推しの子 ヒロイン全員好感度100達成RTA   作:重曹ちゃんかわいい

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 書き溜め向いてない事が判明しました(白目)書き終わった所が気になって、加筆、加筆で文字数だけが無限に増えていって、いつまで経っても投稿出来ないので、ちょっとストレス描写をマイルド気味にする事にしました。まとめて投稿宣言したけど、すみません。
一応、次話は完成、あかね④とかな④も半分くらいは必要な所は書いたのでなるべく短い期間で投稿するようにしますので、苦手な方はしばらくお待ちください。

 アニメ後→アクかな! 最高! アクかな! 最高! 
 最新話後→「私を見て」とか「推しの子になってやる」のシーンがお痛わしくなるんですが、これ狙ってやってるんですか??? 
 き、軌道修正できるかな。というかしていいのかな(震え声)。アクアからかなへの感情の向き先がそこに着地すると思ってなかったんですけど!


第八話 裏 かな③

 

 私を好きな人……

 

 

 

 有馬かなには魅力がない。

 

 そう言われ始めたのはアクアと組む機会が無かった半年の間の出演作品の視聴率の結果が出てからだった。

 

 役者には大きく分けて3種類の人が居る。看板役者、実力派、新人役者の3つだ。

 

 看板役者。お客を連れてくる広告塔。この役者が出演するのなら作品を見たいと思わせてくれる存在で、このキャスティングで、視聴率や観客動員数、興業成績が変わる。

 

 アクかなコンビなんて言われていた頃は私はこれだと思われていた。たしかに私とアクアが組んだ作品は視聴率も、観客動員数も伸びた。最初の作品が私とアクアの恋愛関係の有無とかで盛り上がっていて、注目度もあって、実際に視聴率も上がったのは事実で……これを目的に起用されていたといっても過言ではなかった。

 

 そして、私も私は自分が看板役者だと思っていた。

 

 だけど、周囲に豪華な役者が揃わないような……私が看板役者として出た作品の全てで視聴率が全然伸びなかった事で分かった。

 

 世間は私ではなく、アクアと私の組み合わせだから見ていただけで、私だけだと見ようとしてくれない事に周囲も気がついてしまった。

 

 そして、そのアクかなコンビも飽きられつつあったけど、半年間組まなかったことで終わってしまった。世間は、大人気アイドルユニットのアクアとルビーの方が知名度があって、新鮮で楽しんでいるようだった。

 

 私達はいわゆる微笑ましいカップルとして見られていたらしい。けど、もう出会って4年以上が経っている。なにも進捗がないペアに世間は飽きた。

 

 そんな事を事務所の人に言われた。

 

 アクアと私は恋愛関係なんてなっていないんだから、進むはずがないのに……

 

 そんな風に勝手に思っていたのに勝手に失望するな。と言いたいけど、そういう売り方をしていたから仕方ないのかもしれない。

 

 アクアとルビーと比べると私の容姿なんて良く居るレベルでしかない。一応、可愛いと言われる部類に入るし、モデルの子なんかにも負けてないとは思うけど、恋愛関係がないなら、同じくトップクラスに容姿のいいアクアとルビーで良いし、仲のいい双子の方が売り込みやすいし、事務所としても、別の事務所の子とのセットより、自分の事務所のペアを育てたいというのも分かる。

 

 なので私は実力派になるしかない。と思った。

 

 作品の質を担保する。レーベルとしてのブランドを保つ役割だ。

 

 私は演技には自信があった。ドラマでも映画でも新人賞を取ったし、実績も十分ある。作品のクオリティーを上げる役割を出来ている自信があった。私は演技では女の子役で一番の自信があった。

 

 でも事務所の人やママやパパはそれでは駄目らしい。

 

 俳優のトップ50に入れなかった人、女優はトップ100くらいまでと多いけど、それでもそこに入れないと平均的なサラリーマンの給与より少ない金額しか稼げない。平均を押し上げているのはトップの人で、役者のトップ150に入れる人達でも1000万以下の人も何人も居る。

