前半が終了して、お互いのチームはハーフタイムに入り、休憩をとっていた。白恋中のベンチでは、石が開口一番、鹿野里中を非難する。
「楽勝じゃねぇか。シードもいなさそうだし、フィフスが何を考えてんのか分かんねぇな」
「油断するな、石」
「ギャハハハ! どう油断したら、あんな弱っちいチームに負けんだよ!」
スポーツマンシップに反する発言を、他のチームメイトが何か言いたげにしながらも聞き流す。
石がここまで増長している理由は、フィフスセクターからの勝敗指示がないからだ。それに、鹿野里中にはシードもいないため、好き放題暴れていいという許可がおりたのだと解釈していた。
白恋中に潜入したシードとして、大人しくしていた地区予選と違い、今の石は義務などがない素の状態。窮屈なサッカーを強いられていた反動で、残忍な性格が前面に押し出されてきているのだ。
「吹雪監督…」
すべての言い分を認めるわけではないが、虎白もシードどころか化身使いすらいない事実に、戸惑いを隠せない。吹雪もどこか引っかかるような仕草を見せていた。
「どうやら、僕たちにも予想がつかないことが起こっているらしい。まさか、フィフスセクターが何の策も講じてこないなんてね」
シードといっても、影響力の強い化身使いはひと握りで有限だ。全国出場校にシードがいないのは、そう珍しいことではない。
ただ、それなら初めから、化身使いのシードが所属するチームと当てればいいだけの話だ。フィフスセクターが取り仕切っている大会なのだから、対戦校を操作するなど造作もないし、それくらいは平気でしてくるだろうと予想していた。
「しかしこれは…」
現実として、それほどの苦戦を強いられているわけではない。
フィフスセクターの意図が読み切れず、深い霧の中いるような、何とも言えない不安を感じていた。
一方、鹿野里中のベンチでは、暗く思い詰めたような表情で溢れかえっていた。
「みんなどうしたんだ! もっと上を向かなきゃ! 勝てるもんも勝てないよ!」
「は、はい…」
試合を投げたわけではない。それでも、自分たちのサッカーが通用しなかったことで、どうしたら良いか、分からなくなっていたのだ。
「砦、あんたもだよ。何さ、必殺技の一回や二回破られたところで、泣きそうな顔してるんじゃないよ!」
「し、してないから!」
慌てて目頭を拭うが、濡れていなかった。ホッと息をついて、以前にもこんなことがあったなと、砦は昔のことを思い出していた。
──それは、エイリア学園という悪いヤツらが地球に侵略しに来た頃だった。
それまでサッカーには興味がなかったのだが、テレビに映る塔子ねぇが格好よくて、必殺技の真似をよくするようになった。
『悪い宇宙人め! おまえたちの好きにはさせないぞ! ざ・たわー!!』
エイリア学園を追っ払い、今度はFFIが開催されると聞いたとき、また塔子ねぇの活躍が見れるのだと大喜びした。
けれど、女子選手の出場ができず、塔子も出られないと知った砦は大泣きした。塔子のこともそうだが、自分の将来も閉ざされた気分だったのだ。
『泣くんじゃない。そうやって俯いてると、目の前のチャンスを見逃すよ。あんたが大きくなる頃には、きっと女の子でも出られるさ』
その言葉を信じて、ずっと努力を重ねてきた。そんなある日、今年のホーリーロードで女子選手の出場が可能になった。
そこで活躍すれば、いつか開催されるFFIで、自分も出られるかも、世界への道が拓けるかもしれない。
塔子ねぇの代わりに自分が日本代表として、世界と戦うんだ。塔子ねぇのサッカーが、世界に通用することを知らしめてやるんだ──。
