「真実の“アイ”は、いつも一つ!!」   作:あるく天然記念物

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前編後編の2話で完結予定です


本編
『俺は高校生探偵、工藤晋一』前編


 俺は高校生探偵《工藤 晋一(誤字ではない)》。

 幼馴染みで同級生の星野アイ(誤字にあらず)と一緒に遊園地へ遊びに行った時に、黒ずくめの男たちの怪しげな取引現場を目撃した。

 物陰から男たちの取引を観るのに夢中になっていた俺は、背後から近付いてくるもう一人の男たちの仲間に気が付かなかった。

 俺はその男に襲撃され、その後毒薬を飲まされた。

 そして次に目が覚めたら────身体が縮んでしまっていた!!

 

 工藤晋一が生きていると黒ずくめの男たちにバレると、また命を狙われ周りの人間にも被害が及ぶ。

 俺の父さんの友人である阿笠博士の助言により姿を隠すことにした俺は、その時いなくなった俺を心配して俺の家に来ていたアイに名前を聞かれ咄嗟に…………

 

「ぼっ…………僕の名前は、江戸川────「晋一だよね?」コナン───ゑ゛っ?」

「晋一でしょ? バカだなぁ晋一は。晋一が嘘ついて私を騙せたことある?」

「晋一? 誰の名前なの? 僕は江戸川コナンって言いま──「嘘」──すぇ??」

「晋一。晋一は推理が誰よりも上手なように、私は誰よりも嘘が上手なの。ねぇ晋一、そんな私を本気で騙せると思ったの?」

「…………ははっ。そう言えばねぇな。アイに嘘つけたこと」

 

 江戸川コナンと名乗ることなく、俺は星野アイに工藤晋一が小さくなったことがバレてしまった。

 だが、小さくなっても頭脳は同じ。

 迷宮なしの名探偵。

 真実は────いつも一つ!!

 

「ところで晋一、そのちっちゃな姿懐かしいねっ!! 小学生位かなぁ、きゃわ~!! ねぇねぇ、そんな姿じゃ一人で生活できないよね? だったら私の家に来ない? ちょうどお腹の子のことを晋一に話したかったから」

「待て待て待て。一気に話すんじゃねぇよ。俺もいろいろ心の整理が────って、えっ? いっ、今なんて言った?」

「ん? その姿がきゃわ~って」

「その後」

「家に来ない?」

「わざとか、バーロー。その次だ次!!」

「あぁ、お腹の子ね。晋一、私は妊娠しました!!」

「…………エイプリルフールはとっくに過ぎてるぞ、アイ」

「嘘じゃないよ?」

「…………マジ?」

「マジマジのマジです。これからよろしくね、ちっちゃな“お父さん”」

「────キュゥ(気を失った音)」

「あぁ?! ちょっと晋一、大丈夫?! 博士ー!! 晋一がー!!」

「どうしたアイ君────って、しっ、晋一──!!」

 

 

……………

 

………

 

 

 この物語は、小さな名探偵の物語ではない。

 この物語は、推しの母を殺された推しの子の復讐劇ではない。

 この物語は、その二つから悲劇を取り除き、喜劇と事件、探偵・推理やアイドル等を混ぜ混んだハチャメチャコメディ寄りの物語である。

 

……………

 

………

 

 

 《時を遡ること、十年前》

 

 一時期────いや、最近でも二次創作やらネット小説、マンガで人気のある転生もの。

 それをまさか、自身が経験するとは思っても見なかった。

 何で死んだのかはハッキリとは覚えていないが、気がついた時には、俺は小学生となっていた。

 名前は工藤晋一。

 名前の漢字が違っていたが、俺は確信があった。

 そう────あの有名な死神となってしまったことに。

 普通であれば「マンガのキャラと同じ名前なだけじゃーん(某本屋店員風)」となるのだが、小学生になっていたと気づいた瞬間、様々な記憶や情報が脳裏を駆け巡ったのだ。

 父の名前は工藤 優作。職業は推理小説家。頭脳明晰なイタズラ好き。

 母の名前は工藤 有希子。昔は超大物女優であり、結婚を期に引退した楽天家。夫と同じようにイタズラ好き。

 父の友人は阿笠 博士。博士(ハカセ)のあだ名で呼ばれる発明家? である。

 ここまでくれば小学生でも分かる。実に簡単なことだ、友よ(急なホームズ風)。

 俺は国民的人気の推理マンガである名探偵コナン。その主人公のコナンであり、その正体である工藤晋一(新一)になったのだと。

 

