鉄翼少女のヒーローアカデミア   作:蚊帳 夕

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よろしくお願いしますOWO

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十七話・少女と体育祭(ニ)

 

 

 

 《第一関門、ロボ・インフェルノ!!》

 

「入試ん時の0p敵じゃねえか!!!」

「マジか!ヒーロ科あんなんと戦ったの!?」

「多すぎて通れねえ!!」

 

 第一関門として私の前に立ち塞がったのは、もはや懐かしい入試の最後、ラスボスとして登場した巨大ロボットだった。聞いた話によると一般入試の実技試験でも使われていて、そっちでは撃破非推奨のお邪魔ロボとして出現していたらしい。

 

「一般入試用の仮想敵ってやつか」

「あ、推薦組は戦わなかったの?」

 

 あのロボットが初見のような反応をするショート。

 

「…ああ、俺たちは個性ありの耐久レースだった。機械島は?お前も一般入試じゃなくて別のやつだったんだろ?」

 

 どうやらショートは戦っていないらしい。つまり初見の反応で正しかった訳だ。

 

「私市街地に散らばった敵ロボの殲滅と複数人の要救助者の救出だったよ。それの一番最後にラスボスとして出てきた」

「そうか」

 

 短くそう答えるとショートは右手を地面に付き、規格外の凍結で先頭のロボを氷漬けにしてしまった。

 

「先行くぞ」

「はいはーい、すぐ追い抜くから短い先頭走者期間楽しんでねー」

 

 凍らせたロボの間を通り抜けていくショート。でも、その後ろに着いてはいかない。

 

「あいつが止めたぞ!!あの隙間だ!通れる!」

 

 背後から走ってきていた生徒、おそらく普通科がショートの作った道を通ろうとする。

 やめといた方が良いと思うけどなー。

 ショートが作った隙間に便乗しようとする大勢の生徒、それに向けてショートが振り返りながら告げる。

 

「やめとけ、不安定な体勢ん時に凍らせたから……

倒れるぞ」

 

《1ーA轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!!》

 

 ほら、思ったとおり。ロボが倒れてきた。わざわざレース中に他に利用される抜け道とか残す訳ないよね。

 じゃ、私もそろそろ突破しようかな。

 

「脚部換装“ジャンパージャッキ”」

 

 足をローラースケートから金属製のバッタの後ろ脚のようなものに変える。獣のような逆関節型の足。この足の狙いはただ一つ、どこまでも高く跳ぶこと。ジェットなどの飛行ではなく、跳躍。初速に物言わせた飛び上がりしかできないが、最高到達点までの到達速度は“クイーンビー”を装着し両手足をブースターに換装した飛行特化の形態すら置き去りにするほどの速さを持つ。

 その脚力を持って巨大ロボットの頭部まで飛び上がる。

 ロボ・インフェルノ、他学科に対してヒーロー科生徒が入試の段階でどんな敵を潜り抜けてきたのかを示し篩にかけつつ、ヒーロー科には入試で撤退を選択した強敵を大量に嗾けて判断力と成長を確認することが出来る。良い関門だと思うよ。でも、それはそれとして一つ言いたいことがある!

 

《1ーA機械島!飛んだぁーー!?》

 

「てかさぁ、序盤ステージで撃破済みの!再登場巨大ボスが!成長したエース機に勝てる訳ないだろ!!!」

 

《ごもっともだーーー!!!》

 

 右腕を“機械化”でノーマルの機械腕にし、跳躍の勢いのまま拳を巨大ロボの頭部中央に叩き込む。文章にすればそれだけの動作。しかし実態は総重量300kgの金属塊が高速で衝突してきたようなもので、巨大ロボは火花を散らしながら大きく仰け反り…背後にいた幾つかの巨大ロボを巻き込みながら倒れた。

 

《1ーA機械島!巨大ロボをワンパンで撃破しやがった!!!》

 

「換装“スケイルスケート”」

 

 使い終わったバッタ脚を再度ローラースケートに戻してショートを追走する。

 先を行くショートは冷却の個性で地面を凍らせてスケートのように滑ることで高速移動をしていた。

 

「や、追いついたよ」

「…今日は飛ばねえのか」

「まあね、私にも色々あるから」

 

 私が地上を走る姿を怪訝そうに尋ねるショート。明確な理由を話さず適当に暈して誤魔化す。

 …てか、ショート速いな!?使ってる個性は冷却だけで推力を生むためのものは無いはずなんだけど、セーブ状態の私の走行について来れてる。一応時速40〜50kmは出てるはずなんだけどなぁ、なんで生身で拮抗できるの? 

