文化祭でハルヒが歌うだけの話   作:リーグロード

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これでようやく書きたいとこまでかけました。
っていうか、ランキングの方に入ってないかな~って覗いてみたらまさかの20位近くにいたからビックリしますたわぁ~www

感想も貰えたので、比較的に早く投稿出来ました。
投稿早々に感想をくれたグタートさんや子菓子やジョージXさんに圧倒的感謝!!!


God knows

 体育館内は真夏の猛暑日かと錯覚するほどの熱気を帯びており、その熱気を作り出している中心となっているのが、秀華高校軽音楽部の部長にして問題児とうたわれた涼宮ハルヒだ。

 

 その衣装は学校という場には相応しからぬバニーガールという奇抜な装いだった。

 当初はその目によろしくない衣装で男性の観客から黄色い声を貰っていたが、それをシャラップの一声で黙らせてからの演奏は神がかっていると呼べるレベルであり、今では男性女性問わず、この場にいる誰もが熱い気持ちで純粋に彼女らの演奏に対して拍手喝采を送っている。

 

 1曲目、2曲目と成功を納め、ついに最後の3曲目に突入となったところで一旦ストップが掛かる。

 まあ無理もない。1曲目はともかく、2曲目はアイドルさながらの激しいパフォーマンスを見せながらギターを担いで演奏までしていたのだ。ただの文化部にあれをやり切れるだけの体力があっただけでも驚きだ。

 そして1分か2分くらい経った後、乱れた息を整えたハルヒがマイクを握りしめて声を張り上げる。

 

「よっしゃー! なら、私たち軽音楽部ラストの曲『God knows』いくわよ!!!」

 

「「「「「おおおぉぉぉぉ!!!!」」」」」

 

 観客のボルテージも最高潮に達し、もはや熱狂的とも言える歓声に包まれながら、ハルヒはドラム担当に振り向いてウィンクで合図を送る。

 それを受け取って、ドラムスティックがリズムよく打ち鳴らされたと同時に、ハルヒがこれまで以上の超絶技巧のギターテクを披露する。

 

 もはや歌う前から腰砕けになりそうなレベルだというのに、そこに追い打ちをかけるかのようにハルヒが歌いだす。

 

『渇いた~、心で駆け抜ける~』

 

 この歌を聞いて心が震えない者がいるだろうか? 

 世に出せば何十年と愛され続けられるであろうこの歌を!? 

 

 観客は勿論のこと、結束バンドのメンバーも全員聞き惚れており、あの酒クズバンドマンの廣井すらも酒を飲む手を止めて真剣な顔つきで舞台の上で演奏するハルヒら軽音楽部を見守っていた。

 

『私ついていくよ、どんな辛い世界の闇の中でさえ、きっとあなたは輝いて、超える未来の果て弱さ故に、魂こわされぬように、myway、重なるよ~い~ま~ふたりに、God bless……』

 

「すごいな……」

 

 自然と涙が溢れてしまう。これだけの歌を……、これだけの曲を魅せてくれるハルヒ先輩達に対して自分は何を魅せれたのだろうか? 

 機材トラブルのせいで2曲目で終わってしまい、結局最後まで演奏出来ずに終わってしまった。

 

 もし演奏前に緊張で固まっておらず、ちゃんと機材のチェックができていればという後悔に、ひとりは悔しさが積もる。

 そんなひとりの様子に隣に立っていた虹夏だけが気がつく。

 

「どうしたの? ぼっちちゃん」

 

「虹夏ちゃん。私……もっと頑張れたなって、ちょっと後悔しちゃって」

 

「それは私もだよ……。多分それはリョウや喜多ちゃんも同じだと思う。だって、こんなにも差を見せつけられちゃったらね……」

 

 ちょっと悲しそうな顔をしながらも、どこか嬉しさを感じているように微笑む彼女に私は?を浮かべる。

 

「でも、私たちは負けてないよ?」

 

「えっ?」

 

