とある魔術の禁書目録外伝IF〜とあるフレンダの救済計画〜 作:死徒
結構無理がある感じですが、生暖かい目で見ていただけると幸いです。
〜学園都市・夜・某所〜
「…来たであるか」
やはり敢えて認識阻害を解除していたらしく、アックアは静かに佇み、俺達を待ち構えていた。
「漸く見つけたぞ後方のアックア…その言い方…やはりわざと俺達に捕捉されたか…どういうつもりだ?」
「いつまでも追跡されるのは好きではないのでな。 それに仮面の男、貴様は遠目から感じた限り中々の手練れのように見えた…故に幻想殺しやイギリス清教、学園都市の者共と対峙する前に後顧の憂いは先に断った方が良いと思った…それだけのことである」
「随分と俺を過大評価をしてくれるものだな…神の右席である貴様に比べれば俺など比べるのもおごましい程度の存在の筈だが?」
「その神の右席である私が貴様を脅威に感じたのである…故に貴様には最初から我が獲物で相手をしよう」
アックアはそう言うと何処からともなく自身の武器…”全長が5メートルを超す巨大なメイス”を取り出す。
「女子達…私はいたずらに女子供を傷付ける趣味は無いのである…痛い目に遭いたくなければこの場を去るのを勧める。 この場での私の標的はあくまでこの仮面の男のみであるからな」
「…お優しいですね…ですが…」
「生憎とそういう訳には…いかないって訳よ!」
猟虎とフレンダは互いに服に忍ばせたエアライフルと爆弾が仕込まれた人形を構える。
「交渉は決裂…であるか…仕方あるまい。 そちらの仮面の男のみを仕留める予定だったが、三人共…仕留めさせてもらう!」
二人が退く気が無いと悟るとアックアは閉じていた目を開き、その眼光を鋭いものへと変える。
それだけで途轍もない威圧感が俺達を襲う。
「……二人共、先程も言ったが…ヤバくなったら逃げろ…良いな?」
「フッ…オビトさん…」
「ニヒヒ!…そんなに念を押さなくても…分かってるって訳よ!」
「むっ?」
猟虎とフレンダは不敵に笑うとアックアに向けガス弾による連続狙撃と複数の人形による爆撃を行う。
それらはアックアに直撃したものの、爆煙が晴れると奴は肉体はおろか服すら全く傷が付いていなかった…
「こんなもので私を倒せるなどと本気で思っているのであるか?…舐められたものである…」
「…き、効いてない!?…」
「…まともに直撃した筈です…一体何故!?…」
流石に無傷とは予想外だったらしく、フレンダと猟虎は動揺する。
「魔術による防御…か…二人共、接近戦は俺がやる。 君達は中距離から援護を頼む」
「…その方が良いみたいね…今のをまともに受けて無傷ってのを見せられちゃうとオビトに任せる他無いわ…」
「…正直今のわたくし達では打つ手がありません…自分達の不甲斐無さが悔しいです…」
「あんな魔術サイド側から見ても常軌を逸してる化け物に科学サイドの常識は通用しない…そう落ち込まなくて大丈夫だ。 兎に角、二人は俺の援護に徹してくれ」
「「(うん)(はい)任せて(下さい)!」」
二人の返事を聞くと俺はアックアに向かっていく。
「木遁・挿し木の術!」
そして木遁により手先から先の尖った鋭い枝を発生させ、それをアックアに向かって放つ。
「……」
しかしアックアは無言で枝をメイスの一振りで吹き飛ばす。
「まだだ」
「!」
俺は枝が吹き飛ばされるのと同時に印を結ぶ。
すると枝は枝は一気に分かれ、それらは細かく分離するや否やアックアに降り注ぎ、牙を向く。
「奇怪な術を使う…だが無駄である」
その凶撃もアックアは巨大なメイスをまるで紙筒かのように軽々と振り回し、その余波と打撃によって軽くいなしてしまった。
今ので手傷すら負わせられないのかよ…
化け物め…
「火遁・豪火球の術!」
「火の玉であるか…」
挿し木の術を防がれると俺は間髪いれずに仮面をずらし、印を結ぶと口から豪火球の術を放つ。
だが、その豪火球もアックアの全身を覆うように発現した膜のようなものに触れた瞬間に消え去ってしまった…
「…今のは水の膜か?…そう言えばお前の得意魔術は水の魔術だったか…」
「ほう…私の得意魔術を知っているとは…それに神の右席は通常魔術を使えないと知れ渡っている筈であるが…何故貴様はそれを知っている?」
「さあな?」
自身の魔術について知っている発言をした俺を危険視したのか、アックアの威圧感と殺気が先程よりも更に重くなる。
「…答える気はないのであるか…仮面の男、貴様は得体が知れないのである…少々本気で行かせてもらう」
その圧迫感に俺は警戒心を最大まで上げ、構えるが…
「!? かむ…ぐはっ!?」
気付いた瞬間にはアックアは俺の目の前におり、俺は神威が回避しようとしたものの間に合わず、メイスの石突により腹部を突かれ、吹き飛ばされた。
は、速すぎるだろ!?
