とある魔術の禁書目録外伝IF〜とあるフレンダの救済計画〜 作:死徒
暁の搭乗する貨物機内・コクピット
「…一先ず、追手は来てないようですね」
猟虎が自動操縦の貨物機のコンソールを操作し、周囲を探索した結果、現段階では学園都市からの追手は無いようであった。
「ふぅ〜 とりあえず一息つけるわね」
それを聞いたフレンダは座席に座りながら両手を上に伸ばし、背伸びをする。
「2人共お疲れ様。 学園都市からロシアまでは少なくとも14時間以上はかかる。 此処は俺が見ておくから2人は今のうちにゆっくり休んでくれ」
仮面を外し、俺は2人にそう促す。
「ハァ……オビト、此処は私と猟虎で見ておくから先ずはアンタから先に休んどきなさい。 結局、アンタの方が私達より疲れてる訳なんだから」
「えっ? いや、そんなことは…」
フレンダからの指摘に俺は反論しようとするが…
「ないとは言わせませんよ? アイテムの皆さんを救出する為にお一人で殿を務めたのです。 あの細胞の特異性もあり、オビトさんご自身では気付いていらっしゃらないでしょうけど疲れは溜まっている筈です。 先におやすみになって下さい」
猟虎に正論を言われてしまい、ぐうの音も出なくされてしまう。
そう言われてしまっては仕方がないな…
「…ならお言葉に甘えて休ませてもらうよ。 でも少し休んだら交代するからな」
「ええ、分かったわ」
「はい。 ごゆっくりしてきて下さい」
フレンダと猟虎の優しさに俺は甘えることにし、コクピットから出るとそのまま仮眠室へと向かい、常備されてあるベッドに寝転ぶとそのまま目を閉じる。
猟虎の言う通り、知らず知らずの内に疲労が溜まっていたのか俺はあっという間に眠りについた。
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〜オビトの精神世界〜
「っ!?」
貨物機の仮眠室で眠りについた筈の俺だったが、違和感を感じ、目を開けるとそこは一面が真っ白、そして足元には水面のようなものが広がる何もない広大な空間が広がっていた。
俺は驚愕と共に地面に寝ていた身体を咄嗟に起き上がらせ、立ち上がる。
「…やっと来やがったか」
「!?」
不意に背後から声が聞こえ、俺は声のした方を振り向く。
するとそこには檻に閉じ込められたオレンジ色の毛並みをした九つの尾を持った巨大な狐が俺を見下ろしていた。
「き、九尾!? そ、そんな馬鹿な!? なんでお前が居る!?」
「なんでだと? そりゃてめえが儂の人柱力だからに決まってんだろ?」
さも当然にそう言い切る九尾。
俺が九尾の人柱力だと!?
そんな馬鹿な!? 俺は神様に九尾並みのチャクラとしか頼んでいないぞ!? 何故人柱力になっているんだ!?
