鉄翼少女のヒーローアカデミア   作:蚊帳 夕

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大変長らく待たさせして申し訳ありません
超超久しぶりの更新です。
私の中のメスボーイが最後の最後まで抵抗した問題話

よろしくお願いします


二十二話・少女と祭りの後

二十二話・少女と祭りの後

 

 

 

 じゃあ、それからの話をしようか。

 結論から言えば私が目覚めたのは体育祭から4日後。体育祭後の二日間の休日を丸々潰し、通常の授業日程に戻ってからさらに二日経って目が覚めた。

 基本的に現代では個性を使用した治療によって、余程の大きな怪我でも無い限り日帰り退院も可能。そんな中で四日間も寝たきり状態になるってことはそれだけ重症だったってこと。

 爆豪の自爆に巻き込まれ、爆発の衝撃で貯臓内のエネルギーが暴走し内臓を損傷させてしまった事が私が緊急搬送された理由。ただ、幾つか幸運な事があり、現状重篤な後遺症は残らないだろうとのこと。

 私の幸運だったことの一つ目、貯蔵されていたエネルギーそのものが極小量だったこと。元々体育祭が始まる時でも貯蓄不足でガス欠寸前だった状態から、体育祭中にも個性を使い続けたことで極限まで私に蓄えられていたエネルギーは枯渇していた。それにより貯臓の暴走に使われたエネルギーは極小量で内臓を傷つけるだけで済んだとの事。もし普段の、体育祭前……じゃ無いな、USJ事件前までの貯蔵量だったら貯臓暴走と同時に私の上半身が消し飛んでいたかもしれない。

 幸運の二つ目。リカバリーガールがいてくれた事。雄英高校の保険医であり、回復個性の持ち主であるリカバリーガール。その個性は対象の体力を吸い取り、その体力を使って傷を癒すと言うもの。この個性を使って体内を暴走し破壊するエネルギーそのものを吸い取って暴走を止め、吸い取ったエネルギーで傷ついた内臓のうち特に重症であるものを治療してくれた。

 三つ目にして最後の幸運。そもそも私の内臓が強かった事。機能的な話ではなく、物理的な意味合いで。医者の話を聞いてみれば“確かに内臓損傷をしてはいるが、このエネルギー量が暴走したと考えると、驚くほどに傷は浅い”との事。まさに内臓が筋トレをしていて物理耐性がついていたとしか考えられないレベルらしい。そう言われれば思い当たる節はある。と、言うのも私の戦闘スタイルによるものだ。もちろん体育祭で見せたものではなく本来のもの。音速領域でのドッグファイトのことだ。音速ではなくても高速状態での鋭角ターンや急停止、急加速の連続は体全体に強い負荷を与える。それは内臓も例外ではなく、最初の頃は一回ターンを行うだけでもゲロを撒き散らしたものだったけど。今ではそんな無様を晒すことはない。これはおそらく度重なる過負荷に内臓が適応し鍛えられてきた成果なのだろう。まさに過去の積み重ねに助けられた結果だった訳だ。やはり訓練は裏切らない。鍛えれば内臓だって強くなる!

 そんな幸運に助けられても、重症は重症であることに変わりなく日本に来てから2週間ぶり、二度目の入院生活を送っている。

 

 さて、そんな私だけど現在、目覚めて早々、とてつもなくめんどくさいことになってる。

 

「本っ当に、家のバカ愚息がごめんなさい!!」

「ケッ」

 

 目の前に並んでいるのは二つの金のツンツンヘアー。片方は女性のもので、私に向かって深く頭を下げている。もう片方はよく見慣れた“糞の煮凝り下水仕立て”のもの、不服気に悪態を吐きながらそっぽを向いている。そう、バクゴーママとバクゴーが揃って面会に来て早々、挨拶よりも先に謝罪を始めたのだ。

 何だろ、前にも先生達とも似たようなやり取りをしたような…。

 

「こら勝己!あんたも頭下げなさい!!」

「離せやクソババア!!」

「クソババア言うなっていつも言ってるでしょ!!」

「いいから手ェ退けろや!邪魔だ!!」

「こうでもしないとアンタ謝りもしないでしょうが!!」

「んな事ねぇわ!」

 

 バクゴーの頭を無理やり押さえつけようとするバクゴーママと、バクゴーママの手を跳ね除けようとするバクゴーの小競り合いがしばらく続き、最終的にはバクゴーがバクゴーママの手から逃れる事に成功した。

