第一弾
かも知れない
「して妹よ」
「何かしら?似合わない口調の兄さん」
「ひとつ聞きたい事があるのだがな?」
ラウムはジト目で妹を見つめると
「彼女達は誰よ?」
そうぶっちゃけた
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相変わらず虹の向こう側でわちゃわちゃしているラウム達
そんな兄を見て
「暇なら兄さんに相談したいことがあるって子達がいるんだけど」
とゼナは話を振った
「俺はお悩み相談所じゃないんで、パス」
とすげなく断ろうとしたが
「でもシャアさん絡みらしいわよ?」
「…なら仕方ない、か」
悲しきは兄貴分として幼少時に関わった者としての責任感か
…当人がいるのに
などと言ってはいけない。女心とはいつまで経っても男性には理解し得ないものなのだから
ラウムは
(今度もう少し強めに説教するか?)
と弟分に対するお仕置き内容を考えながら、内心ため息をついた
…なんでお前死んでからも苦労してんの?
と思わなくもないが、悲しき事にラウムが相談役として広く認知されているのが悪い
…なお、
それを見て某少女は
「なんだ、この言いようのない感情は?」
と戸惑っていたりするが、ここでは敢えて割愛したい
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「兄さん、紹介するわ
こっちのお嬢さんが」
「ララァ・スンと言います
初めましてラウムお
ピキッ
ララァの発言に他の2人からの視線と圧力が強まる
「ハマーン姉様やシーマお姉様から噂はかねがね
セラーナ・カーンと言います。お目にかかれて光栄ですわ」
とラウムに挨拶するのは赤い髪が印象的なセラーナ。一応アクシズにおいてシャアが『ロリコン彗星』などと呼ばれる理由となった少女である。本人は然程気にする事がなかったが
…まぁそのせいでシャアに猛アタックするセラーナの姿をアクシズでは割と見かける事になり、はっきりと断らないシャアに対して
『え?コイツを指導者にするの?
年下の娘にすら、やりこめられそうなのに?』
とアクシズにいたダイクン過激派はシャアを祭り上げる事を断念したわけではあるのだが
結果、彼らは操りやすいグレミーを選ぶ事になる
「ああ。君がハマーンくんの妹さんか
ミネバに良くしてくれたとゼナやシーマ女史にマレーネさんやハマーン嬢からも聞いている。ありがとう
君達のおかげであの子は真っ直ぐ育ったのだから」
とセラーナに対してラウムは頭を下げる
「い、いえ。とんでもありません
私はそこまでミネバ様の事をしたとは思っていないのです」
と慌てたように首を横に振るセラーナ
既にラウムからの好感度を稼いでいる事に残りの2人は少し苛立った
「…私はクェス・パラヤ
おじさんが大佐のお兄様なの?
なんだかパッとしないけど」
と若干失礼な事を初対面のラウムに言うクェス
これにはこの場を用意したゼナも思わず無表情になる
ゼナからすれば
あくまで良くしてくれたシーマとそのシーマが懇意にしていたハマーンからの頼みだから、セラーナとの話の場を設けただけに過ぎない
ララァとクェスは『押しかけてきた』だけなのだ
…まぁ、ジオンの要人であるドズルの妻として最低限の慎みは持っている為に表立って不快さを示す事はない
が、この時点でゼナの中でのクェスの評価は
『なに、この娘は(半ギレ)』と言ったところであった
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「クェスさん、だったね
確かに俺はパッとしない、そこら辺にいる様なおじさんだけど」
「「「「ちょっと何を寝言をほざいてやがりますか?」」」」
と仮にラウムのこの言葉をザビ家の者達やシャア達が聞いていたら声を揃えてツッコむ事だろう
「こんな男が世界に溢れていたら、それこそ恐ろしい事になる」
とシロッコは戦慄するだろう
「ハハッ!
なんだその地獄は?コイツみたいな経験をした奴がそこら中にいたとしたらヤバい事になるだろうよ?」
とヤザンは爆笑する事だろう
「…ふむ、義弟殿はしばらく見ないうちにジョークのセンスも磨き上げた、という事か?」
とギレンは首を捻るだろうし
「私やシロッコ、シャアを圧倒する様な雰囲気を放つ男がそこら辺にいてたまるものか」
とハマーンすら反論するだろう
「自己評価が正しくできないって悲しい事なんだな」
と強化人間の少女はかつて心を通わせた少年や姫を思って遠い目をするだろう
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(パラヤ?確かあの時アクシズ譲渡を進めた政治屋がそんな名前だった様な気もするが、今は触れるべきではないか)
ラウムはそう判断していた
ララァという少女もそうだが、このクェスという娘も他人。いやもっと近い存在
恐らく親あたりに対して強烈な不信感を持っているのだろう
そうあたりをつけていた
人の仕草や表情、視線の動き一つでも分かることはあるものだ
恐らくララァとやらは『他者に対する諦めと絶望』
クェスは『自分を見てくれない親や、大人達もしくは他人に対する拒絶』があったのではないだろうか?
