「五条悟。貴方が私の運命なのね」
スリザリンに選ばれ、戸惑う傑達と共にテーブルの隅っこで飲み食いをしていると、可愛い女の子が現れた。
「いや、僕の運命は傑だし」
「へ?」
「僕と傑は親友になる運命だし」
きょとんとした傑は、破顔する。
「それはいいね。友達になろう、悟」
「親友な、傑」
僕と傑は握手した。手が暖かい。もうこの手を離しはしない。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 貴方は私の運命なのよ! 私の名前はエマ・カートン。貴方に運命を破壊された者よ」
「???」
「悟、このかぼちゃパイ美味しいよ」
「僕も食べる」
「貴方ねぇ!」
どうやら、絡んでくるこの魔女は、引き下がるつもりはないらしい。
でも俺の運命は傑だろうし、正直これ以上はお腹いっぱいだ。
「何を根拠にそんなこと」
「今から11年前、神秘部の多くの予言を封印した球がが破裂したの。新たなる予言は、運命の破壊者が生まれた。貴方よ。そして、その前に偉大なる闇の魔法使いとして予言されていたのが……私よ」
「うーん、よくわかんないけど、僕、運命を壊すつもりはないよ?」
せっかく傑に会えたのだ。傑という運命を離すつもりはなかった。
最も、その運命がまた引き裂かれる運命というなら別だけど。
「じゃあ、スリザリンは闇の魔法使いを輩出するとか、純血主義とか、本当なのかい? 私、マグル出身だけど虐められない?」
「純粋なマグル二人から生まれた子供は、始祖って言って新しい血と強い魔力と遺伝の力を持つよ。マグル蔑視の対象にはならないと僕は思うけどね」
「そうなのかい?」
「そうだよ」
「悟様はそれで論文を書かれているのですよ。若干11歳にして!」
「凄いね! って事は僕も始祖か」
「お揃いだね、オリバー」
「そうよ。そして、貴方が私の元運命だったのよ。私と貴方、二人で闇の魔法使いになる予定だったの」
「は? 二股か」
僕に絡む分には笑って済ませるけど、傑を巻き込むのは承知しないぞ。
「ち、違うわよ! だってそう予言が出てたもの! とにかく、私と友達になりなさいよ。や、最後の闇の魔法使いになるって予言されて、その予言は破棄されたけど、友達が出来ないのよ……。ただでさえ、スリザリンは悪いやつって言われてるのに」
「最初からそう言えばいいのに。予言の事と引換なら、友達にしてやってもいいよ」
「うん? って事は、君は私の運命を破壊した人でもあるのかい? 悟」
「傑が僕の運命なのはいいんだよ」
「悟様は、よほど傑を気に入られたのですね」
「ああ、予言する。僕達は二人で最強になる」
「私は闇の魔法使いにはならないよ?」
「僕がさせないよ」
「僕、オリバーの事も忘れないでくれよ」
そうして、純血の魔女エマ・カートンは、予言を話してくれた。
エマ・カートン
『魔法使いの最後の全盛期が訪れる。血のような紅き髪を持つ純血の魔女は、極東の始祖の魔法使いと手を取り合って最後の偉大なる闇の魔法使いとなるであろう』(破棄済み)
夏油傑
『魔法使いの最後の全盛期が訪れる。血のような紅き髪を持つ純血の魔女は、極東の始祖の魔法使いと手を取り合って最後の偉大なる闇の魔法使いとなるであろう』(破棄済み)
斎賀稔
『極東の純血の魔法使いはあらゆる運命を棄却するであろう。自らの運命を手に入れるまで、改変は終わらない。破壊、改変、創成、掻き回された鍋を置いて魔法使いは運命を過去へと連れ去るであろう。バラバラにされた運命を紡ぎ合わせるのもまた、極東の魔法使いとなる』
五条悟
『極東の純血の魔法使いはあらゆる運命を棄却するであろう。自らの運命を手に入れるまで、改変は終わらない。破壊、改変、創成、掻き回された鍋を置いて魔法使いは運命を連れ去るであろう。バラバラにされた運命を紡ぎ合わせるのもまた、極東の魔法使いとなる』
オリバー・マルス
『イギリスの始祖の魔法使いが、祈りを踏み躙り、野望を斬り払い、全ての魔法使いを裏切って、闇の魔法使い達と古き時代に終止符を打つであろう。もはや過去には戻れず、新たなる時代は無からの始まりとなる』(破棄済み)
「オリバー。お前、傑に手を出したら殺すから」
「悟様が過去へ去るとはどういう事だ!」
「手を出すってなんだよ! っていうか僕を巻き込まないでよ!」
「え、この5人って皆予言持ちな訳?」
「そうよ、この遠巻きっぷりを見なさいよ!」
ああ、僕はいつも目立っているから気づかなかった。
確かに、テーブルの隅にいるとはいえ、5人の周囲に人はなく、遠巻きに見られていた。
「ふむ? つまりこの5人で仲良くしないとって事ね。いいよ、座って食べなよ」
「ありがとう!」
それにしても、過去へ去る、ねぇ。
単純に考えれば、死んで過去になるって事だけど。
言葉のまま過去へ行く方法か、呪術界へ行く方法があるって事かな?
っていうかこの世界、呪術界あるのかな。調べておかないと。
それと、肝に銘じておかないと。
僕はもう最強じゃない。それに近づくことはできたとしても。