原作知識として水の魔術で速度を上げて攻撃するということは知っていたが、アックアの速度が此処まで速いとは予想外だ…
まさか神威が間に合わない程の速度とは…
幻術や術のコピーに加え、洞察力も上昇する恩恵があるチート性能を有する写輪眼…しかも万華鏡状態にも関わらず接近されるまで動きが全く見えなかった…
通常の聖人よりも強力な力を持った聖母の力も併せ持った二重聖人であり、身体能力なども通常の聖人のそれを逸した存在とはいえほんとにコイツ人間なのかよ!?
「「オ、オビト(さん)!!」」
フレンダと猟虎の俺を気遣う声が聞こえるが、それに意識を向けている余裕がない…
直ぐに態勢を立て直さなくては追撃で一気に潰される…
「神威!」
俺は吹き飛ばされつつも直ぐさま地面を転がるように態勢を立て直し、神威のすり抜けを発動する。
すると次の瞬間、アックアのメイスが俺の身体をすり抜けていった…
…危ねぇ…
…悠長にしていたら今のでやられていたな…
「!? 身体をすり抜けるとは…またしても奇妙な術を…」
アックアは困惑の表情を一瞬見せたものの、メイスを俺に連続で放ち続ける。
「ふむ、何度やっても当たらぬか…しかしどんな術にも弱点は必ず存在するもの…こういった術の類は”すり抜ける回数”或いは”時間”に限界がある筈である」
アックアは俺を攻撃する手を休めず絶望的なことを口にする。
くっ! 俺が一番恐れていることを…
神威の弱点を瞬時に見抜くとかチート過ぎんだろ!?
アックアの見立て通り神威には弱点がある…
一つは最初にアックアが俺を吹き飛ばしたように、俺が神威ですり抜ける速さを超える速度で攻撃を加えること…
そして今のように俺が全く手出し出来ない程の速度と威力を誇る凶撃を連続で繰り出し、それを5分間続けること…
現在進行形でやられているこれをされ続けると5分が経過した瞬間…すり抜けは自動で解除され、俺はこの猛攻の餌食となる…
何とかしてこの状況を脱したいが、アックアの猛攻がそれを許す筈も無くただ時間だけが経過していく…
そんな時
轟音と共に弾頭にユニークな顔のついた見覚えのあるミサイルが飛来してくる。
「っ!?」
流石のアックアも対戦車ミサイルを生身で受ける訳にはいかなかったようで、攻撃を止めると水の魔術で防御態勢に入る。
直後、ミサイルがアックアを起点に炸裂し、周囲は爆炎に包まれた。
「ありがとうフレンダ…助かった…」
俺はその場を離脱するとフレンダの元へ駆け寄り、礼を言う。
「ううん…私こそ助けるの遅れてごめん…結局、不意をつかないと当てることも出来なかったから…」
俺への申し訳なさからか俯くフレンダ。
気にしなくても良いのにな。
現にフレンダの援護が無ければ俺はやられていたんだし。
「気にしないでくれ。 それに君が助けてくれなかったら俺はあのままアックアにやられていたよ…だから改めて…ありがとう」
「ニ、ニヒヒ! どういたしまして」
俺とフレンダは微笑み合う。
だが…
「…笑い合うのは早いのではないかね?」
「「!?」」
爆炎の中からアックアの声が静かに響き渡った…
その声に俺達は絶望を覚える…
そしてアックアがメイスを一振りすると爆炎は一瞬にして掻き消され、中から服に多少埃が付いているものの、肉体は全くの無傷のアックアが姿を現した。
「ちょ、ちょっと…う、嘘でしょ!?…デ、デンジャラスクラッカーをまともに食らったってのに…な、なんで…」
フレンダはアックアへ恐怖を覚えたのか無意識に後退りする。
…やはり彼女達をこの場に連れてきたのは間違いだったか…
「…逃げろフレンダ…此処は俺が何としても食い止める! だから逃げろ!」
「そ、そんな…オビトを残して逃げるなんて真似…出来る訳ない!」
「良いから逃げろ!」
「い、嫌よ! 絶対に嫌!」
「フレンダさんの言う通りです!」
逃げろと言う俺を拒絶するフレンダの強い言葉に呼応するようにけたたましい銃声が響き渡り、弾丸がアックアに襲い掛かる。
「むぅ!?」
それをメイスを盾にすることで防ぐアックアだがあの銃声だ…相当に威力が高かったのか多少後退させられる。
すると、先程から姿の見えなかった猟虎が見慣れない巨大な頭身の銃を装備し現れた。
「申し訳ありませんオビトさん。 服の中に仕込んでいたコレの組み立てに少し時間が掛かってしまいました」
「猟虎、それは?」
「アンチマテリアルライフル…所謂対戦車ライフルです…少々小型のものですが…」
対戦車ライフル…そんなものを分解して服に忍ばせていたのか?