 

 子役はその中に私とアクアしか居ない。純粋な演技力だけではその下の中堅と呼ばれるその層にも入れないから看板役者にならないといけないらしい。

 

 有馬かなは看板役者ではなかった。けど、年収を維持するためにも、バーターで仕事を取ってくる為にも看板役者でなければならない。

 

 事務所の人もママもパパもお金の事ばかりだった。でもお金を稼げれば、みんなにも、ママにもパパにも褒めて貰える。愛して貰える。

 

 私はお金を稼ぐ為に視聴率の取れる看板役者にならないといけなかった。私には魅力がない。そんな事を言うのに、みんなが私が出てれば見るくらい魅力的な人になれと言われてしまう。

 

 ルビーが羨ましかった。あの子は居るだけで華やかで存在感があって、それが原因で仕事が取れない時期はあったけど、ドラマ主題歌や歌番組、紅白などで知名度を広げて、ネット活動で一気に花開いて本来持っていた能力を十全に発揮できるポジションまで来た。張りぼてで、アクアのおまけではない本物のスターだった。

 

 あかねが羨ましかった。あの子はまだ新人子役として、色々な経験を積んでいる最中で、報酬も横並びだから、純粋に演技の実力が伸びればどんどん結果が出てくる時期だ。一番、演技が楽しくできる。私も一番演技を楽しめていたのはこのころだった。

 

 アクアは……本当に凄いと思った。毎日、毎日、パソコンを弄って、自分がどの層にウケているとか、支持されているのかとかを計算して、出演作品を決めたり、出演する番組を調整したりしていた。

 

 ルビーに対してもイメージ戦略を大切にしていた。

 

「世の中には、いじめ役をした子役を本当にいじめをするような人間だって思ってしまって誹謗中傷するような馬鹿なやつがやたらと居るし、誹謗中傷をしなくてもイメージで勝手に嫌悪感をもってしまうような感受性の強い人も思っているより多くいる。ルビーはアイドルだ。そんな役をマスメディアでやって、そういうイメージを付けるとひっくり返すのに時間がかかる。ルビーのキャラで売る以上、きれいなイメージを作らないと」

 

 そんな事を言って、絶対に性格の悪い役はやらせなかった。悪い行動をしてもどこか愛嬌のあるキャラばかりしていた。

 

 それが正しかったのは、今だから分かる。

 

 そんなことしなくても、演技さえ上手くなれば結果が出るといって、聞き流していた私は、その壁にぶつかってしまった。なんでも、どんな役でもやってきた私はマイナスのイメージの作品も多くなった。特に泣き演技はマイナスのイメージが強くて、私=暗い作品という認識の人も少なくないらしい。私の代名詞がそれである以上、どうしようもない。

 

 代表作が虐待児などの社会問題を取り扱ったテーマばかりの私はキャラ人気が無かった。

 

 アクアが居ない間で私に視聴率がないことは浮き彫りにされた。沢山の仕事をして、沢山の役をこなして、データを取られて、視聴率を稼いでくれるという評価は無くなってしまった。

 

 それでも、ルビーは扱いが難しいし、アクアがルビーの出演する役にはこだわりを持ってるし、アイドルの仕事を優先する。それでも明るい女の子の役は復帰してからは全部ルビーに行く。

 

 演技さえ上手くなれば…………だれよりも上手になれば良いと思っていた。

 

 でもそうじゃない。視聴者の殆どには一定以上の演技の上手い、下手の違いなんて気にされないと周りは言う。

 

 私はお金を稼がないといけないし、数字を取れるようにしないといけない。

 

 私はコスパが悪くなってしまった。だからアクアと一緒に組む仕事は来なくなってきた。私が提示する額は普通の子役の20倍以上なのにその価値がない。そんな風に言われてしまう今を変えないといけない。

 

 

 