と読み取れた
クェスの挑発的とも言える挨拶にも『この人は信用できるのかな?』というある意味相手を試している部分もあるのではないだろうか?
(こりゃあ、アイツには荷が重いだろうよ)
ラウムとしては不器用なキャスバルが彼女達と良い関係を築くのは難しいと思わざるを得ない
まぁ、そこら辺はおいおいでも良いとは思っているが話はしなくてはならないだろう
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そして話を聞いてみるとラウムは頭を抱えてしまった
それもそうだろう
ララァはシャアとアムロ
クェスはシャアとハサウェイ
それぞれの人生に大き過ぎる影響を残していたのだから
唯一の救いはセラーナはシャアのみを想っていた事だが、懲りない連中によるテロでその命を失ったとなれば流石のラウムとて顔が引き攣る事になった
「…つまり、何か?
ララァはキャスバルのおかげで救われた。だから多大な恩を感じている。でもアムロという人間に出会った事でニュータイプというものについて意識する様になった、と」
「はい」
「で、そんな2人が殺し合いしているところにアルテイシアが割り込んで、そこにララァも割り込んだ
最後はキャスバルを庇って死んだ、と?」
「…どうすればよかったのでしょう?」
(いや、知らねぇよ!!)
なんだその愛憎入り乱れたおっかねぇ戦場は!?
ラウムは内心絶叫した
んな事になったらキャスバルだって情緒おかしくなるわ!!
しかもこのララァって娘(本人から呼び捨ててくれと頼まれている)覚悟ガンぎまり過ぎんだろ!
え、何戦場で恋模様しようとしたら命懸けにならにゃダメなルールでもあんの?
ヤザンからはそんな話聞いてないけど!?
「そもそも、んな事戦場でする時点で俺には理解できるかよ」
と言いそうではあるが
カミーユもフォウとかいう少女を助けようとして真面目にヤバかったとファから聞いたけどさぁ!?
これにはラウムも混乱してしまう
そんな少女が目の前で、しかも自分の身代わりに死んだとなれば
(間違いなく、ひきずる。途方もなくアイツなら囚われるな)
少し優しくしてやるべきか?
そうラウムは考えてしまった
だが
「あ、兄さん
赤いのってそれから結構女を取っ替え引っ替えしていたわよ?」
「そうか
なら説教だな」
ゼナよりの密告に『情け無用』と思い直す
…そういや、カミーユとファも女関係でアムロだけじゃなくもう1人ロクでもないのがいる。みたいな事言ってたが、まさかキャスバルか?
と今更ながらに思い至るラウムであった
そして
「それはすまんかった」
クェスの話を聞いてラウムは彼女に頭を下げる
「え?なんでおじさんが頭を下げるの?」
「弟分のやらかしだ
俺にも責任がないとは言えん」
ラウムの謝罪に目を丸くするクェスだった
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「弟分のやらかしだ
俺にも責任がないとは言えん」
私は耳を疑った
目の前のおじさんが大佐と関わっていたのはそれこそあの時から20年以上前の話
関係ないと言われても仕方ないし、私はそう言ってくるのではないか?と思っていた
でも躊躇いなく頭を下げた
こんな小娘、しかも初対面の人に失礼な事を言った子供に
「たとえどんな思惑があろうが、民間人の子供を戦場に送り出す事を大人として許容してはならない。俺はそう思っている
やるならキチンと教育などもした上でやるべきだ。戦場の事はよく知らんが悪意や害意に満ち溢れているロクでもない場所である事くらいは予想できるからな」
(ああ
こういう人が大人って言うのかな?)
私はそんなおじさんが、とても眩しくて尊いものに見えた
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(兄さん。本当にわかってるのかな?)
