鉄翼少女のヒーローアカデミア   作:蚊帳 夕

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よろしくお願いします(OwO)


少女と戦闘訓練(後編)

 

 

 

「それでは最後!機械島少女!そうだな、現在絶賛重症中の緑谷少年のAチーム、凍傷の心配のあるIチームを除いたチームの中で対戦したいチームはあるかな!?」

 

 なるほど、私の相手はランダムなくじでは無く私から指名していいと、コレも私が一人っていうことへのハンデなんだろうな。

 だけどまあ、クラスメイト全員の個性を把握した感じ、私への明確な脅威となれそうな個性はオチャコとショートの炎、それからフルパワーのイズクくらいだと思う。

 ショートの個性は私と同じように複合型で炎と氷を使うものだが、このうち氷は大丈夫、私の戦闘服は冷気に強いし、氷自体も砕けば問題はない。一方、炎については最後に自分の氷を溶かすために使ったのみで、どれくらいの規模で出せるのかの上限がわからないのが怖い。その上、氷を溶かすまでかなりの時間持続して出せていたことから、炎そのものをやり過ごしても戦闘服の中を蒸し焼きにされる可能性が高い。

 イズクの個性は超パワーみたいなものだと思うけど、私はイズクの拳そのものよりも、拳に付随する衝撃波の方が怖い。彼の戦闘訓練のラスト、大振りのアッパーで分厚いコンクリートの床を五階まで打ち抜いた貫通力。不可視且つ、回避困難な貫通する衝撃波を向けられた時、それが私の“貯臓”に直撃するのが本当にまずい。多分、衝撃波そのものからはなんとか立ち上がることは出来ると思う。ただ、その後に貯臓の暴走でどうなるのかは未知数。最悪自爆して重症なんてこともあり得る。

 オチャコの個性、触れたものを無重力状態にする個性はクラスメイトの中では一番の脅威と言える。正直、無重力状態でも行動する手段は幾つか持っているけど、問題は私の手足の出力の高さにある。ちょっと忘れがちだけど私の個性発動時の総重量は500kgを超えている。オールマイトの約二倍の重量、それだけの超重量を軽々と振り回せるだけの力が私の手足には込められているのだ。そんな力を無重力状態で迂闊に振るえば……。あとは言わなくても分かるだろう。私は()()()()()()()を自分の意思以外で放ちたくは無い。

 

 そして、脅威となり得る個性のうち、オチャコとイズクは今回の訓練に参加できない事から警戒するべきはショート一人で良い。

 で、あればここはあえてショートに挑戦するべきだろう。

 

「そうですね、じゃあショートのところ、えっとBチームでお願いします」

「オーケー!轟少年、障子少年は二戦目となるけど大丈夫かい?」

「まあ、俺は大丈夫です」

「俺も、さっきは居場所を特定しただけだから問題はない」

「オーケー!!それじゃ機械島少女の相手はBチーム!機械島少女はヒーローと敵、どちらをやりたい?」

「もちろんヒーローで」

「くぅーっ!常に困難を選ぶ!その姿勢グッドネス!!」

「俺らが敵側か」

「ああ、それに全員の訓練を見終わった後で俺たちを選んだんだ、轟の凍結をどうにかできると踏んだ上での選択だと思う」

「問題ねぇ、その上から凍らせれば良いだけだ」

「それじゃ、敵チームは先にビルに入って作戦を立ててくれよ!5分後にヒーローは作戦開始だ!」

 

 先に出たBチームを追うように私も地下室を出る。

 

 

 

 ◇八百万百

 

 ミシェルさんの後ろ姿が扉の向こうに消えるのを見守る。21人クラスメイトが居ることで一人だけ溢れてしまった私の友達。付き合いこそ一日に満たないほどの時間ですけど、十分に気が合い、お互いに高め合えるような、私からの一方的な考えですが好敵手(ライバル)のように捉えている大事な友達。

 

「ミシェルさん、大丈夫でしょうか…」

 

 いくら本人が一人で大丈夫だと言ったとはいえ、信じられない規模の凍結を行える轟さんと、索敵能力に優れた障子さんの二人を相手にするのは流石に無理なのではと考えてしまう。

