文化祭でハルヒが歌うだけの話   作:リーグロード

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急いで書き上げようとしたのだが、思ったよりも時間が掛かってしまった。
どうか、このノロマな亀を許してくれ!!!


敵情視察する私の憂鬱

 事件はそう、私たち秀華高校軽音楽部の文化祭ライブの練習中の一言がきっかけだった。

 

「そういえば知ってる? 今年の文化祭、私たち以外にも参加するんだって……」

 

「ちょっ……! 馬鹿、そんなこと言ったら」

 

 練習の休憩時間中にふとクラスメイトである生徒会のメンバーから聞いた情報を何気なく口走る三浦に、慌てて小森が話しを遮ろうとするが、時すでに遅し。

 

「なにそれ!? つまりアレね! ライバル登場ってことね!」

 

 三浦の言葉に反応したハルヒが立ち上がる。

 それを見た小森はあちゃ~っと手で顔を覆い、この後の展開が容易に想像できる。

 

「ねえねえ、そのライブに出演する人達って誰なの?」

 

「はぁ~、こうなるのが分かってるからその事を黙ってたのに……」

 

 テンション上げたハルヒの言動に小森は溜め息まじりに呟く。

 

「さあ、どこの誰かまでは聞いていませんよ。知っているのはどこぞのバンドが参加するってことだけよ」

 

「なら、生徒会に突撃よ!! 敵の情報を知らなければ対策も練れないわ!!」

 

「敵じゃないと思うけど……」

 

「そうと決まれば早速行くわよ! 善は急げよ!」

 

 1人テンションを上げるハルヒだが、他の3人はまるで違った。

 

「ええ~、面倒くさい~」

 

「そんなことより練習の方が先でしょうに……」

 

「小森さんの言う通りだよ。そもそも敵なんていないでしょう。ただ単に他のバンドマンが参加するってだけじゃない」

 

 むぅ~! 皆が私のことを雑に扱ってくる。なにさ、これじゃ私1人だけ馬鹿みたいじゃない!!

 

「いいもん! いいもん! だったら、私1人で生徒会に行って聞いてくるから!! べ~~!!!」

 

 バンッ! と部室の扉を乱暴に締めてドタバタと生徒会に向かって走っていった。

 

「舌出してべ~って、あの子何歳よ。まったくも~」

 

「今年で確か17歳じゃね? 本当、そういうところがめちゃ可愛いんだけどね」

 

「三浦ちゃんって~、ハルヒちゃんがいなくなるとポロッと本音をこぼすよね~」

 

「なっ!? 何言ってるのよ!!?」

 

 長門のイジリに三浦が顔を真っ赤にして反論しようとするが、その態度が何よりも物語っている。

 常日頃からハルヒに悪態をつく三浦だが、内心ではこの3人の中で一番ハルヒのことを想っている。

 

「素直じゃないな~」

 

「ちょっ、長門ぉ~!!」

 

「はぁ~、2人共。そろそろ練習の再開よ。あのアホハルヒが行っちゃったぶん、私たちがしっかりしないと!」

 

「「はぁ~い」」

 

 それから私たちは練習を再開した。えっ、ハルヒのことはいいのかって? 

 まっ、子供じゃないんだし、適当に満足したら帰ってくるでしょう。(多分)

 

 

 

 ♦

 

 

 

「ふん! いいもん、いいもん。私1人で生徒会へ突撃してやるんだから!!」

 

 プンプン! と怒りながら廊下を歩く。

 私は勢いのままに生徒会長のいる生徒会室前へとやって来た。

 

「たのもー! 眼鏡ちゃんはいる~?」

 

「んなっ、また貴方ですか、秀華高校の問題児!?」

 

 バン! と勢いよく扉を開けるとそこにはいつもの見知った顔があった。

 私が1年生の頃からの付き合いのある生徒会長である通称眼鏡ちゃん。

 

「まったく、いつもながらに失礼ね! 私のような常識人を捕まえてなんてこと言うのよ!!」

 

「はぁ? 貴方、ご自身を鏡で見たことは無かったのかしら?」

 

「ん? 喧嘩売ってるの?」

 

 一見険悪そうな雰囲気に見えるけど、こういったやり取りは彼女が生徒会長になってからはいつものことなので問題はないわ。

 