自分の原点を思い出して、意思を強く持ち直す。
「うん、いい顔になった。あんたは、あんたらしくやればいいんだよ」
「あたしらしく…?」
「そう。あんたのサッカーをするんだ」
塔子が何を言いたいのか、よく分からなかったが、自分を応援してくれていることは理解できた。
「あたしのことなんて忘れるくらい、全力でサッカーを楽しんできな」
「それって、どういう──」
「ほら、後半戦が始まるよ」
砦が言い終えるのを待たず、そっと背中を押して送り出した。
両チームがポジションにつく。白恋は、DFの虎白をFWに、MFの王鹿をDFにポジションチェンジする。
『鹿野里のキックオフで、後半開始!』
FWの中谷が味方にボールを回して上がっていく。
『前半戦、白恋中に得点を許してしまった鹿野里中。後半で反撃なるかァ!?』
「何とかして点を入れるんだ!」
ほぼ無策と言っていいのだが、それでも彼らの戦意は喪失していなかった。苦しい状況でも諦めない。そういうサッカーをやって来たのだ。
『鹿野里中がボールを繋いでいく!』
とにかく虎白にボールを渡さないよう、何とかして前線を押し上げる。
行く手を阻む白恋をくぐり抜けて、石のいる方へとドリブルで駆けていく。
「来たな…!」
石がニィと唇を吊り上げると、相手選手に勢いよくタックルを仕掛けた。その間際、誰にも分からないように、相手の足を踏んづける。
「おらッ!」
「がはっ…!?」
つんのめった拍子に衝撃を与えられ、その選手は体勢を崩して横に倒れてしまう。
『石がボールを奪ったァ!?』
故意に怪我を誘発させるような、危険な行為だったが、ホイッスルは鳴っていない。
『際どいプレーでしたが、ファウルは取られていません!』
その手馴れた反則行為に、会場の誰もが気づいていない。しかし、吹雪だけは難しそうな顔を、石に向けていた。
『さぁ、白恋に追加点かァ!?』
石がそのままドリブルで攻め込んでいく。
「このっ…!」
ラフプレーに憤った相手が、スライディングを仕掛けて、ボールをタッチラインの外に転がす。
『ここは鹿野里がクリア!』
「チッ。雑魚の分際で…!」
自分の邪魔をしてきた選手を、石が忌々しそうに睨む。そんな彼に、「早くしろ」と日高がスローインのポジショニングを急かす。
「ケッ。わかってるよ」
悪態をつきながら足を進める。敵味方が散り散りになった。
『白恋のスローインで試合再開!』
白恋が投げ入れたボールを巡って、お互いの選手たちがジャンプする。わずかに小樽の方が高く、ヘディングでボールを遠くに飛ばした。
「誰か頼んだ!」
ころころと転がった先で、ボールに足が置かれたことで、ピタッと動きを止めた。
「まずいっ…!」
ついに虎白へとボールが渡り、鹿野里中に大きな動揺が走る。
『雪守にボールが繋がったァ! 鹿野里ピンチッ!』
「──もう1点奪ってやるよッ!」
ドリブルをする虎白の雰囲気が豹変する。立ち塞がる相手を、次々と突破していく。
『雪守が抜け出したァ!』
虎白がゴール前にたどり着く。目の前を砦たちディフェンダーに塞がれているが、関係ないとばかりに必殺技を繰り出した。
「──エターナルブリザード…!!」
着地と同時に吹雪が舞い、激しく回転するボールに吸い寄せられるように冷気が渦巻き、氷で覆われ尽くす。
「喰らえーーッ!!」
すべての力を乗せた重たい一撃で、氷塊をぐぐっと蹴り放った。氷に閉じ込められていた回転が再始動し、迸る風と冷気を切り裂くように鳴動する。
シュートが迫る中、砦が同じDFのチームメイト2人に声をかける。
「2人とも、あの技をやるわよ!」
「でも、あの技はまだ…」
