「真実の“アイ”は、いつも一つ!!」   作:あるく天然記念物

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ラストスパートです。
そして遂にタイトル詐欺にならずに済みました


劇場版名 探偵アクア『ベイカー街の亡霊』第6話

『やぁホームズ君。早朝からどうしたんだい?』

「急な連絡ですみません、レストレード警部」

『君になら構わないよ。それで、僕に何をしてほしいんだい?』

「おや、まだ何も話していないのに、もう乗り気なんですか?」

『君のことだ名探偵。既にジャック・ザ・リッパーとの対決は避けられないのだろう? 新聞は既に読んでいる。アイリーン・アドラーを狙うとは、モリアーティ教授も抜け目ないお人だ』

「よくお分かりで。ですが、本日は名探偵業務はお休みの予定なんですよ」

『休み? では誰がジャック・ザ・リッパーを捕まえると言うのだい?』

「それは俺の頼れる───“ホームズ”ですよ」

『君ではないホームズ………か。興味深いな。今度私に紹介してくれないかい?』

「えぇ、機会があれば東方の地で是非。それで今回の俺は“スコットランドヤード”へ職場体験でもしようかと思っていまして」

『ん? …………あぁ、そう言うことか。それならば是非とも来てくれたまえ。今日はなんとワルシャワ王室オペラの警備を予定している。貴重な職場体験を保証しよう』

「それは楽しみです。“色々と準備が必要”と思いますので、早めに合流させてもらいます」

『では、待機所で待ってるよ、新人君?』

「はい、どうかお手柔らかに。オペラの最終公演にはきっと“花火が打ち上がる”と思いますから」

『…………そうだね。ネズミが噛らないように隅々まで掃除しておかないといけないみたいだ』

「えぇ、できれば早めの対応をお願いしますね」

『勿論。スコットランドヤードの手腕の見せ所さ、ホームズ』

 

◯ ◯ ◯

 

 モリアーティ教授が殺害指示をジャック・ザ・リッパーへと出したことにより、オペラ公演までの間はジャック・ザ・リッパーからの襲撃はないと判断した。

 それにより、俺はグループを俺とアクア達の二つに分けた。少しでも成功率を上げたかったからな。

 俺は裏方の準備。アクア達はジャック・ザ・リッパー逮捕への準備を行う段取りを決め、集合場所はワルシャワ王室オペラ劇場と決めた。

 色々と互いに準備をしていくと時間はあっという間に過ぎていく。

 

「ごめん父さん、少し遅くなった」

「いや、十分に間に合ってるさ」

 

 先に仕込みが完了して外で待っていると、小走りでアクア達がやって来た。

 時間帯はオペラ開場の数十分前。

 その頃には、ビッグ・ベンの針は0時6分を指していた。

 

「とうとう俺たちを除いてゲームの参加者全員が脱落したか」

「そうだね、父さん。俺たち6人に、全員の命がかかってるってわけか」

「…………怖いか、アクア?」

「少しね。でも、“あの時”と同じで父さんと一緒だから怖くない。むしろ、絶対に成功させてやるってやる気が出てきた」

「そうか。なら、俺も全力を尽くすさ。頼んだぜ────“リトルホームズ”?」

「そっちもね、“ホームズ”?」

 

 俺とアクアは互いに拳を合わせ、視線をオペラ劇場へと向ける。

 ここがゲームの最終地点。

 泣いても笑っても、ここが俺たちの最終公演だ。

 

「んじゃ、無駄だとは思うけど、一応アイリーン・アドラーに公演中止をお願いしに行くか」

「「「「「おー!!(えぇ)」」」」」

 

 手はずとして、俺たちは最初にアイリーン・アドラー本人と接触することにした。

 現状レストレード警部と今朝から連絡を取ったことで“会場への仕込み”は既に終わっている。後はアクア達が無事にジャック・ザ・リッパーを犯行時に見つけ出し、逮捕へと繋げればゲームクリアとなる計画となっている。

 俺としてはアイリーン・アドラーに公演を“急遽”中止してもらった方が助かるのだが、ノアズ・アークの思考は俺の遥か先を行っているため、その望みは薄い。しかし、世の中には万が一と言う事もあるため、ダメ元で行くことにした。

 それに親父が作ったゲームのアイリーン・アドラー“役”が誰なのか気にもなっていたから丁度よかった。

 果たして親父の考えるホームズが唯一愛した女性は一体誰なのか。なんか、とんでもないパンドラの箱を開けに行く気分である。

 

「ここみたいだな」

 

 道中、オペラ関係者から俺たちの素性を怪しまれたが、ここに来て俺のホームズとしての配役が役に立った。

 スタッフ全員が俺の顔を見るなり「ホームズさんですか!!」と言って怪しまれるどころか、逆にサインやら握手を求められる始末。

 お陰でアイリーン・アドラーの控え室の案内には困らなかったが、余計な時間が掛かってしまった。

 時間をこれ以上無駄にするわけにもいかないため、俺は迷うことなく扉をノックする。

 

