μ’s MUSIC BOX   作:ぶりくすむ

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お久しぶりです。


中々執筆が進まなくて申し訳無いです(◜௰◝)


難産回とりあえず終了かな??













# 03 螺旋

 

 

 

 先輩は扉から飛び降りると私の正面へ立つ。

 

 

「全くこんな時間にこんなところにいたら親御さん心配するぞ~」

 

 

 先輩はニコニコと笑いながら私へ近づいてくる。

 

 

「先輩は…… ! ! 」

 

 

 私は近づいてくる先輩に少し恐怖を感じながら声を上げる。

 

 

「先輩こそいいんですか ? こんな夜遅くまでこんなところにいて。」

 

 

 虚勢を張って言えるセリフはこんなものだった。正直、怖かった。

 人のいるはずのない学園で飛び降りようと思って屋上に来たら見知った先輩がいた……。

 あの扉の上にいたということは私が来るのを知ってて待ち伏せしてたのではないかとも思えた。

 

 

「んー ? まぁ、いいんじゃない ? オレは真姫ちゃんと違って不良みたいなもんだし。」

 

 

 いつものお調子者の笑顔で先輩は私に答えてくる。

 

 

「そんなことよりさ……」

 

 

 

 

 

 

 

 _____真姫ちゃん……こっから飛び降りるの ? ?

 

 

 

 

 

 

 先輩はさっきの笑顔がウソのように真剣な顔つきで私に問いかけてきた。

 

 

 

 

 

「先輩には関係な……」

 

 

「関係なくないよ……。」

 

 

 

 先輩は私の精一杯のごまかしの返答を遮るように話してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 _____真姫ちゃんは……オレの大切な親友の恋人で……オレの大切な恋人の友達だから……関係ないわけ無いじゃん。

 

 

 

 

 

 

 そう喋る先輩は少し辛そうで、この話をさせた私の胸が少し傷んだ。

 

 

 

 

「それじゃぁ、さ……なんで飛び降りようと思ったの ? 」

 

 

 

 

 質問に答えたよと言わんばかりにまた先輩は私に質問を投げかけてくる。

 

 

 

「……す。」

 

 

 

「えっ ? 」

 

 

 小さい声の私に先輩は聞き返してくる。

 

 

 

「辛いんです ……宏樹とことりがいなくなって生きていくことが ! ! 」

 

 

 

 私はヤケになって叫びながら質問に答えた。

 この1週間感じ続けて今日この日にこの世を去ろうと決めたことを洗いざらい話してやろうと思った。

 

 

 大切な二人がいなくなった今を私は耐えることができなかった。

 

 

 どんなに長い英文も難しい数式もダンスも楽譜も一生懸命頑張れば覚えることができた。

 そんなものでもしばらく時間が空いてしまうと忘れ去ってしまう。

 

 それと同じように二人のいない悲しみを忘れようと思った……。

 

 

 

 

 けど、それはできなかった……。

 

 

 

 

 

 難しいことを覚えるよりも当たり前を忘れてしまうことは何よりも困難で

 私には無理だった。

 

 

 

 

「辛くなった……だから飛び降りるの?」

 

 

 

 先輩は優しい声でそう私に問いかける。

 

 

 

「……そうです……悪いですか ? 」

 

 

 

 私は自分の言い分が幼稚だと分かっているから先輩の顔をみることができなかった。

 

 

 

「良いか悪いかなんて分かんないけどさ……」

 

 

 先輩は淡々と話し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 _____そんなことしても宏樹とことりさんは喜ばないと思うよ。

 

 

 

 

 

 

 

 私は先輩の言葉に固まる。

 

 

 

「……先輩は……。」

 

 

「ん?」

 

 

「先輩は辛くないんですか ? 」

 

 

 

 優しく問いかけてくる先輩に私は恐る恐る質問をした。

 

 

 

 

 

「そりゃ、辛いよ」

 

 

 

 

 

 先輩はあっけらかんと笑顔で答える。

 

 

「大好きな人と親友が一緒に居なくなって辛いわけが無いよ…。」

 

 

「……。」

 

 

「でもさ、俺達も居なくなったら周りはもっと悲しむじゃん ? 」

 

 

 先輩はいつもの笑顔を全くやめない。

 

 

「皆、大なり小なり悲しくてさ……自分だけが悲しいなんてことはないからね……。」

 

 

 先輩の言葉がグサリと刺さった。

 私は『こんな悲しい気持ちでいるのは私だけだ』と思ってた節があったから……。

 