 

「おっと、八百万少女、機械島少女が心配かい?」

 

 オールマイト先生が私に問いかけます。しかし、当の先生はミシェルさんが一人でBチームのお二方を相手取る事になんの心配もしていない様子。

 

「ええ、ミシェルさんはお友達ですもの。オールマイト先生は心配していないのですか?」

「うーん、正直可哀想とは思っている」

「でしたらどうして!」

 

 一人で複数の敵を相手にすることを可哀想と思っているなら、どうしてミシェルさんを行かせたのか。そう問おうとすると、オールマイト先生に手で押し止められてしまいました。

 

「すまない、八百万少女。誤解をさせてしまった、私が可哀想だと言ったのは機械島少女では無い、轟少年たち、Bチームに対してだ」

『え?』

 

 オールマイト先生の言葉に私を含め、私達の会話を聞いていたクラスメイト全員が疑問の声を上げる。

 

「正直に言って、彼女の実力は君たち全員をぶち抜いて周回遅れにするレベルで高い。それこそ、実力だけなら今現在ですらプロヒーローに混ざっても問題ないほどに」

「そんなに…ですの?」

 

 オールマイト先生の言葉に、モニターに映るミシェルさんの姿がとても遠いもののように見えてしまいます。

 

「まあ!だからと言って気に止む必要はないさ!RPGで言えば彼女はレベルが50あるようなもの、対して君たちはレベルが10にも満たない初心者マーク。今追いつけずとも、必ず彼女に追いつき、追い越せるとも!私が保証しよう!君たちは必ず一流のヒーローになれる!!!校訓にもあるだろう!そう!」

 

 

『『『『Puls Ult「あ、ムッシュ時間に」

 

『『『………』』』

 

「あー、おほん。機械島少女!開始時間だ!訓練を始めてくれ!」

 

 

◇機械島ミシェル

 

 

「機械島少女!開始時間だ!訓練を始めてくれ!」

「わかりました、始めます」

 

 被ったヘルメットの中でオールマイト先生の声を聞く。これから制限時間までに核兵器を確保するか、ショートとメゾーの二人を確保テープで捕まえるか気絶させなければならない。

 

「じゃ、早速突入!の前に、まずは索敵からだよね。“フィンガードローン”」

 

 機械化した両手から全ての指の第一関節から先、指先が分離し私の周りを飛び回る。

 

「ドローン1〜10、ヘルメットディスプレイとの同期確認。それじゃいってらっしゃい」

 

 私から放たれた十機のドローンはビルを取り囲むようにして展開する。ドローンの番号は左の親指から小指にかけて1〜5、右の親指から小指にかけて6〜10。

 私の被るヘルメットの内側にはドローンから見えるビルの様子が映し出されている。とりあえず、一階部分の窓から見える部屋や範囲には確保目標、敵の姿は無い。

 

「“ドローン上昇”」

 

 私からの命令にドローンは忠実に従い、二階、三階と高度を上げていく。結局、最上階である五階までの窓から見える場所には核兵器や敵は見つけることはできなかった。となれば、設置場所は1から5階までの各階の中心にある窓の無い部屋に設置してあるってことだ。

 

「“全ドローン、一階の窓から侵入開始”」

 

 ビルを包囲させたまま一階の窓まで高度を下げ、全機で一斉に窓ガラスを破りながら突入させる。そのまま一階を隈なく捜索させるが核兵器、敵共に発見出来ず、勢いそのままに二階も捜索するがここも空振り、そして三階へ登る階段で異変を発見した。

 

「なるほど、籠城するならショートの個性は使い勝手いいね」

 

 階段が氷で埋められ、物理的に三階へ行くことが出来なくなっていたのだ。

 

「“全ドローン、ビルの外へ”“その後、五階から再侵入”」

 

