推しの子 ヒロイン全員好感度100達成RTA   作:重曹ちゃんかわいい

22 / 51
演技のパートがすごく長くなってしまったので、分割して投稿します(白目)。



第七話 裏 あかね①

 

 

 

 

 憧れて……

 

 

 

 私が演技を始めたのはいつだったっけ? そんな事を思い出す。

 

 そうだ。何十回も見た大好きなシーン。はじめてみたアクかなコンビの作品「美しい雨」の最終回のシーンを見ていた時のことだった。

 

「巻き戻し! 巻き戻ししてママ!」

 

「あかねは本当にかなちゃんとアクアくん好きね」

 

「うん……だってすごいんだよ。どんな役でもこなせるアクかなコンビなんだよ!」

 

 初めて見てからずっと好きで憧れてる二人。今も、昔も大好きな二人。

 

「かなちゃんは可愛くて、お芝居も上手で、大人相手でもハキハキと御喋りできるんだよ! アクアくんは幼稚園のいじわるな男の子たちと違って優しくてかっこよくて、頭も良くてお芝居も上手なんだ! すごいなぁ……すごいなぁ……」

 

「ならあかねも演劇やってみる? こないだ児童劇団のパンフレット貰ったの」

 

「えっ、えっ、私には無理だよ。人見知りだし、こわがりだし……なんにも出来ないし……」

 

 そうだ。このときの私は本当になにもできなくて……

 

「引っ込み思案が治るかも知れないし、演技をすればかなちゃんやアクアくんとも友達になれるかもよ」

 

 かなちゃんとアクアくんとおともだちになれたら幸せで死んじゃう。

 

 そんな事を思って演劇を始めたんだ。

 

 

 かなちゃんとアクアくんみたいになりたくて、たくさん頑張って、オーディションも何回も受けて、何度か脇役だけど出演して……

 

 やっとかなちゃんとアクアくん主演ドラマのオーディションでメインキャストの一人として合格したんだ。

 

 顔合わせの為の部屋の扉の前で深呼吸をする。

 

「うう、緊張する……」

 

 かなり早く来たのに部屋から人の気配がする。もしかしたら、かなちゃんやアクアくんがいるかもしれないと思うと緊張しかしない。

 

 でもいつまでも立ってるわけにはいかないので、そろりそろりと扉を開ける。

 

 すると、部屋には艶やかに輝いている金髪に、星のような輝きを宿した赤い瞳が特徴の可愛い女の子がいた。

 

 ルビーちゃんだ。本物だ。すごく可愛い。

 

 ぼーっと見とれてしまっていると、さっきまで難しい顔でスマートフォンを操作していたルビーちゃんが目を離してこっちを向いていた。

 

「初めまして、共演することになった黒川あかねと申します。本日はよろしくお願いします」

 

 なんとか噛まずに言えた。

 

「初めまして、共演することになったルビーです。本日はよろしくお願いします」

 

 笑顔で近づいて来て、挨拶を返してくれる。生で初めて見るけど、こんなに可愛い子って現実にいるんだ。とのんきに考えてしまった。

 

「こっちに来て、一緒に話さない? お兄ちゃん帰ってこなくって」

 

「う、うん、いいよ」

 

「やった! こっち、こっち」

 

 ルビーちゃんは動作が一つ一つ輝いていて、一緒にお話をしていてもコロコロと変わる表情が可愛くて、私と違って、すごく明るくて元気な女の子だった。

 

 話す内容も面白くて、私の知らなかったアイドルの世界とかドラマや映画の役者歴も2年以上あるから私の知らなかったことも知っていて、ルビーちゃんは年下なんだけど、経験豊富な年上の役者さんって感じがした。

 

 私の話なんてつまらないだろうな。と思いながら児童劇団のお話をしたけど、それも興味深そうに聞いてくれて、すごく話しやすい子だった。

 

 そうして話しているとルビーちゃんは私と同じ小学校を来年受験するらしくて、受験の話になっていった。

 

