会えたね七海
正直に言おう。マグル学を学び、僕は絶望した。
ダメだこれ。
マグルはどんどん世界を広げている。衝突は不可避なのに、魔法使いはこんなにも隣人を理解してない。
頭が痛くなってくる。だが、なんとかしなければ傑が笑っていられないのだ。
とりあえず、手紙は切手を貼ったら自動で転送はされないんだよ、OK?
授業に魔法の便利グッズの開発、それに子育て。時間がいくらあっても足りない。
何より、魔法族の子育ては大変だ。
傑達が協力してくれて、本当に助かった。
見かねた子沢山の魔法族の子達が協力してくれているおかげで、なんとか出来ている。
何せ、魔法族の子供は魔力暴走を起こすのだ。
力の強い始祖が二人。とても大変だった。
人が大変な目に会っている時に、ロックハート教授はまた新しい本を書いた。
それは「魔法使いになったマグル」。
いつの間に本書いてたんだあいつ。出版の許可なんてしてないぞ。後で締めよう。
あまりにも忙しくて読む暇はないが。
そうして、勉強に追われた三年生が終わり、沈む傑と、翔と守を連れて歩いていると。
いつの間にやら、廃墟にいたのである。
まずい。まずいぞこれ。
子供二人はまだまだ魔力暴走があるし、傑だって精神的に今危ない。
船をチャーターして、南硫黄島まで送ってもらうことが必要だ。
新聞を見て時期を確認。
今の時期は……確か真人の依頼の時期か。
この時期なら悠仁が接触出来るはず。
この時期なら、僕が一人でいたはず。
都合がいいな。
念の為、過去の出来事を書いた手紙は用意していた。
取引をしたいと追加で書き添えて、廃墟の一階で待つ事にする。
「大丈夫だからね、傑。翔。守も。僕が絶対守るから」
「悟……この世界、戦争中なんだろ?」
「大丈夫。僕がぜーったい守るから」
そうして、僕は傑達を廃墟の二階に隠し、ひたすら待つのだった。
「えーっとぉ。情報屋さん、いるかー?」
「……悠仁」
出来れば、僕本人が来ることを望んでいたのだが。
「僕の渡した情報は役だったかな?」
「なんか、先生めちゃくちゃ怒ってた。あっ でも、順平がおかげで助かったんだ。ありがとな!」
「そして手紙をぶん投げられて捕獲を頼まれたのが私たちです」
「ウッソだろ」
影から出てきた七海はぐしゃぐしゃになった手紙を持ち、七海ははぁぁ、とため息を吐く。
「ところで、まさか貴方、五条さんの隠し子で未来視の持ち主です、とか言いませんよね」
「えーとね。色々あって今術式使えないし呪霊見えないけど、未来の僕って言ったら信じる?」
「正直隠し子未来視とどっこいですね。何があったんですか」
「転生……?」
【つまり、俺に殺されたのか、呪術師】
宿儺の質問に肩をすくめる。
「さてね。とにかく、元に戻るには南硫黄島に行かないとなんだけど。内緒で送ってくんない? それだけの価値の情報は渡したろ」
「南硫黄島ですか。そこに何が?」
「僕が転生した場所に戻る通り道があるみたいなんだよ。でもそこ、船でもチャーターしなきゃ行けないだろ」
大人の魔法使いでもいたら、あるいは子供二人を抱えていなかったらどうにかなったのだが。今は無理だ。
「……残念ですが、無理ですね。あなたには上層部の前で証言してもらわないと」
「は? 僕、上層部にしゃべったわけ?」
「そのまま上層部に殴り込んでます」
「はあああ? 脳みそ沸騰しすぎだろ。手紙渡して一日経ってないんだけど?」
「もともと、悠仁くんの件で苛立っていたので」
「僕、今、身を守る力持ってないんですけど? 呪霊も見えないし!」
「護衛はさせていただきます。過去を変えたあなたがどうなるかはわかりませんが」
「それは大丈夫。多分ね。うーん、ついていくかちょっと考えさせてくれない?」
傑を置いて行ったほうがいいか、連れて行ったほうがいいか。
瞬時に判断が下せなかった。ああ、本当に僕、ダメになった。
「こんな事を五条さんに言いたくはないのですが、あなたに選択権はありません。今、力が何なら尚更、私たちの保護を受けたほうがいい」
「さ、悟パパを離せ!」
翔が杖を向けている。その後ろで、傑も守を抱いて杖を持っていた。
「君は誰だ? 過去の悟でも過去の私でもない」
「傑、大丈夫。僕の知ってる人だよ」
「本当に? だって知らないよ、この人」
「傑は記憶持ってないだろ。翔も、大丈夫だから。ほら、二人とも。守が不安そうな顔をしてるよ?」
僕はにっこり笑って安心させようとする。
「パパとは?」
「僕の保護した子供達だよ。翔と守。僕や傑、一緒に保護した友達をパパママって呼んでるんだ」
「生まれ変わってもそんな事をしてるんですか」
「3人とも、ちょっと精神が不安定でね。あまり刺激したくないから、やっぱり保護は」
「考慮します。4人纏めて来たほうが絶対に良いです。後は五条さんの力で無理やり帰宅しましょう。っていうかあなたの過去なんですから、うまく仲裁してください」