 即座に指示を変更して最上階からドローンを侵入させる。

 素早く五階の索敵を済ませて四階へと突入させる。四階の階段には三階の時のような氷での封鎖はされていなかった。そのまま四階の探索も終えて残りは三階部分だけ。ここに二人と核兵器がある事が確定した。万が一彼らが四階に逃げた時にわかるように、右手のドローンを三階と四階を繋ぐ階段に待機させ、左手のドローンだけを3階に突入させる。

 3階にドローンを突入させた瞬間、突如としてドローンからの通信が途絶した。ヘルメットディスプレイに映されている左手のドローン映像は砂嵐を起こしているが、残る右手のドローンの映像、そして、ドローンにしても残っている指の感覚から氷漬けにされた事がわかった。

 このビルの階段は各階に一箇所ずつ、張っていれば確実に見つける事ができるが、凍らされたタイミング的に私のドローンを発見してから凍らせたと言うよりも、範囲に入った瞬間に凍らされたって言う方が近かったように感じる。これメゾーにバレてるや。フィンガードローンの出す音なんて蠅の羽音よりも小さくなるように設計されているはずなのに凄いな。

 ただ、そんな極小音すら聞き分けられるって事がわかったのは大きい。新たに得た情報を組み込んで作戦を修正する。先ずは、

 

「フィンガードローン1〜5を放棄」

 

 氷漬けにされて使い物にならない指を放棄する。別に指の五本や十本、()()()()()()()()()()()()()()()、事実放棄した瞬間には既に私の個性で補填され欠損など無くなっている。ただ、右手の指はそのまま欠損の状態を維持している。私の個性の制限だね。あのドローンたちは切り離されていても、いまだに私の指として繋がっている状態なのだ。ここで欠損として指を直してしまうと、五本の指に十本の第一関節という形になってしまい私の定めた手の定義から外れてしまい、私の個性の制御から離れただの生ゴミと化してしまう。フィンガードローンを使用する上での注意事項の一つだ。

 左手を開け閉めして正常な動作が行なわれるか確認をしつつ、作戦を次の段階に移行させる。

 

「クイーンビー起動」

 

 本来ならこんな起動確認なんてせずにさっさと飛び立ってしまうのだが、一ヶ月近く空港やらなんやらで足止めをされていた事が不安だったのでしっかりと確認をしながら背中のクイーンビーを動かす。

 うん、問題はない。私の思うように動いてくれる。

 動作確認を終え、そのままゆっくりとジェットの出力を上昇させる。背後から甲高い大音量が溢れ出す。

 さて、コレで私が今から仕掛けるって言うのがバレちゃうけど、まあ、問題はない。元から隠す気もないし、コレはただのパフォーマンス。でも中にいる敵にとっては迷惑だろうね。特に()()()()()()()()()()()も聞き分けられるような敏感なセンサーを持っている人なんかは一溜りもないんじゃ無いかな。

 少しずつ上昇させていったジェット出力がついに閾値を超え、私の体は重力の頸木から解き放たれる。宙に浮いた私は一瞬だけ空中で留まってためを作り、次の瞬間には急加速し窓を突き破って三階へと侵入した。侵入したのは西側の真ん中の部屋、部屋の扉を出てすぐに中央の部屋の扉が目の前にある部屋だ。ここからは速度が命、敵が攻撃をする前に何もさせずに制圧する。

 扉を蹴破り、一直線に中央の部屋へと向かう。扉を蹴破った瞬間、視界の端で廊下の隅にメゾーが目を回して倒れているのが見えた。おそらく私を探すために全力で個性を聴力に当てていたのだろう。そこにクイーンビーの大爆音を流し込まれたものだからショックで気絶してしまったのだ。少なくともすぐに起き上がってくる様子が無い事を見てとると中央の部屋の扉を蹴り開ける。

 

 扉の向こうにあったのは紅白頭の少年が床に手を当て、虎視眈々と部屋への侵入者(わたし)に向けて大氷壁をもって撃破しようと待ち構えている姿だった。

 

 

◇轟焦凍

 

 「喰らえ!!!」

 

 勝った!

