「アパレシウム!」
「きゃあっ」
「わあっ」
「エクスペリアームズ!」
「お腹痛くなれっ」
伊地知が指し示す方向に魔法を掛ける。
出現した呪霊は倒された。
「……倒せちゃったね」
「倒せちゃいましたね……」
「この際、色々試そうか。伊地知、呪霊いくつかもらうね」
「はっ はい!」
呪霊を倒せたと機嫌良さげにぴょんぴょんする傑を見守りながら、僕はため息をついた。
「まあ、これで選択肢増えたかな。やばい依頼に当たったら何とか時間稼ぎしてくれたら僕が駆けつけるよ。……逆に足手纏いになったらごめんね?」
「じゃあ組み手だな!」
真希が嬉しそうに言うが、しないよ?
「僕らの場合、近接戦になった時点で詰みだから、逃げる練習の方が先かなー。箒作っておいた方がいいかな。出来るかな箒……伊地知、小さい絨毯と今からいう材料用意して」
「箒? 空飛べんの?」
「上手く行ったらね」
ということで、学生達が依頼に行っている間、工作のお時間である。
もちろん、全員送り出すような真似はしない。
僕達の警護もあるしね。僕は恨まれているのを忘れてない。未来情報はそれだけ周囲に影響を及ぼしたし、今の僕は弱い。
「悟くん。一年生が帰ってきません」
「五条先生に一応連絡しておいて、子供達をお願いね」
箒に乗って、隠蔽魔法で現場に急行する。
そしてすぐにアパレシウム。
「五条悟の転生体! よくも!」
「来ちゃだめだ、悟くん先生!」
えっ 詰みじゃない?
「エクスペリアームズ!!」
「何だと!?」
漏瑚は吹っ飛ばされ、アイテムがそれはもう散らばる。
とにかく領域展開されたら負けである。
「おのれ! これならばどうだ!」
数多の虫を操る漏瑚。
「イモビラス!」
その全ての虫の動きを封じ込め、僕は覚悟を決めた。
「アバダ・ケダブラ!!」
「グアア! くっ ここは引く!」
「嘘だろ、これで死なないのかよ」
漏瑚が引いたのち、僕は悠仁を気遣った。
「大丈夫だったかい、悠仁。野薔薇と恵は?」
「先生のプロテゴのお守りがあったから。そうだ、釘崎!」
恵は野薔薇を庇って避難していた。野薔薇は腕を炭化させていたが、それでも漏瑚相手に生還したのだから上出来だ。
「悠仁。すぐに硝子を呼んで。魔法は電子機器に障害を与えるから、離れた場所でね」
僕は、家の物に持たされていた秘薬を使い、魔法を使う。
何としても、腕を元に戻して見せる。
『やるじゃん!! さすが僕!』
「さすが僕じゃないんだよ、下手したら悠仁が宿儺に乗っ取られてあの場の皆殺される所だったし、次はないよ。領域展開されて終わりだ」
『でも生還した』
「そうだけど」
『その調子で生徒達を頼むよ。いやぁ、くっそ忙しくてさぁ』
「それはわかるよ? わかるけど、生徒を放置しちゃダメでしょ」
『放置はしてないでしょ。その調子で生徒達のこと見てあげてよ』
「僕は呪力は見てやれないんだよ。組み手とかもそうだし」
『そんなの、僕以外の教師だって無理だし。組み手に関しては真希もいるでしょ? 大丈夫大丈夫』
「僕が二人いて便利〜♡くらいに思ってるけど、今の僕本当に弱くてさ」
『一年だけ! ね、お願い。それくらいしたら落ち着くから』
「呪うぞ」
『やめてよ怖い。じゃあねー』
「あっ……」
電話が切れて、僕は肩を落とす。
「お仕事の話? 悪いこと?」
「いいや、大丈夫」
このままじゃずるずる呪術師にされちゃう。
ずるずるというかすごい勢いで巻き込まれている。
僕はため息をついた。生徒達は心配だけど、二ヶ月で帰らないと僕らの将来にも支障が出る。
「とりあえず、帰る方法を探すよ。伊地知手伝って」
子供達は、目を輝かせた。
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