 そうして時々飛んでくる氷柱の妨害を踏み潰しながらショートとのスケートデートを楽しんでいると第二の関門に到着した。

 

《おいおい!第一関門ちょろいってよ!!んじゃ第二関門はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!

ザ・フォーーール!!》

 

 待っていた関門は底が見えないほどに深い大穴と、幾らかの中継地点となる島、島と島を結ぶワイヤー。簡単に言ってしまえば綱渡りだった。

 

「いや、よくこんなの用意できたな。態々スタジアムの外周にこんなの作るなんて…普段とか邪魔じゃないの?」

 

 まあ、一応このスタジアム外周部も雄英の敷地内だから大きな問題にはならないんだろうけどさ。

 

「まあ良いや、腕部換装“グラップワイヤー”」

 

 雄英の施設管理に疑問を抱きつつ、両腕を“機械化”で変化させる。出来上がった腕は最低限の骨格を残して、巻き上げ用のリールと細く強靭なワイヤーが積み込まれた、人の骨で作られた釣り竿のような物だ。

 アメリカのとあるトップヒーローを模して作った幼い憧れの腕。

 両腕をそれに作り変えた私は、

 

なんの躊躇いもなく大穴に身を投げた。

 

「っ!射出!!」

 

 内臓が浮き上がるような不快感に顔を顰めつつ、左腕の手首から先を打ち出す。狙いは少し先にある島に渡るためのワイヤー。打ち出した手は狙い通りにワイヤーを掴んだ。

 直後、重力に従い落下していた私の体は、手首とリールを繋ぎ合わせていたワイヤーが伸び切り、振り子のように私をスイングさせる。それと同時にリールにワイヤーを巻き取らせて斜め上方向にスイングのベクトルを調整する。スイングが最高速度に到達する弧の下弦で手を離し、一気に吹き飛ぶ。その勢いは落下の開始地点よりも上へと私の体を押し上げた。

 

《A組機械島、自分から落下したーー!!?と思ったらなんか振り子みたいに移動してるぅ!!??なんかお前みたいな動きだな!!教えたのか?ミイラマン》

《誰がミイラマンだ、無理やり呼びつけやがって。教えてはいない、が、まあ、あいつの出自を考えれば俺と機械島の動きのオリジナルは同じだろう》

《オリジナルゥウ!?お前が編み出した動きじゃねえのか!?》

《…ハア、どちらかと言えば機械島の方の動きが原点に近いんだがな。俺は捕縛布、あいつはワイヤーで代用してるが、動きの基本は同じだ。落下運動をどこかに固定した糸で円運動に変換、最大まで加速した瞬間に別の場所に糸を伸ばしてまた円運動で加速、絶え間なく無限に加速し続ける、横に落下しているような移動の仕方。間違いなくアメリカのNo.2ヒーロー【スパイダーマン】の動きだ》

 

 そう、今スピーカー越しからミイラマン《相澤先生》説明されたようにこの腕の原作となったのはアメリカのトップヒーロー【スパイダーマン】だ。まあ、ご本人曰く「僕はヴィジランテのつもりなんだけどね、今も昔も」て事らしいけど。

 それはともかく、この無骨な腕は彼の個性“蜘蛛”を再現するために生み出した物。超高層建築の森である摩天楼ニューヨークを縦横無尽に飛び回るヒーローを模した物だ。スイング出来る空間とワイヤーを撃ち込むための物がある。コレだけで、この関門はわたしにとっては、落ちれば即アウト確定の大穴から自由に飛び回れるワイヤーアトラクションへと変わった。あとは落下角度を調整しながらゴールに繋がるワイヤーに辿り着けば良い。

 その後スイングを数回繰り返して軽々とゴールのある向こう岸に繋がっているワイヤーまで辿り着いた。

 最後のスイングを行うために手首を射出し、ワイヤーを掴んだ瞬間。

 

「今だ」

 

 ショートの声が聞こえ、同時に私が掴んだワイヤーごとワイヤーを掴んだ手が氷漬けにされた。

 

「っ!?しまった!!」

「戦闘訓練の時、お前に氷を踏み潰されてからずっと考えてた。お前の個性の話、襲撃事件ん後のお前の状態。それで思いついた」

 

 ワイヤーの巻き上げを急いで停止しても既についてしまった勢いは止めることはできない。いや、一応この後のことを全部捨てれば対応できなくもないがリスクに対してリターンが少なすぎる。

 勢いはそのまま、氷漬けにされた手からなるべく離れたところのワイヤーに掴まってぶら下がる。迂闊に手に近付いて諸共に氷漬けにされたら堪らないからね。

 

