食事を終えると、僕と傑は話し合う事にした。
その話し合いの場に、ニヤニヤしてる五条悟と、じっと見つめる七海と、オロオロする伊地知がいるのが理解できない。
でも、傑の精神状態も考えると、ちゃんと話をするのは最優先事項なので、しょうがない。
「傑。僕は、傑の事好きだよ。傑の幸せ含めて、僕の幸せだよ」
「悟……」
「だから、傑が何かで悩んでいるなら、僕は知りたい」
「私の両親、離婚するかもしれないんだ……」
「どうして?」
「ま、魔法族が。私のお母さんに愛の妙薬盛って。私、弟が増えることになりそうなんだ……」
「傑……そんな、訴えたのか?」
「ダメなんだって。相手が魔法族で、お母さんがマグルだし」
「そんな……」
「以前の私は、呪術師以外は猿だって思ってた。でも今、私は魔法族が猿だって思うよ。悟。悟。私、どうしたらいいんだよ……!」
「傑」
「私、私、悟が魔法族である事がすごく嫌だって思うし、悟に魔法大臣になんてなって欲しくないよ」
「なんで? だって、傑みたいな人をなくすには、権力を手に入れないと」
「だって悟! 魔法使いは蛮族通り越して猿だよ!? そんなのの取りまとめなんてできるはずがないし、そんな取りまとめを悟がするのもいやだし、苦労するの目に見えてるじゃないか!」
「す、傑」
「悟! 私と一緒に、マグルの世界に逃げよう」
「その時は僕が養子として受け入れるよ」
「過去の僕ステイ」
口を出した過去の僕を牽制し、僕は傑の手を握る。
「傑。だって、僕たちは電子機器と相性が悪いし、学歴の問題だってある。それに、いつかは向き合わなければいけない問題だよ。逃げてちゃ何の解決にもならない」
「悟」
「でも僕、傑が家のこと教えてくれてとても嬉しい。今の僕に力はないけど、一緒に悲しんであげることはできるし、子供の世話とか考えることも手伝うこともできるよ」
「悟。私には弟がいるんだけどね。翔や守と比べて思う。やっぱり魔法族とは違うんだ。違うんだよ。。魔力暴走をしょっちゅう起こすような子は、マグルには育てられないよ」
「傑」
「力を持った猿なんて処置なしじゃないか。悟がそんな猿にすり減らされるのを見るのは嫌だよ」
「でも傑。僕らはもう魔法族なんだよ」
「知ってる。知ってるよ。私、またすごく悪い魔法使いになっちゃう。今の悟は最強じゃないから、私、また道を踏み外しちゃったら、悟を殺しちゃうよ……」
「じゃあ、今度こそ俺と一緒の道を歩いてよ。大丈夫だよ。絶対離さないから」
「悟、私は……私はもう、悪い魔法使いなんだよ……」
「傑……?」
「私、先生に習って、君にオブビリエイト使ってるんだ。卑劣な真似をしているんだ」
「傑……」
緊迫した空気が流れる。僕は優しく傑の頬を撫でた。
「宿題を一回だけ写させてって約束して、実際はそれを毎回する事? 毎日変な効果のある魔法のお菓子を無理に食べさせようとすること?」
「し、知ってたのかい!? わ、私は卑劣な……」
「正直に話してくれてありがとう、傑。でも、僕はちゃんと魔法族の常識をわかっているし、その上で傑が好きだから大丈夫だよ。でも、その程度の小さい事で人に簡単にオブビリエイト撃つのはもうやめようね」
「悟……! うん! うん!」
傑の涙を拭う。
そうして、傑はボソボソといった。
「あと、残してきた子供達がとても気になるんだ。私、もう少し呪術師達に協力してから帰りたい。ダメ、かな……」
「いいよ。傑がそれを望むなら、協力する」
話し合いが終わったと見るや、最強は傑をヒョイっと抱き上げ、自分の胸の中に仕舞い込んだ。
「頑張ったね、傑! いやー。僕がそっちに行けたらその魔法族ぶん殴るのに。一回連れてってくんない?」
「帰れなくなったらどうするんだよ。そこまでしたら本当に未来代わりそうだし、嫌だ」
僕は呆れて言った。そして、言葉を続ける。
「まあ、もう少し手伝うよ。でも、一ヶ月半までだね。それ以上は僕らが退学する」
「ここに駆け落ちすればいいじゃん」
「僕ら、まだ学校に通い始めて三年だぞ。七年生のうち三年。魔法学校は幼稚園とか小学校中学校高校って概念がないから、退学になるとかなりまずいことになるんだよ。魔法も使う許可が降りなくなる」
「面倒ー」
「面倒なんだよ」
「お話を聞くだけなら、私達にもできます。頼っていただけませんか、夏油さん」
「七海……」
「夏油さん、五条さん、そんなに魔法界の常識って酷いんですか? 無法地帯のように感じますが」
「「酷い」舌を溶かす酸の飴とか子供向けで普通に売ってるんだよ? ありえないくらい酷すぎ。まともに食べられるお菓子が蛙チョコしかない」
「え、蛙チョコ以外にも魔法抜きのお菓子はあるよ?」
「蛙チョコは確実に生きてるチョコって以外の魔法は掛かってないし、細工もし難い、面倒な真似しなくても安全を確認できる唯一のお菓子なんだよ」
「そんな、五条さんがお労しいですって? ざまあですね」
「七海、ちょっと後で話がある」
そこで、翔と守が泣き出した。
「傑パパ、やっぱり僕らのこと嫌いなんだ……本当のパパとママも僕らのこと嫌いなんだ……」
ぴゃあああああんと泣き出すだけなら可愛いが、結構な魔力暴走が吹き荒れる。
だから、魔法族をマグルが育てるのは大変なんだよね。
僕らは慌てて子供達を宥めるのだった。
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マシュマロ
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