そんな救いのない話
息抜きで書きました
続きません
「喜んでお受けしますよ、デギン公王」
「そうか!
ならば直ぐ儂から手続させた上でギレンの所へと送るとしよう
…何か必要なものはあるか?」
「ならば、ラウム・クラヴァスに死を賜りたく存じます」
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そんな会話のあった翌日、ラウム・クラヴァスは自宅にて何者かに襲われ死亡したとされる
彼の住んでいたアパートは全焼。幸いラウム以外の居住者は仕事などで外出していた為に犠牲者は居なかった
ラウムの自室から損壊の激しい遺体が発見されたが、その捜査はおざなりとなり『失火による火事』として処理される事となった
当時この件を担当していた者達は不思議に思ったのは
何故以前クラヴァス夫妻の事故死の調査に携わった者が態々この件にも関わったのか?
という疑問だったが、それ以上の疑問を持つ事は無かったという
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その火事からひと月後、ギレンの元にある男が配属される事になった
「ロストと申します。ギレン総帥
デギン公よりの命により総帥の補佐をせよ、と」
「…そうか。公王閣下より話は聞いている
本来ならば
明日からしっかりと働いてもらう。今日は下がれ」
「はっ、御厚情に感謝します
…それでは」
そう言ってロストは退室した
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「セシリア」
「大丈夫です。総帥
人払いは済ませておりますし、デラーズ大佐が部屋の前に控えておりますので」
「…そうか」
私はその言葉を聞くと、天を仰いだ
生きていた。死んだと思っていた義理の弟が
だが、どうやらあの男は復讐を選んだと見える
父の紹介と聞いたが、父上も後悔しているらしい
それもそうだろう。アレがこの道を選んだのは父上の差し出した手を掴んだのだからな
画面の奥底から見えた瞳には、私やサスロが
キシリアやガルマが
そして
ドズルとゼナが愛した男の優しさを悲しみの中に持った不器用な男の光はなかった
全てを滅ぼさんとする
業火の様で、冷たく冷え切った殺意のみがそこにあったのだからな
キシリアやドズル、ガルマに預けるなど考慮するまでもない
アレは私や父上ですら飲み込まんばかりの悪意に身を預けている
ならばせめて、自分の目の届く所にアレを置くしかない
「セシリア。情けないものだな
総帥などと言ったところで家族1人も救えぬのだからな」
「閣下」
「…いや、忘れろ
最早私もアレも引き返せぬのだからな」
「…はい」
私も覚悟を決めよう
私に出来るのはアレの憎悪を共に持ち、共にその炎に焼き殺されるだけなのだと
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ジオン公国、地球連邦に宣戦布告
その布告の僅か数時間後、連邦支持を表明した各サイドに対して電撃的強襲をジオン軍はかけ、各サイドに駐留していた連邦軍パトロール艦隊を殲滅
そして、コロニー『アイランド・イフィッシュ』を使用してのコロニー落としを敢行
連邦軍総司令官レビルは動員しうる全戦力をもって、コロニー落としを阻止せんとした
が、新兵器MSの投入やミノフスキー粒子による誘導兵器の無効化やレーダーへの深刻な障害などにより数の上で圧倒的に勝る連邦軍はその数の有利を活かす事なく敗退
そのジオン軍の狂気ともいえる作戦を目の当たりにした連邦政府はジオン側との和平を協議すべくジオン側に話し合いの場を持つ為の交渉を始める事となる
何せ開戦から僅かな期間でおびただしい数の命が消えたのだ
宇宙市民だけならば放置もしたが事地球にも甚大な被害を与えたコロニー落とし
それは余りにも恐ろしいものでしかなかったのだから
開戦直後にジオン軍によって破壊されたサイドは1.2.4の3つ
落下した『アイランド・イフィッシュ』はサイド2を構成するコロニーの
想像するにも恐ろしい事態が横たわっていたのである