「お前、変形後の腕が破損したり、なんらかの障害が発生した時には変形できなくなるんじゃないか?」

 

 大正解だよ、ちくしょう。

 

「襲撃事件の時、敵に腕壊されて肩から丸ごと切り捨てていたって聞いてもしかしたらと思ったが、その反応からすると正解みたいだな。ならこのまま此処で氷漬けにしてっ!?」

「はっはぁー!ようやく調子が上がってきやがった!!死ねや!!半分野郎!!クソ機械!!」

 

《喜べマスメディア!!お前ら好みの乱闘発生だー!!1-A爆豪勝己の乱入だー!!!》

 

「くそ!後少しだってのに!!」

「死ねやぁあ!!半分野郎!!テメェはそのまま落ちてロスってろクソ機械!!!」

 

 乱入してきたバクゴーによる無差別爆撃が私とショートに襲いかかる。が、しめた!!ショートの意識がバクゴーにも割かれたからか氷の拘束が緩んだ上にバクゴーの爆破の余熱と爆発の余波で氷自体も緩くなってる!!確かにこうもガチガチに凍らされてしまっては換装も出来やしないけど、そもそもする必要はない!だってコレは“スパイダーマン”の腕だよ?彼の持つ個性は糸の射出こそが取り沙汰されがちだけど本当に怖いのは

 

 純粋なパワーなんだよ?

 

 それこそ真っ二つに裂かれたフェリーをその力で引き止められるほどの力があるんだ、私が再現していないわけないだろうに。

 

「ぃっりゃぁああ!!」

 

 思いっきり腕を振り上げて手首に繋がるワイヤーを鞭のように大きく撓ませる。勢いよく腕を振り下ろして撓みに蓄えたエネルギーを氷漬けにされた手首へと送り込む。

 

「やった!脱出成功!!」

「な!?クソ!!」

「逃すかぁあ!!クソ機械!!!!」

 

《ここで機械島氷の拘束を壊して単独で第二関門を突破ァア!!それに続くように轟と爆豪も第二関門を突破!共通の敵が現れれば人は争いを止める!!争いは無くならないがな!!!》

 

 綱渡りのワイヤーを抜け、即座に足を“スケイルスケート”に換装し走り始める。

 

《そして早くも最終関門!!かくしてその実態は───…

一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!

地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!目と脚酷使しろ!!》

 

 プレゼントマイクの実況を聞き、先の地面に目を凝らす。すると、なんとなく盛り上がっている場所や一部だけ地面の色が変わっている場所が見える。正直走り抜けるだけならなんとかなる気がするけど、背後からショートとバクゴーの攻撃を捌きつつ走り抜けるのは絶対に無理だ。問題は地雷がどの程度の威力かによるけど……!

 

《ちなみに地雷!威力は大した事ねえが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!!》

《人にもよるだろ》

 

 威力は大した事ない、そのプレゼントマイクの言葉を信じてわざと地雷を踏み抜く。

 

《っと!言った側から機械島が地雷を踏み抜いたー!!!》

《いや、コレは…》

《トップが地雷で足止めされた隙を見逃さない轟と爆豪ー!!此処でトップが入れ……入れ替わってない!!トップは依然機械島!!どう言う事だ!?しっかりと地雷を踏み抜いたはずの機械島!!全く速度を落とす事なく走り続けてやがる!!!》

《やっぱりか、最初の起爆は確認ってところか、プレゼントマイクの言った大したことのない威力の》

《どう言う事だ!?イレイザーヘッド!》

《そのままの意味だ、機械島に地雷は通用しない、あいつにとっちゃ今この瞬間、恐ろしい地雷原がただの散歩コースに成り下がった》

《ウッソだろ!!?確かに威力なんて殆どねえがそれでも人を打ち上げる程度は出来るぞ!!?どうなってんだ》

《確かに一般生徒は飛ばせるだろうな、だがオールマイトはどうだ?正確にはオールマイトの体重だが》

《オールマイトの体重ぅ?確か270kgくらいだったか?それなら小揺るぎもしないだろうな!まあ、オールマイトドッキリとかのリアクションデケェからめちゃくちゃびっくりするだろうけどな!!》

《そう言う事だ》

《そう言う事?どう言う事だよ?》

《機械島、あいつの総重量は大体600kgはあるオールマイトの約2.2倍だ》

《重ぇえええ!!》

 

 

 乙女に対する!凄まじい攻撃を受けた気がする!!けど、この重量が私の助けになっているのも事実。地雷の威力はプレゼントマイクの言葉通り大した事なかった。ならばあとは地雷なんて気にせずゴールまで直進すれば良い!!

