とある魔術の禁書目録外伝IF〜とあるフレンダの救済計画〜   作:死徒

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布束砥信

 

地下・研究室

 

「な、何故…何故プログラムが弾かれたの!?」

 

学生服の上に白衣を羽織った少女…布束砥信は動揺を隠せずに狼狽える。

 

不具合の可能性も考え再度プログラムを打ち込むが、先程同様弾かれてしまう結果に終わる…

 

「そ、そんな…!?…ま、まさか…私が手を引いてから別のプログラムが新たに組み込まれたというの!?」

 

「そうっスよ」

 

「!!?」

 

焦る布束の背後に分身オビトが仮面越しでも分かる程にヘラヘラと笑いながら現れた。

 

「いや〜間に合って良かったっス!」

 

「…貴方は何者?」

 

布束は分身オビトを睨むと白衣のポケットから拳銃を取り出す。

 

「ち、ちょっとタンマ! そんな物騒なもの僕に向けないで欲しいんスけど!?」

 

両手を上げて非難の声を上げる分身オビト。

 

「…Shut up(シャーラップ)…黙ってその耳障りな声を出す口を閉じなさい」

 

「分かった! 分かったっスから早くそれ下ろして! 生きた心地がしないっスから!」

 

「……」

 

布束は普段からのジト目を更に細めながらも渋々といった感じで拳銃を下ろした。

 

「ふぅ〜…これで話し合いが出来るってもんスね!…!?…っとその前に邪魔者がお越しのようっス」

 

「!?」

 

一息つき、話をしようとした分身オビトが何かに気付くとドアの方に目を向け、布束もそれに習い視線をそちらに向ける。

 

するとドアが開き、絹旗最愛が姿を現した。

 

「見つけましたよ侵入者、超大人しく投降すれば命だけは助かるでしょう…って何で貴方が此処に居るんですか変質者!?」

 

「変質者って呼び方酷くないっスか!? 僕にはト…ゲフンゲフン…ゼツって名前があるんスからそう呼んで欲しいっス! ああもう僕のバカ野郎! 名前を言うっていう大事なとこで噛んじゃうなんてー!!」

 

「…何を自分の名前を噛んでるんですか…というか貴方の名前なんて超どうでも良いんです。 私が聞いてるのは何故先に向かった私よりも貴方が先にこの場に着いてるのか?ということだけなんですから」

 

「僕の名前がどうでも良い!? 酷い! 鬼畜なまさに鬼がいるっス!」

 

「……」

 

「…兎に角! そんなに知りたいのなら僕をボコボコにして無理矢理吐かせれば良いんじゃないっスか?」

 

「…成る程、確かにそれが1番手っ取り早い方法ですね…なら早速貴方を超ボコボコにしてやりますよ」

 

「!」

 

凄まじい踏み込みで分身オビトの懐に一瞬で入り込んだ絹旗は、彼に拳を繰り出す。

 

「見事な一撃っスけど、残念ながら僕には当たらないんスよねこれが!」

 

「!?…やはりまたすり抜けましたか…」

 

が、またしてもその拳は分身オビトに届くことなく、すり抜けてしまった。

 

「…本当に超奇妙な現象ですね…貴方が一体何の能力者なのか全く持って意味不明です…ですが、避けてばかりでは私は倒せませんよ?」

 

「!…へぇー…挑発して僕から攻撃させるつもりっスか?」

 

「!?」

 

「成る程成る程ー考えるもんっスねー…それなら敢えて挑発に乗ってみるのも面白そうっス! 行くっスよー!!」

 

「…挑発に態々乗ってくれるとは…ですが超好都合です!」

 

迫り来る分身オビトを迎撃しようと構え、拳を振り上げる絹旗。

 

しかし

 

「なーんて…僕が自分から戦いを挑む訳ないじゃないっスか?」

 

「なっ!?」

 

それを嘲笑うように分身オビトは再び神威を発動、絹旗の拳はオビトのすり抜けにより三度(みたび)空を切ってしまう。

 