『んー、どうぞー?』

 

 ノックの後、“聞きなれた”ようて“聞き覚えのない”女性の声が聞こえた。

 完全に矛盾を感じた声。こいつは一体どう言うことだ? 俺としては知り合いなのは確実と思っていたが、それにしては馴染みがあるようでない声だった。

 これはいよいよもって正体が気になる。

 

「失礼します」

 

 扉を開け、部屋へと入る。

 部屋は時代背景から品々は現代よりも古い道具が数多く見られた。

 そして部屋の中心に大きな椅子が置いてあり、そこに一人の女性が座っていた。

 間違いなく、彼女がアイリーン・アドラーだ。

 そして彼女は俺たちが入ってくるのを感じ取ったのか、徐に立ち上がり、“ワインレッドの髪”を揺らしながら此方へと振り向いた。

 その姿に、俺とアクアが本日二度目の衝撃を受ける事となった。

 

「おぉー!! これはこれはホームズさん。わざわざ来ていただけるなんて。いやー、私も有名になったもんですなぁ~」

((おめぇかよぉおおおおおおおっ!!!!))

 

 アイに似た顔立ち。俺のような目元。両目に輝く星を宿し、どこか親しみやすさを感じさせつつも、トップアイドルとしてのカリスマ性を宿した女性──“ルビー”がそこにいた。

 いや、より正確に言うのなら、かつて“ツインタワービル”で見たような十数年成長したルビーがそこにいた。

 

「うわー、私って成長したらこんな風になるんだ。ママみたいでスッゴく可愛いじゃん、未来の私ッ!!」

 

 最早ドッペルゲンガーを見たような状況のルビーでさえ、その事が気にならないレベルの美少女となった自分に、まるで“初めて見た”かのような反応でご満悦となっていた。

 しかしルビーがアイリーン・アドラーとはな。いや、アイがハドソン婦人であった時点で薄々感づいてはいたが、どこまでも孫バカ過ぎるだろ、親父……いや待てよ?

 俺の脳裏に少しだけ疑問がよぎった。

 わざわざ成長したアクアとルビーを登場させておきながら、どうして“アクアはワトソンなんだ”? ルビーをアイリーン・アドラーとして出すのなら、普通ならアクアはホームズになる筈だ。

 …………もしかして“逆”なのか? それってつまり────ッ?! いやぁ、それは………ねぇ。

 とんでもない事実の糸に手が届きかけた。が、

(うん。今は考えても仕方ねぇな、これは)

 そこまで考えておきながら、俺は頭を左右に降った。

 仮に今、その答えにたどり着いたところで、ゲームクリアには関係がない。

 むしろ特定の関係に多大なる影響がでるぞ。

 俺は脳裏に浮かび上がりかけた推理を頭の片隅に追いやりつつ、アイリーン・アドラーへと話しかける。

 

「アイリーン。有名になったついでに、今日の公演は中止にできないか?」

「中止ィ? いやいや、ホームズさん。流石にそれはできないよ~。お客様だって楽しみにしてるし」

「だが、今日は朝からオペラ劇場で“怖い配管工”の皆を見ただろ? 既に君はロンドンを騒がせる厄介なファンから命を狙われている。それでもか?」

 

 俺が訪ねると、アイリーン・アドラーはとびきりの笑顔を浮かべた。

 

「当然!! 私は今日、ロンドンの空に浮かぶ“一番星”なので!!」

 

 そう言い放つアイリーンの姿が、かつてコナンの時に見たライヴ前のアイと重なった。

 しかし、同時に納得もした。そりゃ、テコでも動かんか。目の前にいるのはオペラ歌手でありながらアイドル(アイ/ルビー)なんだ。

 ライブ会場が満席でありながら、ライブ前に立たないアイドルはいない。少なくともアイ/ルビーはそうしないだろう。

 

「それに、ホームズさん達が私を守ってくれるんでしょ? だったら安心ね。例えナイフを隠し持ったファンから襲われたとしても、ね?」

 

 アイのような笑顔でそう言われてしまえば、そうせざるを得ないな。

 俺とアクアは互いに顔を見合わせ、少しだけ過去を思いだし苦笑いを浮かべる。

 何時だってアイドルを守るのは奴隷(ファン)の役割だ。それを少しだけ思い出したから。

 

「はぁ、いいだろう。全力をもって守らせてもらうさ。なぁ、アクア?」

「うん。そうだね、父さん。貴女(アイドル)を守るのはファン(奴隷)の務めだからね」

「うふふ、それじゃあホームズペアに護衛をお任せします。その代わり、過去一番の星を見せてあげるねッ☆!!」

 

 それからアイリーン・アドラーはメイクが少し残っているとのことであったため、俺たちは控え室を後にした。

 結局、ノアズ・アークのシナリオ通りなのかアイリーン・アドラーを説得することはできなかった。

 けど、これはこれでよかったのかもしれない。

 元々の俺の計画には支障は出ていないし、アイリーン・アドラーと会ったことでアクアは“最高の状態”となっている。

 知ってるか、ノアズ・アーク。

 ライブ前の奴隷は例え僻地だろうと従軍し、戦い抜く兵士だと言うことを。

 つまり──今の俺(名探偵)とアクア(奴隷兼名探偵)は最強だ!!

