義理の兄、なんだそれは!?   作:鞍馬エル

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男はいつも考えていた。自分達を地獄に落とした者達への復讐を
それを表に出す事はない。その牙は『相手を殺す時だけ』見せれば良いのだから

希望があった
ならばその希望を守る為にもう一度、あの頃の自分に戻ろう
たとえそれでどれだけの人が死んだとしても構わない。そうして守った先に家族が守ろうと、求めた光があるのならば


ラウム君の闇が深い回です
お気に入り減りそうだし、評価も下がるかも知れない

でも、これ必要だと思うので


 幕間 悪意

 リンクス夫妻の結婚式からしばらく経った

 

私は軍に未だ在籍している。地球圏は未だ混乱の最中にある。それが建前だ

 

シャアやフロンタルらによる混乱を受け、連邦政府は『不穏分子』に対する徹底的な弾圧を選択

マン・ハンターなどと言った唾棄すべき部隊が幅を利かせるようになってしまった

 

既にロンド・ベル隊も解散に追い込まれてしまい、トライスターの連中なども全て世界中に分散配置される事となった

私もまた『第十三独立部隊司令』などという仰々しい立場になったが、何のことはない

私を縛り付ける為の檻なのだ

 

どうやら政府の者の中には、数々の戦場をくぐり抜けた実績で私が政治の舞台にあがるのではないか?

と恐れているらしい

 

実に馬鹿馬鹿しい話だ

 

 

元々政治に関心はあっても、自分が政治家などできる柄でない事は重々承知している

しかも、去年ラウム氏から話された内容や、偶に送られてくるラウム氏からの手紙などの内容を見て、出来るなどと言えるはずもない

 

…しかも、ラウム氏はあのアパートのあるコロニーから一度として離れた事はないそうだ

 

 

そして今回来た手紙に記された内容を見て、私は妻ミライにハサウェイをラウム氏のところに送る事を決めた

 

----

 

俺はクェスとの別れから地球に住む者達を粛清しようとしたシャアの考えの正しさを理解して、その思想を受け継ぐつもりで動いていた

 

 

アナハイムとの協力関係も出来たことにより、既に反連邦組織として俺達は充分すぎるほどに活動出来ると考えても良いだろう

どうやらアナハイムとしても、数年前に起きたラプラスの箱を巡る騒動で連邦と強いパイプをもっていた人物がその力を失ったらしい

 

加えてMSの大型化による際限ないコストの上昇に連邦軍も危険なものを感じたらしく、サイズダウンする様に要求が来ているそうだ

アナハイムとしてはパーツなどが多い大型機の方が利益を確保しやすいというメリットがあったんだろうとは思う

その辺の事情は正直どうでも良い

 

アナハイムがこちらに協力的だと言うことだけでそれ以上の事を求めるつもりなどないのだから

 

 

 

そんな俺の元に父親と母親から珍しく連絡があった

正直無視しても構わないと思うのだが、流石にそれで不審感を持たれてしまうのは危険だろう

 

あの『シャアの反乱』の一件で親父にとても迷惑をかけた事を今更ながらに思い出した

決定的な証拠はなかったものの、敵味方識別装置によりあの時俺が友軍機であるリ・ガズィの近くで戦闘していた事は把握されていたのだから

 

 

更に言えば、あの戦闘は色々と混乱が起きた

 

落下していたはずのアクシズを突如として包んだ緑色の光

そして何故かアクシズ落下を止めるべく指示を無視してアクシズに向かった両軍の部隊

その結果かどうかは知らないが、確実に阻止限界点を超えていたアクシズがその軌道を大きく変えて、宇宙の深淵に消えていった

 

何よりも

白い悪魔と赤い彗星両名の行方不明

 

 

これが親父にとって何よりも堪えたのは間違いないだろう

その上、息子である俺のMS無断使用による戦闘行動

 

間違っていたとは思えないが、それにより親父に迷惑をかけたのも事実なのだ

 

だから、俺は親父の話通りにサイド3のあるコロニーに向かう事にした

 

 

 

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ある日、来客がありました

 

「----っ!!」

 

「……!」

 

珍しい事に下から穏やかでない気配が漂ってきます

 

「オードリーはここにいて

俺が出てくるよ」

 

「でも」

 

