鉄翼少女のヒーローアカデミア   作:蚊帳 夕

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よろしくお願いします(OWO)



少女と学級委員長

 

 戦闘訓練を乗り越えた翌日、爺やが運転する学校に向かう車の中、私は爺やに揶揄われていた。

 

「ほっほほ、聞きましたぞお嬢様。何やらとある男子といい関係になりそうだとか」

「爺や!?どこからそんな話を!?」

「コレでもこのじじい、それなりに長く生きておりますので、至る所に知り合いが居るものです。それでお嬢様はその男子とはどうなのです?」

 

 爺やの手が広すぎる。多分ショートの事を言っているのだと思うけど、あの場のことを知っているのはクラスメイトだけのはず……まさか、オールマイトが!?いや、流石に無い…とも言い切れないか、あの人なんとなく私生活ポンコツそうだし。昨日の授業で触れ合った短時間でも結構抜けてるところが見受けられたから。

 

「いえ、おそらく今お嬢様が考えている方とはまた別ですよ。施設整備スタッフの中にも当グループからの出向者も居ますので」

 

 よかった、プライベートで仕事の機密情報をポロリするオールマイトなんて居なかったんだ。て言うか。

 

「爺や、今ナチュラルに私の考えを読みました?

「ほっほほ、いえ、顔に出ておられましたよ。長く生きているとなんとなく、相手の考えている事が経験から予想できるようになるのですよ。それより、ほら、お嬢様が気になる男子の話を…」

「もう!顔からわかるなら言わなくてもわかるでしょう!」

「いえいえ、やはりこう言った事はお嬢様本人の口から聞きたいのです」

 

 くっ、この爺やお茶目に見えて意外と意地悪だ。

 

「ショートは別にそんなんじゃありません。戦闘訓練の時に思いっきり頭を床に叩きつけたので心配したんです!」

「ほう、名前はショートと言うのですか。しかし、そのショート少年も可哀想に、お嬢様に床に叩きつけられるなんて。……うっかり頭を潰してしまってはいませんよね?そう、熟れた柘榴のようにパーンと」

「していません!爺やは私をなんだと思っているんですか!?」

「ほっほっほっ!」

「爺や?答えてください爺や!」

 

 学校に近づくと、校門前に人集りが見える。全員マイクやらカメラやらを構え雄英生徒を今か今かと待ち構えている。マスコミだ。あの人数もはや人集りっていうか人の壁みたいになっている。入学式の時の人数よりも数倍以上の人数がいるように見える。

 

「うわ、きも」

「お嬢様、気持ちは分かりますが安易に言葉に出さないように、もしくは言葉遣いを気をつけてください」

「くっそ、気持ち悪いでございますわ」

「そういうことではありません」

 

 雑なコントにもしっかりと反応してくれる爺や好き。

 それはそれとしてどうしたものか、入学式の日はまだ車を横につけられる程度のスペースがあったのだけど、今回は本当に隙間が無い。

 

「仕方ないか、爺や行ってくる」

「お待ちくださいお嬢様、流石にこの人混みは目に余ります。私も同行しましょう」

 

 人混みに飲まれる過去具を決めていると爺やが一緒に行ってくれる事になった。

 人の壁に近づくとマイクを持ったリポーターが津波のように押し寄せてくる。正直ちょっと怖い。

 

「失礼します!お時間大丈夫ですか!大丈夫ですね!オールマイトの授業はどんな感じですか!?」

「平和の象徴が教壇に立っているという事で、どんな様子ですか!?」

「オールマイトが教師をしているという事についてどう思います?」

「オールマイトが赴任してから学校の雰囲気はどうですか!?」

「オールマイトが来てから何か事件は!?」

「オールマイトに学んでいるという事で、どんなヒーローを目指しますか!?やはり戦闘系のヒーローに!?」

 

 四方八方からマイクを突きつけられ、矢継ぎ早に質問を投げつけられる。コメントを求めて押し寄せるマスコミと私の間に爺やが割って入ってきた。

 

