鉄翼少女のヒーローアカデミア   作:蚊帳 夕

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前回でオリストはお終い!本編に戻ります。
よろしくお願いしますOwO

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十六話・少女と体育祭(一)

 

 

 

 時の流れは意外と速く、あっという間に体育祭までの2週間は過ぎ去ってしまった。

 この2週間の間に、私の左腕は完治し、リハビリも既に終わっている。つまり100%完全体ミシェルさんな訳だ。

 

 

「皆、準備は出来てるか!?もうじき入場だ!!」

 

 そんな私たちは現在、A組控室で生徒入場を待っている。

 

「コスチューム着たかったなあー」

「公平を期すために着用不可なんだよ」

「まあ、確かにコスチューム着たら私の一人勝ちになるだろうしね」

「えー!?あ、飛行!!」

「まあ、そんな感じ」

「自力飛行できるの良いなぁー」

「生足魅惑のレオタード…」

 

 ミノルの視線がキモい。一瞬、コスチューム着れなかったのが残念に思えたけど、むしろミノルに足を視姦されなかったと思えばジャージの方が何万倍も良い。

 別に見られるのは嫌いじゃないけど、あそこまで露骨だと流石に無理だと感じてしまう。

 そんな緊張感のかけらもないような控え室の中、唐突にショートが立ち上がった。

 

「緑谷」

 

 ショートが珍しく自分から誰かに絡みに行ったと思ったら絡んだ先はイズクだった。

 

「轟くん……何?」

「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」

「へ!?うっ、うん…」

「おまえ、オールマイトに目ぇかけられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねえが…

おまえには勝つぞ」

「おお!?クラス最強格が宣戦布告!!?」

 

 ちょい上鳴、クラス最強って私じゃないの!?

 思わず会話に割り込みそうになったがグッと我慢する。なんだかそう言う雰囲気(ギャグ)じゃ無さそう。

 

「急にケンカ腰でどうした!?直前にやめろって…」

「仲良しごっこじゃねえんだ、なんだって良いだろ」

 

 肩を掴んだエージの手を振り払うショート。全方位迎撃体制がデフォルトのショートとは言え、自分から誰かに仕掛けに行くのは初めて見た。でも、ショートとイズクにそんな因縁みたいなのあったっけ?イズクとバクゴーならいくらでもありそうなんだけど…。

 

「…轟くんが何を思って僕に勝つって言ったのかはわかんないけど…そりゃ、客観的に見ても実力は君の方が上だよ、他の人と比べても」

「緑谷もそーゆーネガティブなこと言わなねえ方が…」

「でも!皆…他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ、僕だって遅れをとるわけには行かないんだ、僕も本気で獲りに行く!」

「……おお」

 

 予想外に強いイズクの気迫に少しだけ押されたように見えるショート。

 でも、男子だけずるいなぁ…私も混ぜて!

 シリアスパートが一段楽したみたいなので私も会話に乱入する。

 

「ちょっと男子ー、男子だけで盛り上がるの狡く無いですかぁ〜?てかショート!」

「お、おう?」

「イズクに宣戦布告するのは良いけど、順番が違うんじゃない?」

「?」

 

 不思議そうに首を傾げるショート。

 この天然さんが…!

 

「宣戦布告なら私の方が先でしょ!?もしかして忘れてる?ショート一度私に負けてるんだけど」

「…ああ」

 

 ここでようやく得心がいったような表情になるショート。

 

「いや、おまえにも宣戦布告するぞ、機械島。緑谷に先にしたのはアレだ、俺の都合だ。だからおまえにも、勝つ。今度こそ、絶対に」

「上等!今度も私が勝つ、なんなら次も、その次も私が勝つ」

「…っ!俺はどうなんだ半分野郎!!」

「もちろんお前にも勝つぞ」

「スカしてんじゃねぇぞ!!?」

「む!?皆、出番だぞ!!入場だ!」

 

 委員長であるイーダに従い控え室から出る。

 

《雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!》

 

 控え室からスタジアムへと続く地下道を通っているとプレゼントマイクのアナウンスが聞こえてくる。

 

《どうせてめーらアレだろ!?こいつらだろ!!?敵の襲撃を受けたにも拘らず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!》

 

「みんな、行くぞ!!」

 

 イーダの掛け声と共にスタジアムの中に足を踏み入れる。

 

《ヒーロー科!!1年!!!A組だろぉお!!?》

 

「わあああ…人がすんごい……」

「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか…!これもまたヒーローとしての素養を身につける一環なんだな」

「めっちゃ持ち上げられてんな…なんか緊張すんな…!なぁ爆豪」

「しねえよただただアガるわ」

 

 私たちがスタジアムに入場すると、スタジアム全体を震わせるような歓声が響き渡った。

 

「にしても、バクゴーの顔、いつにも増して凶悪じゃん」

「ああ゛!?んだと機械女!!」

「ねー、オチャコ大丈夫?緊張してない?」

「だ、だだ、大丈夫や」

「話聞けやクソ機械!!?テメェから話しかけたんだろうが!!」

「それにしても、ミシェルさん、あまり緊張していませんね」

「まーね、なんだかんだ私見られるの好きだし、むしろ見てほしい」

「見てほしい!?はぁはぁ、なぁ、機械島、ちょっと脱いで…」

「ツユちゃん」

「了解」

 

 以心伝心、名前を呼ぶだけで私のしてほしい事が伝わったのか、個性のよくしなる舌でミノルをしばいてくれた。

 まあ、ミノルがやらかした回数が多くてしばき慣れたって言うこともあるかもしれないけど。

 

 「選手宣誓!!」

 

 そう周りとおしゃべりをしているといつの間にかミッドナイト先生が壇上に上がっていた。どうやら私たち一年生の主審は彼女が行うらしい。

 

「18禁なのに高校にいてもいいものか」

「いい」

 

 フミカゲの至極真っ当な疑問に復活したミノルが答える。こいつエロがある限り即座に復活するな…。

 

「静かにしなさい!!選手代表!!1ーA 爆豪勝己!!」

 

 呼ばれた名前が予想外で驚く。

 え、いや、なんでこんな性格クソみたいな火薬庫が…?

