『おや、またここにきてしまいましたか。』
ここはさきほど開いてしまった箱とは別の世界。
ラプラスの謎を追うべく、エリナリーゼとの旅を続けていればいいのに。
え?貴様がこちらに引きずり込んだのだろうと?
まぁ、お越しいただいた以上、無下にもできません。
何しろ、夢物語、言い方を変えれば妄想、こじつけですから。
いや、貴様の話は大体そうだろうと・・これは手厳しい。
では、お進みください。面白いという保証はしかねますが・・・
「続いて、これは私が以前いた世界での話になりますが」
この世界の成り立ち方に矛盾を伝えたルーデウスは更に話を続けた。
ルーデウスは紙に二本の線を描いた。片方の線の端から少し下がった箇所にもう一本の線が掛かっている。
「人」という漢字を書いて見せた。
「これは私のいた国の言葉で、ヒトを意味します。」
本来は近隣から伝わった言葉であったが、彼の国に渡り独自に発展した言葉だ。
「この人という文字は組み合わせや前後の言葉の並び方で発音がかわります。」
さらにルーデウスは文字を書き出した。
一人 (ひとり、いちにん)
何人(なんにん、なんびと)
秋人(人のファーストネーム、あきと)
そして
日本人(ルーデウスが以前所属した国の民族の呼び名 にほんじん)
「これは?」
日本人の読み方を説明している時、オルステッドは反応した。
「更にこれを書き加えてみましょう」
人の隣に神と書き加え、人と神の部分を丸く囲んだ。
「この組み合わせの文字を見せれば、私のいた国の者に読ませるとまず大体の人はこう読みます。」
「ヒトガミと、そして少数かもしれませんがジンシンと読む人もいるかもしれません。」
「・・・・」
オルステッドは目を瞑り、腕を組んで考えていた。
だからヒトガミに名乗られ、即に人の世界の神『人神』なのかと理解してしまった
ルーデウスは続けた。
「龍神語、海神語、天神語は分かりませんが、それ以外の言葉の文字は全て表音文字を使用しております。」
「表音文字?」
「表音文字は基本的に一つの発音に対し一つの文字を使います。その組み合わせで発音が変わったりしますが、文字自体に意味を持たせません。そして私の知る限りここの世界も同様です。」
「うむ、龍神語も同様だな。文字に意味はない。」
「一方、先ほど書いた文字は表意文字と言います。文字自身が意味を持っています。例えば神・・・」
神社 神を祀った場所
神がかる あたかも神になったかのように動きや考えが冴えわたる。
このように一見で言っているものの意味を分からせるのが表意文字である。
「少なくとも初代龍神様とヒトガミのどちらか、恐らくは両方が日本語のロジックを理解しているはずです。」
ジンが高貴なものに使う言葉で、ヒトはその蔑称なわけではない。
であれば龍神は日本語のロジックを理解していない限り、ジンシン、いやあいつはヒトガミや!等と言い換える必要はないのである。
「そこで思ったのですが・・・」
「彼らは恐らくは神ではなく、私と同じ世界から介入しているのかもしれません」
人類の文明がある程度進化を遂げた時
人類に所謂天敵が存在せず、病気の治療法が絶対的ではないにせよ確率され
人が死ににくくなり、人口が増えたころ。
ある科学者がマウスを使って実験を行った。
彼はマウスに対して十分なスペースを与え、天敵をおかず、マウス全体にいきわたるだけの餌を与えた。
マウスは急激に人口を増やしたのち、二つのグループに分かれた。
強い雄に従う複数の雌、所謂ハーレムと、無気力になり、個人として活発に活動するわけでもなく、かといって他と連携して集団を作る事のないニートのマウスに分かれたのである。
一方ハーレムも変化を遂げた、下剋上による世代交代である。
ハーレムの長に定年はない。他の雄が争いその地位を奪い取っていったのである。
暴力でその頂点の座を得たマウスは攻撃的になり、それはいつの日かそのハーレムを構成していた雌にも伝播していった。雄マウスは雌を、雌マウスは子供を攻撃しだした。
そこで育った子供ネズミは成長しても繁殖や子育てをしなくなった。そのような行動を教えられなかったからである。当然、その者たちが親の世代になると繁殖はされず、やばてこの実験はマウスの全滅という結果を生んだのである。
その後まもなく、彼のいた世界は、彼の実験と同じような状態になっていった。