 

「行かせるかよ!クソデブ機械!!」

「誰がデブか!いいよ、先にお前を潰す!!」

「返り殺してやらあ!!」

 

 背後を振り向き、バクゴーに向けて腕を射出する。今だに変えていなかった“グラップワイヤー”だ。

 

「んな見え見えの攻撃当たるかよ!!」

「知ってる、バクゴーの事は好きじゃないけど実力があるのは認めてるから」

「……あ゛あ゛!?」

 

 そう、バクゴー、クソみたいな性格にクソみたいな言動、クソみたいな面構えとクソみたいな戦闘スタイルではあるが、その戦闘センスは本物だし、意外と周りを見ている、学業の方も優秀とクソみたい人間性を除けばハイスペックなクソなのだ。

 だから最初から狙って当たるなんて思ってはいない。

 

「本命はこっち!!」

「っ!?な!?」

 

 バクゴーを通り過ぎた手首を巻き取りながらバクゴーのさらに後ろ、3番手の位置を走りながら隙を窺っていたショートの背後から私の手が迫り、ショート左足首を捕まえた。

 私たちの隙を窺うことに集中していたせいか、背後からの私の攻撃に対応出来なかったようだ。そしてショートを捕まえたまま手を巻き取り。

 

「一本釣りぃい!!」

「っぉご!?」

「ーーーーー!!」

 

 バクゴーに向けてぶつけてやった。

 

「Bye-byeお二人さん、一位は私が貰った!!」

 

 縺れ合って地雷原に転がる二人を置き去りにして悠々と走り去る。

 コレで最大の障害達は最早気にしなくて良い!あいつらが復帰する前に確実に地雷原を抜けられるし、そこまで距離が空いたならアイツらが私に追いつけるだけの速度は出せないはず!!

 勝った!!そう確信した、だからだろうか、忘れていたんだ。

 

 真のヒーローは遅れてやって来るって。

 

《後方で大爆発!!?なんだあの威力!?偶然か故意か───A組緑谷、爆風で猛追!!!?つーか!!単独トップの機械島を抜いたぁぁああ!!!!》

 

 何処からともなく、先ほどまで飛んでいたバクゴーよりもさらに上空、金属板をボードのように体の下に轢いて物凄い勢いで吹き飛ぶイズク。

 

「って!!?行かせない!!」

 

 慌てて走り出すが、既にイズクは私の頭上を飛び越えた後、だけどイズクのこの勢い、地雷原を抜けるまでは持たない!ゴール少し手前に落下する軌道だ!ならもう一回追い抜ける!!

 

「イズク凄いじゃん!!でも!私の方が凄い!!」

「ブツブツ失速…!そりゃそうだすぐ抜かれる!着地のロス考えればもっかい追い越すのは絶対無理!!ダメだ放すな!前に出れた!一瞬のチャンス!掴んで放すな!!!追い越しがダメなら…!!抜かれちゃダメだ!!!」

 

 イズクの独り言が聞こえ、次の瞬間には何か覚悟を決めたような顔になったイズク。

 既に先ほどまでの速度を失い、落下している最中。そんなイズクの下を潜り抜けるようにして私は走る。

 イズクを追い抜いた!そう思った瞬間、目の前に深緑色の鉄板が飛び込んできた。

 

「……へ?」

 

 衝撃、痛打、一瞬目の前が真っ白になる。

 何!?今の!!?

 突然の痛みに思わず顔を反り、頭を仰け反らしてしまう。

 あ…。

 

 此処で一つ、“スケイルスケート”について教えておこう。この機構は脚をローラスケートのような形に変形させてローラ部を高速回転させて進む機構。一応、ローラの回転は任意の速度に調整出来るけれど基本的にはオートで回り続ける。その速度は時速にして50kmは確保できるほどの速さ。その速さに耐えるために基本的に“スケイルスケート”での移動中は前傾姿勢となる。そうでなければ足元だけが前に進み続け、上体は後ろへとひっくり返ってしまうからだ。そう、前傾姿勢、絶対に重心は前方に保ち続けなければいけない。

 

 さて、今の機械島ミシェルの姿勢はどうなっただろうか。

 

 

「っ!!しまった…!!!」

 

 思わず仰け反ってしまった、前傾姿勢が崩れて体の重心が後方へと移動する。それでも脚は、“スケイルスケート”は前に進み続ける。体の重心と地面との接地点のバランスが大きく崩れた。

 