躊躇うチームメイトに、発破をかける。
「もうこれしかない! ここで完成させなきゃ、どっちみち負けでしょ!?」
「分かった…!」
砦の強い押しに、2人が頷く。覚悟を決めた3人が、必殺技を繰り出した。
「──パーフェクト・タワー!!!」
両腕を振りかぶった砦が走り出す。残りの2人が飛び出したのと同時に、勢いよく両腕を振り下ろす。円柱で積み上げられた巨大な塔がそびえ立ち、飛び乗った2人を高く押し上げた。
「うわあああーーッ!?」
しかし、そこで氷塊が衝突してしまい、必殺技は失敗に終わる。塔を砕き、3人を吹き飛ばしたシュートが、ゴールへと襲いかかる。
「ぐぅっ…!」
砦が顔を歪ませながら、シュートの行方を追った。
「鐘楼──っ…!?」
仏田が必殺技を繰り出そうとすると、ボールが上方に逸れて、ゴールから大きく外れた。
『ああっと、ゴールバーを超えてしまったァ!? ゴールならず!』
「チッ!あれでコースが変わったか!」
虎白が悔しそうな声を漏らす。未完成ながらも、決して侮れない強さを持っている。
「や、やっぱり塔子ねぇの技なら…!」
自分で止められなかったが、結果的に無得点に終わったことで、砦が喜色を滲ませる。この調子でいけば、逆転も不可能じゃない。
「あいつ…」
そんな彼女を、虎白が目を凝らして見つめていた。砦のプレースタイルに、どこか昔の自分と似たものを感じていたのだ。
『鹿野里のゴールキックから試合再開です!』
「頼みましたよ!」
キーパーの仏田が、遠くの味方にボールを蹴り上げる。
「シュートはあたしたちで防ぐ! まずは1点取って、追いつくわよ!」
「おう!」
自信を取り戻した砦が、味方を鼓舞する。勢いに乗り出した鹿野里中に、白恋陣営が引き気味に対応する。
『鹿野里が反撃に出たァ!』
パスをカットされたり、ディフェンスに足止めされたりして、中々シュートチャンスがやってこない。
しばらく接戦が続いていたが、ようやく雪村にボールが渡る。
『白恋、ついにパスが繋がったァ!』
「来るっ…!」
いよいよ訪れたピンチに、鹿野里ディフェンスに緊張が走った。
ドリブルをしている雪村と、隣を走る虎白が、アイコンタクトをとって頷き合う。
「パンサァァァ──!」
雪村がボールを弾き上げると、豹の雄叫びが轟き、激しい縦回転のかかったボールが打ち上がった。
「──ブリザードォ!!」
虎白が背面に捻りながら飛ぶと、雰囲気が豹変する。その勢いのまま、すべての力を乗せた重たい一撃で、打ち上げられたボールを蹴り放つ。
シュートに氷が加わり、豹が雪豹へと進化を遂げる。さらに激しさを増した回転が、迸る風と冷気を切り裂くように鳴動する。
「次こそは…!」
荒々しく揺れるシュートに、砦たち3人が身構える。
「パーフェクト──うわあああっ!?」
必殺技を繰り出す暇もなく、3人が吹き飛ばされる。威力の衰えていないシュートが、ゴールを襲った。
「──鐘楼門!」
仏田が合掌して、両手を突き出すと、青銅の大鐘が現れる。しかし、ボールを弾き返すことができず、鐘が後ろに大きく揺れ、仏田の頭にぶつかった。ゴーンと鐘の音が響き、ボールがゴールネットに突き刺さる。
「ぐあぁッ!?」
『決まったーッ! 白恋、追加点だァ!』
得点を許してしまった砦の顔が曇る。
「そ、そんな…」
唯一の希望だった、『パーフェクト・タワー』まで破られてしまっては、もう手が残されていない。
「ダメ…。このままじゃ、何もできずに負けちゃう…!!」
そう諦めかけたとき、ある考えが脳裏を過ぎった。
──アレを使えば…。