 しかし、晋一(新一)だと自覚したと同時に、一つ気がかりな事が発生した。

 それは────。

 

「晋一──!! あーそーぼー!!」

 

 俺の家の門の前にいる少女。

 俺の幼馴染みで同級生である彼女の名は毛利 蘭────ではない。

 そう、毛利 蘭ではないのだ。

 

「ったく、朝っぱらから大声出すんじゃねぇっ!! ────“アイ”!!」

「アッハハハハ、晋一の方が大声出してるー!!」

 

 2階にある自室の窓から半分身を乗りだして叫ぶ俺を、アイはケラケラと笑っていた。

 珍しいことに、“本当に楽しそうに”笑っていた。

 

 これが俺の気がかりの正体。

 俺の幼馴染みで同級生である彼女の名は────星野 アイ。

 毛利蘭ではない、俺の同級生の幼馴染み。

 空手などの武道などやったことがないと一目でわかるほど華奢な身体に、本家ヒロイン(個人差あり)よりも可愛らしい容姿をした少女。

 彼女の両親は別居しておらず、父親は探偵どころか生死不明。母親にいたっては弁護士なんて経歴もなければ、あろうことか窃盗で捕まった。

 母子家庭で育った…………(あれは育ったと言えるのだろうか)…………彼女は母親の逮捕に伴い、現在は施設にて生活をしている。

 そんなある意味では毛利蘭を越える経歴を持つ彼女が、毛利蘭の代わりに俺の幼馴染みで同級生となっている。

 俺の晋一という名前が違うように、この世界の毛利蘭=星野アイという事なのだろうか。

 いわゆるマルチバース的な理由があるのだと思ってはいるのだが、これが少しだけ厄介なのだ。

 星野アイ自身に問題はない────とは言いきれないな。彼女の性格や言動は少しだけ“特殊”だ。とはいっても、ここではたいした問題ではない。

 名探偵コナンの映画作品を観てみると、詳細は覚えていないが、その多くが毛利蘭の空手(都大会優勝レベル)の活躍により解決した場面が数多くある。

 つまり、毛利蘭の空手が存在しない部分をどうにか補う必要があるのだ!!

 一度アイに対して「おめぇ、空手とかに興味あるか?」って尋ねたことがあるが、彼女はすごい笑顔で「ない!!」と答えていた。これはいよいよもって大変だ。

 事件については俺が親父から教わり、それで推理して解決したとしても、その後に犯人から襲われ「空手が無くて犯人から殺されました~」となっては割りと洒落にならない。

 ましてやモブに生まれたならともかく、主人公の俺(ちょっと自意識過剰)は物語から逃げることはできない。

 主人公であるということは、それに伴う責務がある。どこかのハリウッドパーカー君のおじさんも『大いなる力には、大いなる責任が伴う』と言っていた。

 別に主人公に生まれ変わったからって主人公になる必要がない? バーロー、自分が動かないと“誰かが不幸になる”と分かって無視するなんて男のすることじゃねぇよ。

 少なくとも、俺には出来ないし、端から頭にない。

 つまり、俺が俺の責務を全うする以上、事件・事故に必ず巻き込まれる。そのためにも、ノー空手で名探偵コナンの世界で生き抜くことはできないのだ。

 

 以上が、俺が生まれた名探偵コナンの世界、及び気がかりについてである。

 

「晋一───!! まーだー?」

 

 俺の悩みなど欠片も知らない彼女の能天気な呼び声が再度聞こえてきた。

 これ以上叫ばれたら近所迷惑である(自分の事を棚に上げている)。

 とりあえずノー空手については後々ハワイで親父に相談するとして、今はアイの相手をすることにしよう。

 

「はいはい、今行ってやるから、おとなしく待ってろ」

「はーい!!」

 

 最悪は俺自身がメアリー世良のように、小さくてもFBI捜査官と戦えるレベル(ガチ)で鍛えなくてはと思いつつ、俺はアイの元へ向かった。

 