いや、あの何処か抜けている兄は理解していないだろう
大人に失望している子供
その子供の為に本気で怒ったり、心配する大人を間近で見た子供が
どんな思いをその大人に持つのか?を
兄ラウムと話をしながら、そこにある種の熱が混じり始めたクェスを見ながらわたしはため息を密かについた
(そんなのだから、いつまで経っても苦労するのに)
伴侶を兄は終ぞ手に入れる事はなかった
それは兄の選択だ
意を唱えようとも思わない
が、実の娘であるミネバが兄を義理の父ではなく、本当の父の様に慕っている。その事実はことの他それを此方から見ていた夫ドズルを打ちのめす事になっていた
無理もないだろう。
相手が少しばかり悪すぎる
流石にザビ家の皆さんもこれには同情するしかなかった程だ
不器用な優しさと確かな強さ(純粋な武力としてのソレと権力的なソレ)を持つドズル
不器用な優しさと精神的に揺らぐ事の殆どない強さ(他人目線)を持つ兄
どちらも素晴らしいと思うが、やはり身近で親身になってくれる兄に軍配が上がるのはどうしようもないだろう
まぁ、死んでいるから別に血のつながっていない娘が何人増えたとしても問題にするつもりはない
…私は、だけど
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なお、オードリーは『ラウムの娘』という唯一無二のポジションである事に一種の執着を見せており、それが侵されるとなると情緒が大変な事になるだろう
元は『ラウムの唯一の家族』である事を拠り所にしていたのだが、バナージとの結婚によりそれは叶わなくなった
…実はバナージとの結婚を少し考えていた理由の一つにコレがあったりする
本当に拗らせてしまっていたのだ
だが、彼女は
「いえ、それではいけませんね
なら私とおじ様の新しい関係とバナージとの新たな関係。その2つを同時に手に入れる為にはどうしたら良いのか?
それを考えるべきでしょう」
との結論に至る
…最早語るまい
この惨状には、思わず某悪夢さんも顔を引き攣らせて言うことだろう
そして彼女が辿り着いたのは『ラウム・クラヴァスの一人娘』としての立ち位置であった
更に彼女が愛するバナージも『ラウムの一人息子』としての立場を求めてくれれば言うことなし、である
その為にオードリーはバナージと一緒にラウムの部屋で一晩を明かしたほど
彼女の熱意の程が理解できようというものである
それ故にその関係を壊しかねないアルテイシアに対しては好意的と決して言えない感情を持ち続けてしまった訳だが
それ故に
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「オードリー、どうしたんだ?」
「…いえ、なんでもありません。バナージ
ただ何やら胸騒ぎがして」
「大丈夫。父さんの分も君を守るよ」
「…バナージ。ありがとう」
とバナージによるファインプレーにより有耶無耶になったが、
げにおそろ
…いえ、素晴らしきは親子愛といったところであろう
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仮に今の状況を彼女が知ったならば
想像するのも恐ろしい話であろう
ゼナは彼女の母として、そして『ラウム・クラヴァスに拘る女』としてもその気持ちを理解できるからこその心配であった
が
まぁ、兄さんの撒いた種なんだし、構わないわよね?
とあっさりスルー
ゼナは
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「え、それじゃ何?ハサウェイそんなに拗らせてたの?」
呆れた
それ以外の感情が出てこない
私を追いかけて戦場に出てきて、私が死んだ直後
あの女のフォローなんてしたく無いけど、少なくともあの時点で私とハサウェイは『敵同士』だった
しかも私が操っていたのは大佐の持つ戦力の中で最大規模の火力を持つMAだ。あの時は気にしなかったが、間違いなくあの戦場では脅威だっただろう
それを倒すのは連邦軍として寧ろ当たり前の事だろう
…なのに、それを倒した味方をあっさり撃つとか、何考えてんのよ
「お前はいったい、どっちの味方だい!?」
これには並行世界のシーマもブチ切れ案件であろう
しかも
「何やってんのよ、アイツは」
おじさんから聞いた話は
「どうにも反連邦感情を拗らせたのか、或いは大人達に絶望したのか知らんが見事に操り人形となりそうだったんでな。悪いとは思ったが止めておいた」
…なんでただのおじさんがそんな事出来るのか?そう聞きたくはあるけど、多分『したくなくても出来るだけの環境』にあったんだろう
多分おじさんなら多少縁があったら放っておけないんだろうから
…なんだか、2人から困惑した様な感じを受けとるが別に放っておく
大佐に私が求めていたのは多分『立派な大人の男性』だったんだと思う。別に大佐やあの人でないといけない理由なんてないのだから
だから、よろしくね?