バナージはそう言って、部屋を出て行こうとします

私はどうしても不安でした。出来ればついて行きたいと思うのですが

 

「まだオードリーを利用しようとする者がいるかも知れない

そんな事、俺が許さない。お義父さんを巻き込むなら俺は戦うよ」

 

「…分かりました。もしも10分経ってもあなたが戻らない時はカミーユさんやジュドーさんにも連絡します」

 

「それは大変だ」

 

私の言葉にバナージは苦笑して急いで階下に降りて行きました

 

 

滅多に声を荒げないお父様

そんなお父様が声を荒げる事態が危険なものではないと思うのです

 

 

----

 

その少し前の事である

 

 

ラウム・クラヴァスの元を1人の男が訪ねてきた

 

「ラウム・クラヴァスさんですね?

お迎えにあがりました」

 

「生憎だが、素性も目的も話さない輩ってのは大抵碌な連中でない事を私は骨身に染みて理解しているのでな

断らさせてもらおう。帰れ」

 

ラウムの棘のある言葉にも

 

「残念ですが、あなたの意思など関係ないのですよ?

まさかダイクンの意思を継ぐに足る人物がまだ残っていたとは思いませんでしたが、ね?」

 

男は口元を上げ、笑う

 

「おおかたダイクンの名前をぶち上げての反連邦運動組織からの勧誘。と言ったところか?

相変わらず懲りない事だ」

 

「貴方には分かるまい。我々スペースノイドの真の悲願である自治権獲得の為の手段は失われた!

だが、我々はそれに抗い続けねばならんのだ」

 

男は狂気すらもはらんだ声で叫ぶ

 

「…で、その為の看板がマフティー・ナビーユ・エリン(正当なる預言者の王)とやらか?」

 

ラウムの言葉に男は目を見開き

 

「何故それを貴様が知っている!?」

 

と怒鳴る

 

「生憎と此方にも欲しくもない協力者はいるんでな

しかも、その組織の本拠はオーストラリアだそうじゃないか?

まだ足りんのか?あれだけあの地の人間の血を流しておきながら」

 

そこにはいっそ嘲笑の響きすら含まれている

それをラウムは隠そうともしない

 

「そうやって届かぬ地平に手を伸ばし続けて、いつか掴めるとでも思っているのか?

一度制限されたとは言え、限定的な自治権を与えられていたのにそれすら手放さねばならない事態を自ら招いた事を忘れたか!

貴様らがしているのは届くはずのない所にある物を指差して「あれが欲しい」と駄々をこねているだけの子供とさして変わらん!!

いや、そこに軍事的オプションがある貴様らの方が余程害悪だ!

そして言ったな?悲願と

ならば言おう

その悲願を達成する為に貴様自身が何をした!?

デギンやジオンの様に連邦から睨まれる覚悟すらしてまで大衆に訴えたか?

ギレンやシャアの様に後世にまでその呪われた名前が残る事を覚悟してまで何を成した!」

 

「…ぐっ!」

 

ラウムの詰問に男は怯んだ

それはそうだろう。ラウムとてジオン独立運動の時代より様々なモノを嫌でも見てきた男だ

目を逸らしたとしても、耳を塞いだとしても

それでもなお彼の周りには悪意(呪い)が渦巻く事を決して止めない

 

「軽々しく人の理想を利用するな!

マフティーは所詮自分達にとって邪魔となる政敵の排除の為の方便に過ぎんだろうが!

その為に心に傷を負った少年すら利用しようとは、貴様らに大人としての覚悟や責任感はないのか!!」

 

「クワック・サルヴァーだと!?笑わせる

運動を煽っておきながら、自分は安全な所(闇の中)でのうのうと過ごす!それのどこに腐敗した連邦政府官僚達と違いがあるというか!!」

 

「地球に住まう者を政府が選別できる権利を持とうと言うのだ!それのどこが正しいというつもりだ!!」

 

男も負けじと言い返す

 

「元よりそうだろうが!そんな事を正したいのであれば政治家にでもなれば良い

貴様は地球育ちだろうが!!

