一応プルトゥエルブ救済(?)
的なIFルートです
…ところで全く関係ないけど、IFルートってイフリートに凄く似てて、何か良い
宇宙世紀0089ネオ・ジオンを称したアクシズによる連邦政府打倒は内乱による連邦軍勝利という宇宙市民にとっては、最悪の結果で幕を閉じて暫くのち
誰しもが苦しい生活を強いられ、一年戦争後再建されたコロニー群はその予算の少なさと、連邦政府からの冷淡な扱いもあってその殆どが『住めるだけマシ』程度のものとなっていた
故に彼等は探した
最初に候補となったのはアクシズの残党だった。とはいえ、連邦軍勝利に結果として貢献したグレミー軍のそれではない
連邦軍や連邦政府相手にも優位に立ち回ったアクシズ正規軍の残党であった
この時偶然見つかった強化人間の少女はある思惑から、とあるコロニーへと秘密裏に運び込まれ、一通りの治療を施した後
その人物はジオン共和国成立の貢献者である
名をラウム・クラヴァスと言った
強化人間
一年戦争において、ジオン軍のフラナガン博士らによって発見されたとされる人類の新しい形であるニュータイプ
そのニュータイプの持つ能力。つまり高い空間把握能力や感受性、サイコミュと呼ばれる脳波を利用した遠隔兵器などへの適性を
連邦軍のムラサメ研究所では一年戦争におけるコロニー落としなどによる
…正に人命に対する冒涜である
しかも強化人間とは精神操作や投薬による体調管理などが必要であり、一般的に強化人間が長生きする事は考えられない
それもそうだろう。『強化人間とは使い捨ての駒』なのだから
そして先のネオ・ジオンにおけるハマーンは反旗を翻したグレミー軍は元グレミー軍のニュータイプの少女『エルピー・プル』の遺伝子情報を元として『プルシリーズ』と呼ばれた強化人間部隊を密かに保持していた
グレミー軍の主力となった強化人間の少女『プルツー』は精神的な安定性に多少問題を抱えていたが、サイコミュ兵器の運用において支障はなく戦力としての価値も高かった
その為に単独の戦闘能力の高いハマーン。部隊指揮能力に高い教導能力と一年戦争以来の豊富な経験を持つハマーン軍最大の敵であるシーマ・ガラハウ大佐を始めとした者達に対するには余りにもグレミーの持つ戦力は頼りなかった
ラカン・ダカランやオウギュスト・ギダンらを味方に引き入れる事にこそ成功したものの、彼等自身の能力はともかくラカン配下のスペース・ウルフ隊はその構成する機体が最新鋭のドーベンウルフであったからこその戦闘力である。パイロットとしての純粋な技量という意味においてはシーマの麾下である海兵隊に遠く及ばないだろう
と言うのが他ならぬ指揮官であるラカンの評価だった
それはオウギュストが率いるドライセン隊も同じであり、仮にハマーンの軍勢に挑むとしても、明らかに戦力が足りないのは自明であったのだ
そこでグレミーはプルツーに続くプルシリーズの
あまり規模を大きくし過ぎるとアクシズにおけるハマーン派に勘付かれるとの懸念からグレミーとしては残念なことに僅か10体のプルシリーズが生産されるに留まった
ラウムの元に送られたのはその中で最終ロットとなる『プルトゥエルブ』と呼ばれていた個体
彼女はシーマ海兵隊との戦闘に恐怖した
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『なんで、何で落ちないの!?』
『この人達、怖いっ!』
『みんな落ち着いてっ!!』
量産型とはいえ、アクシズの象徴である高級機キュベレイが元であった
にも関わらず、相手は何の躊躇いもなく
例え手足がもがれたとしても、スラスターが意識が欠片でも残っている限り命を賭して向かってくるのだ
それは彼等にとっては当たり前の事であったが、戦闘に出る事自体が初めてである彼女達プルシリーズの少女達にとっては恐ろしいものと映った
まして彼女達もニュータイプとしてのソレをもっている
嫌でも彼等の死ぬ間際の意識が流れ込んでくるのだ
確かに彼女達は精神操作などを受けているが、それを容易に吹き飛ばす程のそこには狂気があったのだ
彼等が死の間際に思うのは
『すいません、シーマ様しくじりました』
『先に行って待ってますよ』
『へっ、まさかこんなに長生き出来るなんてな』
と言った負の感情とはまるでかけ離れたものばかり
彼女達を
死という絶対的な終わり
それに向かうのに感じるのは何処か暖かな感情の奔流
その矛盾はまだ無垢な彼女達の精神に恐ろしいまでの負荷をかけたのである
死を恐れない
私達を殺す事を躊躇わない
死は怖いもの
なのにこの人達は何も恐れない
その短期間に与えられた矛盾した
怖い、逃げたいと
勿論
宇宙を漂流する事になった
それを見つけたと報告を受けた人物は思った
なるほど
彼女達のオリジナルであるエルピー・プルやそのクローンであるプルツーの髪はオレンジ
そして、あの人物の髪の色もまたオレンジ
あの人物が果たしてこの娘をどう扱うか?