「えー!! あかねちゃん模試一位だったんだ! すごい! この間、やったら、偏差値68しかなくて、これだとギリギリだよって言われちゃったんだ」

 

「そ、そんなことないよ。いつもより出来が良かっただけで……ルビーちゃんもあんなにお仕事しながらそんなにとれるんだ。すごいなぁ。それくらいだったら、殆ど入れるって聞いたけど、ルビーちゃんって系列じゃないのかな?」

 

「うん、親の人、系列どころか大学も出てないんだよね。だから評定も下げられるって言われちゃって。あかねちゃんのおうちの人って系列の大学を出ている人なの?」

 

「うん、お父さんがいま、弁護士をしていて、系列の大学と法科大学院を出てるんだ。幼稚園もその系列だから、そこに入ろうってお父さんが言っていて」

 

「うう、というか小学校受験って面倒だなぁ。ペーパーテストだけじゃなくて面接とか色々あるらしくて、お兄ちゃんも対策しないと……って言ってて、系列の幼稚園に転園した方がいいのかな~って言ってる」

 

「アクアくんも同じ学校志望なんだ?」

 

「うん、というより、お兄ちゃんの志望校がそこなんだよね。私はそこに合わせてあげてるんだ。私達ってもう有名人だから、下手な公立に通っちゃうと迷惑をかけちゃうから、国立か私立にしようって話になって、だったら、近いところで警備とかがしっかりしている所に入らないとって」

 

「アクアくんってどれくらいの成績なの?」

 

「お兄ちゃん? お兄ちゃんはずっと満点で一位しか見たことない。まったく勉強してる様子がないのにずっと満点しか取らないから、ずるいよね」

 

 やっぱりアクアくんってすごいんだなぁ。私も出来る方なんだと思っていたけど、それは幼稚園の対策とかでいっぱい模試対策をやってるからで、ほとんど勉強もしないで出来るなんて本当に頭のいい人って居るんだ。と改めて思った。憧れの人が憧れのままのような存在で少しうれしかった。

 

「べつに私としてはかなちゃんのところでも良いと思うんだけど、お兄ちゃんに今更1+1からやらせるのも可哀想だからね。この優しい妹のルビーちゃんとしては付き合ってあげないと。あと私が受からないと思って勝手に受けるの止めようとか言い出したお兄ちゃんを見返さないと」

 

 そういうルビーちゃんは、アクアくんとすごく仲が良いのが伝わってくる。

 

「それでなんだけど、この問題、教えて貰って良い? 解説見たけどわからなくて」

 

「うん、いいよ」

 

 一緒に分からないところを見て解説をしていると、「あっ」とルビーちゃんが扉の方を見ながら声を出したので振り返ったら、アクアくんが居た。

 

「遅くなってごめん。監督に捕まってさ。そっちの人は? 共演者の人?」

 

「うん、黒川あかねちゃん。さっき友達になったんだ~」

 

「そうか。妹の面倒を見てくれてありがとう。じゃあ、改めて。初めまして、共演することになったアクアと申します。本日はよろしくお願いします」

 

「は、初めまして、黒川あかねと申します。本日はよろしくお願いします」

 

 うわ~、アクアくんだ。初めて会ったアクアくんは、男の子なのに綺麗でキラキラしていて、今まで会った芸能人の人と比べてもオーラ? というのかな? 同じ人間じゃないみたいな。物語の主人公みたいな雰囲気がしていた。

 

「お兄ちゃん! お兄ちゃん! あかねちゃんも一緒の小学校受験するんだって! だから一緒の学校の先輩、後輩になるかもしれないよ」

 

「へー。そうなんだ。一緒の学校になったら、よろしく。まあ、俺たちは入れるか分からないけどね」

 

「むー、絶対、受かるからみててよ。私だって出来るってところ見せてあげるから」

 

 アクアくんとルビーちゃん、ふたりが並んで話しているだけで華があった。そんな事を考えているとアクアくんが話しかけてくる。

 

「黒川さんはもしかして、この間に撮影したこども刑事に出演していた?」

 