……………

 

………

 

 

 私にはちょっと変わった幼馴染みの同級生がいる。

 

「ねぇ晋一、聞いてる?」

「ん? あぁ、わり。ちょっと親父の宿題について考えてた」

 

 それが目の前の彼───工藤晋一だ。

 彼は時折、彼のお父さんが出版する推理小説の推理パート手前まで書かれた小説を読んでいる。

 彼曰く「親父の小説の脱字チェックみたいなもんさ。腹立たしいことに、俺が解決できるレベルの事件かどうかの確認ついでに、悩む俺を親父は楽しんでんだよ」とのこと。

 

「あぁ、クソッ! 今回も一段とイヤらしい事件作りやがってぇ……」

 

 などと小説を何度も読み返しながら話す彼。

 根っからの推理オタクである彼は乱暴な言葉を放ちながらも、小説からは一切手を離す様子もなく、その表情は言葉とは裏腹にどこか楽しそうだ。

 

「そう言っている割には、随分と楽しそうじゃない? 平成のホームズくん?」

 

 私がそう指摘すると、彼は決まって「ばっ、バーロー。そんなんじゃねぇよ」と照れ隠し(ホームズ呼びは否定しない)のように言う。

 本当に、彼は嘘が苦手だ…………“嘘しかない”私と違って。

 そんな私と正反対な晋一との出会いはすごくありふれたものだ。

 小学校のクラスで偶然知り合っただけ。

 その偶然が、私にとっては掛け替えのない特別だった。

 

 その日は、クラスで委員会決めが行われた日であった。

 

「えー、それでは。投票の結果、クラス委員は男の子は工藤くん。女の子は星野ちゃんに決まりました。皆、拍手」

 先生がそう言って、クラス中が拍手の音に包まれる。

 教卓の前には私の他にもう一人の男の子、江藤君? が立っていた。

 私のクラスでは、クラス委員を決めるときは立候補制をとっていた。

 単純にやりたい人が手を上げ、そしてその人が複数いればクラス全員で人気投票をして決めると言うもの。

 男子の方は江藤君含めて三人ぐらい候補が上がったが、女子の方は私一人だけであった。

 と言うのも、女子の方は誰もやりたがらず、ある一人が「星野さんなら適任じゃない?」と言い出したことで、クラスの女子全員が私を推し始めた。

 正直に言えばあまりやりたくはなかった。クラス委員なんて体のいいクラスの雑用だし、推されたといっても、別に私がする必要もない。

 でも、私の気持ちと裏腹に口は勝手に開いていた。

『えー、皆して私を推しちゃって~。なら、皆の期待どおり、先生、私やります!!』

 一切の淀みなく、私は嘘をついた。

 

 そうしてクラス委員として初めての活動。

 その内容は放課後にクラスで取ったアンケートの集計だった。

 中身は〈私の一番欲しいもの〉について。

 車だったり、飛行機・アクセサリー・宝石といったものから人気といった年齢の割にはませている回答などあった。

 それらのアンケート結果を江藤君と机を向かわせて、二人で集計していく。

 

「なぁ、星野さん?」

「なに? 江藤君」

 

 顔を机に向けたまま、江藤君は私に話しかけた。

 適当な時間潰しか、あるいは簡単な世間話だろうか。

 そんなことを考えていた私に、彼はとんでもない爆弾を投げ掛けてきた。

 

「いや、工藤な。まぁ、いいか。おめぇさ、やりたくもねぇのに、なんでやりますって言ったんだ?」

「────え?」

 

 一瞬、彼が何をいってるか分からなかった。

 

「やりたくなかったって、何が?」

「だからクラス委員だって。本当はやりたくなかったんだろ?」

「そんなわけないよ~。私がやりますって立候補してたでしょ? 私はクラスの───「嘘だな」───為………に」

「だから、それが嘘だって言ってんだよ。本当はクラス委員なんて雑用はしたくなかった。違うか?」

「えっと…………」

 

