「ロックハート先生!!」
「うそ、先生が自ら私達を助けに……?」
「あいたたた……そうですよ、生徒達!」
小さな悟が杖を振ると、魔法で粉々になったガラスがロックハートと呼ばれた男から取り除かれて、細かい傷が消えていく。
「あ、相変わらず凄いね。Mr.五条」
「先生格好いい! 本物の英雄みたい!」
「あはは、そう言ってくれると嬉しいよ。さ、帰ろう。先生がどうにかしてあげるからね」
「君が未来の僕が傑を取られると危惧してる先生? 担任?」
「ううん、魔法史の先生で元詐欺師」
さらっと未来の悟がいう。
「は?」
「ロックハート先生は凄いんだ! 偉業を成し遂げた魔法使いから、言葉巧みに話を聞き出して、オブビリエイト! 忘れちゃえ! それで数多の功績を横取ってきた、最強の先生なんだよ! 私はロックハート先生の本の大ファンなんだ」
「傑、そんなことに最強って言葉使わないでマジで。っていうかそんなのが学校の先生とか嘘だろ」
呪術師達はさりげなく戦闘体制を整える。
「い、今は人にオブビリエイトを掛けないと心に誓ってますからね!」
「先生、私ボガート逃しちゃった」
「ええ!? それはすぐに見つけないと」
「帰り方はわかるんだよ。でもボガート見つけてからでないと。この人達が見つけてくれるって」
「彼らが、手紙でやりとりしてた魔法使いでもマグルでもない種族ですか?」
「そうそう。だから、とりあえず杖は預かっておこうかな」
最強が杖を回収。
「私は杖がないと何にもできないのですよ!」
「ロックハート先生!」
「子供達も」
「おっと子供達から杖を奪おうっていうなら私が暴れるからね。私の要求は子供達とついでにそこの教師の安全な帰還と未来の悟によるボガート討伐だよ。それさえ叶うなら、煮るなり焼くなり好きにすればいいさ」
「傑。お前、本当にこいつらが未来だって信じるのかよ。死ぬって事だぞ」
「別に、彼らが未来でなくても構わないよ。死なんてこの業界じゃ珍しくもないし」
「じゃあ、なんで」
「私が小さな悟が好きだからだよ。ね? 悟」
「傑」
大きな悟は、ガシガシと頭を掻いた。
「なんでそんなガキンチョと分かり合ってんだよ、傑!」
そういうわけで、事情説明とボガート探しが始まったのだった。
幸い、ばけものが暴れているという通報があり、すぐにボガートは見つかった。
だがしかし、上層部の策略により呪術師が逐次投入されては撤退指示が出るのだった。
「これを機にあからさまに怖いもの探ってるじゃん。被害拡大する前にさっさと倒さないと。あ、僕の所にも指令きた。舐めてんねー」
人々の恐怖を吸い、見るも悍ましい怪物と化したボガートの元に、小さな悟を連れていく。
「うわ、ぐっろ。イケる?」
「頑張る」
二人の悟がボガートの所に飛び込んでいく。
それはシュルシュルと姿を変えた。
変わった姿は、もちろん。
『悟。私、新しい家族ができたんだ。だからもう、君なんていらないよ』
「「す、傑……」」
「あんな巨大な怪物より傑ってやつに振られるのが怖いのか……」
「なんで大きい方の悟まで引っかかってんだよ 」
「あはは。でも、ボガートが小さくなったよ」
「しゃけ!」
「はぁ、悟。しょうがないな。私とあの偽物、どっちが大事なんだい……?」
「傑!」
「私は、君が一番大事だよ」
「私も、悟が1番のお友達だよー」
それぞれ傑に慰められて、小さな悟は勇気を出す。
「リディクラス 馬鹿馬鹿しい!」
『悟。私たちは、二人で最強なんだ』
「当たり前だろ、生まれ変わっても一緒なくらいなんだから!」
悟が笑うと、ボンっとボガートは弾けた。
「素晴らしい友情です、Mr.五条。私が証人になりましょう。討伐成功、でも逃亡を許したのとお友達の助力で君の成績は……D!」
「まあ妥当だね」
「もう落第でなきゃいーや」
「不甲斐ない未来の自分に向けて一言」
「いや、魔法使いって大変だなって」
固まった大きな悟が小さな悟を責められるはずもないのである。
パンダが、呟いた。
「ボガート倒した後、夏油傑の秘匿死刑実行すんだろ。できんのかこれ。この空気で」
「それな」
「おかか」
「でも死なないと一緒になれないんだよね」
一年生は、心配するのだった。
「傑! 心中しよ!」
「何言ってんだバァカ!」
「おかか!」
「いくらなんでもそれはないですよ先生!」
「いいかい悟、次馬鹿なこと言ったら処すよ?」
「イタタタ、痛い痛い! もう手ェ出してるじゃん! だって僕らの来世魔法使いライフだろ! 絶対面白そうじゃん!」
大きな傑にプロレス技を掛けられ、五条悟は求め訴える。
「悟、自害したら生まれ変われないっていうだろ。……私は君にもう一度会いたいよ」
「傑……!」
一方チミっ子達は。
「じゃあ、帰ろっか。悟。ロックハート先生」
「この空気で凄いな傑?」
「ま、まあ僕らに出来ることは何もないね」
そうして、速やかに魔法使い達はゴーホームしたのだった。
「また記憶消えてる!」
「傑。大丈夫みたい。日記がある。荷物は……あっ ロックハート様の本と蛙チョコの缶がない!」
「えっ 酷い! 何より、冬休みがもうないよ! 明日登校! 酷い!」
「ボガートの試験なら修了証書を私が持っていましたよ。安心してください」
それにしても、また心配を掛けてしまった。夏休みは絶対帰れって言われるな。
忘却術の達人のロックハート先生までもがしてやられたという事で、僕の神隠しはしばし魔法界で噂となるのだった。
「未来の五条悟、缶を置いて行っちゃった」
「あら、何かしら。開けてみる?」
「お菓子の箱かな。うわっ チョコの蛙!」
「魔法使いっぽいじゃん」
「こっちは夏油様がお嫁に行くって五条悟が恐れてたロックハートの本?」
「……何これ、すごく面白い。悔しい。夏油様、見たがるだろうなぁ……」
「そうだね……」
「「じゃあ呪専に持って行こうか」」
「普通あのまま秘匿死刑コースだろ!! 恥ずかしいんだよ、あの空気のまま生き延びるなんて! 絶対君と私、できてるって思われるだろ! 生命が終わらなくても社会的に終わるんだよ!」
「僕だって醜態広まって傷ついてるんだからね、責任とれよ傑」
「取らないよ? 取らないからね!」
「クズども喧嘩してないで馬車馬の如く働け。1000人の呪具埋められた奴らがいるって判明してんだから」
「はいはい硝子。ちゃんと生まれ変われるかなぁ、私」
「いいじゃん、来世なんかより現世だろ」
「……それはそう」
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マシュマロ
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