「だってほら、ぼっちちゃん緊張して前全然見てなかったかもだけど、みんな物凄く盛り上がってたよ?」

 

「あっ!」

 

 確かに人と目を合わせるのが苦手だったからずっと下を向いてたけど、それでも耳にはしていた。

 私たちの演奏に今みたく声を上げて盛り上がってくれたみんなの歓声が……。

 

「それでもまだぼっちちゃんが納得できないって言うんならさ、来年! 次の文化祭でもっと盛り上げちゃおうよ!!」

 

 おー! と元気よく腕を天井に向かって突き上げて笑う彼女につられて自分からも笑い声が出る。

 

「2人共、喋るのは止めて演奏に集中しなよ……」

 

 山田が珍しくまともな事を言う。ひとりはすみませんと謝るが、虹夏はリョウなんかに注意されるなんてと落ち込んだ。

 

『やめて、噓はあなたらしくないよ、目を見てこれからのことを話そう、私覚悟してる』

 

 いつの間にか曲が激しくなっており、見ればハルヒ先輩が全力で歌っている。

 そうだよね! もう後悔しても遅いんだ。だったら、今は思いっきり楽しまなくちゃ!!

 

『淡い夢の美しさを描きながら、傷~跡~なぞるぅぅぅ!!』

 

 顔が崩れる程に全力を出し切るハルヒ。それ程までにこの曲に真剣に取り組んでいるということなのだろう。

 そんなハルヒに引っ張られる形で他のメンバーも力を振り絞っているのが分かる。

 彼女たちの奏でる音色はとても美しく、聞く者を虜にする。

 

 それはまるで海上を旅する船乗りを唄で魅了するセイレーンのように、今の彼女らの歌にはそれだけの力がある。

 

『超える未来の果て、弱さ故に魂こわされぬように、myway、重なるよ~い~ま~ふたりに、God bless……』

 

 全てを吐き出し歌い切ったハルヒ。そして後奏が終了し、見事にやり切った軽音楽部の面々の姿が舞台上にはあった。

 そして、巻き起こる拍手喝采の嵐と感涙の涙が体育館中を埋め尽くした。

 

 それら全てを一気に受けた軽音楽部らは少々面を食らったように固まりながらも、ハルヒが笑顔でよし! と後ろを振り返ってこのライブの成功を喜ぶ姿を見て、他の面々も肩の力が抜けて脱力していく。

 

「みんな、今回のライブは滅茶苦茶盛り上がったわね。私もこの盛り上がりの立役者になれてほんっっとうに嬉しいわ!!」

 

 キラッキラの笑顔100%で笑いかけるハルヒの言葉に皆がイエーイ! と声を返す。

 

「でもね、この熱狂を作り上げたのは私だけじゃない!」

 

 そう言って後ろにいるメンバーにマイクを渡して、それぞれに自己紹介をさせていく。

 それが終わるとステージ中央にすぐ戻りこの状況を作れたのは仲間達の並々ならぬ練習の成果があったからだと声高々に宣言し、最後に一言。

 

「みんな! 今日は本当にありがとう! 最高に楽しいライブになったわ! また来年……って言いたいとこだけれども、私はもう3年生だから今年が最後! だから、この記憶と一緒に……軽音楽部の部室に今回の3曲が収録されているCDが販売されてるから、私たちの打ち上げ代の為に金を投げ捨てろぉ!!!」

 

 最後の最後で湿っぽさを台無しにする最低な台詞が聞こえたが、涼宮ハルヒという人物をよく知る秀華高校の生徒たちは笑いながら最低だぞ! やそれでこそハルヒだ! などと囃し立ている。

 

 こうして熱狂の嵐の中、楽器の片付けに入る軽音楽部を残して観客たちは体育館から去っていく。

 その人波のなかには当然結束バンドのメンバーも入っており、それぞれさっきまでの演奏の感想を言い合っていた。

 

「いや~、涼宮先輩たちの演奏凄かったですね」

 

「多分、ここにいる人たち、もう私たちの演奏なんて忘れてる」

 