その人物は口元を邪悪に歪ませた
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ラウムは先のグリプス戦役におけるダカールの演説を見てしまった
そこに映るのは確かに自分がかつて面倒を見ていた少年の面影を持つ男
それを理解してしまったラウムは全身から力が抜けてしまった
あの少年が戦争に身を投じていた
それは妹ゼナやその夫ドズルらを失った痛みを抱え続けていたラウムにとって、更なる絶望を与える者でしかなかったのである
しかも、グリプス戦役に途中から参戦してきたアクシズの象徴の名は『ミネバ』
それは自分が良かれと思って妹とドズルの娘に付けたもの
そして彼女は『ミネバ・ザビ』
最早確定だった
あの優しい妹と義弟の娘が戦争の道具になってしまった
そして周囲から聞こえる
それでも何とか生きねばならなかった。
アクシズが敗北してミネバの生死が不明となった時ラウムを襲ったのは絶望ではなかった
虚無感だった
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そんなラウムの前に妹の幼い頃によく似た髪色をした少女が倒れていた
ラウムは必死に少女に呼びかける
『死ぬな、死ぬんじゃない!
…俺を
……置いていかないでくれ』
と
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それを物陰から見ていた人物はラウムが少女をアパートに運び入れるのを見届けるとその場を後にした
(さて、どうなるやら)
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この時期のラウムにとって『失う』という事は何よりも恐ろしい事だった
その為、ラウムは自身の持ち得る全ての知識と経験などを総動員して、少女を助ける事に注力した
訪問者が居たが、ラウムはそれに構う余裕など全くなかったのだ
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…両親を失って、家も失って暫く経ったある日の事
ラウムは会社からの連絡を受けて、すぐ自宅に戻った
本来なら、現場仕事は余程のことが無ければ離れる訳にいかないもの。それを知っていてもラウムは躊躇わなかったし、同僚達もラウムを送り出した
そう聞いた時、ラウムは何もかもがどうでも良くなった
仮に自分の命を差し出す事で妹が助かるのであれば、ラウムは迷う事なく己の命を差し出すだろう
幸い疲労が溜まっていた事によるものだったそうだった
だが、これ以後ラウムは妹には学校生活を楽しんでもらう事
「兄さんは少し過保護よ?
私だって出来るのだから」
そう幾らゼナが言おうとも、ラウムは一切取り合わない
家事を教える事になったのは、ドズルと付き合っていた事を知ってから
それまでありとあらゆる事をゼナからラウムは取り上げていたのである
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その頃のゼナに重なる部分のある少女
ラウムが放っておく事など出来やしなかったといえる
そして
「…ん」
少女は目を覚ました
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これは強化人間を運用する際にも頻繁に用いられる手法であり、一種の暗示ともいえる
少女は治療を受けていた時にその処置をされていたのだ
目が覚めた時に見た人物に好意を抱け
その様な内容だ
彼等は知らないが、元々少女は戦闘にて恐怖の余り錯乱状態にあった。その為少女は無意識のうちに『誰かに助けを求めていた』
それにインプリンティングによる効果が上乗せされる事により
「マス、ター?」
少女はラウムをそう認識するのもおかしな話ではなかったのかもしれない
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「マス、ター?」
そういきなり昔の妹の面影を少女に見ていたラウムが言われた時感じたのは戸惑いと僅かな安堵
そして
今度こそ、守る
という純粋で歪んだ想いだった
ラウムは生まれてくるはずだった妹の名前である『ソフィ』と少女に名前をつけ、新たな家族としてソフィを迎え入れた
ソフィと名前をもらった少女は此処に自分を傷つける人がいない事を確認すると、目の前の人物に言い知れぬ安心感と言葉に出来ないような感情を持つ様になる
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ソフィは文字通り右も左も分からない子だった
だが、そういうのにラウムは慣れていた事もあってそこまで気にする事はなかった
ただ気になるのが、時々ラウムの家に送られてくる薬だった
封筒には一言
その子のことを考えるなら使え
とだけ書いてあった
