リョウさんが送ってきた写真と同じ喫茶店に到着した私は、ゆっくりと扉を開けて店内へ入る。すると直ぐ側にあるカウンター席にリョウさんがカレーを食べていた。
リョウ「ぼっち、こっち」
ひとり「あ、はい」
私がリョウさんの隣に座ると、リョウさんは既に頼んでおいたカレーを黙々と頬張っていた。私が席に座ると、店員さんがお冷を持ってくると、取り敢えず私は水を飲む。
ところて貴女、お金あるんですか?
リョウ「ぼっち、歌詞制作進んでる?」
ひとり「あ、それが全然で........。ちょっとしか........」
リョウ「途中でも良いから見せて、さっさと終わらせてカレー楽しみたい」
だったら別に今日見せなくても良いのでは?いや、少しでもアドバイスを貰いたいし、見せるだけ見せてみよう。そう思った私はノートをリョウさんに差し出す。
ひとり「あ、余計なものが書いてあるページがあるので、気をつけてください」
リョウ「........この相合傘はなに?」
ひとり「気をつけて下さいって言ったじゃないですか!」
忠告した側からこれだよ!よりにもよって息抜き(おふざけ)で霧影さんと私の相合傘のページなの!なんだった自作したサインの方が遥かにマシだよ!私は一度ノートを回収して、歌詞が書いてあるページを捲り、再びリョウさんへ渡す。
ひとり「こ、此処です!そ、それじゃあ........。お願いします......」
リョウ「うむ、拝読致す」
それからリョウさんは歌詞を見つけて指でなぞっていく。真剣な様子でまじまじと歌詞を見るリョウさんの隣で、私は落ち着かず、ソワソワしながら水を飲んで待っていた。
き、気まずい........。
それから更に暫く歌詞を読み込んでいたリョウさんが、ふと顔を上げて私を見た。
リョウ「ぼっち的にはさ、この歌詞で満足?」
ひとり「えっ...、あっそれは...」
リョウ「........私、昔は別のバンドにいたんだけど、そのバンドの青くさいけど真っ直ぐな歌詞が好きだったんたけど、でも売れる為に必死になって、どんどん歌詞を売れ線にして、それが嫌になったからやめたんだ」
まさかリョウさんにそんな過去が........。
リョウ「バンドそのものが嫌になってた所を虹夏が誘ってくれて、もう一度頑張ろうって今バンドしてるんだ。個性を捨てたバンドなんて死んだのと一緒だよ、前のバンドも結局解散しちゃったし、私このバンドには死んでほしくないな」
個性を捨てたバンドは死んだとの一緒........。......とても重い言葉だ...。
リョウ「だから他人のことなんて考えないで自分の好きに書いてよ。皆んなぼっちが良いと思ったから頼んでるんだ。バラバラな個性の人間が集まって、それが一つの音楽になるんだよ」
龍騎『別に他人に合わせなくてもよくね?結局はひとり自身が作詞する訳だから、お前なりに書いてみればいいじゃん』
そうか........、私は私なりの歌詞を作れば良いって事か........。
ひとり「........ありがとうございます。参考になった気がします」
リョウ「力になれたらそれでいい。それにぼっちの作った歌詞をリア充っ子に歌わせたら面白そうじゃん」
私の歌詞にどれだけ期待してるんですか?それとちゃっかりとプレッシャーを掛けないで下さい。
そう思いながら私は水を飲み、リョウさんはカレーを食べるのを再開する。そして、リョウさんがカレーを食べ終えて、いざ帰ろうとしたら、
リョウ「ぼっち、金貸して」
は?
ひとり「は?」
まさかのタカってきた。いやいや、流石にカレー食べるお金ぐらいは........。
リョウ「........」
ひとり「........ほんとに無いんですか?」
リョウ「財布はある、でも中身は30円」
喧嘩売ってるのかこの人は?
はぁ、と私はため息を吐いてバックから財布を取り出そうとする。
........あれ?財布は?
ひとり「.............あ」
しまった!?霧影さんから貰った宝石でワープしてきたから財布家に置いてきちゃった!?今日は歌詞見せる事しか思ってなかったから、携帯とノートと、不自然に思われないように電車の定期以外は全然ない!!
ま、まずい........!?今の私とリョウさんは金一文無し、今から虹夏ちゃんを呼ぶ?いや流石に申し訳ない!霧影さんに助けを呼ぶ?其れこそダメだ!!幻想郷のお金じゃあ外の世界のお金は使えないし、何よりバンドメンバーに霧影さんの事は紹介したくない!!こ、こうなったら、トイレに引き篭もって、宝石で家にワープを...!
