あの誕生日の事でそれを理解してしまった彼女はやはりと言うべきか頼るべき人に頼る事になる
「お父様っ!私に、私に料理を教えてくださいっ!」
お、おう?
朝早くにオードリーが訪ねてきたと思ったら、そんな事を言い出したので少し戸惑った
強いて言えば
ウチの娘が料理を学びたいと言ってきた件について
とでもいうべきなのだろうか?
俺はそんな取り止めのない考えをしながら、話を聞く事にした
----
あー、つまりなんだ?
男手一つでゼナを育ててきた俺だけど、そこまで料理や家事が出来ると思われてなかった、と?
アルテイシアが色々世話をしたと思っていた?
…ちょっとおじちゃん泣きそうですわ
確かにそう言うキャラではない事は重々承知はしているけどね
でもまさか娘にすらそう思われていたのは少し
いやだいぶショックですわ
バナージはその辺本当に素直だからなぁ
「正直お義父さんがこんなに料理をされるとはおもってもみなかったです」
とか言うのに
「…でも、俺。こういう風に父さんと一緒に何をするって、実は少し憧れてたんです
まさかこの歳になって、それが叶うとは思わなかったですけど
父さん、ありがとうございます」
と本当に嬉しそうに言うのだから、父親冥利に尽きますわホント
…カーディアスさんには悪いとは思うけど
どうにもバナージは俺を『お義父さん』ではなく、『父さん』と呼びたいみたいな節がある
…あれなのだろうか?
アムロにせよ、カミーユ先生やジュドーにせよ
ガンダムのパイロットってのは家庭に問題を抱えてないとしちゃならん決まりでもあるのだろうか?と勘繰りたくなる
違うか
そっちの方がまだ納得できる、か
したくもないが
ダイクンのおじさん
どうやらまだまだ人間ってのは貴方が目指そうとした新しいステージに立つまでには至っていないみたいです
多感な年頃を『敵を倒す』という事に費やす少年達、か
なんというか、本当に俺達大人の情けなさが際立ってくると思えてしまう話だと思う
好きこそものの上手たれ
とか言うらしいけど、バナージはかなり高い向上心によりそれこそ目を見張る速度で上達している
元々素直である事から、よく料理下手が陥りやすい『
正直なところとして、言いたいのが
料理に慣れていないから、
という事だった
いやホント理解出来ん。相手に美味しいものを食べて欲しいというのに、味見一つもしない神経が俺には全く理解出来んし、したくもない
それはさておき、先ずは暴走している
どうにもゼナに似ているところがあるオードリーだ
だいたいこういう時は
----
私は勢い込んでお父様の所に行きました
そしてそのままに頼み込んだのですが
「…よし、落ち着いたな?」
はい、それは勿論ですお父様
…ですが、何故私はお父様に抱きしめられているのでしょうか?
いえ、嬉しいのは嬉しいのですが
しかもお父様の優しい声が耳元からするわけです
…控え目に言って最高だと思います
…はっ!
今素晴らしい事を思いつきました
バナージとお父様の囁き音声を両側から流したなら、それは間違いなく最高の時間を堪能できるのでは!?
仮にこの場にシーマとハマーンがいたら、こういうだろう
「…いや、なんだ
随分と染まっちまったなぁ、ミネバ様は」
「…ミネバ様。流石に世俗に染まりすぎでは?」
----
少し私が落ち着いたのをお父様も見てとったのか、改めて私から話を聞きたいとの事でした
私は全て話しました
この前の誕生日は本当に嬉しかった事。バナージとお父様の料理は素敵な思い出をくれた事
でも、それによりお父様はおろか、バナージにも料理では勝てないのではないか?と不安になった事などです
バナージから学ぶ。という手もあると思います
その場合、私がその
学ぶ前にバナージと
その
イ、イチャイチャしたいと思う気持ちを、抑えられるのかどうか、怪しいと思うので
何とも情けない話だとは思うのですが
それも包み隠さず言ったのですが、お父様
その
「あー、もしかして孫の顔見れたりする?しちゃうの?」
みたいな顔をするのはやめて貰えませんでしょうか?
