寒空に一人
「うーん、なるほど?」
ひとまず、プロテゴとアパレシウムで周囲の安全を確認し、廃墟を出る。
近場に落ちていた新聞を見て、僕は絶句した。
「傑が、死ぬ年の10月……? どういう事なんだよ」
魔法によるものだと思っていたけれど、なんらかの呪いなのだろうか。
小さな呪霊はいたから、ここがかつての世界で間違いないとは思うのだが。
とにかく、僕は途方に暮れてしまった。
ひとまず、資金が必要だ。南硫黄島に、マホウトコロのあるはずの場所に行かねばならない。
しかし、過去の僕は信用できない。うまく取引を一度で済ませたいのだが……。
いっその事、手紙だけ出して、あとは自力で南硫黄島に飛ぶのはどうだろうか。
幸い、透明になる薬も箒も食料もある。後は根性の問題である。
困っていると、なんと傑のフクロウ、黒鷹が飛んできた。
転移した後、僕がいなくて慌てているらしい。
フクロウ行き来できんのかよ。僕はホッとした。どうにかなりそうだ。
まずは、手紙を書く場所が必要だ。傑と家の者と、過去の僕宛に手紙を書いて送らねばならない。
トランクを引きずり、僕は街を歩いた。
当然のごとく、マグルのお金なんて持ってない。
携帯も持ってないから、地図もわからない。
せめて、テーブルと椅子のある公園があればいいのだけれど。
ウロウロしている間に時が過ぎ、暗くなって僕は途方に暮れていた。
これではテーブルのある場所に辿り着けても、暗くて文字が書けない。
野宿も覚悟はしていたが、見られている気配を感じていた。
このまま路地裏で眠れば危険なのはいうまでもないだろう。
厚着をしてきたし、今は10月とはいえ、ずっと外にいて体が凍えてもいた。
「どうしよう……」
「……悟?」
「傑!?」
「私の名前を知っているのかい? 悟にそっくりだけど、関係者かな?」
「えっと。俺、さとり。五条悟の隠し子っていうか、その。だから傑の事は知ってる」
咄嗟に俺は口から出まかせを放っていた。
「バカな。しかし、君は、非術師だろ。悟の子供がそんなはず」
「あーうん、だからその、行く所がなかったり。二、三日泊めてくんない?」
「それは」
「それとも、非術師だから僕の事殺す?」
それはちょっと困るかもしれない。なんせ、今の僕じゃ傑に歯が立たない。
まずアパレシウムで一手とられるのが痛すぎるのだ。
今も、呪霊を出しているのだろうな、と思う。
緊張する。
傑もまた、葛藤しているようだった。
「おいで。だって、その。君は猿でも、君の子は違うかもしれないだろ。だから」
随分苦しい言い訳だ。だが、僕はもうへとへとだった。今の僕は体力がないのだ。
「随分辛そうだね。いいよおいで」
傑は僕を抱き上げてくれる。そうして、トランクとフクロウの白鷹(名前もお揃いにしたかったのだ)の籠を持ってくれる。ぎゅうって傑にしがみついて、緊張の糸が切れた僕は意識を失ってしまった。
短くてすみません。
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マシュマロ
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