正に狐につままれた状態になった絹旗は驚愕に目を見開く。

 

そんな絹旗の隙をつき、分身オビトは勢いそのままに布束の元へと一直線に向かい彼女の右肩に触れる。

 

「!?」

 

「此処じゃゆっくり話も出来ないっスからね…後で僕も行くんで、アンタには先に離脱してもらうっスよ」

 

「それはどういうk !!?」

 

布束にのみ聞こえる声量で分身オビトは静かに声を発すると、布束の返事を最後まで聞かず、彼女を神威で吸い込む。

 

「の、飲み込んだ!? 自身に吸収したというんですか!?」

 

「ん〜まあそれはアンタの想像にお任せするっスよ。 さてと…用も済んだし、僕はそろそろ帰らせてもらうっス」

 

「…帰れると思っているんですか? この施設は私達の組織の部下達によって超完全に包囲されています。 仮にこの場で私から逃げられたとしても貴方に逃げ場はありません」

 

「成る程成る程〜 大した自信っスね〜 でもこの施設が包囲されていようがされてなかろうが…僕には何の意味も無いんスけどね…神威」

 

分身オビトが神威を発動させると、彼の身体が左目を起点に吸い込まれていく。

 

「!!?」

 

神威の原理は分からずとも分身オビトがこの場を離脱しようとしているのを本能で察し、絹旗は驚愕しながらも彼に攻撃しようと駆け出すが

 

「う〜ん、僕に攻撃しようとする判断は良かったっスけど少し遅かったっスねー それじゃさよーなら〜 バイバーイ!」

 

それを嘲笑うような分身オビトの言葉の直後、彼の姿はその場から消え去ってしまった。

 

「気配が消えた…どうやら超完全に逃げられたみたいですね…」

 

静かにそして無表情で状況を分析する絹旗。

 

「絹旗さん!」

 

「侵入者は!?」

 

そこへアイテム下部組織の男達が数名血相を変え部屋に入ってきた。

 

「…2人共逃げられました…」

 

「えっ!?」

 

「ま、まさか!?」

 

「絹旗さんが取り逃がすなんて!?」

 

「…片方が超不可思議な移動系の能力者だったものでしてね…ふざけた言動と行動をとるただの変質者と超油断しました…くっ!」

 

そう言うや否や絹旗は右拳を握りしめると壁を殴りつける。

 

すると壁はその威力の前にバギッという鈍い音と共に大きく凹み、無惨な姿を晒す。

 

「「「!!?」」」

 

「…気配は消えましたが、まだ近くに潜んでいる可能性もあります…警戒は超継続して貴方達はそのまま警備に当たって下さい」

 

「「「は、はい! わかりました!」」」

 

静かに怒る絹旗への恐怖から男達は急ぎその場を後にする。

 

「…あの変質者…ゼツとか言いましたか…本当に超ふざけた奴でした…あの野郎ォ…次に会った時は超ブチ殺して愉快なオブジェに変えてやる…覚悟しとけェ…クソ野郎がァ!!」

 

再びブチギレた絹旗の拳によって部屋は壊滅するのであった。

 

 

 

神威空間

 

「たっだいまー! って危なっ!?」

 

神威で時空間へと飛んだ分身オビトだったが、飛んだ次の瞬間には一発の銃弾が彼の目の前に迫ってきていた。

 

「ちょっとアンタ! 助けた恩人に向かってなんて事するんスか! 僕じゃなかったら最悪死んでるっスよ!?」

 

神威直後ですり抜けられない状況だった為、割とガチで焦りながら何とかそれをかわすと分身オビトはその下手人である布束に非難の声を上げる。

 

「…態々危険を犯してまで私を助けるメリットは貴方には無い…だとしたら何か打算があって助けたと考えるのが当然…」

 

分身オビトを油断なく見据え、拳銃を構える布束。

 

「ご、誤解っス! 僕は別にアンタをどうこうするつもりは無いっスよ!?」

 

分身オビトは両手を上げ、布束に危害を加えるつもりがないことを伝える。

 