 

「えー!?かっちゃんなの!?」

「あいつ一応入試一位通過だからな」

 

 私の疑問に答えるようにハンタが解説をする。まあ、確かにあいつ実力は高いからね。推薦組のショートとモモ、海外から来た私を抜けば、確かに一番実力があると言ってもいいかもしれない。

 バクゴーが両手をポケットに突っ込んだままやる気のなさそうに選手宣誓を行う。

 

「せんせー、俺が一位になる」

 

「絶対やると思った!!」

 

 エージからツッコミが飛ぶ。正直、あのバクゴーがスポーツマンシップだとか正々堂々とか、そう言ったお行儀の良い宣誓はしないだろうなとは予想していたけど…。まさかここまでストレートにやるとは思ってなかった。

 他クラスからバクゴーに向けて盛大なブーイングが飛ぶが、それら全てを見下して首を切るジェスチャーでさらに煽る。

 両手をポケットに突っ込んだまま姿勢のまま不敵に壇上から降り、A組の中に戻るバクゴー。

 

「いい宣誓じゃん」

「ハッ、テメェも半分野郎もデクもザコもモブも全員完膚なきまでにボコって俺が勝つ!」

 

 いいね、普段のクソみたいな態度は嫌いだけど、そうやって燃えてる感じは好きだよ。

 バクゴーが完全に列に戻るのを見届けたミッドナイト先生が話出す。

 

「それじゃあ早速第一種目行きましょう!いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!!さて運命の第一種目!!今年は……コレ!!!」

 

 そう言ってミッドナイト先生が示したモニターには、

 

【障害物競走】

 

と出ている。

 

「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4km!我が校は自由さが売り文句!ウフフ…コースさえ守れば何をしたって構わないわ!さあさあ、位置につきまくりなさい…」

 

 参加するクラス全員でゲートの前に移動する。

気の早いものは少しでも先に行こうと体を押し付け、先頭集団の中に割って入ろうとする。

 まあ、私は殆ど最後方で位置取るけどね。私の予想通りなら初手は必ず()()が来るはずだから。あと単純に人混みに混ざりたくない。暑苦しいし『うっかりお触り』を目論むバカが大量に釣れるから。現にミノルがこっちをみて残念そうな顔をしている。お前みたいなのが居るから行かないんだよ。

 中指を立ててやると何故か息を荒くして興奮し始めた。うわ、キモ。てか、なんかミノルの周りの奴らまで興奮して息荒くし始めた。怖っ、近寄らんとこ…。

 

 

「スターーーート!!!」

 

 ゲートの上部に光っていたランプが消え、レースが始まる。

 

「脚部換装“スケイルスケート”」

 

 スタートと同時に脚部を換装して飛び上がる。腕の換装はまだしない。スタート直後の速度が乗って無い状況で腕まで換装するのは、単に重量を増やして加速を阻害することにしかならない。

 換装した脚部はモモとの持久走レースでも使用したローラスケート型の脚部。アメリカでもお気に入りだった脚部機構に幾つか改修を加え、名前も付けて正式に私の移動形態としたモノ。その効果は“どこでも”滑ることが出来ること。たとえ水溜まりだろうが泥濘のひどい湿地帯だろうが、大小様々な岩が点在する山岳地帯だろうが、それこそ垂直に聳え立つ壁だろうが蛇のように絡みつき、高速で移動するローラスケート。それこそがスケイルスケート。故に“鱗滑り”。

 飛び上がった私はそのまま、ゲートからスタジアムの外へと続く通路の壁面を走行する。眼下を狭い通路の中で押し合い、団子のようになっている生徒が見える。そこに急激な冷気と共に凍結が襲いかかった。

 言うまでもなくショートの仕業だ。こんなに狭い通路で、自身のスタートダッシュと共に他生徒を妨害できるならやらない理由はない。だからこそ私も警戒して距離をとって後方に居た訳だ。

 だが、そんな攻撃に引っかかるのは経験の薄い一般生徒くらい。

 

「甘いわ轟さん!」

「そう上手くいかせねえよ半分野郎!!」

 

 モモは棒を創造して高跳びの要領で凍結を回避すると同時に人垣も同時に攻略。

 バクゴーは両手を爆破してその反動で飛び上がっている。

 ユーガも、フミカゲも、オチャコも、ミナも、イズクやミノルだって、A組のメンバーは誰一人として凍結に巻き込まれることなくスタートを決めている。

 

「クラス連中は当然として、結構避けられたな」

「やあ、ショート!景気良さそうだね!!」

「っ、機械島か!」

 

 スタジアムの通路が終わると同時に思いっきり壁を蹴り付け、ショートの隣へ着地する。着地した瞬間、凍結を放たれるが、凍りつく前に純粋な膂力で踏み潰して阻止する。

 

《さぁいきなり障害物だ!!!まずは手始め……

 

 第一関門、ロボ・インフェルノ!!》

 

 プレゼントマイクの実況アナウンスが響く。

 視線を前に向けると、そこには視界全てを埋め尽くすような巨大ロボの群があった。




予想外に文字の膨れ上がった体育祭編はっじまーるよー!
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