 そんな意気込みでアイリーン・アドラーの護衛の手筈を確認する俺とアクアを相棒は何処か冷めた目で見つめていた。

 

「はぁ………アイさんそっくりってだけで二人ともテンション上げちゃって。本当に……少し妬けるわね、アイ」

 

 何やら呟いたようであったが、今の俺たち(俺とアクア)には全く耳に入ってこなかった。

 

……………

 

………

 

 

『──────♬』

 

 劇場の舞台にて、アイリーン・アドラーはオペラを披露する。

 その姿はまさに、ロンドンの夜空に浮かぶ一番星のようであった。

 今のルビーよりも“圧倒的な歌唱力”であることは間違いないのだが、それでもアイの娘だと否が応でも見せつけられるような歌声、そして気迫が感じられるオペラだった。

 そんなアイリーン・アドラーの演技を舞台袖から見つめる晋一たち。

 しかし、そんな彼女の演技を見ているのは当然彼らだけではない。

 そう、厄介なファンも例外ではないのだ。

 裕福層向けの個室席にて、一人の老人──モリアーティ教授はアイリーン・アドラーのオペラを観ながら、静かに笑みを浮かべる。

 

「フフ、さぁアイリーン・アドラーよ。私のために、派手に散ってくれたまえよ」

 

 言葉とは裏腹に、モリアーティ教授はジャック・ザ・リッパーがアイリーン・アドラーを殺害できるかどうかについては特に気にしてはいなかった。

 仮にアイリーン・アドラーが殺害できればホームズの絶望を拝むことができる。

 それができなくとも、これから起こる殺戮、そして民衆の狼狽える声を楽しめる。

 どちらに転んでも、モリアーティ教授としては楽しめる結果となるのだ。

 更に今回は第三の道として、もう一人の“ライバル”誕生が見られるかもしれない。

 ホームズ一人だけでも素晴らしい闘いができるのだから、それと同等の存在が誕生する瞬間を目撃できるとなれば、最早喜びと言う言葉だけでは表現できない。

 そうして、待ち望んだその時がやって来る。

 アイリーン・アドラーが“無事に公演を終え”舞台袖から入れ替わるように“一人の少年”が登場した。

 会場が公演外の演出にざわめき始める。

 しかし、その少年はまるで自身の登場が演目の一部であるかのように堂々と舞台の中心に立ち、観客へと一礼した。

 その振る舞いに、ざわめく観客も声を潜めていく。

 そして少年は最高のショーを始めた。

 

『会場にお越しの皆様。これより今回の最終演目。ロンドン市街を脅かす恐怖、その終演を楽しんでください』

 

 その少年──アクア(リトルホームズ)の姿に、モリアーティ教授は最高の笑みを浮かべた。

 そして少年の言葉に答えるように告げるのだった。

 

「いいだろう。是非とも終わらせてみせたまえ…………新たなる“好敵手”よ」

 

◯ ◯ ◯

 

 舞台に立つのは久々だ。

 五反田監督の撮影の時以来だろうか。

 現実でも立ったことの無いような大きな舞台の中心に立っているというのに、不思議と緊張しない。

 舞台袖に少しだけ視線を向けると、ルビー二人と子供達、灰原さんに父さんが見守っていた。

 ふと、父さんが何かを言った。

 距離からして聞こえる筈がないのに、俺にはハッキリと聞こえた。

 

 ────楽しんでこいよ。名探偵────

(あぁ、そうさせてもらうよ、父さん)

 

 父さんは既に“仕込みは終わらせた”と言っていた。

 だから、ここからは俺の闘いだ。

 俺はこれからアイや晋一と同じように、観客に向かって演技(推理)を始めていく。

 

「皆様、ロンドンを恐怖へと陥れたジャック・ザ・リッパー。先ずは彼の生い立ちから、物語は始まります」

 

 最初に語るのは物語の導入。

 ジャック・ザ・リッパーがモリアーティ教授と出会う“以前”の事だ。

 

「彼はある女性の一人息子でした。女性は彼を愛していたが、その愛は突如として終わりを告げた。女性は彼をストリートへと置いていったのです。しかし、女性は彼への愛を捨てきれなかった。その証を、指に付けたままにして」

