とある魔術の禁書目録外伝IF〜とあるフレンダの救済計画〜 作:死徒
遂にあの場面がやって来ます。
10月9日
学園都市第二位…未元物質(ダークマター)垣根提督が学園都市の独立記念日に起こした反乱を皮切りに起きた通称”暗部抗争”。
その際に彼がリーダーを務める暗部組織…スクールに捕えられ、アイテムの情報を話してしまったフレンダ。
その後、垣根にアイテムのアジトへの道案内をさせられた後解放されるも直後、ビルから飛び降りてきた麦野に運悪く遭遇してしまう…
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〜とある路地裏〜
薄暗い路地裏にて憤怒の形相をした女性…麦野沈利が目の前で震えながら正座し、彼女を見上げる少女…フレンダ=セイヴェルンを粛清しようとしていた。
理由はただ一つ…アイテム…否、自分を裏切り、敵対するスクールに自らの保身の為に自分達を売ったからだ。
勿論、スクールには心理定規(メジャーハート)という女性がおり、その精神干渉能力を前にフレンダは強制的に喋らせられたのだが、頭に血の昇った今の麦野がそれを聞き入れる訳が無く、フレンダは最早詰みの状態だった…
「さてとフレンダ…裏切り者には粛清が必要だよねぇー?」
「い、いや…む、麦野…お願いだから…話を…聞いて…」
「はぁ!? 裏切り者の話を聞いてやる程あたしは暇じゃ…ねぇんだよ!!」
「!!?」
原子崩しが麦野の周りに収束し始める。
「フレンダ……死ね!!」
「(私…死ぬんだ…心理定規の能力で喋らされたとはいえ、結局アイテムのみんなを売ったのは事実…私自身正直死にたくないって気持ちもあったし…今まで散々人も殺してきた…当然の報いって訳ね……死ぬのかー…心残りがあるとするとフレメアのこととかこの間佐天と約束したサバ缶パーティが出来ないこととか…ヤバっ…たくさん有りすぎて参るって訳よ……でも一番会いたいのは…オビトね…最後に会いたかったなー……さようなら……」
走馬灯を見るフレンダは不意に涙を零すと諦めたように目を閉じる。
「仲間割れとはな…愚かな…」
そこへ突如声が響き渡った。
「「!?」」
すると空間が渦巻いた次の瞬間フレンダの目の前にうちは装束と輪廻眼を模した仮面、巨大な団扇を身につけたオビトが現れ、麦野との間に割って入った。
「て、てめえは…暁のトビ!? 何の用だ! あたしはやることが山のようにある…今はてめえに構ってる暇はねえんだよ! 失せろ!」
「ほう…貴様の言うやることとはこの女を始末することか?」
「この裏切り者の始末は片手間に過ぎねえが…まあそうだな…という訳でそこどけよ!」
「成る程な、だが残念だったな…この女は殺させん」
「えっ!?」
オビトの自分を助ける発言にフレンダは驚愕に目を見開く。
「あァ!? 何だと!?」
「何度も言わせるな…この女は殺させんと言ったんだ…歳で耳が悪くなったかババア?」
「っ!? てめえ!!」
麦野は怒りのままに原子崩しを放つ。
「少し手荒になるが…許せ」
「ふぇ? う、うわぁー!?」
それを見たオビトは瞬時に傍らに座り込むフレンダを片手で脇に抱くとその場を飛び退き回避する。
「チッ…ちょこまかと避けてんじゃ…ねえぞ!!」
「…流石にこのままでは厳しいか…フレンダ、少しの間隠れていろ」
「えっ? それどういういm !?」
オビトはそう言うと神威でフレンダを吸い込み時空間へ移動させた。
「あァ!? てめえ…あの裏切り者を何処へやった!?」
「さあな…だが一つ言えるのは、あの女を殺すにはまず…俺を殺さねばならんということだ」
「成る程なー…上等じゃねえか…まずてめえからブチ殺してやるよ!!」
「貴様にそれが出来るならな」
「舐めんじゃねえぞ!」
麦野は原子崩しをオビトに放つ。
「無駄だ」
だがオビトは神威のすり抜けにより原子崩しをかわす。
目指す敵を見失った原子崩しはオビトの背後の建物を破壊していく。
「なっ!? てめえ…どんな手品を使った!?」
「弱点となりえる情報を態々貴様に教えると思うのか?」
「っ!? て、てめえー!!」
嘲笑うような発言をするオビトに激昂する麦野は原子崩しを連続で放出する。
が、しかし、先程の焼き直しのように原子崩しはオビトをすり抜けていく。
「どうした? いつまでも当たらんな? 良く狙って打ったらどうだババア?」
