義理の兄、なんだそれは!?   作:鞍馬エル

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おかしい、何故こうなったのか?

完結させたのに、闇成分が減った気がしない


ま、それも良し!
という訳で宜しければ、どうぞ


 夢の跡
 夢の中で


私は暗闇の中にいた

 

(ああ、これは夢なのね)

何となく私はそう思った

 

 

「ラウム!この前の話の続きは!?」

 

「えー、おにいさま。それよりもらー(にい)とあそびましょうよ」

 

「あのさ、一応私は1人しかいない訳でどちらかに決めてもらわないと困るんですけどね」

 

そこには幼い頃の兄と私、そしてあの人がいた

 

 

当時お兄様はあまり父と話が出来ず不満を持っていた。そこにラウムさんが現れた。彼が地球生まれだと聞いたお兄様はいろんな事をラウムさんから聞こうとしていたのだ

でも、私からすれば他の大人の人達より壁を作らないラウムさんと遊びたかったのを覚えている

 

いつもラウムさんは眉間に皺を寄せていたり、苦笑いしていたわね

 

「地球には海というものがあると言うけど」

 

「ありますね。まぁ、私はオーストラリア以外の事はそこまで知りませんけど」

 

「およげるの?らー(にい)

 

何とも自分の事ながら無邪気なものだと思ってしまう

 

 

----

 

場面は移り変わる

 

 

「キャスバル、アルテイシア

ラウム君だが暫くの間来れなくなった

『すまない』と言っていたよ」

 

「何故です、父上!

ラウムはまた地球の事を教えてくれると約束したんです」

 

「おとうさま、ラー(にい)わたしたちのこと、きらいになったの?わたしがわるいこだから?」

 

「…違う。違うんだキャスバル、アルテイシア

私が、私達がもっとしっかりしていれば」

 

お父様はそう言ってお兄様と私を抱き締めました

 

…今思えばこの時ラウムさんは恐らくダイクン派の一部に襲われたのでしょう

それまではラウムさんは1人やおじさまやおばさまと一緒に来ていましたが、それ以降は必ず誰かが付き添っていました

おじさまやおばさまではない人が

 

そしてお父様が亡くなるとお兄様もこの屋敷を訪れる事は無くなりました

 

「クラヴァス夫妻は我等を裏切ったのだ」

 

「あの小僧の事はお忘れ下さい」

 

 

そう言われるたびにお兄様はそう言ってくる大人達を忌々しそうに睨みました

当時の私はなにがなんだかわからなかった

 

----

 

私は一年戦争後、軍を離れて医学生としての道を歩む事にしました

一年戦争で多くの命を奪った私にとってそれは贖罪だったのだと思います

 

そしてとある縁でリィナさんを保護する事が出来たのです

 

「リィナ!」

 

「お兄ちゃん!」

 

涙を流しながら再会を喜ぶ2人

本来私も喜ぶ場面なのだろうが、私は素直に喜べなかった

…どうしてもあの兄の姿が思い起こされるからだ

 

 

そして兄の姿を思い出すと、その影にラウムさんの姿がいつもあった

勿論、私はラウムさんにあれ以降会ったことはない

その為、私の想像の中のラウムさんだったが

 

一年戦争後私は私なりにラウムさんの行方を探そうと手を尽くしていました。とはいえ、私はダイクンの娘です

サイド3に行けばラウムさんの情報もあるのでしょうがそれは難しい事でした

いつダイクンの思想に取り憑かれた者達と出会ってしまうのか分からなかった。若しくはザビ家の信奉者も私にとって危険なものでした

 

 

ラウムさんを求めるならば真っ先に向かわねばならない筈のそこに私は向かう事を拒んでいたのです(・・・・・・・・)

理由は簡単

 

再会したあの人にどんな顔をして会えば良いのか?

私には分からなかったから

 

 

----

 

そして、ラウムさんに再会した私は彼の周りの事を手伝う事にした

…幸いと言って良いのか、複雑な気持ちになるけど一年戦争時に『ほぼ強制的に徴兵した』と言う事実は連邦軍にとっては然程に気にならないものだったみたい

けど、その連邦軍の名目上上の組織となる連邦政府にとっては余りにも危険な情報だったらしいわ

 

その為、終戦後ホワイトベースのクルー達には破格ともいえる慰労金(・・・)が支払われる事となった

…ハヤトなどはそれを元手に反ティターンズ組織『カラバ』に協力したのだから、皮肉としか言えないとは思うのだけど

 

私にもそれは適応される事となり、兄さんから貰った資金と合わせると数年くらいは仕事をしなくても良い程度の蓄えになっていた

 

 

ラウムさんの家族を殺して手に入れた資金でラウムさんの身の回りのお世話をする

 

…当時私はその事実に何度も吐いた

 

 

あの人はそれにより人生を狂わせた

もしかしたら、別の未来があったのかも知れないのに

 

 

そしてそうして弱った私を不憫に思ったのか、ラウムさんは言葉少なく私を気遣った

 

本当に嫌な女だと側から見ても思う

…そして、兄さんの演説やミネバ・ザビの祈りを私はラウムさんに伝えようとしなかった

 

 

これ以上ラウムさんを傷つけたくなかった?