「いつものガス弾ではアックアには通用しないということは先程身を持って知りました。 フレンダさんの最大の武器がデンジャラスクラッカーならば、わたくしの最大の武器はこのライフルです。 コレがアックアに通用しなかったら…わたくし達は大人しくこの場を去ります!」
「!? ら、猟虎! アンタはオビトを置いて逃げるって訳!? さっきと言ってること違うじゃない!!」
先程と猟虎の発言が違うことにフレンダは激昂する。
「あくまで通用しなかった場合です! それに…最大の武器を持ってしてもアックアに通用しなかった時点で…わたくしも貴女もオビトさんの枷にしかなりません! フレンダさん、貴女はオビトさんの足を引っ張り、オビトさんの負担を増やしても良いと言うんですか! わたくしは嫌です! わたくし達のせいでオビトさんが傷付くのは…嫌なんです!!」
だがフレンダを上回る声量で猟虎は叫ぶ。
その目からは強い意思が伝わってきた…
「猟虎……そうよね…私もオビトが傷付くのを見るのは嫌…だって大好きなんだもん!」
「フレンダ!?」
突然のフレンダからの面と向かった告白に俺は動揺する。
「それはわたくしもです! オビトさんのことを愛してます!」
「猟虎まで!? でも俺は君達を不幸にしか出来ない…恋人関係になるなんて俺にはそんな資格は…」
そうだ…俺はこの世界にとって異物でしか無い…
そんな俺と恋仲になっては二人は不幸になってしまう…
そう考え、彼女達に口を挟もうとした俺だったが…
「そんなのオビトが決めることじゃない訳よ! それに私は不幸なんかじゃない! アンタと出会って今まで楽しかったし、命だって救ってもらったし、フレメアともまた一緒に暮らせるようになった…しかも大好きなアンタと暮らせてる…結局、幸せでしかない訳よ!」
「わたくしも不幸じゃありません! 死ぬまで使い潰されるだけだったスクールから貴方様によって暁に入れていただき、その結果命を救っていただきました。 そして多少ですが、ボッチから抜け出すことも出来ました…それに、フレンダさん同様というのは癪ですが…大好きな貴方様と暮らせている…こんな幸せなことは他にありません!」
と、フレンダと猟虎の二人から不幸であることを全否定され、俺と居られて幸せだと言い放たれた。
二人にそうまで言われたら…俺も彼女達の好意から逃げ続ける訳にはいかないな。
「君達……こんな俺を好きになってくれてありがとな…返事は後で必ずするよ。 その為にもこの戦いは絶対に切り抜ける!」
「…貴様達はこの場が戦場と理解しているのであるか?…まあ良い…どの道、女も含め全員倒すことに変わりはないのであるからな」
「やらせると思うか?」
「ほう…先程私に手も足も出なかった分際で随分と大きく出たものであるな」
「不思議だ…フレンダと猟虎のことを想えば想うだけで力が湧き出して来るようだ…さっきまでの俺と同じと…思うなよ」
俺はそう言うと仮面を外す。
すると俺の両眼が呼応するように眩く光り輝く。
「こ、これは!?」
「オビト!?」
「どうしたんですか!?」
俺は勿論、フレンダと猟虎も俺の眼が光り輝くという奇妙な光景に驚きの声を上げる。
そして、その光は徐々に収まっていく…
「!? 貴様…その眼はなんであるか? 先程とは色も形状も変わっている…薄紫色をし、波紋状とは…面妖な眼である…」
な、何だと!?
バ、バカな…ま、まさか…俺が開眼したというのか…
”輪廻眼”を…
あれはうちはマダラと千手柱間の力…正確にはその前世…大筒木インドラと大筒木アシュラの力が無ければ発現しない筈…
確かに柱間細胞は転生時に神様によって肉体に定着しているのでアシュラの力はあるだろう。
しかしもう一つ…インドラの力はうちはの血…オビトとは別物なので無い筈なのだ。
よって俺が輪廻眼を開眼するのは有り得ない訳なんだが…
推測だが、俺に黙ってあの時神様が何かしたと見て間違いないだろう。
だがこれは好都合だ。
勝てるかは分からないが、少なくとも先程までのように一方的にやられるということは無い!
「…成る程な…教えてくれてありがとなアックア…これは俺からの感謝の気持ちだ、受け取れ! ”神羅天征”!」
「むっ!?」
俺は輪廻眼の能力の一つ”天道”の斥力を操り、吹き飛ばす術である神羅天征でアックアを不意打ちに近い形で吹き飛ばす。
アックア戦の第二幕が幕を開けた瞬間だった。
という訳でアックア戦開幕とフレンダと猟虎による面と向かってのオビトへの告白…そして輪廻眼開眼の回でした。
普通ならオビトは開眼出来ない筈ですが、神様がオビトに黙ってインドラ因子を入れて転生させたことで晴れて開眼する運びとなりました。
きっかけはフレンダと猟虎、二人からの告白で、今までは二人を好きになってしまっては不幸にさせてしまうという考えから二人のことを守りたい人ではあっても、無意識に大切な女性(ひと)という枠組みから外してしまっていたオビトでしたが、今回の件で大切な女性と二人のことを再認識…このことが理由で輪廻眼へと至ったということにしてます。
ご都合主義ですが、こんな感じでよろしくお願いします!
文才が無く、稚拙な表現しか出来ませんが、見ていただいてる方はどうぞこれからもよろしくお願いします!