「……はぁ。言っとくけど。3人に何かあったら、無力な僕でも最強の生まれ変わりって思い知らせてやるからな」
「わかりました」
「おいで、傑」
「その人も、過去の私に虐められたのかい? 怒っているのかい?」
不安そうに声を震わせる傑。
「……そうですね。夏油さんは覚えてますか?」
「ううん。私のせいで悟が捕まったとこしか覚えてない。私の体が乗っ取られて、悟が、起きろよ傑って言って、私を乗っ取った人がおやすみ悟って」
「もう、しないでくれたら怒りませんよ。あの人、ああ見えて必要な人なので」
「わかった。虐めてごめんね、えと、七海さん?」
「七海でいいです」
そうして、傑は子供を抱いて僕に引っ付いた。
僕らは、そうして上層部に連れて行かれた。
過去の五条悟は、夏油傑の遺体を抱き上げてとてもとても荒ぶっていた。
「遅い、七海! で、情報源は」
「未来の貴方でした」
「は?」
「こちら、戦死して転生した未来の五条さんです」
「はぁ!? って、傑!?」
五条悟は目を見開いた。僕は無視かよ。
「こんにちは、えと、過去の悟……?」
「傑に前世の記憶は殆どないんだ。聞きたい事があるなら、僕が答えるよ」
戸惑いながら挨拶する傑を背後に隠す。
翔は遺体に怯えてしまっているし、守は泣いてしまった。
「悪いけど、僕の養い子達が怯えるから、その遺体は七海なり恵なりに一度預けてもらえないかな? 殺気も抑えて。子供には毒だ」
「そうですね。それと、傑くん達には一旦休んでもらいましょうか。五条さんさえいれば話はそれで足りるわけですし。五条さん、それでいいですか?」
「そうだね。悠仁。子供達をお願いできるかな? 僕のトランクの中に、蛙チョコって英語で書いてある箱がある。そのチョコを子供達にあげて。悠仁も食べていいから」
「お、応。わかった」
傑の遺体と転生体が気になった五条悟は、早々に矛を収めた。
僕も今すぐ確認できる未来情報をいくつか渡し、自身が真実五条悟と証明できるよう、過去情報もいくつか話した。
「僕としては、今は無力だし、元の世界に傑と子供達と戻れれば満足だよ。過去のことを話したのは、情報料として旅費が欲しかっただけ。日本壊滅がそれで防げるなら安いものでしょ?」
胸糞悪いが、呪霊が本当に見えないかも試された。
五条悟も、本当に見えないらしいと判断するまで手助けしなかった。
おかげで怪我をしてしまい、それは硝子が治してくれる。
「ザマァないね、えーと、未来のクズ? お前の取り柄最強だけだったじゃん」
「ま、ね」
五条悟は強引に僕や傑達を自分預かりにして、話を終わらせる。
そして、まず遺体の方に行った。火葬と葬いをするのだろう。
「あっ 五条先生! お話終わった!?」
「先生、津美紀はどうなるんですか」
「わかっ 五条先生の転生体って本当なの?」
そう言いつつ、一年生達は全力で二年生を止めていた。
傑達も杖を構えていたし、一触即発である。
「すーぐーる。翔も。皆で蛙チョコ食べよ」
「悟」
「悟パパ」
僕はトランクを開けて、傑が詰め込んだ蛙チョコを出す。
「わっと」
あえて蛙チョコを逃す。
「困ったな。翔、捕まえて。ほら、2匹目にげた。傑」
「捕まえた!」
捕まえて食べ始める二人。
「きったねぇな。落ちたの食べるなよ」
「そうだね。君たちは大人だから上手に食べれる?」
「しゃけ!」
「いや食べないわよ」
「俺食べてみようかな」
「さすが虎杖……」
「おまけカードいる? ダンブルドアはダブってるんだよね」
「先生もおもちゃのおまけ集めするんすね」
「今の僕子供だし」
そうして翌日。傑の元に、五条悟が来たのだった。
「傑? 本当に傑?」
「悟、おはよ」
「おはよ、傑」
寝ぼけ眼で目を擦る傑を持ち上げて、悟は部屋を出ようとする。僕はそれを止めた。
「傑をお持ち帰りするなよ犯罪者」
「ちょっとお話聞きたいだけだよ」
「傑何も覚えてないよ。って言うか情報欲しいならちゃんと手紙読んでよ。全部そこに書いといたから」
「一応読んだけどね。僕と傑の未来については書かれてなかったよ?」
「関係ないだろ」
「いじわる言わないで教えてよ、裏取りまでどうせ時間掛かるんだしさ」
「僕達には関係ない」
「そだね。でも裏取りするまで返してあげない」
僕はため息を吐くのだった。本当に呪術界はクソである。
感想ありがとうございます。配信来てくださり、ありがとうございました!
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
今度からマシュマロ返信していくことにしたので、よろしくお願いします!
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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