「失礼、そこの貴方、どこの所属ですか?」

「え、○○テレビの」

「ありがとうございます。そこの貴女は?」

「$×$メディアです!それよりもそこの生徒の応えを!」

 

 リポーター達の声を無視してそれぞれの所属を聞き出していく爺や、淡々とした爺やの様子に嫌なものを感じたのか勘のいい幾つかのメディアが距離を開け出す。

 

「みなさま、ご協力ありがとうございます。この度の件は後ほど然るべき場所を通してみなさまの会社上層部に直接お話しさせていただきますので」

『『『『え?!』』』』

 

 爺やの言葉にさっきまでうるさい程にコメントを求めていた声が一斉に静まる。

 

「ちょ、ちょっと爺さん!どういう事だよ!?」

「そのままの意味ですが?」

 

 殆どのメディアが爺やに発言の意味を知ろうと詰め寄る。

 チラリと爺やが目配せした。今、メディアのヘイトは殆どが爺やに向けられている。校門を潜るのに絶好の機会だろう。

 のらりくらりと追求を躱わす爺やを置いて校門を潜った。多分だけど爺や、本当に機械島グループを通して各社に釘を刺すんだろうな。明日からの登校が楽になるといいけど。

 教室には既に数人のクラスメイトが来ており、みんな一日が始まったばかりだというのに疲れ果てたような顔をしていた。

 

 しばし時間が経ち、ホームルームの時間。

 教室に入った相澤先生から早速いくつかお小言を賜る。殆どは昨日の戦闘訓練でやらかしたバクゴーとイズクに向けてのものだった。バクゴーには子供じみた癇癪はいい加減やめろ。と、イズクには毎回毎回体を壊して解決は先が無いと。しかし、同時にそれぞれがそこをクリアすればできる事は飛躍的に増える。と期待を込めた言葉も言っていた。

 ちなみに私には、何のためにわざわざペアを組ませて戦闘させたのか意図を汲み取れ。と言われた。確かに、開始前にイズクが言っていたように「急造チームでの連携」を見られていたのであれば私の行動はそれに真っ向から歯向かう形になる。一人だけじゃ限界がある、仲間がいれば何でもできる。至言だと思うよ。

 

「さて、HRの本題だ…急で悪いが今日は君らに…」

 

 相澤先生の言葉に、私たちに緊張が走る。これまでの悪行(突発的な個性あり体力テスト)から、また抜き打ちで何かやらされるんじゃ無いか。そんな空気が教室に流れる。

 

「学級委員長を決めてもらう」

『『『学校っぽいの来たーーー!』』』

 

 前から思ってたけどこの先生、実は結構ノリ良いな?雰囲気で勘違いさせられたけど、こういった感じで下げてから上げる感じが芸風なんじゃ無いかな。個性把握テストの時、ラストの持久走でいつの間にかゴールにわざわざゴール板設置されてたし、私とモモの差し合いもつれあいのゴールに対して競馬みたいな順位の発表もしてた。ただの厳しくて怖いだけの先生じゃない事がわかって嬉しい。

 

「はいはいはい!委員長!!やりたいですソレ俺!」

「ウチもやりたいス」

「ボクの為にあるヤツ☆」

「リーダー!!やるやる!!!」

「俺にやらせろ!」

 

 委員長を決めるのに全員が自分がやりたいと主張する。もちろん私も手を挙げているし、何なら自己主張が苦手そうなイズクも小さく手を挙げている。

 

「静粛にしたまえ!」

 

 私たちが騒ぎ始めるなか、イーダの声が響き渡る。

 

「多を牽引する責任重大な仕事だぞ…!“やりたい者”がやれるものではないだろう!!周囲からの信頼があってこそ務まる聖務…!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというなら…!」

 

 ……確かにイーダの言ってる事は正しいと思うよ。

 

「これは投票で決めるべき議案!!!」

「手!聳え立ってんじゃねーか!なぜ発案した!!!」

 

