「トロールを一刻も早く排除しなければ危険だと思ったので」
「それでも、一年生が使っていい呪文ではないのですよ、Mr.五条。貴方が放った魔法で、傷つく子供が出る可能性もあった」
「すみません……」
「トロールについては調べておきます。しばらく謹慎していなさい。スリザリンはその勇気に30点。ただし、無茶な魔法行使で20点減点とします」
僕は大人しく処分を受け入れる。
わかってる。いつまでも呪術師の思考のままではダメなんだって。
「悟。大丈夫だった?」
校長先生の部屋から出ると、心配そうに傑と稔が駆け寄ってきた。
「ああ、大丈夫だったよ。しばらく謹慎」
「それは大丈夫って言わないんだよ……」
僕はぎゅうっと傑を抱きしめた。
「なんだい、悟?」
「いや、僕ら小さいなって思ってさ」
どこからどう見ても子供だ。
そりゃそうだ、11歳の子供なんだ。
自重しないとダメだな。殺し合いしてた時期じゃないんだから。
それ以来、僕は一層遠巻きにされるようになったのだった。
クリスマス休暇が近づいてきた。
「悟は留学生だけど、日本に帰るのかい?」
「まさか」
「じゃあ、家に来ないかい? ロンドンを案内するよ」
「そりゃいいな。一緒に遊ぼうぜ、悟、稔、エマ!」
「マグルの家にですか?」
「むしろ私の家に遊びに来なさいよ」
稔はちょっと遠慮気味である。エマは逆で家に誘ってきた。
「実は、休暇はやることがあるんだ。ダイアゴン横丁で校長先生に言われて買い物」
悟は、特別なミッションを校長先生から受諾していた。
「何買うの?」
「ペット! 生き物を大事に飼って死なせなければ、一年で10点、7年で70点! ただし、死なせちゃったら減点10点」
「あー」
全員、納得したような声を出す。
「でも良いなあ。ペットかぁ。アパートじゃ飼えなくてね」
「一緒にペットを選ばない? 休み中は僕が面倒見るし、卒業したら傑は魔法界に住む家を探すことになるんだからさ」
「そう、だね」
「万一飼えないようなら、僕が面倒見るよ。ペットってホグワーツでは飼ってて当たり前みたいだし」
「決まりだ! マグルの世界で遊んで、魔法界で遊んで、そんでペットだ!」
「忙しいね」
傑は楽しそうに笑う。
「私はマグルのところで遊ぶなんてしないわよ」
「怖いの?」
「侮辱してるんですか? マグルなんて!」
「そうよマグルなんて怖くないわ!」
稔とエマが叫んで、そうして僕らの予定は決まった。
トロールの件は気になるけれど、ひとまず今は気にすることはないよね。
伝手もないし、陰謀なんて大人に任せておけばいいのだ。もう僕は呪術師ではないのだから。
そういうことで、マグルのところで遊ぶ計画を立てる。
計画を立てようと集まると、エマがドンっと大きな本を持ってきた。
「敵を知り己を知れば100戦危うからず! これは日本の魔法使いの言葉だったわね!」
「違うよ」
「細かいことはいいのよ。とにかく、マグルについてこれで完璧よ!!」
エマがグッと胸を張る。
どれどれと傑とオリバーと僕はそれに目を通して、傑とオリバーは笑った。
「そんな出鱈目本はゴミ箱に捨てて、真面目に考えるよ」
「ちょっと!?」
「まずは服を手に入れよっか」
「これじゃダメなの?」
「ダメだよ。僕と稔は傑とオリバーから服を借りればいいとして、問題はエマだね」
「そうだね。どうしようか」
「今回は僕がグリンゴッツ銀行で換金するよ。その代わり、僕が選ぶね。お店までの服装は、なんか無難なの探そう」
それにしても、楽しみだな。マグルの世界は……元いた世界は、今、どんななんだろうか。