 

 そして物語は動き出す。

 彼がモリアーティ教授と出会い、殺人鬼として覚醒を果たすことで。

 

「奇しくも彼は犯罪界のナポレオンに拾われ、目覚めてはならなかった才能を開花していく事となりました。そう…………殺人鬼としての才能を」

 

 彼は殺人鬼として覚醒した。

 それを見届けたモリアーティ教授は彼の性能を試すこととなる。

 一回目の殺人事件へと。

 

「彼の最初の犯行は、ナポレオンが用意した捜査の撹乱と彼への試金石だった。そして彼は見事にその試練を乗り越えてしまった。それにより、ナポレオンは次の戦場へ向けて彼を篩にかけてしまった」

 

 ジャック・ザ・リッパーの性能が十分と判断したモリアーティ教授は次の犯行の為に彼の心を試した。

 そう、彼が暴走する切っ掛けとなってしまった“第二の犯行”を。

 

「ナポレオンは人ではなく道具を欲した。それにはどうしても人を人足らしめる“愛”が邪魔だった。だから、その愛を試したのです。ジャック・ザ・リッパーの愛────“実の母親殺し”を」

 

 …………ここからだ。

 ここから物語はここから一気に動いていく。

 ジャック・ザ・リッパーが強行に出てくるかもしれない。だけど、最後まで演技(推理)を止めてはいけない。

 俺は父さんとレストレード警部が用意してくれた資料から導かれる推論を展開していく。

 

「ジャック・ザ・リッパー第二の犯行。その被害者であるハニー・チャールストンは彼の実の母親でした。それを証明するのは、彼の犯行で唯一の痕跡となった遺留品。二つの指輪となります」

 

 ジャック・ザ・リッパーが唯一残した二つの指輪。

 これはジャック・ザ・リッパーが人として最後に残していた“親子の愛”だと俺は推理している。

 片方はハニーのもの。しかし、もう片方の小さい指輪はハニーのどの指にも合うことはなかった。

 つまり、片方はジャック・ザ・リッパー本人の持ち物ということだ。

 それを置いていったのは彼の気持ちの現れ。

 “愛”を捨て去り、人から殺人鬼へと身を落とすための。

 

「彼の物語は、そこからナポレオンが制御できない殺人鬼の誕生へと繋がり、今へと至ります。では、この演目もそろそろフィナーレへと向かうことにしましょう」

 

 俺の推理もこれがクライマックス。出し惜しみは一切しない。

 父さんの下準備により、既に観客とスタッフ全員の“指”は確認済みだから。

 俺は右腕を上へと上げる。

 

「彼が捨てた愛の証。それが彼が人であった証明でもあり、正体を表す真実の鏡へと生まれ変わる。子供の頃から同じ指輪をしているのであれば、その指はどうなると思いますか? 恐らくですが、10本の指のうちその“1本”だけが細くなっているはずですッ!!」

 

 そして俺は右腕を思い切り振り下ろし、真っ直ぐ指差す。

 

「ロンドンを恐怖へと陥れたジャック・ザ・リッパーは────貴方だッ!!」

『ッ?!』

 

 俺が指を指すと同時に、暗い舞台の天井から一本のピンスポットライトが観客席へと伸びる。

 そこに座る一人の女性。

 

『ふふ…………』

 

 彼女? は徐に立ち上がると、自身の手を観客全員へ見せるように広げる。

 右手の薬指だけが細くなっている状態を。

 

 その瞬間。

 

──キヤァアアアアァアアッ!!??──

 

 彼を中心に、会場が一気に騒がしくなる。誰もが殺人鬼と同じ空間には好んで居たくない。そのため観客は我先にと観客から逃げていく。

 普通であれば大混乱に乗じてジャック・ザ・リッパーは会場の外へと逃げ出すだろうし、彼もそう計画していただろう。

 

『なぁッ?!』

 

 だけど、それが叶うことは決してない。

 あんたを逃がさないための推理は既に父さんの手によって“終わっている”からだ!!

 ジャック・ザ・リッパーの周囲に座っていた観客。

 その全てが“スコットランドヤード”となっていた。

 そのスコットランドヤードの内の一人が、ジャック・ザ・リッパーへと話しかける。

 

「全く、ホームズの推理も凄かったが、あのリトルホームズも中々に凄い。本当に君の正体を突き止めたのだから」

「レストレードぉ………ホームズの犬風情がッ」

「んー、僕がホームズ君達の犬なら、差し詰め今の君は袋のネズミというやつじゃないのかい?」

「────くぅッ!!」

「諦めろジャック・ザ・リッパー。お前は既に包囲されている。この観客席だけでなく、周囲も既にスコットランドヤードにて封鎖済みだ。鼠一匹すら逃げる事は叶わないぞ」

「…………それはどうかな?」

「なに?」

「貴様達スコットランドヤードによって、俺が仕掛けた爆弾の殆んどが片付けられてしまった。だが、俺も“保険”をかけていないとでも思っていたか?」

 

 コイツ、こんな土壇場で何をするつもりだ?

