μ’s MUSIC BOX   作:ぶりくすむ

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キャストの方、スタッフの方、ファイナルライブ参加された方、LV参加された方
ファイナルライブ終了お疲れ様でした!




ファイナルなんてお構いなしのぶっ飛び展開はまだまだ続きます。


# 03

 

 

 

「……はぁ…。」

 

 

 洗濯を終え、ゴウンゴウンと動く乾燥機を見て俺は溜息を付く。

 洗濯物の中身は高校からお世話になっている先輩のものだ。

 

 何故こんなことになってるのかというと…

 たまたま出会ったベロベロの先輩に拉致られ絡まれ、挙句の果てに目の前で吐瀉された…。

 そんな先輩の介抱兼汚れた服のクリーニングで我が家に連れてきた訳だ…。

 

 普通の人なら吐瀉した状態で放って逃げても良かったのではあるが、

 俺にはそれが出来なかった…。

 

 

 

 

 何せこの人、絢瀬絵里は俺の好きな人だからである。

 

 

 

 

「はぁ……。」

 

 

 再び深い溜息を付き、今日絵里さんと出会うまでの出来事を思い出す…

 

 

 

 

 

 

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「いつになったら貴方は想い人に告白出来るんれすかぁ!」

 

「…。」

 

「まぁまぁ、海未ちゃんあんまりそう言わずに…」

 

「今日言わずにいつ言うんですかぁ!!幼馴染として今日という今日はこのヘタレた根性を叩き直すのれす!」

 

 

 泥酔しながら俺に説教を垂れている女性は園田海未。

 小さい時からの幼馴染である。

 

 

「伊達君は怒っても伸びないタイプだし怒鳴っちゃダメだってー」

 

 

 仲裁に入る振りをしてさり気なく俺をDISってくる女性は高坂穂乃果。

 海未の幼馴染で俺とは高校時代から仲良くさせてもらっている。

 

 

「それにしてもこれだけ進展ないと伊達君、穂乃果たちに隠してる事あるんじゃないの?」

 

「コイツに隠し事できるほどの器用さなんて無いれすよ!穂乃果!」

 

「……。」

 

「えー?ホントは男の子が好きとか無いの??」

 

「ナイナイ。ありえません。今も昔も絵里の事しか好きじゃないのに実は男色なんて笑ってしまいますよ!!」

 

 

 酷い言われようである。仲の良い異性にコテンパンに言われている。

 こんなコテンパンに言われるのも訳があるわけで…。

 

 

「こんな穂乃果達だって結婚出来てるのにしっかり者の伊達君が結婚はおろか彼女が居ない現状はねぇ…」

 

「こんな私達とは失礼ですよほのかぁ!私たちは幸せを掴んだもの同士なのです!こんな奴のために卑下する必要ないれすよぉ!」

 

 

 泥酔している元μ'sの大和撫子、海未が言う通り彼女は1年ほど前に結婚してる。

 いわゆるお見合いだった訳なのだが、旦那さんの熱いアプローチに乗り気じゃなかった海未は見事に落とされ今じゃバカップルの延長線上で夫婦をしている。

 

 

「いくらなんでも言い過ぎだよ海未ちゃん。伊達君は大切な仲間なんだから。」

 

 

 優しくフォローしてくれる元μ'sのリーダー高坂は栄養士の学校で出会った男性と付き合い、長い交際を経て先日籍を入れ再来月には式を挙げるそうだ。

 

 

「でもですねぇ…穂乃果…。宏樹のヘタレ具合は今に始まった訳ではないじゃないですか!」

 

 

 そして、俺伊達宏樹はというと…。26歳のしがないサラリーマン。

 彼女いない歴=年齢というネットでよくネタにされているワードを地で行く状態である。

 童貞を拗らせてる訳ではない…。断じてそういう訳ではなく想い人が居てその人との為に取っているわけで…なんか自分で言って悲しくなってきた…。

 

 