 

「だからまぁ……飛び降りるのなんてやめようよ。」

 

 

「……っ」

 

 

 さっきまで飛び降りようと思った私の気持ちは大きく揺らいだ。

 

 

「……と言うかね。」

 

 

「えっ……?」

 

 

 

 

 

 _____気が付いたら先輩は私のすぐ近くまで来ていた。

 

 

 

「飛び降りなんて絶対させないけどね。」

 

 

 先輩はまた笑顔で私にそう話す。その言葉を聞いて私は少し身構える。

 

 

「あとさ~。」

 

 

「……なんですか…… ? 」

 

 

 矢継ぎ早に話してくる先輩に私は若干嫌気が差してくる。

 

 

「なんで、オレがココにいるか気になったりしないの?」

 

 

「……。」

 

 

 確かに先輩がなんでココにいるか私は不思議で仕方なかった。

 私がフェンスの前に来た瞬間、声が聞こえ先輩は入り口の上に居た。

 待ち伏せしてたと考えるのが普通だ……。

 

 

 

 

「まぁ…」

 

 

「 ! ? ! ? ! 」

 

 

 

 

 

 気が付いたら先輩は私の目の前に居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____何故かってのはナイショだけどね ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ ! ? 」

 

 

 

 

 そう、笑顔で話すと先輩は私の腕を掴んで勢い良く入り口の方へ突き飛ばした。

 

 

 

「… ! ! … ! ! 」

 

 

 先輩は何かを叫んでいるが突き飛ばされた驚きで聞き取れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 _____ガシャン ! ! !

 

 

 

 

 

 

 

 

 尻もちをついて急いで先輩の方を見ると

 

 先輩は突き飛ばした勢いでフェンスにぶつかった……

 

 

 

 

 _____と思った……。

 

 

 

 

 が、フェンスは勢い良く倒れ……

 

 

 

 

 

 

 

 _____先輩は外へ飛び降りて行った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……嘘でしょ…… ?」

 

 

 

 

 

 信じられない光景で私は尻もちからすぐ立てなかった。

 

 

 

 

 

「先輩 ! ! 」

 

 

「真姫ちゃん ! ! 」

 

 

 立ち上がろうとした刹那、私は誰かに抑えられた。

 

 

「えっ ? ! 」

 

 

 私を抑えたのは凛と花陽だった……

 

 

「凛 ! 花陽 ! 先輩が ! ! 」

 

「先輩は大丈夫だから ! ! 」

 

 

 ここから飛び降りて大丈夫な訳がない。二人の言ってる意味がわからなかった。

 半ば興奮状態の私は二人を振りほどいてフェンスの前に行こうとした瞬間……

 

 

 

 

 _____ パンッ ! ! !

 

 

 

 

「っ ? ! ? ! 」

 

 

 

 乾いた音と共に頬に痛みが走った。一瞬何が起きたか理解ができなかった。

 

 

 

「先輩は絶対に大丈夫です……。」

 

 

 

 花陽の言葉を聞いてようやく気がついた……

 

 

 

 _____私は花陽に頬を張られたんだ……。

 

 

 

「……真姫ちゃん……本当に飛び降りようとしたの……?」

 

 

 

 

 人に暴力なんてしたことないであろう彼女は目を潤ませてそう告げる。

 

 

 

「………。」

 

 

 

 私は答えることが出来なかった。

 

 

 

「凛が……凛がバカで真姫ちゃんの悩みに気付いて上げれなかったなら……凛勉強するから ! ! 」

 

 

 私を羽交い締めにする凛は涙を流しながらそう叫んでくる。

 

 

「どれだけ支えられるか分からないけど……悩んでるなら……辛いなら……私たちに相談してよ……。」

 

 

 花陽の目から涙が溢れ出てくる……。

 

 

「いくらでも相談に乗るし、話も聞くよ……私たち友達でしょ ? 」

 

 

 花陽が話す全ての言葉が私の心に突き刺さった。

 

 

「だから……こんなバカなこと絶対にしないで ! ! 」

 

 

 そう叫んで花陽は私に抱きついてきた。

 

 

 

 

 

 

「_____………ごめんなさい。」

 

 

 

 

 

 私は自分がやろうとして事の重大さに気が付き、膝から崩れ落ちた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 _____Prrrrrrr

 

 

 

 

 

 

 