 ジャック・ザ・リッパーはスカートの裾をたくしあげる。そして足元には大量の黒い球体のようなものが落ちてきた。

(あれはもしかてッ─── )

 その球体の正体に俺が気づく前に、球体から白い煙が一気に噴出される。

 その白い煙はすぐさま辺り一面に広がり、俺の目の前が煙の山となる。

 やはり煙幕か!! だが、煙幕一つでレストレード警部が言っていたように逃げ切れるとは思えない。

 ヤツはまだ何かを企んでいる。

 推理でも何でもないが、確かな確信が俺にはあった。

(どこから来やがる)

 俺は何時でも動けるように身構える。父さんがアイリーンと共にいる以上、ジャック・ザ・リッパーはアイリーンを狙うことはないだろう。父さんからの攻撃はシステム上通らなかったとしても、初日にジャック・ザ・リッパーは父さんと対峙してその実力を知っている。

 それでいてこの危機的状況下でヤツがまだ逃走を諦めていないとしたら。

 俺の推理が正しければ、ヤツの狙いは恐らく──。

 

「リトルホームズ!! 貴様だッ!!」

「やはりかッ!!」

 

 自身の正体を見破り、尚且つ“子供”の俺を狙ってきやがった。

 人質としてか、或いは正体を見破った報復か。

 どちらの理由であろうとも、ヤツは一直線に俺を狙ってきた。

 普通なら逃げるのが最優先だろう。

 だが、ジャック・ザ・リッパーを捕まえる上では、俺はこの瞬間を待っていた!!

 俺は素早く“博士の作ったボール射出ベルトとキック力増強シューズ”のスイッチを入れる。

 ───が、“何も起こらなかった”。

 

「なっ?! ──そうか?!」

 

 父さんがコナンの時に愛用し、譲り受けた秘密道具。これがあれば大人が相手であろうと問題なく立ち向かうことができる。

 だが、それはあくまでも使えたらの話だ。

 ここに来て俺は、ここがゲームの世界だと言うのを忘れていた。

 ゲームの世界には当然、博士の道具のデータが有るわけが無かったのだ。

(……不味いッ?!)

 ジャック・ザ・リッパーが目の前まで迫っているにも関わらず、俺は無防備に立っている。

 今から逃げようにも、その動作をする前にヤツが来る。

 まさに絶体絶命の状態だ。

 ヤツと俺との距離が近づき、ヤツは腰に差していたナイフを取り出す。

 そして俺へとそのナイフを突き立てようとした。

 

「あぶねぇ!! 赤髪ッ!!」

「このぉおおっ!!」

 

 その時、小さな影が二つ。俺の前に出てきた。

 諸星と滝沢である。

 二人は俺を守るように突飛ばし、自身はジャック・ザ・リッパーの前に立ち塞がった。

 

「邪魔だ、小僧ども!!」

「諸星!! 滝沢!!」

 

 突き飛ばされた俺は軽く転がり、体勢を整えようとしたときには、既にジャック・ザ・リッパーは諸星達にナイフを突き立てていた。

 アイツら、俺を守るために。

 そうして二人の身体が光に包まれていく。

 

「ふん。余計なことをしてくれた。だが、無駄死にだったな、小僧ども」

「無駄死に? はっ、バカ言うなよ」

「なに?」

 

 身体が消え行くなか、ジャック・ザ・リッパーに対して不適な笑みを浮かべる諸星。

 そして諸星は語る。

 

「俺は無駄死になんかじゃねぇ。お祖父ちゃんから受け継いだ警視副総監の孫としての民間人を守るという“使命”を全うしたんだよ!! 殺人鬼のテメェにも分かりやすく教えてやる。持つものはな、それ相応の“義務”があるんだよ!! 俺はそれを全うしただけだ。だから、これは決して無駄なんかじゃねぇんだよッ!!」

「ッ!!」

「そらよっ!!」

 

 諸星の気迫に、ジャック・ザ・リッパーが少しだけ怯む。

 その間に諸星は自分に突き刺さっているナイフを抜き取るると、それを遠くに投げた。

 ジャック・ザ・リッパーの犯行を防ぐために。

 そして消える寸前、諸星君は俺の方を見てきた。

 そしてジャック・ザ・リッパーを睨んだ時と同じように不適な笑みを浮かべる。

 

「勘違いすんじゃねぇよ、赤髪。俺はテメェを助けたわけじゃねぇ。俺は工藤さんが言うように俺の持つ責務を全うしただけだ。だから、テメェは必ずゲームをクリアをしろよ?」

