五条悟は帰りたい   作:かりん2022

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和解しても未来は変わらないし変えられない変えたくもない

 気がつけば、布団に寝かせられていた。

 頭がぼんやりする。

 

「けほっ」

「目が覚めたかい?」

「傑……」

「夏油様って呼びなさいよ」

「やめなさい、奈々子」

「夏油様、こいつ本当に五条悟の子なの?」

「少なくとも、悟にそっくりではあるよね。子供がいたって聞いたことないけど」

「あー。最強の子供が非術師って外聞悪いだろ」

「意外だね。私はともかく、悟はそんなことを気にするかな?」

「五条悟は僕のこと知らないよ」

 

 どうしよう。その場を誤魔化すための嘘がスラスラと出てくるのは、ロックハート先生の教導の賜物かもしれない。

 

 とにかく、手紙を書かねば……

 

「起き上がるのはやめておきな。熱がある。しっかり休んでおきなさい」

 

 何かを取り繕うように立って、傑は行ってしまった。

 確かに、今はろくに動けない。大人しく寝ていよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悟の子が非術師……ありえない」

「傑ちゃん、気持ちはわかるけど、ありえないことじゃないわ」

「殺しますか」

「それはダメだ! ……あの子には利用価値がある」

 

 そこへ、美々子と菜々子がやってきた。

 

「夏油様! フクロウが五条悟に手紙を持ってやってきました」

「手紙を?」

 

 部屋に行くと、さとりがつれていたのと色違いの梟がぐるぐるとさとりの周囲を回っている。

 さとりの上には確かに手紙が三通乗っていた。

 手紙を取る。

 

「五条悟様……?」

 

 私はフクロウに突かれながら、手紙を見る。

 一通の差出人の名前は夏油傑だった。

 

「これは……」

 

 それは心配の手紙だった。

 今いる場所は。大丈夫なのか。返事を出すように。

 今、魔法学校の先生にも助けを求めている。

 そんな事が、子供らしい字で書かれていた。

 他二通も、同じような手紙だった。

 

「返事は出せるかい? 悟は今、寝込んでいるんだよ」

 

 フクロウは返事をするように鳴いた。

 それから、文通をした。

 

 魔法使いの事については教えてもらえなかったが、傑くんは悟が大事な友達なのだと教えてくれた。名前が一致する事にとても驚いていた。でも、悟は夏油傑のことを知っているようだった。

 

 悟が目覚めると、夏油傑は答え合わせをする事とした。

 

 

 

 

 

 

「悟。魔法使いに生まれ変わったんだって? 手紙に書いてあったよ」

「……意外。クローン作って失敗したって言った方がまだ信じると」

 

 それはまあ、確かにそうかもしれない。名前も姿もそのままに生まれ変わったなんて、どんな因果だ。クローンの方がまだ納得いく。それでも。

 

「事実をいいな」

「呪術師にも規定あるだろ。言えないんだよ」

「……思い出話くらいはいいだろ? 私は覚えてないのかい?」

「ああ、それなら言える。傑は何も覚えてないよ。それでいいと思ってる」

 

 それから、ポツポツと思い出話をする。

 夏油の心には嵐が吹き荒れていた。

 本当に本人である。呪霊の見えない悟!!! とても信じられない。

 非術師というよりは、魔法使いらしいが。

 魔法使いなら、非術師でも猿じゃない。私は必死に自分を誤魔化す。

 だって、悟が非術師なら憎めなくなってしまうじゃないか。

 

 起き上がれるようになった悟は、手紙を書く事とした。

 

「それより早く帰ったほうがいいんじゃないかな」

「ゲートが多分、南硫黄島にあるんだよ。そこまで移動する体力はまだないかな」

「移動できるのかい?」

「正直に言って十回は墜落すると思う」

「送るよ」

「ありがとう。後、こっちの僕にも送る手紙があるんだよ」

「敵地で余裕だね。検閲されると思わないの?」

「書き上がったらお前も見ろよ、関係あるから」

 

 手紙を書くのを見守る。

 子供向けの便箋にせっせと手紙を書く悟。なんだか似合わない。

 

「ちょっ 見るなよ!」

「見てもいいって言ったじゃないか。ハートマークが多くないかい? 私宛の手紙だろ」

「子供なんだからこんなもんだろ、返してよ」

 

 先ほどの手紙とは打って変わって、今度は真面目な便箋にずらずらっと整った字で埋めてゆく。

 今度は悟宛らしい。

 

「それは?」

「過去の僕に未来情報。僕、お前の偽物に封印されちゃうんだよ。七海も殺されるし、防げるなら防いだ方がいいからね」

「は? 君が? まさか君の死因、それじゃないよね?」

「さあ、どうかな?」

 

 そう言って、せっせと手紙を書く悟。

 

「未来を変えたら、君が消えない? 大丈夫?」

「知らない。多分大丈夫じゃない?」

「多分って……」

 

 手紙を読んで、夏油傑は動揺する。その混乱も治らぬうちに、さっさと五条は自らの白いフクロウに手紙を持たせる。

 

「傑。今なら止められるよ」

「……止めないよ。私は何も知らなかったからね」

 

 そうして、フクロウは飛んでいった。

 

「傑。どうする?」

「悟なら、私の死体をきちんと火葬してくれるよ。……さて、後始末の準備をしなきゃね」

「百鬼夜行すんの?」

「するよ。悟に覚悟を決めるきっかけをあげないとね」

「……性悪」

「ごめんね」

 

 悟は手を伸ばしてくる。

 ふふ。こんなにちぃちゃな悟に会えるなんてね。

 ぎゅうっと抱きしめ、私は囁く。

 

「未来も君と一緒だとしれたからね。死ぬのが全然怖くなくなっちゃったよ」

「わかんないじゃん。未来は変わる」

「それでも、希望は持てたかな」

 

 




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