すると、カランッと入り口に着いてる鈴が鳴る。
「........ひとり?」
ひとり「え?」
急に私の名前と、知ってる声に私は振り向くと、
龍騎「........会計の近くで何固まってんだ?」
リョウ「ぼっち、知り合い?」
現在進行形で会いたく無い、いや会ってはならない人が来店してしまった。
龍騎「成る程ね、ひとりも財布忘れてきちったから、会計する時にどうしようかってなってた訳だ」
ひとり「は、はい........。でも助かりました」
龍騎「何、気にするなよ。困ってたらお互い様だろ?」
霧影さんとばったり会った後、私とリョウさんは先程のカウンター席からテーブル席へ移動して、私はコーラを、霧影さんはコーヒーを、そしてリョウさんはカレー二皿目を注文して、これまでの経緯を説明していた。
ひとり「あ、あの...。本当に奢って貰って良いんですか?」
龍騎「いいよ、これも何かの縁だし」
ひとり「お金大丈夫なんですか?」
龍騎「少ないけどね、別に払えない訳じゃないから大丈夫」
リョウ「ありがとうお兄さん、それとぼっちとはどう言う関係?」
龍騎「ちょい待ち、ぼっちってひとりの事?」
あ、霧影さんには私のあだ名は知らなかったのか。
リョウ「そう、ひとり→ひとりぼっち→ぼっち」
龍騎「大丈夫お前?いじめられてない?」
ひとり「だ、大丈夫です!素晴らしいあだ名を貰えましたから!」
龍騎「仮にお前があだ名でゴトゥーだのワン(ひとり)だの言われたらどうすんの?」
ひとり「いや〜、私ってそんなにあだ名がいっぱいあったんですね〜」
龍騎「それを悪口と捉えないお前凄すぎだろ」
でも本人が嬉しいなら別に良いけど...、と呟きながら霧影さんはコーヒーを啜る。しかし、それよりも問題なのが........。
リョウ「それでお兄さん、ぼっちとはどういう関係?」
私と霧影さんの関係をどう伝えるべきか、だ。霧影さんとは幻想郷で出会って、義理の親子の関係なんて言えないし、それ以外の言い訳も思いつかない。そんな事を思っていたら、霧影さんが口を開いた。
龍騎「実はひとりのお父さんが通ってた高校の後輩なんだ。高校在学中に偶々ひとりのお父さんが部活をやってた時に遊びに来て仲良くなってね、それから良い関係を築いてたんだ。そして三年前に久しぶりに再開して、今に至るって訳」
凄い嘘だ、よくこの短時間で作り話しが出来るものだ。ある意味尊敬する(褒め言葉ではない)
リョウ「ふ〜ん...、それとは別になんか右目おかしくない?」
龍騎「ん?あぁ、実は昔に事故って怪我した時の後遺症。別に気にしなくていい」
リョウ「いや軽い。後遺症患ってるのに軽過ぎる」
龍騎「生きてりゃいいんだよ、気にすんな。気にしたら負けだ」
リョウ「それもそうだね」
なんかリョウさん、幻想郷の人と仲良く出来そうですね...。それからリョウさんは霧影さんに質問しながらカレーを食べ、霧影さんは質問に答えながらコーヒーを飲み、私はただ黙ってコーラを飲んでいたら、リョウさんはカレーを完食し、私と霧影さんも飲み物を飲み干す。
そして霧影さんが会計して、お店に出るとリョウが霧影さんに問いかける。
リョウ「お兄さん、ご馳走様。それとありがとう」
龍騎「あいよ、んでこれからどうするの?このまま帰るのか?」
リョウ「私は帰る」
ひとり「私も(幻想郷に)帰ろうかと」
龍騎「そっか。あ、ひとり、今日野菜取れたからそっちにお裾分けするよ」
ひとり「いいんですか?いつもすみません」
リョウ(どうせベランダに植木鉢を置いたレベルの家庭菜園だろう)
霧影さんはこう見えて野菜を育ててるのだ。霊夢さんと同棲する前に住んでいた土地を野菜畑にして、野菜を育ててる為、自給自足しているので出費がないのだ。ちなみに野菜を植える種は怖い女の人(妖怪)に貰ってるらしい。私は会った事はないけど、絶対に会わせたくないみたいなのでよっぽど怖い人なのだろう...。
それからリョウさんと別れて、霧影さんと共に家に帰る........。と見せかけて幻想郷に行ってはのんびりとギターを練習しては、夕飯に霧影さんの手作り料理を堪能した。
後日、改良した歌詞をリョウさんに見せて、リョウさんに褒められた時に危うく頬を緩みそうになった。
息抜きで書くので次回は未定ですが、ちょくちょく投稿していきます。
大人組の中で誰が霧影龍騎に惚れやすいか
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伊知地星歌
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PAさん
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廣井きくり
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岩下志麻
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清水イライザ
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佐藤愛子