その為に子供の憎しみと死者の思いを利用する!それが正当化されるとでも思うか!!」

 

「地球育ちだからこそ、それが危険であると分かっている!貴様のようなコロニーに生まれた者にわかるものか!」

 

ラウムは男の発言に嗤って

 

「生憎だな、俺に対する調査が足りんよ

俺は地球のオーストラリア、キャンベラ生まれさ」

 

「な、に」

 

----

 

「俺は地球のオーストラリア、キャンベラ生まれさ」

 

ハサウェイはその言葉に衝撃を受けた

実は少し前、ラウムが声を荒げ始めた時点で彼はラウムのアパートのそばにまで来ていたのだ

 

その為ラウムを勧誘しようとしている男がクワック・サルヴァーの手のものである事に衝撃を受けた

だが、ハサウェイはそこから足を動かす事が出来ない

 

マフティーとしてならば、ラウムを説得せねばならないはずなのに

 

 

地球生まれなのに、何故コロニーにいる?

そしてサルヴァーが態々この人物を必要としている理由は?

 

何もかもが分からない

…あの時から自分は強くなった筈だ

出来る事も増えた。見える景色も高くなった

 

 

なのに、どうして目指した景色(クェスの姿)は遠ざかっているのだろう?

その答えをハサウェイはまだ持っていなかった

 

 

----

 

「俺は地球のオーストラリア、キャンベラ生まれだ」

 

その言葉を聞いた俺は動揺した

確かにあの人から一度も出生の地について聞いた事はない

 

てっきりダイクンやザビ家に近しかったのだから、あの人も宇宙で生まれたと思っていたのだ

 

 

キャンベラ。旧世紀におけるオーストラリアという国家の首都であり、オーストラリア東部の第二の都市

シドニーに直撃したコロニーの残骸はオーストラリア大陸の南東部を消しとばした

 

バナージも見た。あの何もない空間を

ただ、所々にある建物がまるで墓標の様に当時のバナージには思えて寒気を覚えたものだ

 

 

「ジオン軍によるコロニー落としで壊滅的な被害を受けたオーストラリア東部地域。しかもオーストラリア有数の都市であるシドニーとキャンベラは文字通り消滅した

オセアニア地区における重要拠点が多く集まっていたこの二つの都市の消滅はこの地に多くの悲劇をもたらした

そして一年戦争が始まる中であまりにも進まない復興。それでも一歩ずつこの地は元に戻ろうとしていた

が、そこにジオンによる地球降下作戦部隊の襲来だ

…まさか、知らんとは言わさんぞ?我々と謳ったのだ

まさかスペースノイド独立運動の(きっさき)となったジオンのした事を知らぬとでもいうつもりか?」

 

「ば、バカな」

 

「むしろそれは俺が言いたいわ

さて、そんな非道を働いた軍団の指揮を任された男はな?ウォルター・カーティス大佐。君が大好きなダイクン派(反ザビ家)の人物だよ?

彼は制圧した都市や住民に対して大層温情を見せたと聞く

素晴らしいじゃないか?コロニーを落としたジオン軍の者がどの面を下げて善政などしたのか、とね

本当に吐き気がする程素晴らしい

そして、彼の指揮下にあったオーストラリア方面軍は揃いも揃って反ザビ家だったそうだ

さて、親愛なる地球市民にしてスペースノイドを同胞と言う君に質問だ。勿論答えてくれるものと私は確信しているよ?

 

その状況を連邦が座視していると思うかね?」

 

これは戦闘だ

武器を使う事のない、そして相手の気持ちを折る為の

 

「…放置は出来ないだろう」

 

「そう!放置出来るはずもない

で、当然連邦軍はオーストラリア大陸奪還の為に動く訳だ

それではもう一つ質問しよう

その時に戦場となるのは?犠牲となるのは果たして誰でしょうか?

 

お義父さんは歌う様に話す

まるで政治家の様に

活動家の様に

 

「そこに住む住民だ

連邦軍にとって、ジオンに協力的な住民など危険分子でしかない

巻き込まない様に、などと判断(配慮)するはずもないだろう」

 

「そう、その通りだ

付け加えるならば、これによりオーストラリア東部のジオンの影響下にいた市民達の憎悪は侵略者でなく本来解放する側の連邦軍に向かう訳だな。苦しい時に手を差し伸べぬ連邦と自分達を気にするジオン