そう思い至った瞬間、迷いを捨てるように、ぶんぶんと頭を振り払った。
「そんなの、塔子ねぇのサッカーじゃない…!」
苦しんでいる砦の姿を、ベンチから見つめていた塔子が、歯痒そうに拳を握りしめる。
『鹿野里のボールで試合再開です!』
2点差という窮地に陥ったことで、ボールを追いかける選手たちの表情は暗い。
『残り時間はあとわずか! 鹿野里、追いつけるかァ!?』
これ以上、失点を重ねてしまったら、いよいよ逆転できなくなってしまう。
そんな重圧から、体を張ったプレーで、強引にでも白恋の攻撃を食い止めることが増えてくる。
たちまち、ボロボロになっていくチームメイト。仲間たちが苦しんでいるのに、自分は二の足を踏んで立ち止まっている。
──でも、これを使ってしまったら、あたしがサッカーをやってる意味なんて…。
チームを思う気持ちと、自分の使命との間で、板挟みになっていた。
『白恋のツートップが、鹿野里ゴールに迫る!』
「砦!」
自分を呼ぶ声にハッとする。すぐ目の前まで、虎白と雪村に攻め込まれていた。
「雪村ァ! もう一度だ!」
「ああ!」
ゴール前まで駆け抜けた二人が、再び必殺技を繰り出す。
「パンサァァァ──!!」
雪村がボールを弾き上げると、豹の雄叫びが轟き、激しい縦回転のかかったボールが打ち上がった。
「──ブリザードォ!!」
打ち上げられたボールを蹴り抜くと、雪豹へと進化を遂げ、さらに激しさを増した回転が、迸る風と冷気を切り裂くように鳴動する。
このシュートを止められる可能性があるとすれば、一つだけ。
「だけど…だけど…」
それは砦にとって、許してはならないことだった。
『塔子ねぇのサッカー』。砦が憧れたサッカーは、いつしか彼女自身の負い目になっていた。
性別の区分なく、自分だけ恵まれた環境でサッカーをできていることが、塔子に申し訳ない。だから、塔子の分まで頑張る。決して自我を出してはいけない。
どうせ勝ち目が薄いのなら、最後はせめて、サッカーを教えてくれた塔子のために尽くしたい。
それができないのなら、このまま終わっても──。
「あたしのサッカーに重ねなくていい!」
諦めかけた砦に、立ち上がった塔子が大声で叫ぶ。自分の思いが伝わるように、必死に言葉を尽くす。
「あんたは、あんたのサッカーをしていいんだよ!」
「…っ!」
その言葉で、砦の目に闘志が蘇る。クッと顔を上げると、一滴の涙がこぼれ落ちた。それは、幼い頃に流した悲しみの涙ではなく、憧れとの決別の涙だった。
「これがあたしのサッカーだあああッ!!」
雄叫びを上げて、砦が自分で編み出した必殺技を繰り出す。
「──カーテン・ザ・ウォール!!!」
頭上で組んだ腕を振り下ろすと、砦の背後に青いオーラの輪が広がる。それが弾けると、地鳴りを響かせながら、分厚い城壁がそびえ立つ。
「「──ッ!?」」
突然、ゴールを妨げる壁が現れたことで、虎白と雪村が目を見開く。
堅牢な城壁にシュートがぶつかる。激しい回転を相殺しようとする衝撃音が響くが、城壁はビクともしない。やがてボールの勢いもなくなり、砦の足元に力なく転がった。
完璧に守りきった姿は、まさに『砦』そのものだった。
『館野の新必殺技だーッ! 鹿野里、このピンチを見事に防いだァ!』
土壇場で思いついた必殺技ではない。砦がサッカーをする内に、『ザ・タワー』とも違う、強力な必殺技を、自然と編み出してしまったのだ。
だが、それは塔子のサッカーとは異なるもの。自分には必要ないと、砦はずっと封印していたのだ。
「ハァ…ハァ…。使っちゃった…」
素直に喜べないでいる砦。そんな彼女とは反対に、塔子は晴れやかな顔をしていた。