「だな。工藤さんに言っててくれ。次の選挙には父さんに清き一票を、ってな!!」

 

 そう言い残し、彼らは立派な二世三世として相応しい態度で去っていった。

 新な犠牲者二人を産み出す結果となってしまったが、悲しんではいられない。

 諸星君が言うように、俺の責務を全うしなければ諸星君だけじゃない。ゲームオーバーとなったみんなに顔向けができない。

 

「くそッ、思わぬ邪魔が入った。だが問題はない」

 

 ナイフを失ったジャック・ザ・リッパーは迷うことなく俺のところに来た。

 今度こそどうしようもない状況と思われるが、それは違う。

 諸星君の行動は確かに意味があった。

 俺は時間を稼ぐように、ジャック・ザ・リッパーへと話しかける。

 

「どうする気だよ、ジャック・ザ・リッパー。得物も無しに俺を襲う気か?」

「そうだな。小僧どものせいで貴様を素手で殺すことになるが、たいした問題じゃない」

「そうか? ナイフ以外での犯行は始めてだろ? 不安とかねぇのか?」

「面白いことを言うな、小僧。だが、モリアーティからありとあらゆる殺しの技術を教わっている。安心するといい。軽く殺してやる」

「そうだったな。なら、俺からも最後にアドバイスをしてやるよ、ジャック・ザ・リッパー」

「なに?」

「行動を起こすときは、“もっと素早く”やるといいぜ?」

「リトルホームズ、それはどういう────」

 

 もう十分に時間は稼いだ。

 

「動くなっ!! もう子供だましは終わりだ、ジャック・ザ・リッパー!!」

 

 諸星君が稼いだ時間と、俺との会話で生まれた時間。

 それらによってレストレード警部たちはようやく煙幕から逃れ、俺たちのいる舞台へと来れた。

 同時に、全員が何時でも制圧できるように銃を構えて。

 

「はっ──ハハハハハッ」

 

 だが、そんな状況にも関わらず、ジャック・ザ・リッパーは笑っていた。

(何か……嫌な予感がする)

 

「何が面白いんだい、ジャック・ザ・リッパー?」

「いやいや、確かに終わりだと思ったのさ────おまえ達もなッ!!」

 

 レストレード警部の問いかけに答えるように、ジャック・ザ・リッパーは思い切りドレスを脱ぎ捨てる。

 そして露となる彼の姿に、全員が息を飲んだ。

(おいおい、冗談だろっ?!)

 ジャック・ザ・リッパーは黒いバトルスーツのような姿をしていたが、それは問題ではない。

 全員が驚愕したのは、身体中に箱状の物を幾つも括り着けていたことだった。

 それは紛れもなく爆弾だった。

 そうしてジャック・ザ・リッパーは全員が驚く様子を満足した様子で見渡し、高らかに笑う。

 

「フハハハハハッ!! これが俺のとっておきだッ!! 俺もろとも、全員があの世行きというわけだ!!」

 

 ジャック・ザ・リッパー笑いながらは懐から小さい筒状の物体を取り出した。その筒状の物体にはコードが延びており、彼の身に纏う爆弾に繋がれていた。

 

「このスイッチ一つで全てが起爆する。この爆弾は一つだけでも部屋をひとつを軽く吹き飛ばせる威力。今から逃げようとすれば容赦なく起爆する」

「ジャック・ザ・リッパー……」

「おっと、リトルホームズ。貴様も余計な真似はしないことだ。貴様を含め、一人を除いて一歩でも動けば全員が塵と化すぞ」

 

 (一人を除いて?)

 俺の頭に疑問が浮かぶ。ジャック・ザ・リッパーは誰の事を言っているのか。その答えを俺が訪ねるまでもなく、ヤツ自身が話し出した。

 

「ホームズ!! 近くに居るのだろう? 出てこい!!」

 

(ホームズ? 父さんを呼び出して、ヤツは本当に何をするつもりなんだ…………分からねぇ)

 疑問が俺の頭の中を埋め尽くす。しかし、同時に言葉にできないような不安も生まれていた。

 そうしてジャック・ザ・リッパーの狙いが一切わからないまま、彼は来てしまう。

 アイリーン・アドラーとルビー、哀さんを安全な場所に避難させ終え、一人で舞台袖からゆっくりと歩いてくる。

 

「よぉ、来てやったぜ。ジャック・ザ・リッパー?」

「会いたかったぞ、ホームズ」

「それで、俺に何をさせたいんだ?」

「いい質問だな。ちょうど小僧どもが俺から取り上げたナイフがそこに落ちているだろう? 先ずはそれを拾え」

 

 ジャック・ザ・リッパーが言うように、父さんの足元には諸星君が投げ飛ばしたナイフが落ちてあった。

 下手に刺激することはできないと父さんも思い、言われるがままにナイフを拾う。

 

「このナイフをおめぇに渡せってか?」

「いいや、その必要はない。一つ余興をしないか、ホームズ?」

「なんだって?」

 

 ジャック・ザ・リッパーの言う余興。

 それは余興と言うにはあまりにも残酷な選択だった。

 

「ホームズ。これからそのナイフで、自身の心臓を貫け!! そうしなければ爆弾を起爆する!! さぁ、どちらを選ぶ。名探偵!!」

「…………そう来たか」

 

(は?)