「incorrect fact…嘘をついても無駄…貴方も何処かの組織の人間でしょう? 私を助けたことで恩を売り、あの人を人とも思わない計画に私をまた加担させようと貴方達は考えている…違う?」

 

「…全く頭の回転の早い女だ、そう考えるのも無理は無いが…違うな」

 

「!!?」

 

自身の考えを述べる布束だったが先程までの巫山戯た雰囲気を消し去り、口調及び声質を変え、静かにそう口にした分身オビトを前に思わず後退る。

 

「そう身構えるな。 先程も言ったが、俺は別にお前をどうこうするつもりは無い。 第三位のクローン…妹達(シスターズ)を利用した第一位の進化計画も俺は正直どうでも良い。 どの道アレはもう直ぐ中止になるだろうしな」

 

「…あの計画がもう直ぐ中止に?…どういうこと?」

 

「そうだな…例えば…学園都市最強のレベル5…一方通行(アクセラレーター)がレベル0の無能力者に敗れる…こんなことが起きればどうなるか…聡明なお前なら分かるだろう布束砥信?」

 

「!!? あ、有り得ないわ…あの第一位を…同じレベル5なら僅かながら可能性はあるかもしれないけどそれ以下…ましてやレベル0の無能力者が倒せる訳が…無いわ…」

 

「お前に良い言葉を教えておいてやろう…有り得ないなんてことは有り得ない。 学園都市最強のレベル5とはいえヤツもあれで人間の枠に収まっているんだ。 付け入る隙はいくらでもあるだろう?」

 

「…第一位の能力を前に付け入る隙なんて…」

 

「ヤツは今までの戦闘記録を見る限り能力に頼りきりな面がある…体格も細く純粋な肉体の耐久度は並以下だろうな…もしもだ…お得意の能力を無力化され、肉弾戦に持ち込まれたらその最強様はどうなると思う?」

 

「!?…確かに第一位を肉弾戦に持ち込ませれば勝てる可能性はあるわ…でも第一位の能力を封じることの出来る者…ましてやレベル0でそんなことが出来る者が居る訳が…「一人それが可能な奴が居ると言ったらどうする?」なっ!!?」

 

分身オビトの予想だにしないまさかの発言に布束は目を見開き驚愕する。

 

「幻想殺し(イマジンブレイカー)…この名に聞き覚えはあるか?」

 

「……」

 

布束は静かに首を振る。

 

「ほう、お前程の研究者が知らんとは…簡単に言うと幻想殺しとは触れたあらゆる異能の力を全て無効化してしまう能力のことだ」

 

「!? そ、そんな出鱈目な能力が!?」

 

「あるんだよ。 驚くのも無理はないがな」

 

「……さっきの話と合わせるとレベル0でそんな能力を持つ者が居ると言うの? そんな能力者がレベル0なんてどういうカラクリ?」

 

「奴がレベル0なのは恐らく幻想殺しが奴の生まれ持った元来の物で学園都市の能力開発とは関係のないものだからだろう…何かしらの能力を持ち合せていたとしても幻想殺しがそれを打ち消してしまい、能力を測定される際には何も起きず結果的に無能力者扱いされる…まあこんな具合で奴はレベル0として存在しているという訳だ」

 

「… Oh my god…イレギュラー過ぎるわね……それでそのレベル0…幻想殺しとは何者なの?」

 

「名を上条当麻。 学園都市の第七学区にある高校に通う一年の男子高校生だ…そして…」

 

「!?」

 

分身オビトはそこまで言うとオレンジ色のグルグル仮面を取り、布束に素顔を見せる。

 

「俺は奴のクラスメイトのうちはオビトだ。 さっきまでアンタに見せていたのは俺の裏の顔…暗部組織・暁のリーダー”トビ”としての姿だ…まあ、最初は演技でおちゃらけたキャラを見せていたけどな…」

 

右手で頭を摩りながら苦笑気味にそう答える分身オビトに布束は呆気にとられたのか少しの間固まっていたものの、元に戻ると先程までの険しい表情を緩める。

 