 なんとか人気にならないといけないと思って、足掻いているとアクアとルビーから自分のY◯uTubeのチャンネルに出演依頼があった。二人とは仕事が被る機会は本当に減ったから電話以外で会うのは久しぶりだった。ルビーとはSNSでのメッセージなんかをやってるけどアクアはしてない。電話は少し勇気がいるので自ずと電話することは減っていった。

 

 あまり迷惑をかけたくなかったけど、相談をするとアクアも力になってくれた。けど、事務所やお母さん、お父さんの望む結果にはならなかった。

 

「かな、ブームの頃の数字を出すことは難しい。流行廃りがあるのは仕方ない事だと割り切って、きちんと安定して支持してくれる人を手に入れる事が長くやるには重要になってくると思う」

 

「安定して支持してくれる人?」

 

「ああ、俺達のチャンネルも100万以上、登録してくれる人が居るけど、これはアイがたまに出演してこぼれる、俺たちとの私生活トークなんかを目的に登録してくれる人も多い。一緒に出てくれるB小町目当ての人だっている。純粋なファン層は半分以下かもしれないって分析してる」

 

 アクアはアナリティクスとかコホート分析とか言っていたけど、ようするに、アクアとルビーを目的に積極的に見てくれる人の数についてのことみたいだ。

 

「俺たちを純粋に応援してくれて、予告した配信に来たり、あとから視てくれる人が30万前後。だけど、この人達って俺達をアイドルとしても子役としても応援してくれて、グッズ購入やリアルイベントに来てくれる人の比率が多いし、情報を拡散してくれる人も多いから、そこに沿ったサービスをしている。このコア層を取り逃がさないような企画とか時間帯とかに気をつけてる」

 

 私を誰が支持しているか…………そういえば考えた事が無かった。

 

「かなの今は正直、事務所のアンマッチなギャラのせいだと思ってる。近年までは重要視されてきたのが知名度。これが採用基準だったから、テレビに出れば出るほど優位だったけど、今は費用対効果の観点から考えて、個人で持つ潜在的な視聴率とギャラ、そして現場での好感度のかけ算で出演を決めてる所が多い。今のギャラだと視聴率2%。世帯視聴率的に80万人がこの役者が出るなら視るくらい必要だけど…………これはブームではなく安定して出せる人は芸歴が30年とか40年選手とかばっかりだし、ブームとかいう運に助けられないと厳しい数値なんだ。俺も今がブームだから付けられる数字であって、平時なら40とか50まで下げると思う」

 

「アクアだったら、私のギャラとかどうするの?」

 

「俺? 正直、今なら30あたりまで下げないとコスパが悪いと言われると思う」

 

 30…………ママも、パパも、事務所の人も受け入れられないとおもう。

 

「ギャラとかは正直、事務所の人が決めることだから口出し出来ないし、今は予算の都合とかで一緒に仕事はあまり出来無いけど、応援してる。いつでも相談に乗るから、なにかあったら電話してくれ」

 

 

 アクアはいつだって優しい。でもその優しさが恐かった。

 

 撮影する部屋の裏にあるアクアが作業をしている机には、アクアとルビーのYouTuberとしての企画書が日にちのふせんを張って積んであった。こういった努力のただ乗りをしているようで申し訳が無いし、これ以外にも仕事を抱えているのか、この間B小町が出していた曲を多分、英語とあとよく分からない言語にカタカナも一緒に書いてある歌詞の紙もあった。

 

 B小町が一気に世界的グループになって、事務所の拡張が間に合ってないとは聞いていたけど、マネージャーの人も掛け持ち状態でいっぱいいっぱいになっているらしく、ネットの方はアクアが企画からやっているらしくて、忙しいらしい。

 

 今の私どころかかつての私の仕事量を超える量をこなしている。今年には受験もあるのにスケジュールは常に埋まっていて…………あかね曰く、最近、仕事をこなした後は考え込む事が多いらしい。あいつは母親が九州の出身で、里帰り出産なのか九州で生まれたみたいだ。仕事で九州の生まれ故郷に寄って、そこでなにかあったらしい。最近は無理をすることが多いらしくてあかねもルビーの勉強を教えたりしてアクアの時間をとれるように協力しているらしい。

