いや、もう一話いけるか?
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クリスティーナ・アネモイ・アスラ
「泥沼」ルーデウス・グレイラットの末娘にて
「王太子」エドワード・アネモイ・アスラの妻
アリエル女王は五人の子を成している。
一人はルークの子であるらしいがエドワードは幸い彼の子ではない。
エドワードの父はエリオット・ボレアス・グレイラット
表向きはジェイムズ・ボレアス・グレイラットの子であるが、実際はフィリップとヒルダの間の子にて、エリスの実兄である。
そう言う意味では、クリスティーナとエドワードは従姉妹なのだが、まあ王族には珍しくはないだろう。
彼等の卒業式のロマンスはアスラ王国でも、評判であり、
クリスティーナの叔母ノルン・スペルディア等は珍しく鼻息荒く
このラブロマンスを基に執筆し、例の如くザノバ商会より出版されている。
「泥沼の中に咲く薔薇」の泥沼は間違いなくルーデウスを指し、母譲りの赤い髪のクリスを薔薇に喩えたこの話は、人が立ち入れない泥沼に囚われている一人の姫を王子が患難苦慮の結果助け出す話となり、未成年の女子の憧れのエピソードとなり、アスラ王国のみならず、ミリス教国でもベストセラーとなり、女性の識字率向上に一層貢献した。
ザノバ商会恐るべし
ルーデウスは王子を阻む魔王役でノルンに苦情を言ったものの、
苦笑いのルイジェルドとあきれたかのように見下ろすノルンが同時に
「だって、兄さん、絶対クリスは嫁にやらんって言いそうじゃない?
(だろう、)あながち間違ってないでしょう?(間違ってはいない)」と声を合わせて言われ黙るしかなかった。
何よりクリス本人だけでなく、ロキシーまでもが、その本を「ワクワク」「ドキドキ」「ウルウル」しながら読んでいて完全に諦めた。
クリス、それ元ネタは君なんだよ?なぜそこまで気にいるんだい?
師匠もダンジョンに出会いを求めていただけあって
救いに来てくれる王子様の話はお気に入りのようだ。
ロキシーの王子様は俺です。そこだけは譲れません。
また、アリエル女王から、エドワード達のミドルネー厶をグレイラットにするか打診があった。
例えばクリスティーナ・グレイラット・アスラというように。
これに関してはルーデウスより頑なに辞退された。
「自分はアスラに貴族籍はないこと」
「偶然とは言え、エドワードの父もグレイラットであり、今はともかく将来、外戚として力を持つ理由となりかねないこと」
「同様にグレイラットは既にボレアス、ノトス、ゼピュロス、エウロスが存在し、他の貴族に反感を覚えられる可能性がある事」
等理由を挙げ固辞した。
アリエルもルークも「それもそうですね。」とすんなり納得してもらえた。
結婚はトントン拍子というか、ルーデウスのみ置き去りになる勢いで三ママとアリエル女王の四人によって進み、ルーデウスはまさに新婦の父として彼女をエスコートする事のみが仕事として残された。
ルーデウスはクリスが終始笑顔であるか、逆にギャン泣きするかと予想していたが、新郎新婦からの新郎父の御礼の花束を渡すシーンの時に
「お父様、育ててくださってありがとございます」と笑顔の中に一粒の涙を浮かべられ、ルーデウス自身の目から涙が溢れた。
後日、その時のクリスの笑顔とエリスの笑顔が見事にシンクロしていたとはロキシーの弁である。
新婚夫婦はアリエルがルーデウスに送った屋敷を新居と定めた。
北方魔法国家を担当するエドワードにとって、緊急事に使用できる魔法陣は都合がよかったからでもあるが、何より学生時代から過ごしたアルスの街とはいえ、新婦クリスの負担を考えてのことである。
当初アリエル女王はエドワードに対して他の王子達と比べて特別の待遇は与えなかった。
あくまで競争は公平に、である。
実際ルークとの王子は事実上の宰相の血筋とノトス家の後ろ盾もある。
次期王の競争で一歩リードしているのは事実であった。
しかし、クリスとの結婚後状況が変わってくる。
学生時代の彼女の友人は結婚後も逸れ物達の派閥として彼女と懇意にしていた。
加えてコミュニケーション能力がカンストしている彼女によってエドワードの周りにいる者達は増える一方である。
エドワードも彼女の取りなしで得た人脈の有能さを評価し、重用していく。身分は高くないものの能力があるものは抜擢し、さらに求心力を強めていった。
極め付けは、アリエルとルークの間の王子の妃までクリスティーナの陣営に属した。
これで情勢は決した。
前回のような血生臭い戦いも、政争もなく次期王太子にエドワードは指名されたのである。
結婚後、クリスは姫を産み、その後に二人の王子を産む。
「お父様の教えの通り、イチヒメニタロウですね。」
「ルーデウス卿はそのような事を、クリス、その意味はなんなんだい?姫は外交の為、王子二人は競うためかい?ちなみに私はフレイヤ(姫)を嫁には出さないよ」
「子育てが楽なそうです。」
「成程、子沢山なルーデウス卿らしい」
いや、エドワード君、気持ちはわかるし、一般的なパパは娘を嫁にやりたくないのはわかるけど、君は王族だよ?