兆候はより発展し、より余裕のある国からその傾向は現れた。しかし、この世界の発展は地域によって差があったのが幸いし、一方が衰退しても他方が発展を続けた。
よって実験のように一気に滅亡はしなかった。
更に文明は発展していった。世界はほぼ災害と戦争、老衰と事故、そして自殺と殺人以外ではでは死なない世界になっていた。
別の研究者がこの事態を打開しようと研究を開始した。
今回はマウスを使用せず、仮想空間で。
既にAIは自己のパーソナリティを形成するレベルに進化していた。
単なるシミュレーションではなく、実際の結果に近いものが得られるであろうと。
しかし、結果は芳しくなかった。
むしろ人間自身は脆弱さが増し、災害等のイベントを起こすと容易に全滅してしまう。
彼は行き詰ってしまった。
そこで彼は改善する手段に対して禁忌を選んでしまった。
即ち、人間の強制的な進化である。
エネルギーとして化石燃料や原子力は使わず、人の精神力を物質に変換するようにした。
そうした世界を彼は六つ作った。
知能の進化に特化したもの
感覚と反射能力をあげ環境への順応を高めたもの
知能を犠牲に体力をあげたもの。
空を飛ぶ力を与えたもの
最も生命力に溢れた海で生活できるもの
力と知恵を与える代わりに繁殖力をより落としたもの。
ある意味チート能力を持つと思うものにはハンデを足しバランスを取っていった。
しかし、結果はどれもうまくはいかなかった。
最後に彼は既にその中で少しずつ増加していった人間に対して、その者たちとは別にリーダーを置いた。それぞれの特性を更に強化し、その世界での逆転を許さないものとして。
そして、彼はその進化をオートモードにして自らは命を絶った。
研究を放棄したのである。
彼の死後、他の研究者がサーバー内でその実験を「発見」する。
実験としては現実の世界からは遠く離れた言わば「ファンタジー」の世界。
しかも禁忌に触れており、結果が出たと言っても結果が採用されることはない。
削除してしまおうか。
しかし、彼らは思いなおした。別に削除しなくても容量は足りているしマシンパワーにも影響はない。
それにこれは自らが幼少のころ憧れたファンタジーの世界だった。
彼(ら)は前任者が残したリーダーを神というアバターに変えた。
そしてそれぞれの世界を繋げ、神のみが通じる言語を与えた。
そして、アバターには全世界の統一というク目標を与えた。
幸い世界毎の個性は前任者が残してくれた。
それでも力と知恵のある世界が少し有利か。
彼(ら)はその世界だけ難易度をハードモードにした。
妨害者の設置である。
あとは自動で動かして、暇なときに様子を見ればいい。
彼(ら)は自分の作業に戻った。
暇なときにそれを眺めればいい、程度の興味であった為、彼(らはそれを放置した。
研究者はさほど暇ではないのだ。
観察者がいなくなった箱庭ではAIに与えてしまった能力が災いして「呪い」が発動してしまい、歴史を繰り返している事。
そこに同じサーバー内にある別の箱庭からAIが3つほど移ってしまった事を彼らは知らない。
本来アナザーエンドにしようとしたルートです。
そして自分が書きたかった話でもあります。
ですが、この先の展開が面白く書けないだろうこと
下手をすると「原作レイプ」となりかねない事で選ばなかったルートです。
ちょっとこれからやりたいことが増えて
あまり書ける時間が取れないので
一番書きたいことを書いて一旦終了にします。
再度書きたい事が出来たらまた書き始めようと思います。
たくさんの方がみてくださってありがとうございました。
またどこかで
この話は如何でしたか?
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ありきたりだった。予想の範疇
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構成に難があった、こじつけすぎ
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意外と頷けた、検証としては適切
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文章勉強しろ。
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いや、面白かったよ(棒読み)