 生まれて始めて、私は言葉に詰まった。

 私は確かに嘘をついた。

 本当はクラス委員なんてしたくなかった。

 でもそれは“バレるわけがない”。

 私は嘘つきだ。でも、私の嘘は誰にも見破られたことはない。

 本当なんて“私も分からない”のだから。

 ついた人すら“嘘”か“本当”か分からない嘘など、誰が判別できるのだろうか。

 けれど、江藤君は私ですら分からないその“嘘”を見抜いていた。

 それが堪らないほどに────不快だった。

 

 

「おめぇさ、もっと素直になった方がいいぜ? 嫌なことは嫌ってハッキリと────「……うるさい」───言った…方が」

「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい────うるさいッ!!!!」

 

 人の気持ちも考えず、ずけずけと言葉を放つ彼に対し、ついに堪えきれず、叫んでしまった私。

 そんな私をビックリした様子で見る江藤君。それもそうか、私もビックリした。私って、こんな風に叫べたんだ。

 そして始めて叫んだ私の口は、自分の意思では止まることなく“嘘と本当”の言葉を放つ。

 

「あなたに何がわかるの?! 確かにクラス委員なんてしたくなかった!! でも、皆のためにやりたいって思ったの!! それが嘘だったら…………嘘なら……なら私の本心はどこにあるの!!」

「おいおい、少し落ち着けって。癇に触ったのなら謝って──ッて、これは………」

「ねぇ、答えてよ………答えてよっ 江藤君!!!!」

 

 そう叫び、私は偶然手にしていた自分のアンケート用紙を江藤君へ投げつけていた。

 私が一番欲しいもの────〈愛〉と書かれたアンケート結果の用紙だ。

 そのアンケート用紙と私を見比べるように顔を動かす江藤君。

 そして彼は「なるほどな。初めに謝っておくわ。すまん」と私に簡単な謝罪をしたあと、更なる爆弾を突きつけた。

 

「これは俺の勝手な推測からくる推理だ。星野さん、君は自分でも分からないくらいに嘘を──いや、“嘘しか”つけない。理由は家庭環境だね?」

「…あぁ………」

 

 言葉にならないとは、まさにこの事だった。

 見当違いの事を言われたからではない。

 むしろその逆だった。

 江藤君は本当に、私の“真実”を見通していた。

 

「あぁ、無理して返事しなくていい。俺が勝手に喋るだけだ。星野さん、君の今住んでいる場所は施設だ。つまり、そこに至る前の事を推理させてもらうと…………あっ、いっ一応補足させてもらうが、俺はクラス全員の住所を把握している。別にやましいことに使ってねぇからな!!」

 

 江藤君は「勘違いするんじゃねぇぞ!!」と騒ぐ彼に対して、私は静観を続けていた。

 別に住んでいる場所を知っているぐらいで反応するつもりもない。というより、それ以上の爆弾を私へと突きつけたことを彼は自覚していないのだろうか?

 不快感など、とうに消え去っていた。

 そんなことよりも、今はとにかく江藤君の推理を聞きたかった。

 彼は見事に言い当てたのだ。誰にも教えていない。それこそ私のママにすら話していない、私の“原点”を。

 私は黙って彼を見つめると、「………コホン」と軽い咳をしたあと、再び私の方へ顔を向けた。

 

「推理を続けよう。君が施設にいるということは、今の君には両親かそれと呼べる存在がいないか、何かしらの出来事で離ればなれになってしまったと思われる。そこから君が嘘しかつけないという状況。この一番欲しいものが〈愛〉と書かれたアンケート。これら三つから導き出される真実は───」

 

 彼はアンケート用紙を机におき、わずかな間のあと、再び口を開いた。

 

「君は家族から無条件で与えられる筈の〈愛〉が与えられなかった。いや、より正確に言うなら“家族から愛してなかった”といった、愛を否定するような言葉を言われた。だから当たり前が嘘と重なってしまい、相手のことだけでなく、自分自身の言葉さえも嘘になってしまっている…………違うかい?」

「………………」

 

 数秒か、あるいは数分か。沈黙が私と彼の間に流れた。

 私は一瞬だけうつむき、

 

「…………ハハッ、スッゴいね────大正解だよ、“晋一くん”!!」

 

 とびきりの笑顔を、見事な推理をした彼へと捧げた。

 それと同時に、私は頭の中で確かに聞いた。

 パキン、と。私を包み込んでいた心(嘘)が壊された音を。

 