「ク、クソがぁー!!」
「さて、今度はこちらから行かせてもらうぞ?」
「くっ!?」
超速で肉薄し、近距離戦を仕掛けるオビトに麦野は原子崩しを放ち迎撃するが、容易くかわされ、接近を許してしまう。
「遅いな…欠伸が出そうだ」
「チ、チクショウ!!」
オビトに懐に入り込まれた麦野は苦し紛れに蹴りを入れるが、それを予期していたオビトは団扇でそれを防ぐ。
「こんなものか?」
「チッ!? オラァ!!」
オビトの言葉に更に青筋を増やした麦野は近接攻撃の怒涛の連打を繰り出すが、頭に血が上っていて冷静な立ち回りが出来ないことも相まってかわされるか団扇で防がれてしまい全く当てることが出来ない。
「下らん…貴様がいくら仕掛けようと俺に当てることは出来ん…無駄なことはやめておけ」
「この私に…上から物言ってんじゃねえぞ!!」
叫びながら尚も攻撃の手を緩めない麦野。
「無駄だと言っているだろう?」
「ふざけんなよ!!」
麦野は左手に原子崩しを収束させ、そのままオビトに殴り掛かる。
しかしそれは悪手だった…
「うちは返し」
「なっ!? ガハッ!?」
団扇…芭蕉扇で防がれた瞬間、オビトから芭蕉扇を利用したカウンターをモロに受け、麦野は咄嗟にガードしたものの自ら原子崩しをまともに食らい、吹き飛ばされ、地面に叩きつけられてしまう。
その破壊力は尋常では無く、麦野は全身ボロボロとなり、左腕に至っては肘から先が消し飛んでいた…
「ゴホッ!……ぐぅ……て、てめえ…よくも私の左手を……」
今の一撃は相当に効いたらしく、麦野は何とか立ち上がるものの血を吐きながら咳込む。
「木遁・黙殺縛りの術」
「な…なんだ…こりゃ…」
オビトは芭蕉扇を地面に突き刺すと即座に印を結び、追撃として木遁を使い、自身の腕から伸ばした木のロープで麦野をグルグル巻きにしその動きを封じる。
初めて見る忍術という謎の光景と得体の知れない能力、そして左腕の欠損と全身のダメージに麦野の顔からは困惑と焦りが伺えた。
「これで身動きがとれんだろう?」
「ク、クソ…が……」
「さて、これで終わりだ…幻術・写輪眼」
「!?………」
麦野の動きを封じたオビトはそのまま写輪眼による幻術を仕掛け、彼女は幻術に掛かると力無く頭を下げる。
それを見届けるとオビトは木でグルグル巻きになった麦野を抱える。
そして、そのまま何処かへ去っていった。
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「滝壺、大丈夫か?」
「う、うん…平気…」
明らかに顔色が悪く、額に尋常でない量の汗を浮かべる滝壺を背に抱え何処かへ進む元スキルアウトのリーダーで現アイテムの下部組織の男…”浜面仕上”。
そこへ
「浜面」
「っ!? お、お前は暁の!? って麦野!?」
木で動きを封じられ、更に幻術により気を失った麦野を抱えたオビトが現れる。
「安心しろ…死んではいない。 連れて行け」
「なっ!?」
オビトはそう言うと浜面に木で巻かれた麦野を投げ渡す。
当然、滝壺を支える浜面が受け止められる筈もなく、麦野は地面に転がる。
「その滝壺という女も相当に疲弊しているだろう? この地図に示してある病院へ行くが良い。 そこへ行けばカエルのような顔の医者がいる。 奴ならどんな奴だろうと受け入れる筈だ。 この袋はその医者に渡せ。 それとあの医者の医療ならこの女の左腕の欠損を修復出来るだろうからな」
そう言うとオビトは浜面に地図と何かの入った黒い袋を渡す。
「…何で俺達を助ける?」
「何、暗部が全滅しては俺の仕事が増える…それだけの話だ」
「お、おい!」
話は終わりだと言わんばかりにオビトは神威によって浜面達の前から姿を消した。
消えたオビトに困惑する浜面だったが、直ぐに自分のやるべきことを思い出し、直後にその場に現れた教師であり、警備員でもある”黄泉川愛穂”と共に麦野を連れ、地図に示された病院を目指すのだった。
という訳で無事フレンダを助け出すことが出来ました。
救う気になればスクールから助けることも出来ましたが、それをするとアレイスターに目をつけられかねない為、麦野からの粛清場面で助けた形ですね。
浜面に渡した黒い袋の中身は…ナルトで有名なとある細胞です。
ネタバレになるのでこれ以上は控えますね。
それでは次回もよろしくお願いします。