「人柱力!? 俺があの時神様に頼んだのは九尾並みのチャクラだ。 九尾の人柱力にしてくれとは頼んでいない」
「…なんだ? てめえ、この儂の人柱力だってのが嫌ってのか!?」
「べ、別に嫌じゃないけどよ…ただ、頼んでいたことと違ったからさ…」
凄む九尾に俺は圧倒される。
どうやら今の俺の発言で九尾の機嫌を損ねてしまったらしい…
「フン!…まあ良い。 兎に角、偽オビト。 てめぇの中には儂並みのチャクラではなく、儂自身が居るってこった」
に、偽オビト…
改めて他者から自分が偽物と直接言われるのは堪えるな…
「偽オビトか…確かに俺はうちはオビトの名を騙る本来の名前も忘れた男だ…お前にそう呼ばれるのも無理はないな…」
「…ケッ……辛気臭ぇ面してんじゃねぇよ。 確かにてめぇはあの神を名乗る女によって儂の世界のうちはオビトの力と姿、そして千手柱間の細胞などの様々な特異性を持ってこの世界に転生した偽物だ」
「……」
「だがな…」
「!?」
「偽物だろうがなんだろうが関係ねぇだろ? てめぇの今までの行動を儂はてめぇの中でずっと見てきた…愛する女の為なら自身の手を汚すことも厭わず、てめぇ自身の力に溺れることもなく傲慢にもならず、決して折れずに真っ直ぐ突き進む気概…てめぇが偽物だろうと儂は偽オビト…いや、オビト、てめぇを認めてやる」
「き、九尾…」
九尾…
そうか…原作ナルトでもこいつは何だかんだ根は優しい奴だったな。
ぶっきらぼうに言いながらもこちらを案じているのが伝わってきた。
「フン!……知ってるだろうが儂の名は九喇嘛(くらま)だ。 儂の人柱力であるてめぇに他人行儀に九尾と呼ばれるのはムカついてくる…」
「わ、悪い…なら九喇嘛、これからよろしく頼む」
「ケッ! この儂の期待に応えられるよう精々努力するんだな…ほらよ…」
九尾… 九喇嘛はソッポを向きながらその巨大な右手を握り、それを俺に向けて突き出す。
「?」
「なに鳩が豆鉄砲食らったような面してやがんだ? 儂が拳を突き出してる意味がてめぇには分かんだろうが…儂の気が変わらん内に早くしやがれ…」
「ああ、分かった!」
俺と九喇嘛は檻越しに互いに右の拳を突き合わせる。
すると重厚な檻は脆くも崩れ去り、九喇嘛は解放され、それと同時に俺の身体から黄色のオーラのようなものが発現し、意識を集中させるとそれはナルトのようにチャクラの衣に変化する。
九尾チャクラモードの完成だ。
これが九尾の人柱力か…一部の力でこれとは…凄まじいな…
「…す、凄い…身体からチャクラがどんどん湧き出てくる…」
「フン! 当たり前だ…儂は九体の尾獣の中で最強の九尾だぞ? その儂と不完全ながら繋がったんだ…強くなって当然だろうが?……さてと…」
九喇嘛はおもむろに立ち上がる。
「儂はオビト、てめぇを認めてる…だがな、やっぱり直接やり合わねぇことには始まらねぇ…儂と戦い、儂を打ち負かして見やがれ! そうすりゃてめぇを完全に…相棒として認めてやるよ!」
身体中からチャクラを放ちながら咆哮をあげる九喇嘛。
成る程、九喇嘛の力を完全に扱う為には九喇嘛を俺自身の力で捩じ伏せ、屈服させろということか。
なら、九喇嘛の力を一部とはいえ使用するのはフェアじゃないな…
俺は九尾チャクラモードを解いた。
「…何故、纏っていた儂のチャクラを霧散させた?…」
「九喇嘛、お前と戦うのにお前の力を使うのは不公平だろ? 内包しているチャクラは使うことにはなるが、俺は例え神様から与えられたものだとしても自らの力でお前と戦い、そして倒す」
「フン…その覚悟は良いがな、後悔しても知らねぇぞ!!」
九喇嘛の雄叫びと共に彼の代名詞といえるその巨大な九つの尾が振り上げられる。
「木遁・木龍の術!」
襲いくるそれを俺は木遁で作り上げた巨大な龍で縛りあげ、対抗する。
「!?」
「後悔はしないさ…俺はただ、対等な条件で戦いたいだけ…後腐れないようにな」
「フン! カッコつけんのは…儂を倒してからにしやがれ!」
今度は両腕を振り上げ、殴りかかる九喇嘛。
俺はそれを再度木龍で迎撃する。
俺と九喇嘛の精神世界での激闘が幕を開けた。
という訳でオビトと九尾の戦いが始まりました。
神様は九尾並みのチャクラではなく、九尾本体をオビトに仕込んでいました。
彼女は他に何をオビトに仕込んでいるのやら…
次回もよろしくお願いします。