 そこからの事は、今でもつい先日のように鮮明に思い出せる。

 私はまるで犯行を言い当てられた犯人のように、これまでの事を工藤君に話した。

 ママとの生活から、施設に入るまでの一連の出来事を。

 普通なら同情の一つでもしてくるであろう話題の数々を、彼は特に大きな反応もなく、ただ聞くことに徹していた。

 そうして一通り話し終えたところで、

 

「なぁ、星野さん」

 

 それまで聞くことに徹していた彼が口を開いた。

 そして語られるのは安っぽい同情なんかではなく、一つの提案だった。

 

「おめぇがさ、嘘しかつけねぇってんなら、俺が見つけてやるよ」

「…………見つける?」

「あぁ。たった一つの真実を見抜くのが探偵の仕事だ。おめぇがどんだけ嘘をつこうが、その嘘の中から本当のおめぇをよ」

「…………晋一くん。私、本当に嘘しかつけないのよ?」

「知ってる」

「嘘しかつけないから、自分自身、本当の気持ちが見つからない、分からないんだよ?」

「だからだよ」

 

 晋一君はそう言って、私に対して手を差し出した。

 

「なんども言うが、俺は探偵だ。嘘からは真実を見つけ出す。おめぇが本当に欲しい“愛”ってヤツが幾千、幾万の嘘の迷宮の中にあるのなら、必ず一緒に探し出してやるよ」

 

 なんの根拠もない言葉。

 でも、不思議とどんな大人たちの言葉よりも説得力のある言葉であった。

 この人なら、本当に見つけてもらえるかもしれない。

 そう感じた私は差し出された彼の手を握ろうとして、途中で戸惑ってしまう。

 彼のまっすぐな瞳が、どこまでも嘘つきな私と違いすぎたのだ。そんな私が、彼の手をとる資格なんて、どこにも無い気がしてならなかった。

 だから───。

 

「どうして…………どうして私にそこまでしてくれるの?」

 

 素直になれず、彼に理由を訪ねてしまった。

 すると彼は「んなもん、決まってんだろ」と言って後頭部をかいたあと、改めて私の目を見つめた。

 そしてこう言った。

 

(今思えば、この瞬間だった)

 

「俺は────名探偵、工藤晋一だからだ」

 

(私が彼に“射貫かれ────堕ちてしまった”のは)

 

 私へと向けられる、どこまでもまっすぐな瞳。

 その瞳の奥には、“どこまでも透き通るようような光”しかなかった。

 あぁ、やっと理解できた。

 彼は本当に“名探偵”なのだ。私が嘘しかつけないのと同じように、彼は“名探偵”としてでしか生きれないのだ。

 だからこそ、私が誰にも見抜けない嘘がつけるように、彼は言うように嘘から真実が見抜けるし、迷宮から本心を見つけることができるのだろう。

 そう理解した私は差し出された彼の手を両手で握り、人生で始めて“本心”を口にした。

 

「なら────お願いします。探偵さん、私の“愛”を見つけてください」

「あぁ、任せろ。この難事件、必ず解いて見せる。探偵の名に懸けて」

 

 なんて事の無い日常の一ページ。

 たった一人の名探偵によって私は嘘を見破られ、彼の放つ真実の爆弾にて、私を包み込んでいる嘘の殻を壊された。

 そんな名探偵に私は、依頼を出した。

 本心───心からの“愛”を探す依頼を。

 それと同時に、一人のファンが誕生した。

 彼は知らなかった。

 空が飛べない人間が、自由に飛べる鳥に憧れるように。

 堕ちた虚構は、大空へと翔る真実の翼に憧れてしまったことに。

 

(粉々に私の心(嘘)を壊した彼に───“責任”をとってもらおう。うん、そうしよう!! って、この時から考えてたんだっけ、私) 

 

 それから数年が経ち、私はアイドルとなり、彼は名実ともに名探偵へとなった。

 その頃にはもう、私は彼と“一緒”に愛を作ることしか考えてなかった。

 

 




next コナン,s ヒント!!!!

『白いバラ』

「次回はついにオールスター集結!!」
「私のドームライブは?」
「えっ? ええーと…………」
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