つまりやろうと思えば、連邦軍宇宙艦隊も大打撃を受けている現状においては更なるコロニー落としすらありえないとは言い切れないのだ
…しかも
…故に連邦政府としては和平交渉をしなければならず、連邦軍に対しても
ところが、連邦軍総司令官レビルは動員しうる戦力をルナツー付近に集結させ、サイド5『ルウム』付近よりジオン本国に向かう動きを見せたのである
これには交渉にあたっていたジオンのマ大佐は
「話によれば、地球では『片手では手を握り、もう一方の片手で相手を刺す』という文化があるとか
…なるほど、実際に体験してみると中々不愉快な気持ちになるものですな」
と連邦政府の交渉担当に対して皮肉をぶつけている
なお、このサイド5『ルウム』付近での戦闘は連邦軍宇宙艦隊のおおよそ8割が投入されるという空前絶後の規模であったらしい
それに対してジオン軍側もドズル・ザビ中将の宇宙攻撃軍とキシリア・ザビ少将の突撃機動軍双方から戦力を抽出しての一大決戦となった
なお、総裁補佐のロスト・ハルムルグによる進言によりアルベルト・シャハト技術少将の元にあった『艦隊決戦用試作兵器ヨルムンガンド』やジオン軍主力MSのトライアル試験に破れ、不採用となった試作兵器ヅダを実戦に投入している
「ツィマットがそこまで言うのであれば、ツィマットの負担の元でヅダとやらを用意させ、親衛隊の部隊で運用すべきではないでしょうか?
たとえ欠陥機であったとしても、何もできぬ訳ではないでしょうし、未だに喧しいツィマットの連中を黙らせるには良い機会かと」
とロストはギレンに意見具申している
更に親衛隊艦隊と言いながらも、最前線の指揮を執るのはダグラス・ローデン大佐である。副官にはウォルター・カーティス中佐を起用
この部隊の特徴として挙げられるのが指揮官や小隊長クラスはほぼ全員が『ダイクン派』であると言う事だろう
決戦よりしばらく前、ハルムルグはローデン大佐とカーティス中佐の元に行き、彼等に見せたのだ
クラヴァス夫妻の事故の真実を
そこにはクラヴァス夫妻の友人であった弁護士やクラヴァス夫人の通院していた病院の関係者からの『ダイクン過激派』がこれに関わった確かな証拠も映っていたのである
そして、ハルムルグは言った
「素晴らしい理想ではありませんかな?
地球から宇宙市民独立運動に参加した者を自分たちの都合だけであっさりと排する
…それが貴方方の信奉するダイクンの支持者なのですが、ね?」
「…一部ではないか」
「一部!一部と今申されましたか?
その一部の宇宙市民の意思を代弁したのが、かのダイクンではありませんでしたか?
それとも貴方は部下の意見全てを尊重している。そんな事をいえるのですかな?ダグラス・ローデン大佐殿?」
ローデンの発言に嘲笑しながら反論するハルムルグ
「では、この素晴らしい情報を国民にも知ってもらいませんとな
その上でダイクン派が維持できるとよろしいのですが」
それをされた場合、ダイクン支持派の分裂を招く。それどころか、それにより危険分子として確実に対応されるだろう
「…何が望みか
私達の命か?」
「下らない。あなた方の命にどれだけの価値があると?ご自身の命の価値をあまり不当に高く評価しないで頂きたいものですな
ダイクン派の重鎮と気取っていても、所詮それすら満足にコントロール出来ないではありませんか
なぁに…その理想の為に命をかけてもらうだけですよ、閣下」
ハルムルグはそう嗤った
その結果、彼等ダイクン派は自らの存続の為に激戦区の最前線に立つ事を余儀なくされたのである
なぉ、ローデンの下に付けられていた外人部隊は全て本国に残されている
「宇宙市民の為の戦いに『巻き込まれた』程度の者がいる場所などありませんよ
彼等は連邦との和平が成った暁には早々に戻ってもらいます」
そう言って
ルウム戦役
そう後世で言われる事になる戦闘はジオン軍の勝利に終わり、連邦軍総旗艦に乗り込んでいたレビルはジオンに捕らえられた
だが
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「レビル将軍ですね?」
「…何者かね?」
「名乗るほどの者ではありませんよ?