 でも、発言と行動が噛み合ってないの結構滑稽だよ。

 結局、相澤先生は時間までに決まれば決め方は何でもいいようで、全員1票ずつ持ち、好きな人に投票する事になった。

 そうだね、じゃあ私はモモに投票しよう。頭脳明晰、冷静沈着、真面目でなんだかんだノリもよく学校が始まってから一番仲良くなった相手だし。

 

 

 投票の結果

 

緑谷出久 3票

八百万百 2票

 

 ということで委員長はイズク、副委員長にはモモ決まった。ちなみに投票を提案したイーダの結果は、

 

飯田天哉 0票

 

 と何とも残念な結果になってしまった。それと…

 

機械島ミシェル 1票

 

 私はモモに投票したから、誰かが私に投票してくれていたみたい。誰かは分からないけど私を委員長に相応しいと思ってくれた子がいるっていうのは嬉しい。

 

 

 午前中の通常授業が終わり、お昼休み。

 

「なあ、機械島、ちょっと「ミシェルさん!一緒にお弁当を食べませんか!?」

 

 早速お弁当を食べようと屈んでバックからお弁当箱を取り出そうとしていると、前方から男の子の声が、後方から聞き慣れた女の子の声が聞こえてきた。立ち上がって確認すると前方にはショート、後方にはモモがいる。とりあえず、先に声をかけてくれたショートの話を聞こう。

 

「えっと、モモごめん、先にショートの話聞くね?」

「ええ、構いませんわ。私が途中で割り込んでしまった形になってしまいましたから」

「ありがと、それでショートどうしたの?」

「ああ、いや。昨日言ってたお前に相談したい事があったんだが…また今度にする」

「いいの?モモと一緒にお弁当食べるだけだからあんまり気にしないで良いのに、何ならショートも一緒にたべる?」

「まあ!それは良いですわね!轟さん、どうですか?一緒に食べませんか?」

「…いや、遠慮しとく。それにあんまり大勢に聞かせるようなもんじゃねぇしな」

「そっか、じゃあまた今度!今度はちゃんと時間取って二人っきりで話そっか」

「ああ、頼む」

 

 こうして今日はモモとお弁当を食べる事になった。

 

 しかし、私は知らなかったこの話はとある人物達に聞かれていたことに、今はその本性を出していないA組の恋愛脳な出歯亀女子達に…。これが私に炸裂するのはもう少しだけ後の話。そして、私の悪あがきでオチャコに流れ弾が被弾し巻き添え被害が拡大することも、まだ誰も知らない。

 

 

 

「それにしてもミシェルさんのお弁当、素敵ですね」

「まあね、お婆様専属の料理人の方が私の個性に合わせて毎食毎食しっかりと計算して作ってくれてるんだよ。そういうモモのお弁当も美味しそう」

「ええ、私のお弁当も当家のシェフが特別に誂えたものですわ。ただ、私の個性の関係で少々脂質が多くなってしまうのがお恥ずかしいところです」

 

 

 私たちが机の上に広げたお弁当は色どろりや栄養バランスが整っている事は勿論だったが、如何せん量が少々多かった。モモのお弁当は脂質が多く含まれる食品が、私のお弁当は偏りこそないが全ての料理が少しずつ多い。

 

「食べて溜め込むタイプの個性ってやっぱり大変だよね」

「っ!そうですよね!個性の関係上仕方ないとは言え人よりも多く食べる事で大食いだとか、脂質を多く摂取しなければいけない以上必然的に高カロリーの物を…いくら個性で体に出ないとは言え私も思春期、気になるものは気になりますわ」

「わかるわかるー!私もアメリカでピザとかコーラばっかり食べてたし、たまに揚げバターとかも食べてたんだけどその時に周りからの『マジかよ』みたいな視線つらかったもん」

 

 やっぱりモモは話が凄く合う!あまり理解されない溜め込む個性持ちの女子あるあるで盛り上がっていると1人の修羅が割り込んできた。

 

「全ての女子を敵に回した奴らはァーココカァア!!!」

「「うわぁ!?キョーカ(耳郎さん)!?」」

 

 割り込んできた修羅の正体はキョーカだった。しかし、今回、修羅は一人ではなかった。

 