 

「チッ……。無事か」

 

 小さく舌打ちをしてぶっきらぼうに聞いてくるバクゴー。

 

「いや、これが無事に見えるならヒーロー向いてないんじゃない?病床人だよ?つい数日前にトリアージ赤クラスだった重症者だけど?」

「…言い方間違えた、後遺症なく戻って来れそうなのか、それといつ頃戻れそうか」

 

 爆破された怨みを少しだけ込めて皮肉を言ってみたけど、バクゴーはいつものような瞬間沸騰をせず、静かに自分の発言を訂正補足した。

 なんか調子狂うな…。

 

「そう言う意味なら大丈夫だよ。後遺症はなさそうだし、治療自体もこの四日の間にもう終わってる。この後にある精密検査で正式に完治が確認されたらすぐにでも退院できるよ」

「そうか…」

 

 バクゴーはそう、私の返答に対して小さく、短く反応して何かを噛み締めるように俯いてしまう。

 いや、調子狂うなぁ!?デフォルトの全方位攻撃体勢のバクゴーしか知らないからこんなに静かでしおらしい様子でいられるとすっごい気持ち悪い!!

 助けを求めるようにバクゴーママを見遣ると、そちらもしおらしいバクゴーを見るのは初めてらしく口を手で押さえ、驚愕の表情で固まっている。

 

「今回の件」

 

 私たちが脅威の混乱に見舞われる中、一人俯いていることで私たちの様子に気づかないバクゴーが話し始める。

 

「今回の件、お前が大怪我したのは俺の責任だ、俺が弱かった。体や個性の話だけじゃねえ、俺の、心の弱さだ。俺が、お前に完膚なきまでに叩きのめされて、無意識のうちに、いや、また負けることに恐怖して俺が個性を暴走させた。だから…

 

ごめん。」

 

 そういうとバクゴーは私に向かって深く頭を下げた。

 頭を下げたまま、バクゴーが話を続ける。

 

「控え室でも言ったが、改めて誓う!俺は!もう絶対に負けない!誰にも、俺自身の弱さにも負けねえ!許してくれなんて言わねぇ、ただ見ててくれ。こっからの俺の行動が謝罪で、償いだ」

 

 そう言って今度は俯かずに私を正面から見つめるバクゴーだったが。

 

「…テメェなんて顔してやがる」

「いや、なんと言うか、普通に謝られてビックリしてる」

「…ンダと?」

「勝己……あんた、普通にあやまれたの?」

「………」

 

 おそらくバクゴーが顔を上げた時に視界に飛び込んできたのは驚愕に固まった私の顔だったのだろう。

 我ながら謝った相手に対する態度と言動では無かったと思うが、それだけショックが大きい出来事だった。ただ、バクゴー、あんた実の親まで謝罪一つでここまで驚いてるなんて結構なことだよ?

 

「……フゥー。俺だって反省するし、謝りだってするわ!!クソが!!」

 

 私たちの反応に耐えるように小さく息を吐くバクゴーだったが、やはり耐えきれなかったのか瞬間沸騰機のように一瞬でキレ芸を披露する。

 ああ、いつもの感じだ。爆ギレって感じのバクゴーが帰ってきた。ようやく調子戻ったわ。

 やっぱり、バクゴーはこれじゃ無いとね。ほんとしおらしいバクゴーはこう言ってはなんだけど気持ち悪かった。

 

「そうそう、そんな感じ、このキレ具合こそバクゴーだよ。やっとしっくりきた」

「テメェ…!人が真剣に謝罪に来てんのにその反応はどう言うことだ!!?」

「普段の言動を顧みて?どうぞ」

「……」

 

 あまりにも的確な私の返しに、自分でも思うところがあったのか再び黙り込むバクゴー。しかしその顔は先ほどまでの気持ち悪い静かな顔ではなく、苛つきはするが正論ゆえに言い返せない不満を抱えた不機嫌そうな…詰まるところいつも通りの顔だった。

 

「まあ、何はともあれバクゴーからの謝罪は受け取ったよ。こっからの行動で示すって言うのもわかった、存分に見させてもらうから頑張れ」

「ケッ上から目線かよ」

「実際私の方が上だし」

「言ってろ、すぐにぶち抜いてやらァ」

 