「幻想殺しが何者なのか聞いたつもりだったのに、まさか警戒していた相手から唐突に自己紹介されるとは思わなかったわ」

 

「済まない、アンタにいつまでも警戒されたままだとやり辛かったからな。 少しでも話しやすくする為には仮面を取って面と向かって話した方が良いと思ったんだ」

 

「…うちはオビト、貴方不思議な人ね…さっきまで警戒してた自分が馬鹿みたいに思えてきたわ」

 

「それは何よりだよ……っと本体も来たみたいだな」

 

「?」

 

分身オビトの発言を疑問に思い、布束は首を傾げる。

 

すると神威空間が歪み、特徴的な渦巻き模様の白い仮面を被った男…本体のオビトが姿を現した。

 

「な、何者!?」

 

「警戒しなくても良いよ。 俺の本体だからさ」

 

「ど、どういうこと?」

 

「こういうことだ」

 

本体のオビトはそう言うと白仮面を取る。

 

その素顔は布束が先程まで会話していた傍に居る人物と全く同じであった。

 

「う、うちはオビトが二人…ク、クローン!?…いえ違う…さっきの貴方の本体という発言…これは貴方の能力によるもの?」

 

「能力…まあ当たりだけど俺の場合は忍術というのが正しいな。 初めまして、俺が本体のうちはオビトだ」

 

「俺も改めて自己紹介しよう。 俺は分身のうちはオビトだ…さてと、俺は消えるから後はよろしくな」

 

「ああ、ありがとな」

 

分身オビトは頷くとボフンという音と共に煙を出し消滅した。

 

「!?」

 

その光景に再び驚愕する布束を尻目に本体オビトは消えた分身が見てきた別施設での膨大な情報を頭で整理する。

 

「………成る程、やっぱりあっちの方に絹旗が居たか…とりあえず布束、アンタを救い出せて良かった。 あのまま絹旗に捕まっていたら…恐らくロクなことにならなかったからな」

 

「そのことについてはthank you。 だけどどうして私を助けたの? あの計画が近々終わる…一方通行が幻想殺しに敗れるという流れは分身の貴方から聞いたわ。 あの計画が終わるなら私を助けたところで意味は無い筈…」

 

「…意味が無いって…布束、アンタ自分のこと過小評価し過ぎだろ? その歳であの計画に参加出来る時点でアンタ相当頭良いからな?」

 

「そう?」

 

「そうだよ! なんか天然だな…この子ってこんな子だったっけ?」

 

「what? どうしたの?」

 

まだ学生の身にも関わらずとんでもない頭脳スペックを持つ自身の有能さを全く理解していない布束にオビトは頭痛がしたのか素で頭を抑える。

 

「何でもないよ…兎に角! 俺は布束砥信。 俺はアンタの明晰な頭脳、そして妹達を想う優しい心の持ち主ということも気に入っている…俺も暗部の人間ではあるが決して非道なことはやらせない、どうか俺に力を貸してくれないか? 頼む!」

 

「…うちはオビト、貴方本当に不思議な人ね。 変に律儀で簡単に土下座して…本当に暗部の長である人間なのか疑わしいわ…でも貴方のような人間なら信頼出来る…これから行く宛も無いし、さっきの施設からの追っ手を私一人で逃げ続けられないし…分かったわ、貴方の組織…暁に入るわ」

 

「! ありがとう布束!」

 

「different… 砥信で良いわ、私も貴方をオビトと呼ぶから」

 

「分かったよ砥信。 これからよろしく頼むよ」

 

オビトと布束は互いに握手を交わす。

 

こうして暗部暁のBrain…頭脳とも呼べる存在、布束砥信が加わるのだった。





順序がめちゃくちゃになりますが布束さん暁加入の回でした。

ちなみに後付けの形で仲間になったので後で各話で布束さんを入れた状態で修正するつもりです。

まあ、中々亀更新で進まないのですが…

気長によろしくお願いします。
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