あと、クリス、半分は正しいけど、イチヒメニタロウは人数の話でなく、まず女の子を産んでお姉ちゃんになってもらって弟を産むと子育て楽って意味だからね。と突っ込みたくなる。
さすがクリス、頑張りは十分伝わるが、相変わらず残念な子である。
甲龍歴480年
女王アリエルは王太子エドワード以下4王子、宰相ルークを招集した。
無論護衛には『六騎士』筆頭 レイダ・リイアが控えている。
「さて、皆揃いましたね。レイダ・リイア、いえ、イゾルテも席に着きなさい」
「はっ」
イゾルテも剣を携えたまま席についた。
無論、周囲の警戒を怠ることはない。
「今日、皆に集まっていただいたのは他でもありません。」
「既に皆承知していると思いますが、王位をエドワードに譲ろうと思います。」
周囲は一瞬だけ緊張に包まれたが、すぐにそれを緩めた。
不思議と不満の表情を表すものはいない。
「そうですね。民への周知はドーガの喪が明けた際に行い、準備期間の後に王位をエドワードに譲りましょう。」
「無論、その間に私が死ぬ可能性があります。その際は本日の議事録を遺言とし、速やかに王位継承を行うよう。皆、異存はありませんね。」
ドーガは甲龍歴479年に亡くなっている。女王は国として喪に服すことは求めなかったが、個人的に彼の死を悼んでいた。
女王の門番の死を
そして女王の背後を守る騎士の夫の死を。である。
「女王陛下の仰せのままに」ルークがまず同意し、他の王子達もぞれに倣った。
「つきましては陛下、私からもお願いがございます。」
一通り、皆の承知の旨が得られたのち、言葉を発したものがいた。
水神レイダ・リイア 元の名をイゾルテ・クルーエル
「陛下が王位を降りる際に、私も騎士の名を返上したく存じます。」
女王は少し目を瞬かせたのち、彼女に聞いた。
「そう、そんなに私を慕ってくださっていたとは女王冥利につきるわ。でもエドワードも立派な王になってよ。」
彼女は少し上段交じりにイゾルテの心に小石を投じてみた。
イゾルテの真意を測りかねたのである。
「無論、陛下をお慕いしております。ドーガの次に。ですが」
イゾルテはアリエルの冗談を軽くかわり、更に続けた。
「一つは水神流においても後継者は育っております。そろそろ後進にその座を譲りたい事」
「もう一つはドーガを失い、背中を守ってくださる者がいなくなったこと」
「最後に旧友に会いにラノア王国に一度行きとうございます。」
水神流は先代、今と女性が、しかも高齢者であっても水神を務めている。他の流派に比べると体力差による優劣はつきにくい。
言わば、現代社会における「古武道」や「合気道」に近いのかもしれない。
しかし、ものには限度が・・である。
不死魔王の血族が長である北神流は問題外だが、実際同世代の「剣神」ジノ・ブリッツは既に剣神の座を退いている。
そろそろ世代交代がしたい。
加えて数十年、女王の後ろに仕えてきた。国内にいる親族程度なら可能だが、女王の傍を離れ他国の友人を見舞う事はできなかった。
故に彼女は未だエリスの墓前に花を手向ける事もできていないのである。
「わかりました。私の退位の際に、イゾルテは騎士の職を返上なさい。その後はご自身の為に生きてください。」
もちろん、このやり取りも『議事録』に記録された。
しばらくの後、ドーガの喪が明けた。
そこにシルフィより、ルーデウスの死について一方が届いたのである。
無論、王太子妃として王位継承の準備を手伝っていたクリスもその時、愛する父の死を知った。
同時に自分の今の立場、夫から聞いていた「会議」でのイゾルテの言葉から
自分は父に逢いに行くことも、別れを告げる事もあきらめないといけない。と悟った。
「パパ、エディが王様でなくなったら逢いに行くね。」
窓から北の方角、即ちラノア王国の方角を眺め、クリスはつぶやいていた。
「クリス、今、王宮から連絡があった、君の姉さまがクリスタルパレスにお見えになったそうだ」
実はパパっ子クリスは大好きです。
26巻の屈託ない笑顔最高です。
あとクリスはエドワードの事をプライベートでは「エディ」と呼びます。
無論、公式には殿下と呼びますが、家庭内限定です。
この話は如何でしたか?
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ありきたりだった。予想の範疇
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構成に難があった、こじつけすぎ
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意外と頷けた、検証としては適切
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文章勉強しろ。
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いや、面白かったよ(棒読み)