推しの子 ヒロイン全員好感度100達成RTA   作:重曹ちゃんかわいい

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第七話 裏 ルビー③

 私は今……

 

 

 ソファーで私が漫画を読んでいる横で家でパソコンをカタカタと打ち込んでいるお兄ちゃんに向けて、前から気になっている事を話しかける。

 

 

「お兄ちゃんはさ。ずいぶんと女の子を堕とす事に手慣れてるけど、今までどれだけの女の人を弄んできたの?」

 

 おっと、最近のあかねちゃんへのあつかいを見てつい嫌みになってしまった。

 

 それを聞くとお兄ちゃんは凄い顔をしてきた。

 

「ルビー、人聞きの悪いこと言うなよ。俺がいつ、女の人を弄んできたって言うんだ?」

 

「この間のあかねちゃんに対する態度とかだよ。ただでさえファンだったのに、それをあんなに献身的にサポートして……女の子だったら勘違いして夢中になっちゃうよ?」

 

「なに言ってるんだ。もしかしたら、先輩になるかもしれないし、長いつきあいになるかもしれないから、貸し借りを作ってるだけだろ?」

 

「それを素で言ってるんだとしたら、お兄ちゃんは天然のすけこましだよ」

 

 それを聞いて、お兄ちゃんはため息をついた。

 

「俺がすけこましなわけないだろ……前世で何人の女性に振られたり、寝取られたりしたと思ってるんだ。あまりにモテなさすぎてデート本やら買いあさって、風ぞ……いやなんでもない」

 

「ふうぞ? なにそれ?」

 

「いや、言い間違えた。まあ、俺はそれなりに経験こそあるが、全然モテずに、付き合っても数ヶ月しか保たずに終わったからこそ経験が豊富ってだけだぞ」

 

「ずいぶんと多そうだね……何人」

 

 様子を見ているとかなり多そうだった。3人とか4人とかでは絶対ない。お兄ちゃんはしまったという表情で、冷や汗を流しながら答えた。

 

「……5人くらい?」

 

「嘘つかないで」

 

「6人かな?」

 

「本当の事言って」

 

「本当だから」

 

 にらみ合いになる。前世のころから思っていたけど、せんせの女性関係は滅茶苦茶すぎる。今だからわかるけど、看護婦さんでせんせに興味があった人は4人は居た。どれだけの女の人を惚れさせる気なんだろう。インモラルだ! 

 

「本当の事を答えない気なら、今度のネット生放送でママと一緒にお風呂に入ってることを……」

 

「おい、やめろ馬鹿、そんな事したら俺が死ぬ」

 

「なら答えようね。すけこましじゃないなら答えられるよね」

 

 沈黙が流れていたが、観念したように話しはじめた。

 

「つ、付き合った人は15人……かな」

 

 これですけこましでないとか言うのはギャグなのかな? 付き合った人と言ってるけど、それって付き合う前段階の人を混ぜたら何人になるの? かなちゃんレベルの人を何人量産してきたの? 

 

「うわ、最悪、何人かと思えば……10人くらいかと思ったけど、宮崎の病院でも中村さんに近藤さん、中田さんに三輪さんとかもせんせに対する目線がおかしかったし、どれだけの女の人をもて遊んできたの!」

 

「いや、知らないし、心当たりもないぞ!」

 

「そういうところがすけこましなんだよ。せんせ。私は寛容だから良いけど、そんなことばっかりしているといつか刺されると思う」

 

 そういうとお兄ちゃんはため息をついた。

 

「いや、かなやあかねが俺に好意を向けてくれているのは分かってるよ。別に無自覚でやってるわけじゃない。しかし、まだ今年で6歳になる子だろ。恋心なんてもってもすぐ冷めるさ」

 

「お兄ちゃんは女の子を舐めすぎだよ。私もせんせを好きになったのは11歳だけど、もう六年以上、せんせの事を愛してるし、16歳になったら結婚してくれるって約束を心待ちにしてるんだから。10年以上の恋愛なんてふつー、ふつー」

 

「いや、俺たち、今世で兄妹だし、結婚は無理だろ」

 

「内縁の妻!」

 

「どこで覚えたの? そんな言葉!」

 

 そのあとも取り調べをするとゴロゴロと女心を弄ぶようなことをしていたせんせの行動が……あまりにすけこまし過ぎた。しかし、こんなに恋愛をしてるのに、なんでせんせはこう鈍いというか恋愛しらずなんだろ? 