 俺はジャック・ザ・リッパーが言ったことを理解するのに数秒だけ時間を要してしまった。

 突然の父への死の宣告に身体か一切動けないでいた。

 

「ダメだ……父さん」

 

 しかし、その間にも父さんは何かを決意したような表情を浮かべ、ナイフを掲げる。

 

「俺は…………」

 

◯ ◯ ◯

 

 全くもってやってくれるな、ジャック・ザ・リッパー。

 俺の命か、はたまた皆の命か。どっちに転んでも俺が死ぬのには変わりがねぇよ。

 

「さあ、自身の命か。それとも全員の命か。選らばせてやろう、ホームズ」

「…………命を選ぶ、ねぇ」

 

 そのフレーズにとある記憶が呼び起こされたが、もしかしてこれが選択する時なのだろうか。

 しかし、万が一も考えられる。無駄だとは思うが、一つだけ質問するか。

 

「ひとつ聞きたい、ジャック・ザ・リッパー」

「なんだ?」

「俺がこのナイフで死んだ後、爆弾を起爆するつもりはあるのか?」

「……確かに。貴様はそこを気にするだろうな。だがな、私にも殺人鬼としてのプライドがある。爆発なんてこれまでの犯行からもっとも選びたくない殺害方法だ。それに、俺の目的は“生き続ける”ことだ。それは約束しよう」

 

 生き続けること、ねぇ。

 答えになっていないような気もするが、ヤツにとっては爆殺はできればしたくない選択肢であることには違いないようだ。

 

「父さん…………ダメだ」

「邪魔をするな、リトルホームズ。これは俺とヤツの余興だ。既に貴様の出る幕ではない」

 

 アクアが俺に何かをいいかけるも、ジャック・ザ・リッパーがそれを遮る。

 アクアの言いたいことは分かる。ジャック・ザ・リッパーはどう転んでも爆弾を起爆するつもりだろう。けどな、自分か皆かってなるなら、初めから答えなんて決まっているようなもんだ。

(こう言うときは、あの台詞が有名か)

 俺の頭に、とあるホームズの名言がよぎる。

 

「君を確実に破滅させることが出来るならば、公共の利益の為に僕は喜んで死を受け入れよう」

 

 俺はゆっくりとナイフを自分の心臓へ向けて構える。

 

「っ!! ダメだ父さん!!」

「黙ってろリトルホームズ!! さあホームズ、ナイフで自害するがいい!!」

 

 俺の言う台詞の意味が分かるアクアは必死に止めようと声をかけてくれるが、ジャック・ザ・リッパーはそれを睨み付けて辞めさせる。

 そんなアクアを安心させるように、俺はアクアへ笑いかける。  

 

「父さん?」

「安心しろって、アクア。俺は“確実に破滅させる”って言ってるだろ? それとなぁ、ジャック・ザ・リッパー。さっきの言葉だが、一つだけ訂正させてもらう」

「…………」

 

 俺の言葉に興味が無いのか、無言で自害を催促してくるジャック・ザ・リッパーへ、俺は“親”としての言葉を伝える。

 ジャック・ザ・リッパーだけでなく、“全員へ向けて”。

 

「公共の利益って言うけどなぁ──親だったら子供の為にこの命なんざ、惜しくはねぇんだよッ!!」

 

 言いたいことは言い切った。

 俺は勢いよくナイフを自分の心臓へと突き立てた。

 

「ッ!!」

「……ホ、ホームズ君?」

「とっ………父さんッ!!!!」

 

 三者三様の反応を示すなか、俺の体はゆっくりと虹色の光が走り出す。

 間違いなくそれは、死亡判定。ゲームオーバーの証だ。

 

「やった……俺は、俺はモリアーティですら成し得なかったことをやり遂げたのだ!!」

「父さん……どうして」

「言ったろ、アクア。おめぇやルビーを守る為だったら、俺は命なんか惜しくねぇんだよ」

「だからって、そんな……そんなのって」

 

 足元からゆっくりと光の輪が出現し始めた。

 その光が腰辺りまで来たところで、ジャック・ザ・リッパーがいきなり声を出した。

 