「そもそもあの時ですねぇ!」

 

「あー…また始まったよこの話。」

 

 

 

 海未が俺を毎度泥酔すると説教してくる約10年前の話。

 

 

 

 

 

 

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 俺はμ'sとして本当に最後のライブを終えて音ノ木坂学院からの帰り道を絵里さんと歩いていた。

 

 

「ライブ好評みたいですよ。」

 

「次のラブライブ!開催がドームになってくれると嬉しいわね。」

 

「ですね。」

 

 

 校庭は桜が満開で桜の雨が降り注いでいた。

 俺は聞きたかった事を聞いてみる。

 

 

「先輩はμ'sがこのまま終わりで良かったんですか?」

 

 

 一度はμ'sの中でラブライブ!の本戦をμ'sの最後とした。

 だが、世間はそれを望むことはなかった。アメリカへのライブ。

 アキバでの路上ライブ。μ'sの終わりを惜しむ声は止まなかった。

 

 

「…もちろんよ。」

 

 

 絵里さんは笑顔で俺にそう応える。

 

 

「私たちは限られた時間で輝けるスクールアイドルだったから…

 廃校のためにアイドルを始めて…廃校をなんとか回避出来て…

 次は音ノ木の為にラブライブ!優勝を目指して優勝が出来て……それで十分よ。」

 

 

 少し切なそうな笑顔でやりきったような顔の絵里さんを見て納得した。本当に絵里さんの中ではやりきったんだなと見て取れた。

 

 

「…ここを音ノ木の制服を着て君と歩くのも最後ね。」

 

「あ…確かにそうですね…。」

 

 

 絵里さんの言葉で我に返る。絵里さんは明日から大学生でもう音ノ木坂学院には簡単に姿を見せることは無くなる。

 ヘタしたら会えなくなるのかもしれない…そう思った瞬間、なんとも言えない寂しさが襲ってきた。

 

 

 …俺の気持ちを伝えなきゃ。

 

 

「…伊達君?」

 

 

 心配そうに俺の顔を覗いてくる絵里さんなどお構いなしに俺は固まってしまう。

 急に気持ちが焦り、何度も何度も練習したセリフが頭を駆け巡る。

 

 

 

 ____伝えなきゃ!!!

 

 

 

「あ、あの…え」

 

「あの!!!綾瀬先輩!!!」

 

 

 俺のセリフをかき消すように後ろから声がしたので俺と絵里さんは後ろを振り返る。

 そこには1年生と思われる女の子が立っていた

 

「どうしたのかしら?」

 

「今日で先輩が音ノ木坂学院の学生として最後って聞いて!今までお疲れ様でした!!これ貰って下さい!」

 

 

 そう言って女の子はプレゼントらしきものを絵里さんに渡す。

 

 

「ありがとう。これからはあなた達が音ノ木坂学院を盛り上げてね。」

 

「はい!!」

 

 

 完璧とも言える先輩としての立ち回りを見せ絵里さんは感謝の言葉を女の子に掛けて女の子は学院へ消えていった…。

 

 

「…えっと…伊達君さっき何か言いかけていたと思うんだけど…?」

 

 

「はいっ!?!」

 

 

 俺は今までの出来事にあっけを取られすっかり自分のやりたいことを忘れていた。

 

 

 

「えっ!?えーっとですね…その…」

 

 

 

 告白を遮られた俺にもう一度告白をする根性などもちろん無く…。

 

 

 

「今日の打ち上げどこでやるのかなぁ!?なんて!!!」

 

 

 

 ヘタレた返答をしてしまい人生を掛けたつもりの告白は未遂に終わったのである。

 

 

 

 

 

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「大体、なんであの状況で告白出来ないのれすか!」

 

「まぁ、確かにね…流石に穂乃果たちも告白して打ち上げ会場に来ると思ってたし。」

 

「…。」

 

 

 返す言葉もない状況で俺は黙り込む。

 

 