ラウムとしては送り主不明のそんなものに頼りたくはなかったが、何せラウム自身が病院に対して
ソフィが苦しんでいた時、藁にもすがる想いでその薬を飲ませてしまった
それこそがソフィを苦しめている原因の一つと知る事なく
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命を救われたソフィはラウムに更なる親愛の情を抱き、ラウムは昔のゼナを思わせるソフィに執着する事になる
それは2人だけの儚く脆い幻想の檻
誰かが作り上げた虚構しかない虚な世界
そんな中でラウムとソフィはお互いだけを見つめて生きていく
他には何も必要でない
そう言わんばかりに
「
「どうした?ソフィ」
…本来なら、2人を見ていた者達からすれば想定外な事が起きていた
ソフィは投薬だけで維持出来るはずもない
そう彼等は思っていたし、事実そうであった
だが、いかなる運命の悪戯かソフィと呼ばれる様になった少女は緩やかに、だが確実に彼等の鎖から外れつつあったのである
…もっとも、外れた先にもラウムという鎖があったのだがソフィは迷う事なく、この鎖に囚われる事を自ら望んだ。いや身を預けたと言っても良いだろう
(私を助けてくれた。心細い時にはいつもそばにいてくれた
強くて、優しくて
でもとても弱くて臆病な人
私はどこまでも貴方と一緒にいる。その為なら)
ラウムに助けられた当時は戦場の記憶も混乱していたせいか忘れていた。しかし、彼との平穏な生活は彼女に強烈な違和感をもたらす事となり、それが
記憶が戻った彼女は自分が彼の元に居ると、余計なものを招き寄せかねないと思い、後ろ髪を引かれる思いでラウムに別れを告げようとした
だが、彼女の中にある彼女のものではない記憶
つまりオリジナルであるエルピー・プルという少女のソレが叫ぶのだ
『どうして、せっかく手に入れた
彼女は悩みに悩んだ
ラウムに危険な目にあって欲しくない
でも離れたくない
死ぬかも知れない
でも一緒にいたい
それは強化人間として生を受けた少女が初めて抱いた願いだった
精神は時にして肉体にも作用する
そして、
医食同源という言葉が地球のある地方にはあるという
これは大陸に古来からあった薬食同源
つまり、薬も普段からの食事も元は同じであり、体調に合わせて摂る事で薬に頼る事なく健康を維持出来る
との考えから来ている
同地域にある薬膳はこの思想により生まれたともされている
それを元とした考え方が医食同源だ
殆ど意味は変わらないが、薬という言葉よりも医術や医療と言った言葉の方が受け入れやすいのでは?との事から生まれた造語である
かの地域には『言葉の響き』に重きを置く風潮があるらしく、そういった例に事欠かない
実はラウムもこの考え方に基づいて妹への食事を考えていた部分もあった
そして、身体的には成長期である10歳の身体であった彼女にそれは良い方に作用していった
精神に身体が引っ張られた部分もあるのだろうが、ラウムと過ごすようになって僅か一年足らずでソフィは薬を必要とする事が殆どなくなったのである
そして、身長も少しずつ伸び外見も女性らしく成長していった
ラウムはそんなソフィの事を眩しそうに見つめながら、彼女の為に服を手直ししている
元より、ラウム・クラヴァスという人間は出来る限りその存在を秘匿すべきと彼自身も考えていた為に一年戦争までの間に傷みそうにないものは可能な限り備蓄していた
その一つが布の生地である
何気に妹ゼナの服の殆どを手繕いしていた経験のあるラウム
ソフィの為の服を用意する事に躊躇いはなかった
ソフィもソフィで
「兄に隠すことなんてない」
と言わんばかりに自身の採寸をあっさりラウムに委ねている
暫くはラウムのお下がりや、ゼナのお下がりを使わせていたがやはり合わなくなった事と『お古ばっかりだとソフィも可哀想だよな?』という兄心によりソフィの服を次々と製作し始めた
彼のソレを知った義兄は
「なるほどな
ならば私なりに出来る事をしておくか」
とラウムに裁縫関係の本などを贈っている
ここで下手に流行などのファッション雑誌を贈るのではなく、『長い事使える』技術関係などの本を贈るあたりが本当にこの人物らしかった
「…実用性重視なのは分かるのですが、なんかもっとこう
ありませんか?」
「しかし、総帥も楽しそうにされておられるご様子
我等としてはそれで満足するべきではないか?」
「分かりますけどね、大佐
でも義理とはいえ家族なんですから
あ、美味しい」
「家族の在り方なぞ家族の数だけあると私は思うのだがな
…ふむ、素朴ながらに良い味だ。なるほど総帥もお好きになる筈だ」
と某秘書と某親衛隊隊長はそんな上司を見つめていた
…その手に総帥から分けてもらったラウム手製の野菜炒めを持った状態で
何気に温め直してもある程度食感を損なう事の無いようにきくらげ(のようなもの)まで入れていたので2人も思わずニッコリ、であった
そんな元公国総帥による的確なサポートもあってか、ラウムの裁縫能力は中々なものとなっていたりする