おめでとう、これで一年戦争が終わった後オーストラリア東部地域に対する連邦政府の対応が一層冷淡になり、そしてジオン残党が潜伏しやすくなったというわけだ

ただつまらない良心とやらを発揮した結果、オーストラリアには消せない傷が残ったという訳だ」

 

俺は震える体を抑えるので必死だった

これが俺やオードリーが優しいと慕っていたお義父さんなのか?と

 

「さて、これで終わりではないよ?」

 

「…まだ、あると言うのか」

 

お義父さんの相手(勧誘)をしていたはずの人物に明らかな怯えの色が出ていた

 

「ジオンオーストラリア方面軍のカーティス大佐は有能でね?見事に逃げおおせたのさ、オーストラリアから

さて、ジオン軍の撤退作戦中に積極的に連邦軍へと協力する住民は殆どいませんでしたとさ

どうなるかな?」

 

「…敵性市民として、マークされる事になるだろうな」

 

「そう、今オーストラリアにおいてマン・ハンターとやらが幅をきかせている理由がまさにそれさ

オーストラリア東部住民はかつてジオン軍に協力していたのだから

ああ、同じ様に北米において当時の地球方面軍司令であるガルマ・ザビと親しかったニューヤーク市長の娘であるイセリナ・エンシェンバッハ嬢。彼女はガルマ氏が亡くなった後何をしたと思うかね?」

 

「涙を流したのではないか?」

 

「素晴らしく想像力がないな。態々質問しているのに、そんな当たり前の答えのある質問をすると思うかね」

 

「では、何だと」

 

「復讐さ

ガルマ氏を討った連邦軍、正確にはホワイトベース隊への、ね?

そしてイセリナ嬢はジオン軍と共に死んだ

さて、これで終わると思うかな?」

 

「終わらねばならんだろう」

 

「自分でも信じていない言葉と言うものは実に虚しく聞こえるものだ。皆殺しさ

 

恐ろしいまでの現実(過去)を俺達は突きつけられた

 

 

----

 

耳を疑った

皆殺し。そんな事が許されていいはずが

 

「それが連邦軍、いや連邦政府のやり方だと言うのか!?」

 

男も俺と同じ気持ちだったのだろう

 

「おいおい、テロリストどもが何を今更正論を言うのかね?

それとも何か?君達はマフティーというものが自分達だけのものとでも思っているのか?」

 

心を抉られる様な一言だった

それは、どういう意味なのか

 

「ギレン・ザビ、エギーユ・デラーズ、ジャミトフ・ハイマン、ハマーン・カーン、シャア・アズナブル、フル・フロンタル

さて、今挙げた者の中で『調べて顔が出てこないもの』がいるか?

いないだろう?

約二名ほど顔を隠している気もするが、それでも顔の造形にについて知らぬ者はそういないだろうよ

顔も性別も不明ならば『誰が名乗ったとしてもその真偽を確かめる事ができるか?』」

 

それは、つまり

 

「存在を騙るというのか」

 

「騙る?違うだろう。それこそがクワック・サルヴァーとやらの狙いだと思うがな

仮に指導者としてのマフティーが死んだとしても、雨後の筍よろしく幾らでも生えてくるだろうさ

『マフティーの意思を継ぐマフティー』なんて言われるかも知れん

…意外そうな顔をするなよ、それがお前さん達がしようとしている事なんだぞ」

 

つまり、いつまでも不穏分子は民衆の中で燻り続けると

 

「当然統治者である政府や治安維持にあたらねばならない連邦軍にとっては最悪だろう

さて、どれだけの血が流れる事になるのだろうな?

下手をすれば『宇宙世紀で最大人数を殺した』という不名誉な称号を民衆から与えられるかもな

それでも死んだ者には関係ない話だが」

 

それは、つまり

 

「もし、マフティーの身内がいたのならばその苦しみは尋常なものではないだろう

ザビ家の後継者もびっくりな事になるだろうよ」

 

何が面白いのか、笑っている

 

「さて、話を戻そうか

仮にもニューヤーク市長という要職にあった者が『娘を差し出して』までジオン軍に恭順したのだ。そんな者を生かしておけば何をするかなどわかったものではない。実際娘はジオン軍と結託して連邦軍に牙を剥いた訳だしな。そして、ジオン軍は壊滅したかも知れないが、そこに絶対はない

更に当時のニューヤークの大部分は廃墟だったそうだ

戦争屋(連邦軍総司令部)からすれば『余計な犠牲』を避ける為に纏めて焼き払った方が遥かに軍のリスクは下がる

そして統治機構である連邦政府もこう思った事だろう

一々再建する建物とそうでない建物を判別するよりも、『まとめて更地にした方が遥かに効率が良い』と

どうせ犠牲になるのはジオンに協力した市民なのだ

躊躇う理由は、ないな」

 

何でこの人はそんな恐ろしい事を平然と口にできるのだろう?