「これで俺の名声は後世にまで語り継がれるだろう!! 後は、全員もろともあの世に行くだけだ!!」

「なっ、ジャック・ザ・リッパー、貴様!!」

「テメェ──この卑怯ものがッ!!」

 

 レストレード警部とアクアの避難がジャック・ザ・リッパーへと向かうも、ヤツはどうでもいいような表情で受け流していた。

(やはりな、そうだと思ってたわ)

 このままではジャック・ザ・リッパーがこの場にいるメンバー全員と一緒に自滅してしまう。

 一応灰原とルビーが生き残る形なるが、俺たちでジャック・ザ・リッパーを捕まえた事にはならないだろうな。俺がノアズ・アークだとしたらそう判断する。

 だから────俺は“ゲームオーバーになる必要があった”。

 これでようやく一瞬だけ“干渉”できる!!

 俺は光の輪が胸の辺りに来る前に、胸のうちポケットから“護身用の武器”を取り出す。

 その武器を静かに、そして素早くジャック・ザ・リッパーへと向けた。

 

「ハハハハハッ───は?」

 

 ヤツの間抜けな声が、舞台に響いた。

 確かに俺はジャック・ザ・リッパーに干渉することはできない。

 でも、物事にはなんにだって例外はある。

 俺が消えた後にも残る“攻撃判定”なら、俺が消えた後には俺の攻撃とは判定されない筈なのだ。

 光の輪は下から上へと上っていくのはゲームオーバーとなった諸星君達で確認済み。

 だったら、俺の腕をできる限りの顔と同じ高さに揃えれば、可能となる。

(ノアズ・アーク。俺は“自分の命”と子供達の──いや、全員の命を選ばせてもらおう)

 光の輪に包まれる瞬間を見計らい、俺は構えた武器──ホームズの拳銃をジャック・ザ・リッパーがスイッチを握る手へと向けて発砲した。

 

「後は任せたぜ、アクア(名探偵)」

 

 発砲したのと同時に、俺の身体は完全に光の輪により消滅させられた。

 ジャック・ザ・リッパーへと向かう、一発の弾丸を残して。

 

◯ ◯ ◯

 

「があああぁああぁッ!!??」

 

 父さんがゲームオーバーとなったのとほぼ同時に、ジャック・ザ・リッパーが爆弾のスイッチを握る手に銃弾が撃ち込まれた。

 父さんが“確実に破滅させる”って言葉は、そういう意味だったんだ。

 つくづく思う。本当に、父さんには勝てねぇな。

 父さんが俺たちの命を選択し、後を俺に託してくれた。なら、やるべき事は一つだ。

 俺はある場所へと向かう。

 

「くぅ、まだだ。私はまだ──」

 

 手ごとスイッチを撃ち抜かれたジャック・ザ・リッパーは、まだ諦めきれないのか、最後の抵抗に出た。

 父さんが消えた後に残った拳銃。

 それを拾いに行こうとするが、それは叶わない。

 ヤツが動くよりも先に、俺が動いていたから。

 

「諦めろ、ジャック・ザ・リッパー。テメェの敗けだ」

「りっ、リトルホームズゥッ!!」

 

 俺は父さんが残した拳銃を構え、銃口をジャック・ザ・リッパーへと向けた。

 これ以上の問答は必要ない。

 俺はジャック・ザ・リッパーに何一つ言葉を掛けることもなく、引き金を引いた。

 タァン、と。乾いた音が舞台上を響かせた。

 当然ながら、拳銃なんて扱える子供はそういない。ぶっつけ本番で命中させるのは困難だ。けど、俺はコナンと同じように“ハワイで父さんに習った”から問題はない。

 俺が放った弾丸は寸分たがわずに、ヤツの足を撃ち抜いた。

 

「あ────ガハッ」

 

 撃ち抜かれ、力が入らなくなった足はヤツの自由を簡単に奪った。

 勢いよく地面に倒れ伏すジャック・ザ・リッパー。その隙を、名探偵でなくても警察は見逃しはしなかった。

 

「確保ッー!!!!」

 

 レストレード警部を始め、近くにいたスコットランドヤード全員がジャック・ザ・リッパーへと殺到する。

 身体中を押さえ込まれ、最後にレストレード警部がヤツに告げる。

 

「ジャック・ザ・リッパー。連続殺人犯として、貴様を拘束する」

 

 そしてロンドンを震撼させた殺人鬼の腕に、ようやく手錠がかけられた。

 それと同時に、どこからともなく無機質な音声が流れ出す────。

 

 ──ゲームがクリアされました──

 

 (父さん──やったよ)

 アナウンスが聞こえたことによる確かな達成感と共に、俺の意識は闇へと落ちていった。

 




次回のエピソードは少し短いと思います。
そしてようやく物語が完結となります。ここまで付き合っていただきありがとうございます!!

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