「「「っぐぅ!」」」

 

 山田の言葉に3人がダメージを受ける。

 周りの人の声を聞けば全員が全員とも軽音楽部の音楽を褒める声ばかりだ。

 

 けれど、この結果も無理はない。だってあれだけのものを魅せられてしまっては文句など出るはずがない。

 それ以上に、来年から涼宮先輩が卒業していなくなるというのなら、次の文化祭は自分達が盛り上げていこうと気合いを入れる。

 

「まあ、ぼっち的には良かったんじゃない?」

 

「えっ?」

 

「だって、お陰でみんなぼっちがダイブしたこと忘れてる」

 

「あがががが……!!!」

 

 ぼっち自身も先程まで忘れかけていたトラウマが甦り、ガクガクと震えて顔面が崩壊寸前になる。

 

「ちょっ! なにしてんのリョウ!」

 

「わぁー! こんなとこで崩れないでひとりちゃん!!」

 

 騒ぐ結束バンドのメンバーを遠巻きに秀華高校の生徒にジロジロと見られているが、当の本人たちはそれどころではなく、今にも全身崩壊に繋がりそうなひとりの対処にてんやわんやしている。

 

 まばらに人が減った体育館の隅っこで、転がったカップの安酒を回収するきくりと、それを監視する星歌。

 やがて、体育館内に転がっていたカップを全て回収し終えると、ふぅ~っと一仕事終えたようにきくりが息を吐く。

 そして、もう楽器も全て片付けられた舞台上を眺めながらポツリと後ろで監視していた星歌に声をかける。

 

「……先輩」

 

「ああ……。ありゃ、次元が違うな」

 

 きくりが言いたいことは分っているのだろう。あれだけの技術力、バンドマンであればその技量の高さに度肝を抜かれるのは必須。それも、あんな妹とそれほど歳の変わらない女の子たちがやってるとなれば尚更だ。

 

「……っ」

 

 だがそれ以上に、燃えてしまった。妹の心配や歳の離れた小娘にこれだけの演奏を魅せられて悔しいと思う以上にバンドマンとして再び楽器を握ってみたいと燃えてしまったのだ。

 

「うひひ……、なんか先輩、昔みたいな目つきになってますね?」

 

「あぁん?」

 

「いや別に目つきが悪いって貶してるわけじゃないんすよ。ただ、バンドマンの目に戻ったな~って……」

 

 ニヤニヤと挑発的な笑みを浮かべながら、今は手元にない自身の楽器を構える振り、すなわちエアギターを披露してみせる。

 

「帰ったら、先輩のライブハウスで昔みたく一曲演奏してみませんか? なんなら、ぼっちちゃんたちも誘って……」

 

「バカが、私がどんだけギターを握ってなかったか知ってるだろ」

 

 呆れたようにきくりの誘いをバッサリと切って捨てる。

 そのことに残念とちょっと悲しそうな顔で回収したカップを持って体育館を出ようとすると、背後から聞き取れるかどうかの声量で星歌が呟いた。

 

「……まあ、お前とだけなら、久しぶりにやってみるのもアリかもな……」

 

「……っ! もう先輩ったら! 妹さんにカッコ悪いところ見られたくないだけでしょ? 本当にツンデレってぇ!? 痛い痛い!!!」

 

「それ以上言うと、お前の口を二度と開けなくすんぞ!」

 

 照れ隠しのためか、彼女の握力で余計なことを口走るきくりの口を無理矢理に塞ぎにかかる。

 

「まったく、たまに良いこと言ったと思ったら、本当にロクなことしか言わねえな」

 

 そのままゴミを捨てるようにポイッと地面に転がし、さっさと帰るぞと背中で語りながら去っていく星歌。その後ろを待ってくださいよ!と両手一杯にカップを持ったきくりが追い掛ける。

 




感想は貰えた……でも、もっと感想が!!具体的には40件以上の感想が欲しいんじゃ!!!

次回は打ち上げ回なんで、みんな感想よろしく!!!
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