私は心の中でそう呟いた
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よく分かりませんが、恐らくクェスさんはシャアさんに対する熱意?というか執着がなくなったと見て良さそうです
このララァという人とは長い付き合いになるかも知れませんね
私は複雑な気持ちでした
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これ以降、ラウムの側にはクェスがいつもつきまとう事になる
「…ふむ。現世でそういった縁がなかったからと、若い娘を拐かすのは感心しないな、義弟殿」
「今更お前は何をしているんだ?」
「流石にそれは趣味が悪いと思いませんか?ラウム」
「…いや、すまん。コメントできん」
「
少しお年を考えてもらいたいのですが」
「冤罪だが!?」
その光景を見たザビ家の皆はこれ幸いにとラウムを弄る事とした
彼等の顔にはなんだかんだ笑顔があったのは言うまでもない
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なお
「ラウムくんっ!私の娘に手を出す事はなかったと言うのに」
「何故その娘には手を出すのだ!
年齢か?やはり年齢なのか!?」
「喧しいわ、ジオン。ラウムの趣味嗜好にお前が余計な口を挟むでない」
「おのれ、デギンッ!貴様はラウムくんの義理の父親となったからと余裕を見せおって!!」
「ふん。恨むなら『わたしラー
いやぁ、果報者の息子を持った儂は幸せ者じゃな」
「ぐ、ぐぎぎぎぎ」
「…父上。あまりジオン氏をからかうものではありませんよ?」
「父上」
とラウムにくってかかるジオン・ダイクンとそのダイクンを全力で煽り倒すデギン・ザビの姿があったそうな
なお、ギレンは呆れ
キャスバルは顔を真っ赤にしていた
それもそうだろう
本当に久し振りに会った父親がいきなり暴走しているのだから
「…総帥。今度少し愚痴に付き合ってもらっても?」
「貴様も一応総帥だった様な気もするのだがな
まぁ構わん。が一つ言っておくとな」
シャアは側にいたギレンに
ギレンは苦笑いしながら受け入れ
「これでもまだマシな方だぞ?」
「…失礼だと思いますが、本当ですか?」
続くギレンの言葉にシャアは絶句した
「まだ
「…」
シャアは思わず無言で天を仰いだ
それは何処かのコロニーで
「嘘だといってよ、バーニィ」
と慟哭した少年の様であった
なお、シャアの姿が姿の為に情けない事この上ない事になっていたが、ギレンは優しいのでそっとしておく事にした
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『親バカ一大決戦』
独立運動期に独立運動に参加していた者の中で密かに使われていた言葉である
既に独立運動で大き過ぎる存在感を示していたギレン、サスロの父デギン
2人ほどの活躍はなかったものの、幾度となく組織の窮地を救ったラウム。その父親ケイム
同い年の子供より遥かに聡明なキャスバルとアルテイシアの父親であるジオン
3人が揃うと高確率で発生する
予測可能、回避不可能のクソイベント(参加者談)だ
揃えばどうしても今後の動きなどについての協議になる事は避けられない。
それに対抗心を燃やす(燃やさないで良いからbyラウム)ケイム。となれば黙っていられないジオン
一度火がつくと中々鎮火しない素敵(当事者時点)なゲリライベントだった
「そんな事どうでも良いからさっさと逃げろ!父さん達!!」
「状況考えてからやりやがれ!クソ親父どもが!!」
と度々ラウムやサスロから言われていた模様
こんな事を当時の当局関係者や政府関係者が知れば
「こんな奴らと戦っていたとはな」(一般通過某悪夢さん)
とさぞや遠い目で語ってくれる事だろう
なお、息子にそう言われたデギンやラウムをジオンが煽るので再燃する模様
ギレン自身は
…この辺の仲間意識がサスロがラウムに入れ込んだ理由の一つであったりする
つまり
親バカがラウムを救った
と言えなくもなかったりする
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これには温厚なラウムも般若顔で親バカ共を殴りつけることだろう
因みにこの事を兄と親しかったサスロから聞いたゼナは拳を握りしめると何処かへと行こうとした
「…行くか?」
「無論です」
サスロの問いにゼナは言葉短く答えるとそのままある所へと向かった
そして
「アンタって人は!!!」
と何処かのザフトレッドみたいな事を叫びながら実の父親に殴りかかったとか何とか
なお、その側にいた女性はこう語る
「(兄の人生を無茶苦茶にされたと知ったら)こうもなるでしょう」と
その手に不似合いな仮面があった事はゼナと彼女にケイムしか知らない事であった
ともかく虹の向こう側は平和であった
今回時空を超えて色々な方に参加してもらいました
なんとなくやりたかった
速報
オードリーに挑戦者現わる
とも言えるかも知れません
キャラ崩壊のタグをつけたのはダイクン氏関係のネタがしたかった為だったり
こういった短編、要ります?
-
いる
-
いらね
-
書けるなら書いて、ほら役目でしょ?