「それはアタシもずるいと思う」

「けろ、甘いモノをいろいろ気にせずに好きなように食べれるのは羨ましいわ」

「私も狡いかなって思うな」

 

 学食に食べに行ったオチャコを除いた全ての女子を私とモモは敵に回してしまっていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください、何も私たちは自慢をしていたのではなく似通った特徴を持つ個性同士の苦労を…」

「それでも!スイーツを好きに食べるのはズルい!!」

「ケーキ…摂取カロリー…糖分…体重…お腹周り…」

「つまりミシェルとヤオモモはこういった女子の永遠の問題と無縁にケーキを食べれたって事だよね」

「それはちょっと不公平かなーって」

「それでいて“私太らないけどぉ、全部胸に行っちゃってー”ってかぁア!?おのれぇええ!!」

 

 荒ぶるキョーカを無理やり押し留める。

 

「ごめんキョーカ、先にお弁当食べさせて。まだ結構残ってるしお昼休みも無限じゃない」

「そ、そうですわ!せっかく個性を考えて作っていただいたものを残してはいけませんから」

 

 モモも話に乗ってくれたし、キョーカ自身も食事の邪魔をしている自覚はあったのか大人しく引き下がってくれた。

 

「さて、さっさと食べてしまおうか」

「ええ、そうですね。早く耳郎さんを宥めなくては」

「え?宥めるの?」

「え?」

「え?」

 

 ここでモモと意見の相違が。

 

「宥めませんの?」

「うん、てっきり“大きくて辛いわぁ、肩こり酷いし、屈むとつっかえて邪魔だし、足下見えなくて危ないしぃ、大きくてもいいことないよぉ”みたい感じで徹底的に煽り倒すのかと」

「そんなことしませんわ!?」

「でも、持っているものを最大限に誇示するのは持っているものの当然の権利だよ?」

「……」

 

 モモに悲しそうな顔をされたのでキョーカは宥める方向で行く事にした。

 その時、学校中を警報が駆け巡った。

 

「うわ!?いきなり何!」

「セ、セキュリティレベル3!?雄英バリアが破られましたの!?」

「えぇ!?あのバリア破られたの!?私でも割と全力じゃ無いと壊せそうになかったんだけど!?」

 

 事態の緊急度と危険度を大幅に上昇させる。

 ちなみに私の“割と全力”とは戦術ミサイルの直撃に匹敵する火力を出す事ができるレベルだ。そんな火力を出せる奴が校舎内に侵入したかも知れない。

 

「お前ら落ち着け!」

 

 慌てふためく私たちの頭が物理的に冷やされる。ショートの凍結だ。教室全体を急激に冷やすことで全員に効果的に気つけをしたのだ。

 

「お前ら落ち着け、窓から下見てみろ。ただのマスコミだ」

 

 ショートに促されるまま窓に近づき、恐る恐る下を覗くと、確かに一階に張り付くマスコミの姿が見える。

 ほっとした空気が流れ、教室の混乱は収まるが腑に落ちない感覚が残る。果たして朝に見たあのどうしようもないメディアが、それも英国のガチガチに気合の入ったパパラッチでもない、ぬるい日本のメディアにあの雄英バリアーを突破出来るような奴が居るのかという事。私の中に言いようのない大きな疑問を残して、その日の事件はマスコミの侵入という事で処理されてしまった。

 

 なお、その後の午後のヒーロー基礎学で委員長に選ばれたイズクから、『マスコミ侵入時に大勢をあっという間に纏める事ができるリーダーシップ」とか何とかでイーダが委員長に推薦され、委員長を交代した。

 まあ、本人達が納得してるならそれで良いけど、横にいるモモの表情もちゃんと見よ?何とも言えない微妙な顔してるよ。得票数2だったのにいきなり0票のやつが委員長に繰り上げられたらそんな顔にもなるよね。

 

 

 

 

 

 

 




多分一階は職員室とか保健室とかそう言うのが入っていて教室は2階より上にあると妄想。
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