「それで、一体今度は何の用件で生徒会へ来たの?」

 

「それは勿論、今度の文化祭で私たち軽音楽部以外にもライブする人たちがいるらしいじゃない!」

 

「ええそうですが……」

 

「その人達のこと教えてちょうだい!」

 

「いや、そういうのはあまり他人に教えちゃダメなんだけど……」

 

 規則として個人情報を他人に漏らすのはご法度。

 それも秀華高校の問題児ともなれば余計に駄目だろう。

 

「ああ……、これがそのバンドの申込用紙ね!!」

 

「って、ちょっと!? 何勝手に部屋に入って探ってるのよぉ!!!」

 

 いつの間にかしれっと生徒会室に潜り込んでライブの申込用紙を見つけ出している。

 

「いいじゃない別に、この間もイベント行事の際に人手が足りないって言うから私が臨時で生徒会のお手伝いして助けてあげたでしょ。それでチャラってことで!」

 

「ぐぬぬぬぬ……!!」

 

 むふふふ、私の偉大なご恩にぐうの音も出せないようね。

 さあ、眼鏡ちゃんが唸っている今のうちに目当ての子の名前と学年クラスを見つけるわよ! 

 

「ふむふむ、なるほどね。後藤ひとりと喜多郁代、それと学外のバンドメンバーか……。どっちも1年生ね! そんじゃ、ちょっと偵察に行きますか!! じゃあね、眼鏡ちゃん!!」

 

「ああもう、あまり下級生を困らせないように!!!」

 

 すでに走り去っていくハルヒの背に向けて多分意味の無い注意を飛ばす生徒会長。

 実際にハルヒの耳にはもう生徒会長の声は聞こえておらず、アハハハ♪ と笑い声を上げて階段を駆け下りていった。

 

「さて、ここが一年のエリアね! さ~て、どの子が無謀にも私たち軽音楽部に挑んできた命知らずのバンドマンかしら?」

 

 無遠慮に廊下を突き進みながら辺りを見渡すハルヒ。

 すれ違う生徒たちは上級生の、それも見るからにヤバそうな女子生徒が自分たちの教室に向かっているという光景に道を譲るように端に避けていく。

 

「ねえ、あれもしかして噂の涼宮先輩?」

 

「噓、なんで一年の教室に!?」

 

 この秀華高校で一番の有名人の襲来にざわめき立つ。

 ただ、遠目から見てはいるが厄介者というより、アイドルや芸能人を見るファンのような視線ばかりで、涼宮もそういった視線に慣れているのか、あまり気にはしていなさそうだ。

 

「う~ん。一応は偵察で来てるんだし、こ~う、陰からこっそりと確認したんだけど……」

 

 っといっても、探している目当ての人物のクラスと名前しか分かってないから、誰か1年に聞くしかないんだけどね。

 さ~て、誰か適当に捕まえて聞き出すとしましょうか。

 

「うん! 貴方がいいわ。ちょっと私に付き合いなさい!!」

 

「ふぇ!? な、なんですか、涼宮先輩!?」

 

 なんかキョドっている気の弱そうなおさげの後輩を捕まえて、今回の目当ての人物がどこにいるのか教えてもらう。

 

「えっと、後藤さんって人は知らないけど。喜多ちゃんならあそこの席に座っている子がそうです」

 

 ふむふむ、どれどれ~? 

 

「っでさ~」

 

「え~、メッチャ可愛い!」

 

「喜多ちゃんもこのメイクやってみなよ~」

 

 女子に囲まれている中心の赤髪の子。あの子が喜多ちゃんね。

 

「なるほど、私たちに挑むだけのことはあるわね。いいわ! この私の美少女スカウターで相手の力量を見極めてあげる!」

 

「び、美少女スカウター?」

 

「説明しよう! 美少女スカウターとは、容姿、ファッション、雰囲気の3点で相手の美貌を計測する私独自の技術なのだ!!」

 

「わ、わぁ~、凄いですね」

 

「ふっふ~ん。さ~て、喜多ちゃんの美貌力は~っ!? なっ、1000、2000、3000!? バカなもっと上がるだと!?」

 

 艶やかなキューティクル! パッチリとした可愛い瞳!! 校則に反しないさりげないオシャレに、それに合った麗らか系の雰囲気!! 