 

 あかねとアクアにも主演になる話が来ていて、それは模試の成績でトップだった2人というネームバリューで売り込むらしくて、成績を下げるようなことがあってはいけないみたいだった。これからどんどんいそがしくなるのに受験勉強もしないといけないアクアに迷惑をかけたくなくて、私はアクアと少し距離を置くことにした。

 

 

 

 

 

「かなちゃん、かなちゃん」

 

「なに、あかね」

 

 一緒の現場にいたあかねが後ろになにかを隠しながら話しかけてきた。

 

「えへへ、お誕生日おめでとう! これ、プレゼント」

 

 少し驚いてしまった。そうだ、今日は私のお誕生日だった。仕事の事で頭がいっぱいで忘れていた。

 

「…………ありがとう。開けていい?」

 

「うん、どうぞ」

 

 中身はかわいらしい食器セットで、メッセージカードなんかも入っていた。

 

 あかねはいい子だった。アクアと同じ事務所でそこで実力もつけて結果を出し続けて、今ではメインキャストとして共演することも増えて、私と違って素直で可愛くて真面目な性格で、現場の人間からも好かれていた。

 

 最近では劇団の練習にも参加しているらしくて、どんどん成長しているのがわかる。

 

 私との評価の差もなくなってきた。あとの差は経験と実績だけで、数年もしないうちに追いつかれてしまうのは目に見えていた。それでも、私の事が好きという態度が崩れなくて…………羨ましくて、時には妬ましいとまで思ってしまう自分が大嫌いだった。

 

「あと、アクアくんとルビーちゃんからも預かってるんだ! 今、持ってくるね!」

 

 そういってあかねは走る必要はないのに走って車に取りに行ってしまった。

 

「そうだ。今日は私の誕生日だった」

 

 最近では、お母さんは仕事についてくる事も減ったし、お父さんも帰ってくるのが夜中とか、帰ってこない日も増えて会うことも少なくなってしまった。

 

 でも、私の誕生日なら居てくれる。もしかしたら内緒でパーティーをしてくれてるのかもしれない。プレゼントはその時開けようと思って持ち帰って…………

 

 そんな期待をして帰って暗い家の中にあったのは、一枚の紙だった。

 

 食事に行ってます。帰りは遅くなるので、先に寝ていてください。

 

 そんな事が書かれていた。

 

「お母さん、お父さん……」

 

 この日、なにかが折れたような音がした。

 

 

 

 

 それからは、言動や行動も気をつけるようになった。私は主役ではない。数字も持っていない以上、周りをサポートして、数字を持っている主演級の人を目立たせて、作品全体の数字を作る。上手い人なら作品全体のクオリティーを上げる。

 

 有馬かなは人気がない。魅力がない。

 

 だからせめて、まわりを引き立てる演技をして今を維持しないといけない。数字を持ってもいない私が前面に出ても作品の数字を落としてしまう。アクアのようには出来ないけど、作品の質を上げるために、周りの演技を上手に受けるように演技の仕方を変えた。

 

 今まではいかに目立つのかを考えていた。でも、これ以上、結果も出ないのに表に出ると…………使いにくい上に数字を出せないのでは、今の実力派としての評価も無くなってしまう。

 

 そうして献身的な動きに変えたけどすこしずつ仕事も減って来て、なにをすれば良いのかより一層分からなくなってきた。

 

 悩んでいると、事務所でテレビドラマの最終回が流れていた。

 

 そして…………アクアとあかねのラストシーンで、あかねが恋をする女の子の…………アクアと2回目の共演をした時の私と一緒の顔をしていた。

 

 そこから、あかねがブレイクしていき、どんどん私よりも人気になっていくのをただ見ていることしかできなかった。

 

「迷惑ばっかりで可愛くも無い魅力もない私より、あかねの方が可愛いよね……」

 

 ああ、私はもうアクアの隣に立つことすら出来ないんだろうな。という気持ちが私の中で生まれていた。

 

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