らないで、とモヤモヤするパンダガッツマンであった。

 

「作戦ターイムでちゅ」

 

「認めますわ」

 

 空気を読んだ運転手のネットナビがプラグアウトし、さて誰がスネークマンにネットバトルを挑むかとコショコショと話し合う幼馴染+1。ジャスミンは当然やらない。

 

「―――というわけで私達が相手するわ! 行くわよグライド!」

 

『かしこまりました、やいと様!』

 

「あら、意外なチョイス」

 

 ミネリア夫人が言うのも無理はない。3人も実力者が居るというのに、やいと&グライドが意気揚々と名乗りを上げたのだから。

 理由はいくつかある。3体の体力は兎も角、スネークマンという曲者(ロックちゃん談)を相手にするほど気力が無い事。バブルマンはヘビに睨まれたカエルの如く苦手意識を持っている事。

 

「そして……同じお金持ちとして戦わなければならないからよ!」

 

「雑な理由ねぇ」

 

 胸を張ったやいとが堂々と理由を告げると、ミリオネア夫人は面白そうに笑い出す。

 

「ストンナから学んで鍛え上げたPET操作技術を見せてあげるわ!」

 

「良い視線と熱意です……ゾクゾクしますわ!」

 

 そこで応援している熱斗に比べれば実力は下だろうが熱意は同等と感じ取り、ミリオネア夫人は良い勝負が出来ると確信した。

 挑戦する理由は大したことないだろうが、あの黒幕を考えると熱斗とロックちゃんは温存した方が良いだろうし、何より同じ背丈であるストンナから学んだコツを見せつけようと気合が入る綾小路やいと。

 

『……お互い苦労しているようですなぁ』

 

『そちらこそ』

 

 火花を飛ばす2人をPETの画面越しで眺めながら、スネークマンとグライドは互いにシンパシーを感じ合うのであった。仲は良いとはいえ、彼女らの世話はネットナビでも大変なのだ。

 

「じゃあやるわよグライド! バトルオペレーション、セット!」

 

『イン!』

 

 一度は啖呵切ってみたいと思ってたのよね~、と少し感動するやいとであった。

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