 

「そしてその理論はジオン軍が撤退した後のオーストラリア東部でも適用される事になった

所詮当時のオーストラリア方面司令はスタンリー・ホーキンス大佐(高いといってもかえのきく階級)。しかも大佐麾下の部隊がジオン軍と内通していたという話もあったそうだ

どうせすげ替えるのが確定しているのなら、それを有効(・・)に使うべき。そう考える者もいたのだろう

その結果、反連邦感情が残り続けた訳だ」

 

「そして、一年戦争が終わって3年後の宇宙世紀0083。この年に何があったか知っているかな?」

 

俺は知らない。どうやら男も知らない様で困惑している様だ

 

「勉強不足にも程があるだろうに

スペースノイドにとって忌むべき存在であるティターンズ。それが出来たきっかけなのだがな

ま、良いだろう

オーストラリアトリントン基地がこの年ジオン残党により襲撃された。この時オーストラリアに潜伏していた(・・・・・・)ジオン残党も協力したそうだ

つまり、オーストラリアにおける連邦政府の統治は失敗したと言っても良かった訳だな

時は流れてラプラス事変においても、オーストラリアに潜伏していたジオン残党が大挙して再びトリントン基地を攻撃した

そして、今回君達がオーストラリアを中心に活動するのだろう。どう見るかなど分かりきっているだろうに」

 

「最早オーストラリアの市民が許される事はない

そういう事か」

 

「俺は連邦政府の高官ではないから知らんがな

もし俺ならば、オーストラリアを死の大地に変えることすら一つの案とすることだろう

覚悟する事だ。お前らがしている事はお前達自身だけでなく、その周りも確実に不幸にする

 

その覚悟も自覚もない者に協力する気は起きんよ。そうサルヴァーとやらに伝えるのだな」

 

「…そうさせてもらおう

最後にひとつだけ聞きたい

お前は、何者だ

 

男の問いに

 

「最初に自分で言ったろう?

俺はラウム・クラヴァス。戦争の陰の中を必死に生き延びた臆病者さ」

 

「それで臆病者、か

とても信じられんが。失礼する」

 

そう言って、男はふらつきながら去って行った

 

 

「さて、いつまでコソコソこそ泥みたいな事をしているつもりだ?あまり趣味が良くないと思うのだがな?ハサウェイ・ノア君にバナージ」

 

…まだ俺はしなければならない事があるらしい

俺は観念して物陰からラウムさんの所へと向かった

 




ラウム君には二つの大きな、大き過ぎる情報獲得手段があります
ダイクン派(過激派は〇す)
そしてザビ家信奉者

本来なら相容れないこの二つをラウム君は自身の中で折り合いをつける事で活用出来るのです(ラウム自身の感情?娘達の幸せ以上に優先する事があるはずもない)
なお、ラプラス事変後はこれにオーストラリアに辛うじて存在している旧名士たち(クラヴァス関係者、一族ではない)が加わりバナージの兄であるアルベルト経由でアナハイムや規模を大きく減らしたビスト。それにリディからのマーセナス家からの情報も必要となれば入手できる様になりました


つまり、気狂いに刃物(情報という武器)が備わりました

普通にヤバい奴です
そして、彼等はシャア(キャスバル)の思想の後継者を名乗りました
ラウムはブチ切れました
道を違えたとはいえ、ラウムにとってキャスバルは幸せの中にあった数少ないあの頃の幻影であり、アルテイシアの兄なのです
つまり、身内判定されていますので『家族を守る』事に文字通り命を賭けるラウムの逆鱗に触れました

結果としてハサウェイは救われるかも知れません
希望があれば書くかも知れませんが、今のところお蔵入り予定です


では長々と失礼しました

 ミネバの幼少期のエピソード

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