 

 個性を発動した時、そう確信した。

 ドアを開けるにしてもブチ破るにしても、そこに何か動きがあった瞬間に個性を最大限に使って相手ごとこの部屋を閉ざす。普通の相手なら俺の凍結に巻き込まれて行動不能になるし、万が一避けられたとしてもこの部屋にある唯一のドアは俺の氷壁によって閉ざされる。タイムアップが敵チームの勝利である以上、個性を発動させた瞬間に俺の勝ちは決まる。

 

 そのはずだった。

 

Oops(おっと)危ない危ない」

 

 そう言ってあいつは、機械島はまるでガラス細工かのように軽々と俺の氷を打ち破った。

 

「なっ!?くそ!もう一発!」

 

 もう一度氷壁を張ろうとする。

 

「残念!次はないよ」

 

 その言葉が聞こえた瞬間、気づけば俺は顔を鷲掴みにされ、気づいた時には後頭部を床に叩きつけられていた。

 

「っ!?ァア!!」

 

 目の前が眩むほどの衝撃に耐えながら、今も顔を掴む腕に触れようと右手を伸ばす。わずかでも右手で触れさえすれば、一瞬で凍結させられる。

 その思いで伸ばした()()は、その半ばで細い紐のようなもので縛り上げられた。

 

『轟少年確保!その場で動かないようにな!』

 

 腕につけられたのは確保テープだった。

 痛む頭を押さえながらあいつを見ると、今まさに確保目標である“核兵器”に触れるところだった。

 

『ヒーローチーム!WIN!!』

 

 耳につけたインカムからヒーローチームの勝利判定が出された。

 しかし、俺はそんな勝敗の結果よりも一つの事実に打ちのめされていた。

 俺の個性が凍結が真正面から負けた。それよりも無意識のうちに左を、炎の個性を使おうとしていた。

 その事が何よりも苦痛だった。

 

 無意識のうちでも左に頼ろうとした自分に嫌悪を抱いていると機械島が近寄ってきた。

 

「だ、大丈夫?もしかしてまだ頭痛む?ごめん、強く叩きつけすぎたかも…」

「…いや、大丈夫だ」

「でも、なんかすごい辛そうだよ?本当に大丈夫?」

 

 俺が顔を顰めていたのを自分が強くやり過ぎたと勘違いしたらしい機械島。

 

「ああ、頭は痛いは痛いが、顔を顰めていたのは別の事だ」

「そっか、…何か話聞くだけなら聞くよ。話して楽になることもあるだろうし」

 

 何を勝手な、そう吐き捨てようとしてふと思い出す。昨日、機械島が自分の個性の事を説明している時の事、前後の会話は聞いていなかったがただ一つ、『個性婚』と言う単語だけは聞こえた。もしかしたらこいつも俺と同じ苦しみを知っているんじゃないか、少しだけなら打ち明けられるんじゃ無いか。そう思えた。

 

「そう、だな。また時間がある時に、相談乗ってもらっていいか?」

「もちろん!」

 

 そう言って差し出された機械島の手を握って立ち上がる。

 

「ヘイヘイ少年少女!青春もいいが授業時間もあと少しだぜ!講評の時間だ!地下へ行こうぜ!!」

 

 いつの間にか壊れた扉の枠にオールマイトが寄りかかってこちらを見ていた。その表情は何処か生暖かい。

 一瞬で顔面が沸騰する。てか、今のやり取り、モニターでクラスの奴らに…!

 

 




忘れてた、感想の回答
・国立のスポンサーってなんだよ
→私にもわからん、私は感覚で書いている
・尻とタッパってどれくらいよ
→なんの数字かは知らんけどこんなん落ちてた【175〜200】【58〜600】
おまけでこんなんもあった【85/59/90】なんの数字かは知らんけど!
・メタリカ…ジョジョ…キョーカ強く生きて
→メタリカ好きよ、てか暗殺チーム散りザマも含めて割とみんな好き!キョーカはコレからもいろんなとこで擦り続けます。ただ、今回は少し使いすぎたかも、乱用厳禁一回の連投で一回が適量な気がする
以上、コレからも基本的に感想に対しては個別返答はしない予定!投稿するときにまとめて確認するのでそのときに溜まっている量によってここに書くか、活動報告に書くか決める!
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