 なにより、あの子の周りから美少女特有のお星様キラキラオーラが漂っているわ!!! 

 

「間違いないわ! 彼女の美少女パワーは1万オーバーの紛れもない美少女よ!!!」

 

「へぇ~、確かに喜多ちゃん可愛いですものね。あっ、私はどうでしょうか?」

 

「…………、いいこと! 女は顔だけじゃないわ。中身も大事なの!!!」

 

 ポンと肩を叩いていい笑顔で親指を立てる。

 そうよ!女の子なんて顔よりも家事なんかの嫁力で勝負するべきだわ!うん!!

 

「いいんですよ。どうせ私なんか……」

 

「ありゃ、行っちゃった……」

 

 なんか肩をガックシさせてどっか行っちゃったな〜。

 ああ~、なんか悪いことしちゃったかな? でもま、明日には忘れてるでしょ(多分)

 

「さて、残りのあと1人。後藤って子は隣の教室ね。また誰かひっ捕らえて聞き出せばいいわね!」

 

 おっ! ちょうどいいタイミングで教室から出てくる子を発見! 

 早速その子をとっ捕まえて情報を吐き出させる。

 

「あの~、それで私にどういったご用件でしょうか?」

 

 さっきの子とは違ってキョドってはいないが、微妙にその表情から人見知りの気質を感じられる。

 いや、これはこの世界最強レベルの美少女に緊張していると言った方が正解かしらね。

 

 う~ん、罪づくりな私。美しすぎるっていうのは罪なのかしら? 

 って、そうじゃなくて。私は後藤って子のことを聞きたかったんだ! 

 

「ねえ、あんた! このクラスの子でしょ? だったらさ、後藤って子がどの子か教えてくれる?」

 

「後藤さんですか? ええ~っと、誰だっっけかな? ああそうだ。ほら、あの子。あのピンクジャージの子だった筈ですよ」

 

「ほむほむ。どれどれ~って! えぇっ!?」

 

 最初に喜多ちゃんを見たからてっきり後藤って子もキラキラした陽キャみたいなタイプの子かと思ったけど、見る限り完全なド陰キャじゃない。

 いや、制服じゃなくてピンクジャージってのはある意味ハデだけども。

 

「それにしても、髪もピンクってのはヤバいけど。纏ってる雰囲気が喜多ちゃんとは正反対ね。あの子はこうキターン! ってした感じだったけど、あっちの子はドヨーンって感じね」

 

 何故バンドマンをやっているのか不思議なくらいの暗そうなオーラを放ってるわね本当に……。

 あれじゃ私の美少女スカウターを使うまでも……っ!? 

 

「いや待て! あの子の鬱蒼とした雰囲気とピンクジャージに目を奪われてたけど、よく見れば顔は整っている。髪も手入れが杜撰でボサってしているけど、ロングヘアーの美女特有のキューティクルさが隠れている。まつ毛も長めだし、手もよく見ればきちんと手入れもされていい感じに細長いですって!!?」

 

 見誤っていたわ。彼女はまさしく加工されていない埃の被ったダイヤモンド。

 これはまるであれね。ハンターハンターでビスケがゴンとキルアを見つけた時の興奮と同じ気持ちだわ! 

 

「むっふ~! いいわね、あの子。私って前世でも正統派系のキャラじゃなくて、叩いたり磨いたりして光る俺ガイルの八幡とかカゲロウデイズのシンタローなんかが好きなんだよね」

 

 あの子を私好みにコーディネートしたいとキラキラした目で彼女を見つめる。

 

「…………っ!?」ゾクッ! 

 

「おっと、いけないいけない。今の私は敵情視察しに来てるんだった」

 

 私の邪な視線を感じ取ったのか、突然辺りをキョドりだす後藤さん。私は慌てて教室のドアの裏へ身を隠す。

 危ない危ない。まあ、別に見つかったところで問題なんかはないのだけど、せっかくだしこういうのはバレずに任務を遂行したいからね。

 

「ふふ、喜多ちゃんに後藤さんか~。文化祭で出会うのを楽しみにしておこうじゃない!」

 

 私はニヤリと笑うと、そそくさとその場から立ち去った。

 

 




ひとまず、ハルヒちゃんのキャラがこれで合っているのか不安なんだが。
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