「それからあなた達ときたら!どうなってるんですか!」

 

「なんだよ。」

 

「告白もしてないのに月に1~2回デートに行ってるってのは流石の穂乃果も引くなぁ…」

 

 

 高坂のダメだしの通り、俺と絵里さんはこの約10年どちらとも言わず月に1~2回遊びに行っている。

 

 

「しかも、告白には至ってないなんて!!」

 

「…。」

 

 

 告白のチャンスなんて腐るほどあったであろう10年間どうしようもないヘタレなのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

「そんなのだから童貞なんれすよぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 海未の言葉に少しカチンとくる。

 

 

 

「根性つけるために風俗にでも行って童貞でも卒業してくればいいんれすよぉ!」

 

「海未ちゃん流石にそれは言いすぎだから…。」

 

 

 俺が少しキレたことを察し、高坂は海未を宥めようとしている。

 

 

「…別に童貞とか関係無いだろ。」

 

 

 _____バン!!

 

 

 海未の言葉にムカついた俺はその日の飲み代を机に叩きつけ席を立ち店を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 イライラしながら店の外に出ると野獣のような眼光でキョロキョロと人を探している人物がいた。

 

 俺の想い人、絢瀬絵里だった。

 

 随分酔っているようで、若干挙動が怪しい…。

 

 

「あの、大丈夫ですかえりs…」

 

「おお!君いい感じの子じゃない!」

 

「へ?」

 

「ちょっと着いて来て!」

 

 

 どうやら俺であることに気がついてないようで声をかけた瞬間、公園に連行されてしまった。

 そして、酩酊した絵里さんの諸々を聞いてしまって吐瀉現場に遭遇し我が家でクリーニングをしているわけである。

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 

 

 

「…はぁ…。」

 

 

 彼の部屋のベッドに座り私は溜息を付く。

 念願の想い人の自宅に入ることが出来たわけだが、入った理由が

 酔っ払って絡んで吐瀉して汚れた服を洗濯してもらう為だから本気で笑えない。

 

 酔いがドンドン冷めて来て現状が嫌になってくる。

 

 

「乾燥機今かけたんでもう少しで服乾きますんで。」

 

「…ありがとう。」

 

 

 吐瀉の件など全く気にして無い様な素振りで話す彼を見て私の心のハイライトはドンドン消えていく。

 散々な自分の情けない姿を晒してしまった事実に逃げれるなら逃げたい気持ちで一杯だ。

 

 

「…よっこいしょ。」

 

 

 一仕事終えた様子で彼は私の隣に腰掛けてくる。

 

 

「…。」

 

 

 お互い無言になる。

 そりゃそうだ、長い付き合いの先輩が目の前で吐瀉して介抱してる状態でどんな言葉をかければいいか困るに決まってる。

 

 

「…絵里さん。」

 

「何?」

 

 

 彼は意を決したかのように私に話しかけてくる。

 

 

 

 

「さっきの公園で話した事って…本当ですか?」

 

 

 

 

 やっぱり来た…。

 そして終わった…絢瀬絵里の約10年の恋もここで終止符だわ。

 

 普段では考えられないあんな痴態を晒してしまったわけで確認もしたくなるわよね…ハハハ…。

 

 

「えーっと…公園のことって言うと…。」

 

 

 我ながら潔くない…惨めすぎるとぼけ方である。とぼけたら彼なら許してくれるような気がして…。

 

 

「その…み、未経験とか…想い人の為に守ってるとか…。」

 

 

 

 

 _____核心を突いてきたぁぁぁ!!!!

 

 

 

 …終わった…ホントに終わった…エリチカもうおうち帰る。

 彼から借りたTシャツと短パンだけどこの格好で山手線乗っておうち帰るチカ。

 もうどうでもいいチカ。でも、恥ずかしそうに質問してくる彼が少し可愛いと思ったチカ。

 

 

「え、その…嘘じゃないというかなんというか…ハハハ…。」

 

 

 もう、言い訳も考えられないくらい恥ずかしさと動揺で何を自分で言ってるかよくわからない。

 

 

「…もし…ですよ。」

 

「えっ?」

 

 

 彼はさっきとは違う真剣な表情になる。

 

 

「今日、絵里さんが声をかけていた人間が俺じゃなかったら同じこと言ってたんですよね?」

 

 

 これは何かの拷問ですか…?