 泣きじゃくる親友二人と座り込んでいると花陽の携帯電話が鳴る。

 

 

 

 

 

「……はい。大丈夫です。ありがとうございました ! ! 」

 

 

 

 

 電話越しなのに律儀にペコペコと礼をする花陽に少しほっこりとしていると、

 

 

 

 

「はい、真姫ちゃん。」

 

 

 

 電話を渡された。

 

 

 

 

「もしもし。」

 

『もしもし、真姫ちゃん。気分はどう ? ? 』

 

 

 

 

 

 _____電話の相手は澤村先輩だった。

 

 

 

「先輩 ! ? 大丈夫だったんですか ? ! 」

 

 

 花陽たちになだめられてからすっかり忘れていたが、先輩は学院の屋上から飛び降りたわけで普通の人なら大怪我もしくは命を落としてもおかしくない。

 

 

『大丈夫だよ。そうじゃなきゃ電話できないだろ。オレは幽霊かよ』

 

 

 先輩は笑いながらさっきの出来事がなかったかのように私に返答する。

 

 

『今の気分って聞くとなんか答えづらいだろうから……』

 

 

 話題を戻そうとする先輩は私を気遣い質問を変える。

 

 

 

 

『______オレが落ちていく時どう思った ? 』

 

 

 

 

 少し心臓が波打つ。ついさっき落ちていく先輩を思い出す。

 

 

「答えやすいけど答えづらいですね……。」

 

 

 多分、笑いながら私の返答を待ってる先輩を想像してバツが悪い返答をする。

 

 

「おぉ、いつもの感じになってきたじゃん。」

 

 

「……怖くなりました。」

 

 

 数秒まで笑顔で話していた先輩が死んでしまう。

 そう、想像したした時震えが止まらなくなった。そして……

 

 

「そんなことをしようと思った自分が馬鹿だな……って」

 

 

 凛と花陽に抱きつかれて自分のしようとしたことがどれだけ重大なことに気がついた。

 

 

『……それだけ聞ければ満足だよ。』

 

 

 先輩は私の話を遮る。

 

 

 

『悲しい時にこそ ? 』

 

 

「え ? 」

 

 

 先輩が「僕らは今のなかで」のフレーズを口ずさむ。

 

 

「上を向いてみよう……。」

 

 

『悲しいし、辛いけどさ前なり上なり右なり左なり見て行こうぜ。』

 

 

「……はい。」

 

 

『俺達はどんなに遅くてもいいから前に進まなきゃ行けないんだよ。』

 

 

 

 

 

 

 

『_____宏樹やことりさんの分も。』

 

 

 

 

 

 先輩の言葉を聞いて私は涙が溢れて何も話すことが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1週間後……私は再び屋上に来ていた。勿論、飛び降りるためだけじゃない。

 

 

 屋上の扉を開けると人は居なかった。

 

 

 扉の上の方を見上げると澤村先輩がいた。先輩は1週間前と同じ場所で寝そべっていた。

 

 

「先輩。」

 

「お、真姫ちゃん。どうしたの ? 」

 

 

 ハシゴに登りながら先輩に声をかけ先輩は身体を起こして私の言葉に返事をする。

 

 

「この前の御礼を言いたくて……」

 

「別に礼を言われるようなことしてないけどなぁ……」

 

 

 頬をかきながら先輩は苦笑いする。

 

 

「私のケジメもあるんです。」

 

「……。」

 

 

 先輩は無言で『わかったよ』という顔をする。

 

 

「改めましてこの前は本当に有難うございました。」

 

「はい。」

 

「私はずっと一人で生きていると思ったんですけどそんなことなかったです。」

 

 

 

 

「_____もう少し前を向いて生きていこうと思います。」

 

 

 

「改めてよろしくお願いします。」

 

 

 私はそう伝え先輩に手を伸ばす。

 

 

「よろしく。」

 

 

 先輩は私の手を握り起き上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 _____私達のリスタートはここから始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真姫ちゃんに握手を求められた後オレはまた屋上で寝そべった。

 

 

 

 

「助けられたのは……寧ろ……オレの方だよ。」

 

 

 

 虚しくそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後までご覧いただき有難うございました。

これだけ待たせて4000文字行かないとかいう恥ずかしい内容で申し訳無いです(◜௰◝)


まだまだ、謎が多い展開ですが次回からボチボチと分かって来る予定ですので

早いうちに更新して行きますので適当なテンションで
待っていただけると有り難いです(^q^)
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