…どうでしたかな?ジオン国内は」
「思っていた以上に疲弊していたよ
これならば
自分の脱出の手引きをしたと思われる男の質問にレビルは答えた
「それはそれは
流石は名将と謳われるレビル将軍ですな
名前を申し上げる訳には参りませんが、クラヴァスの縁者とだけ」
「っ!
そうか、それは助かったよ」
クラヴァスは豪州においてそれなりの地位を築いていた
特に当代当主は優秀であり、連邦議会にもその名を連ねている程
そして、その人物は『対ジオン強硬派』である
それ故に軍の総司令官であるレビルに対しても好意的であり、主力戦闘機『セイバーフィッシュ』の増産をオーストラリアでも行う事を約してくれた人物だった
その為、虜囚の身である自分を助けた事と合わせてレビルは男が自分の味方であると
その後、男の手引きによりレビルを救出しに潜入した連邦軍特殊部隊とも合流。しかし、特殊部隊の潜入はジオン側に察知されてしまい当初予定していた脱出方法は使えなくなっていた
既にジオン側は宇宙港の閉鎖を始めているらしく、このままでは打つ手なし
そこで男は自身の所有するスペース・ランチをレビル等に提供する事を申し出る
特殊部隊の者達は男に対して油断していなかったが、レビルは『地球市民しか分からない情報』のやり取りを男とした事により彼が味方である事の確信を深めていた
しかも、道中幾度となく追手から逃れさせた事実もある
その事をレビルに指摘されると特殊部隊の隊員達も反論が難しい。何せレビルを助けようとした彼等であったが、あのままではレビルの元に辿り着くことは困難であっただろう。仮に辿り着いたとしても此処まで来る事は困難だったのも理解できる
だが、それが目の前の男に対する不信感の理由ともなると彼等は考えていたのも事実
だが
「いたぞ!」
そんな悠長な事を許される程彼等に残された時間は少なかった
「お急ぎ下さい!
何とか時間を稼ぎますので!!」
男は決死の表情で隔壁を下ろすべく動き始めた
「諸君、行くぞ!」
レビルはランチに乗り込み連邦に戻る事を決定した
既に逃げ場もない
更に隔壁の向こうからは銃声もする
そして彼等は宇宙へと出た
そう
二度と戻ることのない闇の中へと
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「では、デラーズ大佐に連絡を」
「はっ!」
男、ロストは駆け付けてきた兵士達にそう指示をすると
『鼠は出たか?』
「ええ、
『うむ、任されよう』
そして、レビル達は帰らぬ者となった
捕虜を殺したとあっては大問題だ。しかし『自ら死地に飛び込んだ者が死んだ』とあっては、非難することは難しい
何せジオン軍は捕虜としての扱いをしていたのだから
加えてレビル救出の為の部隊を動かしていた
その事実が連邦軍によるレビル擁護とジオン批判の声を鈍らせる
何せ露見した場合、責を負うのは連邦軍なのだから
そして、南極条約は締結された
ジオン公国の独立承認と一部自治権の移譲に関税の撤廃という形をもって
ジオン公国勝利RTAみたいになった
なお、この後ロストによるダイクン派扇動の元クーデターを起こしたり、ダイクンの遺児でありながらジオン軍のエースとして活躍していたシャアに対する求心力が低下したり、紆余曲折の末にギレン、キシリア、ドズル、ガルマにシャア達がクーデターを起こしたロストを倒す為に団結する
そんな感じのシナリオ擬きを考えていたりいなかったり
なお、このルートだとザビ家みんな曇るし、ゼナも勿論曇る
シャアも曇ると誰一人幸せにならないルートだったりする
ミネバの幼少期のエピソード
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いる
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いらない
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書けるならどうぞ