 そんな痴女の踏み絵みたいな質問されるなんて。

 

 

「いや、その…さっきのは酔っ払った勢いで…あんな事言ったの初めてだしその…」

 

 

 エリチカよ初めてだろうがなんだろうがその言い訳は無いだろうが。何をくだらない言い訳をしているのだ。

 

 

「じゃぁ…また、酔った勢いで今日と同じことするんですか…?」

 

「えっ?」

 

 

 彼は悲しげな顔でそう言う。

 

 

「次は分からないし…その…宏樹君に見られたし…ね。こんな事してたらダメって反省して…」

 

 

 ____ガタっ!!

 

 

「…えっ?」

 

 

 

 気がついたら私はベットに押し倒されていた。

 

 

 

「今の先輩の言葉は信用出来ません。」

 

「えっと…それは重々承知なんだけど…なんで私は押し倒されているのかな…?」

 

 

 

 今までで一番彼を間近で見れた瞬間かもしれない私は今人生で5本に入るレベルで心臓が動いている。

 

 

 

 

「絵里さんがまた、酔っ払って見知らぬ男に抱いてくれと声を掛けるなら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 _____俺が絵里さんの初めてを貰います!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「…えっ??」

 

 

 

 

 えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!何この展開?!!

 

 嬉しいけど!!寧ろ嬉しいけど!!急展開過ぎよ!

 訳がわからない!真姫じゃないけど意味分かんない!?

 

 

 

 

 

「こんな形でごめんなさい…俺、絵里さんの事ずっとずっと好きでした!!」

 

 

 

 

 

 えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!

 告白された!?ということは私は伊達君と両思いだったって事!?

 嬉しくて顔がニヤけそうなんですけど!?

 

 

 

「想い人の為に初めてを残していたかもしれませんが、絵里さんが想い人でもない見知らぬ男に抱かれるなんて耐えられないから…」

 

 

 いやいや!想い人は貴方なの!!!

 

 ヤバイ…言いたいけどドキドキしすぎて何も言えない…。えーっと…何か言わなきゃ…。

 

 

「…良いよ。」

 

「…えっ?」

 

 

 

「伊達君なら私の初めて…良いよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 違ぁぁぁぁぁぁぁうぅぅ!!

 何言ってるんだのこカッコつけポンコツエセロシアは!!!!

 

 今は完全にお前も告白する流れだろうがぁぁぁぁぁ!!!

 何があげても良いよとか上から目線でほざいてるんじゃぁぁぁぁ!!!

 

 

 

 

 

「先輩…大好きです…。」

 

 

 

 

 

 色んな情報が脳内を駆け回っていたが、彼の優しい笑顔とその言葉を聞いた瞬間、私は考えることを諦めた。

 

 

 

 

 

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 朝、私は下腹部に鈍痛を感じ目覚めた。

 昨日の出来事は夢ではなかった…。若干夢であって欲しかった。しかし、現実である。

 

 何故なら横には幸せそうな顔で眠る宏樹君の姿があったから…。

 

 

 

 

 

 

 

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「というわけでして…。」

 

 

 後日、私は居酒屋で先日起きた事の一部始終を話していた。

 

「…エリチ?」

 

「は、はい?!」

 

 

 全然目が笑ってない希が私の名を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 _____というわけでして…じゃないやろぉぉぉ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後までご覧頂きありがとうございます。

いい加減絵里推しの人に怒られるんじゃないか説を立ててる今日このごろ。

次回次々回くらいで終わりにしたいよ(^q^)
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