「それでいいんだよ、砦。あんたは、あんたのためにサッカーをするんだ」
その優しい声と眼差しは、まさしく“姉”と呼ぶに相応しいものだった。
「まさか、パンサーブリザードが止められるなんてな…」
「面白くなってきたね」
雪村が警戒するような目つきで、砦たちに視線を巡らせる。その隣では、虎白が楽しそうに顔を輝かせていた。
『勢いに乗ってきた鹿野里中、このまま逆転──』
「うわああッ!?」
流れをぶった切るように、虎白がドリブルをする相手からボールを奪う。
一気に現実に引き戻されたようで、砦が冷や汗をかく。
「まさかそんな必殺技を隠していたなんて、ビックリしたよ」
「…本当は使いたくなんてなかった。でも、もう吹っ切れたわ」
緊迫した状況の中、似たもの同士な二人が対峙する。
「憧れに近づきたいって気持ち、よく分かるよ。そして、それだけじゃダメなんだって悩む気持ちもね…。だから、私も全力で応えるよ!」
虎白が目を閉じてマフラーに触る。
「──これが、オレだけの力だッ!!」
次に開いたときには、琥珀の瞳が爛々と輝いていた。虎白が構えると、背後から黒い影が出現し、形作るように立ち昇っていく。
「出番だぜッ! ──冥界の女王ヘル!!!」
内側から黒い影を大鎌で引き裂き、化身がその姿を現した。黒い外套を目深く被り、長い白髪を肩に垂らした氷の女王様。
「これは…化身ッ!?」
初めて化身を見た鹿野里中の選手たちが、驚きに目を見開く。
「気ぃ抜くんじゃねぇぞ、砦ッ…!!」
ヘルが妖しく微笑むと、氷獄の世界に一変する。その吐息を吹きかけると、冥府の冷気が激しく渦巻き、ボールが回転ごと氷で覆われ尽くした。
「──ヘルブリザードッ!!!」
虎白が高速回転しながら飛び上がる。限界まで引き絞られた重たい一撃で、氷塊を蹴り放つと同時に、ヘルの大鎌が振り下ろされた。
二つの衝撃に、氷に封じ込められていた回転が再び蘇り、迸る冥府の冷気を切り裂くように鳴動する。
「くっ…!」
シュートから伝わるプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、砦は懸命に立ち向かう。
「絶対に止めてみせる! ──カーテン・ザ・ウォール!!!」
砦の背後に、地鳴りを響かせながら、分厚い城壁がそびえ立つ。激しく荒ぶる氷塊が、ゴールを塞ぐ城壁を抉るようにぶつかった。
「ぐぐっ…うあ゙あっ!?」
あまりの衝撃に顔が歪む。化身シュートの威力は凄まじく、ほんの一瞬で砦の必殺技を打ち砕いた。
城壁を貫いたシュートがゴールを襲うが、キーパーも反応できず、ゴールネットの奥深くに突き刺さる。
『ゴール!! 白恋、ダメ押しの3点目だァ!』
得点が入るのと同時に、試合終了のホイッスルが鳴り響く。
『ここでホイッスル! 土壇場で立て直した鹿野里中でしたが、惜しくも及ばず!3-0で、白恋中の勝利だァ!!』
「よぉし!」
「初戦突破だぁ!」
観客席から喝采が起こり、白恋中の選手たちが喜ぶ。ベンチにいる塔子も、勝利を収めた白恋中と、善戦した鹿野里中に拍手を送っていた。
「砦さん」
「なによ…」
気落ちしている砦に、虎白が声をかけると、若干泣きそうな目で睨まれる。
「私たち、やっぱり仲良くなれると思うな。まだ難しいかもしれないけど、世界の舞台に立てるよう、お互い頑張ろう」
笑顔で差し伸べられた手を、そっぽを向きながら握る。
「フン。その前に、来年あんたたちを倒してやるわ」
「楽しみにしてるよ」
一度は拒んだ握手を交わす。それは、女子でありながら、世界を目指す同志として、砦が虎白を認めた瞬間だった。