五条悟は帰りたい   作:かりん2022

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事情説明

「とにかく、事情を話すんだ、傑。なんで子供のことを黙ってたんだ」

「違いますって! 年齢がもう違いますよね? ほら、この子達12歳ですし!」

 

 夜蛾先生の追求に、ついかつてのあの日のように、夏油傑は弁解する。

 

「12歳……微妙な年齢だな……」

「生徒を信じないんですか、夜蛾先生!」

「いや、それはだな……いや、十年前のことはどうなんだ。子供のこともだが、ちゃんと話せ、傑」

 

 その言葉に、はぁぁ、と息を吐いて、夏油傑は頭を抑える。

 

「君がいきなり連れて来なかったら、ちゃんと設定をでっち上げて伝えるつもりだったんだよ」

「でっちあげじゃなくて事実を言えよ、事実を」

 

 その言葉に、夏油傑は肩をすくめた。

 

「信じないと思うけどね」

「話してくれないと、何もわからないだろ! あの時だって!」

「悟……」

 

 そして、夏油傑は小さな五条悟を抱き上げた。

 

「これ。未来の君。転生済」

「は?」

「これ。未来の私。やっぱり転生済。あ、私の死因はもう知らせてあるよね。君に殺してもらったんだ」

 

 小さい傑を抱きあげて、言う。

 

「そういうわけで、私は輝かしい来世が待ってるから、用件が終わったら覚悟を決めて君に殺して欲しいかなって」

「はあああああああああ!?? ちゃんと説明しろ! 俺とお前が非術師の双子に生まれ変わる!?」

「誰が双子って言ったんだよ。違うよ。それに、私の来世は凄いんだよ。魔法使いなんだって。悟。傑。見せてあげて」

 

 小さな悟と小さな傑は顔を見合わせて、杖を振るった。

 

「ルーモス!」

「犬耳生えろ! わっ」

「傑!」

 

 それは無限で弾かれて、小さな傑の頭にぴょこんと犬耳が生えた。可愛い。

 

「……ちなみに、僕の死因は?」

「それはお楽しみにしてて」

「手紙には書いてあったけど、私のせいだと思う。私の体が盗まれて、使われて……ごめんよ、悟。死んだ後まで迷惑を掛けてしまった」

「あれってマジなの?」

「マジ」

「過去改変したら未来って変わんないの? 大丈夫? 君たち消えない?」

「わかんない。多分大丈夫じゃない?」

「???」

 

 小さな悟と小さな傑はこてんと小首をかしげる。

 

「そっか……。僕らの未来か……ええ? 名前も姿もそのまんま? どうなってんだよ」

「それで、悟。未来の君が大ピンチなんだよ。退学の危機」

 

 大きい傑は、ため息を吐いて告げた。とても残念なお知らせである。

 

「何? これ以上なんかあるわけ」

「悟の宿題に、真似妖精のボガートを倒しなさいって項目があるんだけど、それ、私たち逃しちゃったんだよ」

「それって不味いの?」

「凄く不味い。あれを冬休み中に倒さないと、悟の退学の危機なんだよ。後、街にも被害が出るかもだし。ちなみに私はもう華麗に終わらせているよ」

「じゃあさっさと倒さなきゃじゃん。何? 未来の僕雑魚なの?」

「雑魚だよ」

 

 断言するご本人、小さい悟。

 

「いや、驚くレベルで雑魚だったよ……」

「悟は戦う呪文は得意なんだよ? たまにすごーくダメになるけど」

 

肯定する大きな傑に、フォローする小さな傑。

 

「……そんなに出来ないの? 僕の記憶を持ってて?」

「ちょうど真奈美が撮ってたデータがあるから、今送ってもらうね。……来た」

 

そうして、傑は動画を見せる。

 

大きな五条悟は固まり、硝子はゲラゲラと笑う。

 

「五条さん、夏油さん好きすぎですね。え、ほんとですか、これ」

「伊地知、後でマジビンタ。ねぇ、これ、ほんとに真面目にやってる? だってボガートってわかってるんだろ?」

「魔法族に倫理的思考ができると思うなよ。現代の世の中で今だに中世生活してるすごいポンコツなんだから。その上生まれ変わって分かったけど、僕、六眼でかなりのアシスト受けてたんだからね!」

「ええ……」

「いいかい悟。前から思っていたけれど、魔法使いを悪様に言うのやめな。文化があるんだから。私も不快だよ」

「おっぇー。綺麗事ゲロ吐きそう」

 

 小さい傑が注意する。

 

「いや、それにしても雑魚すぎだろ。分かった。情報は集めるし、ちゃあんと未来の僕がとどめをさせるように手配してあげるよ。でもそうだね。確かに、事情がややこしすぎて説明するのが面倒だね。一時的に僕らの子になる?」

「そっちの方が確実に面倒になるからやめな。二人は冬休み終わったら帰るんだよ?」

「死んだ事にすればいいじゃん。むしろ帰らなくていいじゃん」

「悟……。彼らには彼らのご両親がいるんだよ。呪霊も見えないんだからね」

「ん、それは厳しいか。魔法で見えるようになんないの?」

「アパレシウムが使えるよ?」

「いちいち魔法かけてらんないでしょ。論外だよ」

 

 そこで、大きい五条悟の携帯が鳴る。

 

『悟様! 夏油傑との間に隠し子がいるとは……!』

「デマだからデマ!」

 

 電話を切るが、再度なりまくる電話。学長の電話も同じくである。

 一年生の拡散が始まったのだ。

 

「うーん、なんて説明しよう」

「そのまま説明するしかあるまい」

「この動画見せんの? 嫌だよ僕」

 

 そこで、窓の外から声が聞こえた。

 

「生徒達ー! 今このロックハート先生が助けに行きますからねー!!」

 

 窓を突き破り、フクロウに捕まった美中年が飛び込んできて一時騒然とするのだった。




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