 

「うーん、でも不思議だな。せんせ、なんで、そんなに付き合って、全員にフラれてるの? あっ、分かった。超美人な高嶺の花ばっかりと付き合ったんでしょ。医学部の女の人なら周りにいる医学部のお金持ちのイケメンに乗り換えとか余裕そう」

 

「いや、医学部でそんなことしたら社会的に死ぬ。一人と付き合って別れただけで6年間、女の間でその情報が共有されるんだぞ。 学生生活どころか今後も死ぬ!」

 

「じゃあ、分からないな~」

 

「いや、俺も分からないからそんなに付き合うことになったわけだからな。俺も好きでこんなに付き合う事になったわけじゃないし、最初の3人はともかく、その後は俺の事を好きになってくれた子だけにアタックして、俺なりに誠心誠意尽くしたのにフラれたんだから、どうしようもないだろ」

 

「…………」

 

「まあ、実体験として、まあ、恋ってやつは風邪をひくように引いて、冷めて、そしてまた引くものさ。12人もそんな感じで終わった。好きになってくれた子が、数週間、数ヶ月後にはその気持ちが無くなるなんてよくある事だ。ルビーの気持ちは嬉しい。だけど、もう俺たちは兄妹で結婚は無理なんだから、新しい恋を見つけて、良いと思った人を見つけて幸せになる事も考えてもいいと思うぞ。俺は恋人が出来ても結婚をしてもずっとルビーを応援するつもりだからな」

 

 ズキッと心が痛んだ。でも分かった。せんせは恋がどれだけつらいかとかどれだけ楽しいものなのかとか、どれだけ幸せなのかが分かっていない。せんせは恋をしたことがない。それだけは分かった。

 

「今世の俺はアイとルビーの為に生きるって決めてる。だから、だれかと付き合うとかも考えなんてないし、前世で散々、恋愛してきたけど、俺は向いてないことは分かったから、もういいと思ってる。まあ、俺の事が好きな子も、しばらく会う機会を無くせば飽きて、新しく恋愛すると思う」

 

 せんせは本当にママと私の幸せだけを願ってる。それは本当に嬉しい。

 

 愛する人に愛されて、応援されて、私はすごく幸せだ。

 

 でも、それならせんせの幸せはどうなんだろう? 

 

 最後に、聞いておきたかった事があった。

 

「ねえ、せんせ。前世でフラれる時って、貴方への気持ちが無くなったとか、新しく好きな人が出来たとか言われなかった?」

 

「ああ、なんで分かるんだ。大体、似たような事言われたな」

 

 ああ、せんせはすけこましだけじゃなくて朴念仁でもあったんだね。

 

 

 

 

 私はせんせを愛してる。

 

 お母さんから捨てられて、地元の大きな病院で死を待つだけだった私に優しくしてくれた。私だけじゃない。他の、長く誰からもお見舞いしてもらえない人の下にも、激務の中訪れて慰めてくれるヒーローみたいな貴方に心から恋い焦がれた。

 

 その分け隔て無く優しいヒーローの貴方の特別になりたい。そんな気持ちで結婚したいって言った。

 

 そして、今、私はママと一緒にその特別な人になれた。せんせはママと私の為なら、それこそ命をかけて守ろうとしてくれるし、今もその為に色々してくれているのが分かる。

 

 だから私は幸せで、先生に愛されている。ヒーローな貴方は見返りを求めずに尽くしてくれて、愛してくれる。母親の愛が無償の愛なんて言うけど、これだって無償の愛だ。

 

 それを毎日向けられる日々が幸せで……それが他の人に向けられると嫉妬してしまう。

 

 凄い矛盾してる。

 

 分け隔て無く優しくしてくれるヒーローみたいなせんせが私は大好きだったのに、その最愛の人になれたら、ヒーローではなく、私だけを見て欲しいって思ってしまうなんて本当に自分勝手。せんせを傷つけてきた人達と根本的には一緒な事に嫌悪感しかない。

 

 せんせが付き合った人達は本当にせんせが好きで、だからこそ、その愛が自分だけに向けられないことに耐えきれなかったんだろうな。って思ってる。

 

 言ってしまえば試したんだ。

 

 せんせはせんせだから、相手を幸せに出来るのは自分ではないと分かると身を引いてしまう。相手の幸せを願って、それでいいって思って。それで破局した様子が目に見えるように分かる。

 

 だから、いつか私は選択する時が来ると思ってる。

 

 ありのままのヒーローな貴方でいいと言えるか、私だけのヒーローで居て欲しいと言ってしまうか。

 

 私は背を押してあげられるのかどうか……その時は近くに来ているような気がした。

 

 

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