流石に恥ずかしいので
----
どうやらオードリーもしっかり青春を謳歌しているみたいで、おじちゃんは嬉しいですよ、ホント
一応オードリー達のいる二階やジュドー達の住む三階については昔勤めていた建設会社に依頼して、内装工事を行なってもらったから、壁はかなり厚くなってる
まさかこうなるとは思わなかったけど
----
「オードリーもお義父さんに料理を習う事にしたんだな」
「ええ。これから宜しく、バナージ」
…何故こうなったのでしょう
私は内心顔から火が出る程恥ずかしくなっていました
いえ、理屈は分かるのです
私とバナージは夫婦であり、その仲も良好。お父様も体調はあまり思わしくない上、出来る限り私やバナージに色々教えたいのでしょう
となれば私とバナージを同時に教えるというのは間違いなく正しい方法なのでしょう
私の感情を考えなければ
ですが
シーマ姉様はお母様から聞いた事があると言ってました
「私の兄は決して人の感情に無頓着な訳ではないのです
ただ良かれと思ってしているだけなのです
…だから、本当に
と
今私はそのお母様の言葉の意味を理解しました
お父様は自分の
『
そして楽しい記憶となる様に』
と
だからこそ、夫と共に私を教えようとしているのでしょう
本当に
本当にお父様は優しいと思います
----
なお、真実は普通にラウムが
「困った、流石に別々で教えるとなると色々(自分が)大変(特にアルテイシア関係)だ
…仕方ない。オードリーもバナージと一緒に鍛えるか
バナージにもオードリーにも悪い気もしなくはないが、まぁ良いだろう」
との判断からである
何を見てヨシと言ったんですか?(憤怒)
とこれには温厚な宇宙世紀現場猫もお怒り案件だろう
が、オードリーには『お父様フィルター』とも言えるものが常時展開されており、ラウム関係においてはポジティブな受け取り方をするのである
これには虹の向こうにいる某人物達も
姫様
悲しいね、バナージ
と思わず顔を暗くしてしまう事だろう
この辺は実父であるドズル譲りともいえる『人の良さ』が彼女に受け継がれたとも言えるかもしれない
これにはザビ家の皆様も苦笑いである
ラウムの妹であるゼナはハマーンとシャアに
「ニュータイプといっても結局不便じゃないのかしら?」
と話を振って2人を困らせていたりするが、別に構わないだろう
----
しかし、オードリーからすれば愛する夫と大好きな父と共に自分のスキルを上げられる訳であり、決して悪い環境では無いのも事実
そして
「あ、オードリー。ものを切る時には『猫の手』だから
そうですよね、父さん」
「そうだな。オードリー
にゃーん、だ」
「「ぶっ!」」
まさかのラウムからの発言に思わず吹き出す2人
しかも、わざわざその部分だけ裏声を使うという無駄にこだわりを感じる話し方であった
「ちょ、ちょっと父さん
休憩しましょう」
「そ、そうね。お父様そうしましょう」
「?まぁ構わんが」
当然だが普段見せないお茶目な部分を目の当たりにした2人はとても平常心を保てるわけが無かった
その為、2人とも
----
「…父さん、意外とお茶目だったんだ」
「知らなかったわ。てっきり厳格な人とばかり」
一度自室に戻った2人はお互い感想を言い合う事で、あれが自分の見た幻覚でない事を再確認した
「まだまだ知らない事が沢山あるんだなぁ」
「ええ。本当に」
バナージやオードリーは20歳を過ぎたと言っても、まだまだラウムからすれば子供である
バナージはそれなりに学生時代などに様々な経験をしてきたが、オードリーは基本潜伏生活と言って良い様な生活を送っていた為にその手の経験は圧倒的に不足していた
しかも、である
先が長くないラウムに彼女はこだわるので、さしてラウムの元を訪れてからもその手の経験は増えていないのだからラウムとしても
「それじゃダメだろ」
と何度も彼女に言っている
が、こればかりは例え大好きな父からの言葉であってもオードリーは聞き入れられない
外で経験できるものがないとも、その経験が必要ないとも思ってはいない
だが、今は父との思い出を少しでも増やしておきたいのだ
たとえ死に別れる
…幸せの欠片を
なお、どこから聞きつけたのかオードリーやバナージに
サイド3政府の要職を用意する
といった話がきていたりする
彼等の目はこう言っていた
と
その席に同席したカミーユが思わず手を出しそうになる程醜悪で身勝手な
幸い
「カミーユだけだとストッパーになるか分からないわ」
とのビダン夫人からの話でストッパーとして付けられていたジュドーが当たり障りのない言葉でお引き取り願っている
その時ラウムはアルテイシアに連れられてアムロの部屋を訪ねていたりするのだから、このアパートの住人による高度な連携作戦と言えなくもないかもしれない
何せニュータイプ同士の高い感応能力を使用しての連絡である
お陰で至る所から
ピキーン
とでも形容する様な妙な音が多数発生していたりするのだが、ラウムは
「うん?
これが噂に聞くラップ現象とやらなのか?
人類が宇宙で戦争する様になっても、やはり人間にはわからない事が多いのかもしれんな」
と無駄に思考を深めていたりする
----
オードリーは現在専業主婦という扱いになるだろう
まぁ、それすらもおぼつかないのが今のオードリーであったりするのだが
なお、バナージはアルベルトによりアナハイムのヘルプ要員として働いている
兄アルベルトから
「今は働くよりもする事があるだろう?
そっちの心配はしなくて良い」
と言われており、偶に高速シャトルでグラナダのアナハイム工場で働くくらいである
カーディアスの遺産やサイアムからの遺産なども複雑ではあったが受け取っていた為、その辺の心配はないのだが
やはり一家の大黒柱として働かないという選択肢はないらしい
「…あとどのくらいお父様との思い出を作れるのかしら」
「何とかできれば一番なんだけどな」
来るべき、そして必ず迎えてしまうであろう別れ
それに2人は怯えながらも立ち向かう
せめて、優しい思い出を
それが2人の願いなのだから
色々とあってモチベーション低下中
こういった短編、要ります?
-
いる
-
いらね
-
書けるなら書いて、ほら役目でしょ?