 私の身体は後方へ向かって盛大にひっくり返ったのだ。

 

 さらに倒れた場所の運も悪かった。偶然にも私の“スケイルスケート”の間を潜り抜けた未処理の地雷、それがちょうど背中の下にあったのだ。当然起爆。人一人を吹き飛ばす程度の爆風が私を襲う。ダメージなんてほとんど無いにも等しいが、此処で私の個性が脚を引っ張る。両手脚それぞれ150kgずつ、合わせて600kgの重量が私をピッタリと地面に押し付けた。コレでは爆風が外に逃げない。余すことなく私の体に直接伝えられたのだ。

 意識が…とぶ……。

 

 

 

 

《さあ!ようやく全員ゴールだ!予選通過者は上位42名!!》

 

 第一種目・障害物競走が終わり、全員の順位が出た。私の順位?

 

 38位だよ……。

 

 最後の最後、意識を飛ばしてしまったのが大きく響いた。幸いにも意識を失ったのは短時間だったから着外にはならなかったけど……。おのれイズクめ…!トレーニングルーム貸してやった恩を仇で返すか…!!

 あ、イズク発見。絡みに行ってやろ。

 

「よぉお…イズクゥ…!よくもやってくれたなあ?」

「わぁあ!!?き、機、ミシェルさん!?あ、そ、そのごめん!必死で、もう一回追い抜かれたらどうしようも無いって考えて、無我夢中だったんだ。それにその後すぐに地雷の爆発で見えなくなっちゃったし…」

「ボソ恩人の顔殴り抜いて取った一位は居心地良いかぁ?」

「ひぃぃいいいい!?」

 

 そう、このイズク私を攻撃した後、そのまま一位で第一種目を突破したのだ。私が取るはずだった一位で。おのれ!

 ただ、実は言うほど怒っては居なかったりする。実際、反省してみればイズクには負けるべくして負けたようなものだし。私の好きな日本の漫画の一シーンに『過信、軽率、おまえの弱点だ』なんてセリフがあるけど、私の場合それに加えて『慢心』と『油断』も付けられる。地雷程度では揺るぎもしないと言う過信、バクゴーとショートを排除して最早敵はいないと言う慢心、イズクの機転や発想を忘れていた油断、イズクは個性の関係上空中で取る手段がないから最短距離であるイズクの真下を通ると言う軽率な行動。全て身から出たサビ、自業自得の結果だ。

 

『さーて!第二種目よ!!私はもう知っているけどーー……コレよ!!』

 

 壇上のミッドナイト先生が第二種を発表する。

 

【騎馬戦】

 

 へえー個人競技じゃ無いんだ。

 

『参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど一つ違うのが……先ほどの結果に従い各自にポイントが振り当てられること!』

 

「入試みたいなポイント稼ぎ方式かわかりやすいぜ」

「つまり組み合わせによって騎馬のポイントが変わって来ると」

 

『あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!!!ええそうよ!!そして与えられるポイントは下から5ポイントずつ!42位が5ポイント、41位が10ポイント…と言った具合よ!そして、一位に与えられるポイントは……

 

1000万!!!」

 

 上位通過者全員の視線が一斉にイズクに向く。

 

「上位のやつほど狙われちゃう……下剋上サバイバルよ!!!」

 

 ……これは、一位を譲っていて正解だったのでは?

 

「ミシェルさん!!く、組んでくれない!!?」

「いや、ごめん流石にちょっと…」

 

 少々不憫だけど致し方無し、すまんイズク…!!足早にイズクから離れてメンバーを探す。

 んー、正直バクゴーとかショート、イーダ、ヤオモモあたりと組めたら最高なんだけど、まあ、宣戦布告されてるしバクゴーとショートは無理かな、諦めた方が良さそう。

 そうやって生徒を物色していると後ろから声がかけられた。

 

「おい、そこの」

 

 なんかどこかで聞いた事のあるような声。

 

「ん?な…」

 

 返事をしつつ、振り返る。次の瞬間。

 

《3位、鉄て…アレェ!!?オイ!!!!心操チーム!!?》

 

 騎馬戦は終了しており、私は3位の順位で第二種目を通過していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




低順位騎馬戦スキップの理由
他作のオリ主の方々のように一位通過、騎馬戦無双なんてやると物間が寄って来る→接触“機械化”コピー→僕の方が使いこなせるよう(笑→色々あって四肢欠損で物間退場→物間いないと最終局面で詰みが発生するので何とか穏便に物間と会話できる状態になるまで接触を省くための措置でした。決して騎馬戦が面倒とかでは無いです、ええ、はい。
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