「…ソフィ。別に座るなとは言わんが
あまり動くな。手元が狂う」
「それは少し困る。兄の大事な手が穴だらけになったとあっては私も悲しくなるからな」
胡座をかいているラウムの足の上に座ったままソフィはしれっとそう言った
勿論、ラウムの作業の邪魔にならない様に手元が見える配慮を欠かすことは無い
ソフィは出来る妹なのだから(本人談)
がラウムはため息をついて
「の割にはこの前俺が指に針を刺した時お前何をしたっけ?」
「あれが一番早かった。だからしただけだ」
まるで
「や、だからと言って『他人の指を口に含む』のはどうよ?」
「他人ではない。『兄の指を口に含んだ』だけだ
何の問題もないだろう」
「問題しかないと思う件について」
「此処には私と兄しかいないんだ。何を気にする必要がある?」
「恥じらいを持て。恥じらいを
…はぁ」
打てば響く、と言うべきか
ああ言えばこう言う、と言うべきか
とにかく軽快なやり取りをするソフィとラウム
ラウムの最近の悩みとして
ソフィのスキンシップが激しいのだ
確かに出会った当初は心細かったらしく、独りでいる事に怯えていた様に思えた
だから、出来るだけソフィのそばにいる様にしていたのも事実
長い事勤めてきた建設会社も戦後の混乱により倒産する事となり、少ないながらも退職金も出ている
元々よく分からない蓄えもある。これまで働いて貯蓄したお金もある
このアパートはラウムに所有権が移っているので家賃は不要
そこまで無駄遣いをしなければソフィと2人で生きていくだけの蓄えにはなるだろう
だからこそ、ソフィのそばに出来る限りいる事にした
が、ソフィが此処の生活に慣れてきたとラウムは彼女の態度から判断。少しずつ距離感を正そうとした
当たり前である過度のブラコンやシスコンは後々問題しか生み出さないのだから
それをソフィも理解している
ラウムはそう思っていた。何せ聡いソフィだ。その位出来る
とラウムが考えても不思議ではなかった
だからこそ、それを理解していながら過度のスキンシップをしてくる
が、実はこれにはソフィことプルトゥエルブや他のプルシリーズが生み出された理由にも繋がる深い理由があった
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本来強化人間とは『ニュータイプの代用品』である
が、一部の者達の中にこう考える者がいたのだ
『強化人間と普通の人間の遺伝子を掛け合わせればニュータイプを人為的に生み出せないだろうか?』
誠に悍ましく、人道にも全力で喧嘩を売るが如き考えだ
しかし、そう考える者がいたのは間違いない
そして
そうプルトゥエルブをラウムに引き合わせた者達は本気で考えていたのだ
それ故に
目が覚めた時に
仮にソフィにラウムが依存すれば強化人間としての
もし、仮に自分達の鎖から逃れたとしても深層意識にある『ラウムへの愛情』は
どちらでも良いのだ
この
そして、亡き妹と死んだと思っている
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どれだけラウムが奮闘しようとも、子をなすとなれば病院の力なくしてどうにも出来ないだろう
そうすれば、偽りの温かな生活は終わる
間違いなく、ラウムと少女は引き離される事になるだろう
父親から
幾ら母親が父親を庇おうとも
「これだけ想っている母親を捨てた酷い父親」
とそれとなく囁いてやれば良い
彼等の調べでは『家庭事情に問題のあるニュータイプ』は戦場にでその才能を開花させやすい
という仮説がある
仮説があるならば、それを
その子供の知らない間に
そうすれば行き場のない激情は必ず父を苦しめた連邦へと向かうだろう。そうさせるだけだ
そして漸く我々の悲願が成就するのだから
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そんな悪意に気付く事なく
「こら、ソフィ!
俺が入っているのに入ってこようとするな!」
「私は一向に構わないっ!」
ガチャガチャ
「俺が構うわ!
何なの、最近のお前は!?」
「この前読んだ本を参考にしてみようと思っただけだ!
さぁ兄、この扉を開けるんだ!」
「なぜそれで開けると思うのかよ!
やに決まってるだろ!?」
「それはフリだな!?」
「んな訳あるかぁ!!」
ラウムとソフィの戦いは続く
という訳で本編最後の方には割と空気だった彼等が全力でうごいていたら?
というルートです
ただ、彼等の望む未来の為には最大の難関がありましてね?
私がそういう描写を好まないという事です!!(そういう問題ではない)
ついでに投稿の場所を変えたくもありません!(大事な事)
なので彼等はいつまで経っても『時代の敗北者』なんですよぉ!(超煽り)
なお作中のソフィの兄は全部にいと読みましょう
こういった短編、要ります?
-
いる
-
いらね
-
書けるなら書いて、ほら役目でしょ?