違う

私だけをラウムさんに見て欲しかったから

 

 

----

 

 

「…最悪の目覚めね」

 

自分の過去を追想し、その浅ましさを嫌というほど目の当たりにした私の目覚めの気分は控えめに言っても最悪だった

 

 

もう、ラウムさんはいない

あの人と居た日々は二度と戻らないのだ

 

亡くなる前日、私はラウムさんと過ごしていた時にこう言われた

 

「なぁ、アルテイシア

お前さんもそろそろ過去に縛られるのをやめないか?」

 

私は一瞬何を言われたのか分からなかった

 

「確かにお前さんみたいな別嬪さんに良くしてもらったのは嬉しいし、幼い頃のアルテイシアを知っている俺としてもお前が生きている事を知れたのは嬉しいとも思う

けど、いつまでもそれじゃお前は幸せになれんと思うのよ」

 

「ラウムさん」

 

私はラウムさんの言葉を遮った

多分私にも自由に生きて欲しい。そういう事なのだと思う

でも

 

「私は

アルテイシア・ソム・ダイクンは

セイラ・マスは

貴方を、ラウム・クラヴァスを愛しているの

例え貴方と、死に、別れたと、しても」

 

嫌だ。どうして?

何で貴方までいなくなるの?

そう叫びたかった。

 

「私の為に生きて欲しい」

そう彼に縋りたかった。彼が生きてくれるなら喜んで彼の負担(生きる重石)になる

 

そう、言いたかった

 

 

でも、その時の貴方の瞳は確かに私や兄さんが好きだった頃の瞳だったの

いつも憂いを含んでいた。諦めの感情を押し隠した

その奥で必死に怒りや憎悪の感情を封じ込めていた

そんな瞳ではなかったの

 

どうして、こんな時にその瞳で私を見つめるの?

そんな瞳で私を見つめられたら、私は貴方の意思を否定できない事くらい分かっているはずなのに

 

 

だから、私はあの頃みたいに彼に泣きついて彼の枯れ木みたいになった腕の中で泣いた

 

これが最期の別れになる

そう確信してしまったのだから

 

 

----

 

ラウムさんが亡くなってからも私は此処にいる

ブライトやハサウェイが彼の訃報に飛んできた

 

何でもブライトは軍を辞める決断をして、ハサウェイも反連邦運動から抜ける事にしたらしい

その為、此方に引っ越す準備をしていた矢先の出来事だったそうだ

 

「…そうか。ラウムさんには私の料理を食べて欲しかったよ」

こちらで小さなレストランを開く事にしていたブライトはラウムさんのお墓に手を合わせた後、悲しそうに私に語った

意外な事にブライトは調理師免許を取得していたらしく、ミライと一緒にレストランをするのが夢だったらしいわ

 

ハサウェイは

 

「そうなんですか。僕はもっとあの人に色々学びたかった」

とやはり悲しそうにしていた

 

…聞いた話だと、ハサウェイのスポンサーだったクワック・サルヴァーとやらは何者かに襲われ、死んだらしい

そのせいで反連邦組織としてのマフティーは混乱中らしく、その統制すら維持できないらしい

 

あとバナージから聞いた話だけど、ハサウェイ達に送られる予定だった新型ガンダムについてバナージの兄でありアナハイムの重役となったアルベルトさんがその開発責任者達について調べ上げているそうだ

 

何でも

 

「連邦高官の眼前で大型MS同士の戦闘を見せる事で、現在推進しているMSの小型化について再考させるつもりだった」

との事

 

…相変わらず、死の商人をしているみたいだけどそろそろ連邦軍はともかく連邦政府はアナハイムに見切りをつけるかも知れないわね

 

 

ハサウェイはブライトや家族達と此方に来て、色々と考えたいらしい

 

 

 

----

 

「おはようオードリー、バナージ」

 

「おはようございます。セイラさん」

 

「おはようございます」

 

私とオードリーの仲はラウムさんの死をきっかけに恐らく良くも悪くもならない所に落ち着いた

同居人、と言ったところかしら?

挨拶もするし話もする

 

けど、恐らく私と彼女が自分の内心を話す事はないのだろう

 

私にとって、彼女はあの人を縛りつけた女

彼女にとって、私はあの人の人生を狂わせた女

 

それだけね

 

 

ラウムさんが生きていたら

 

…いえ、そんな仮定は虚しくなるだけ

 

 

あの人はいない

あの人も兄さんと同じく、ソラの彼方へと行ってしまったのだから

 

あの人の後を追う事も考えた

今でも頭の隅にその考えはある

でも、そんな事をしてあの人に会ったとしても

 

 

あの人は私に笑いかけてくれないだろうから

私は生きる。あの人の様に絶望を抱えながら

 

 

 




実は何一つ救われる事のなかったセイラさん

好きだった人に先立たれ、その想いは一生叶う事はない
その娘と和解するチャンスは彼が生きていたからこそあっただけであり、その彼が死んだ事でその機会は永遠に失われました

オードリーが困っていたらセイラは助けるでしょう
(愛した人)の娘だから

セイラが困っていてもオードリーもまた助けるでしょう
お父様の恩人(・・・・・・)だから

でも、彼女達の人生においてお互い許し合う事はないのです

…あれ?これ無茶苦茶アムロとブライトも曇る事にならないか?
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