 バクゴーからの謝罪を受け取り、喫緊の話題もひと段落したところで、ふと聞いていなかった。ある意味ではもっとも重要だとも言える話題をバクゴーに向ける。

 

「そう言えば体育祭、優勝はどうなったの?一応私とバクゴーの試合は私が勝ったような覚えがあるんだけど…結局参加出来なかったじゃん?決勝は不戦勝でショートの優勝?スマホも今手元にないし、ここテレビも無いから情報が全く入ってこないんだよね」

 

 そう、体育祭。本来なら私が輝かしく優勝を飾っていた(傲慢)イベント。その結果を実はいまだに知らないのだ。

 

「───……」

 

 体育祭の話題を出した途端、苦虫を数百匹単位で噛み潰したような、物凄い嫌な顔をしだすバクゴー。

 いや、まて。なんだその顔は!?さっきは、私に対する自爆だけじゃその顔にはならなかったよね?まさかまだ何かあったのか!?

 

「……体育祭は俺が優勝した」

「は?バクゴーが?私に負けたじゃん」

「…確かに俺は場外負けだったが、それよりもテメェが重症で棄権処理になったからな、繰り上げで俺が決勝に進んだ」

「ああ、なるほど。で?なんでそんなにキショい顔してんの?繰り上げで決勝進んだ程度じゃそんな顔にならないよね?」

「────………!」

 

 キショい顔の理由を聞こうとすると、先にも増してキショい顔がクソみたいにキショい顔に進化した。

 多分決勝戦で何かがあったんだろうな。と何と無く予想を立て、バクゴーが話し始めるのを待っていると、今の今までバクゴー謝罪ショックで固まっていたバクゴーママがあっさりと理由を暴露した。

 

「あ、機械島さん。それならきっと決勝戦の内容が原因よ」

「へぇ?」

 

 ママさんの話を聞くに、バクゴーは私との試合が終わった後、割とすぐにある程度戦闘ができるまで回復してはいたらしい。とは言え、ある程度であり万全の状態ではないし、相手はあのショート。イズクとイーダ(やっぱり負けてたか)の両名を下しつつも未だ限界を見せない強敵。バクゴーにとって気力や矜持はともあれ苦戦どころか死戦を覚悟しなければいけない。と覚悟を決めていたらしい。

 ところがいざ試合が始まってみるとショートは何処か集中を欠き、元々大雑把だった個性の精度はさらに酷くなりボロボロ。バクゴーが死に物狂いて氷の津波を乗り越え、ショート本体に近づいた時には左の炎を使おうとして慌てて解除して、その隙にバクゴーに殴られると言った無様を晒した挙句、試合の決定打はまさかのショートの自爆。無意識に炎を使おうとしたことを掻き消すように執拗なまでに右の氷を使い続け、極寒の要塞を建築したショートは……炎によって体温を維持することもせず低体温で気絶した。

 戦っていたバクゴーからしたら困惑しただろう。何せ自分が何もしなくても勝手に相手が自滅して、気がつけば優勝ということになっていたのだから。

 

「なるほど、そんな感じに進んだんだ」

「俺はこんな優勝に一個も納得してねえ、テメェには明確に負けた上に、繰り上げ進出した決勝じゃ舐めプ半分クソ野郎が勝手に自滅しやがった。俺が欲しいのは完膚なきまでの勝利、テメェも半分野郎も万全の状態を打ち殺さねえと何の意味もねえ」

「勝己言葉遣い」

 

 不満そうに結果を語るバクゴー。

 そんなバクゴーに礼を言い、それで体育祭の話は終わりにする。

 

「ありがと、バクゴー。体育祭の事は大体補完できた。それから学校も普通に始まったけどそっちは何かイベントあった?」

「ああ、来週から始まる職場体験の説明と職場体験先の事務所からの各生徒への指名、それから職場体験先で使うためのヒーローネーム決めがあった」

 

 !!ヒーローネーム!!!めっちゃ心踊るやつだ!!!

 




読者の皆、言いたいこと、投げたいもの色々あるだろうけどまずはエタらなかったことを褒めてくれ。
で、次に言い訳。

週5で始発→終電のサイクルで書けるわけねぇだろ!!
なんなら終電で帰った後もレポートの制作やらなんやら、土日は就活もあった!そんな中でちまちま書き上げた私を褒めろ。

そんで、次話の後書きでも大事なお知らせがあるのでちゃんと最後まで読んでくれると助かります。
以上、蚊帳のでした
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