「う、うん、アクアくんとは出演するシーンが被らなかったけど一緒の現場だったかな」

 

「あの時の演技よかったって監督も言っていたよ。俺も上手いと感じた。子役の中でも実力のある人だと思って注目していたから共演できてうれしい。現場では絡む場面も多いから台本の確認もあとでしたいんだけど、いいかな」

 

「えっ、アクアくん、私のこと知ってくれてたんだ。うん、うん、もちろんよろこんで」

 

 本当にうれしい。アクアくんが私のことを知ってくれていたなんて。そういえばアクアくんってテレビで1度共演した人の名前や演技を忘れないって特集されていたけど、一緒に出ている人も見て覚えてるんだ。やっぱりすごいなぁと思ってしまう。

 

 その後も、私の来歴とかを含めて話して、今、入っている劇団あじさいのことを話すと、興味深そうに聞いていた。

 

「なるほど……今の児童劇団ってそういう教育をしてるんだ。きちんとした演技指導を受けたことがないから新鮮だ」

 

「えっ、アクアくんって演技の指導って受けた事ないの?」

 

「五反田監督に習ってはいるんだけど、そういったところに所属したことがないんだ。苺プロはアイドル事務所だから子役部門は実質俺だけだし、レッスンとかのノウハウは無いから、1度どこかへ所属は無理でも練習に参加させてもらおうかなって思ってる。あじさいは幼稚園までだよね? 幼稚園卒業後はどこかの劇団か事務所に入るの?」

 

「希望としては劇団かな? 事務所といっても、私はまだ実績とかないし……一応、声をかけてもらってる劇団があるからオーディションを受けてみるつもりなんだ」

 

「そうなんだ。どこに入るつもりか聞いて良い?」

 

「劇団ララライに入ろうと思ってる」

 

 そういうと、アクアくんが少し顔色が変わった。

 

「……ララライか、一流どころの人が集まった実力派の劇団だね」

 

「うん、だから入れるかもどうかわからなくて、でも、受験が終わったら受けさせてもらうつもり。アクアくんももしかして練習先の候補に入っていたりする?」

 

「ちょっと興味があって調べたんだ。前に俺の知り合いがそこで演技を学んだから、せっかくならって」

 

「じゃあ、一緒に練習できるかもしれないね」

 

「そうなったら黒川さんに先輩として教えてもらえるかもね」

 

「わ、私がアクアくんに教えられることなんて……」

 

 でもそうなったらうれしい。アクアくんと一緒の学校で、一緒の劇団で、一緒に子役を出来た未来を想像すると、毎日楽しそうだなって思ってしまう。

 

「もし良かったら、現場の案内もしようか? ルビーと仲良くしてもらったし、先輩、後輩としてこれから長いつきあいになるかもしれない。これでも現場歴は長いから力になれることもあると思うから」

 

「えっ、良いの?」

 

「もちろん、もし黒川さんがよければだけど」

 

「う、うん、もちろん、よろしくお願いします」

 

 かなちゃんは忙しくて顔合わせに来れなくて残念だったけど、その分、アクアくんとルビーちゃんといっしょに回って、一緒におしゃべりして、演技の練習にも付き合ってもらって……まるで夢みたいな時間だった。

 

 最後には黒川さんじゃなくて、あかねちゃんって呼んで貰えるようになって。電話番号も交換しちゃった。テレビでみるアクアくんよりずっとずっとかっこよくて、優しかった。

 

 

「ママ……アクアくん、ルビーちゃんとお友達になれたんだ。今日はずっといっしょに回って、演技のこととかもお話できて、電話番号も交換したんだ」

 

「あら、よかったじゃない!」

 

「えへへ、アクアくん、テレビで聞いてたお話よりすごく優しくて、はじめてメインキャストやるのは大変だろうって、色々教えてくれたんだ。それでね……」

 

 その後、私は今日の出来事が嬉しくて仕方なくてママとパパに寝るまでずっとずっと話してしまっていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。