アルテイシアはラウムが亡くなって以降、何もかもがどうでも良くなっていた
ラウムの訃報を聞いて文字通り飛んできた(シャトルで)ノア一家に心配され、アムロから頼まれたビダン夫妻や彼女を心配しているアーシタ夫妻に複雑な気持ちを抱えているものの、父と親しい人物の事を完全に敵視出来なかったオードリーとバナージ達による粘り強い説得により彼女もまた『アパートクラヴァス』の一員となったのである
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『アパートクラヴァス』とは、ラウムの遺言によりこのアパートの管理を任されたオードリー。その夫であるバナージが1週間議論した末、このアパートに付けた名前である
既に『クラヴァス一族』は先のラプラス事変やヌーベル・エゥーゴの蜂起、マフティー騒動(クワック・サルヴァー死亡に伴う混乱の事)により地球の一族は全滅していた
謂わばラウムがクラヴァス一族最後の生き残りといえる存在だったのである
…広義的にはオードリーもクラヴァス一族に連なる者であるが、何せ相手は『宇宙世紀最大の知名度』を誇るザビ家
最初から比較になるはずもなかったといえるだろう
勿論クラヴァスの名前も災いを招き寄せかねない厄ネタであったが
「私とバナージは両親の名前も背負って生きていく事を決めたのです」
「俺にとって、お義父さんも大切な人だった。あの人の存在をなかった事にしたくはないんです」
と2人の固い決意を聞いた住民達は説得を諦めている
なお、3階にはアムロ、アーシタ夫妻、ビダン夫妻
2階にはハサウェイ、チェーミン、リンクス夫妻
一階にセイラとノア夫妻がそれぞれ入居している
因みにアパートの真正面の物件をブライトの退職金で一括購入して、そこにレストラン『ホワイト・ベル』を開業する予定だ
本来ラウムが生きていたのであれば、アパートでの開業も考えていたのだがそれが叶う事はなかった
ブライトは結婚式の後に少しラウムと話す時間を持った時に彼が地球の料理に明るい事を知った為、ラウムの新しい人生の目的としてレストランの経営などに携わって欲しかったとも考えていたりしていた。言うまでもなくラウムの死によって叶わぬ夢となってしまった訳だが
ハサウェイはマフティーについての話をアムロ達に打ち明けて、かなり説教されていたりする
とはいえ、叱られたハサウェイはどこかスッキリした様な表情をしていたのだから良かったのかもしれない
なお、妹であるチェーミンからは1週間口を聞いてもらえなかったらしいそうだ
その話を聞いたジュドーがハサウェイに同情的になり、妻のルーからしっかりとお仕置きされたが、いつも通りの光景なのでアムロ達はスルーしている
「これが、戦争を経験した人達なのかっ!?」
などと妙な所で変に考えるハサウェイを見て
「確かにブライトの息子だな」
「ああ、これはブライトキャプテンの子供だなぁ」
とズレた所で納得した者がいたらしい
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とはいえ、10年以上添い続けて来たラウムの死はセイラにとって決して軽いものではなかった
特に一年戦争以後戦場から遠ざかっていたセイラにとって、親しい人物の死。しかも幼い頃からの知り合いで、淡い想いを抱いていた相手のそれは彼女に消えない傷を刻む事となる
夢でラウムと会っても、現実にラウムはいない
同じ様に辛いはずのオードリーには支えてくれる
…自分はあの人といつまでもあのぬるま湯の様な生活が送れると根拠も何もない思い込みをしていた
何と情けなく、余りにも身勝手な思い込みだったのだろうか
「…ラウムさん」
私は今日も彼を思い、そして眠るのだ
儚い、どうしようもない刹那の逢瀬を求めて
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「ア、アルテイシ」
そう思って眠ったと思えば真っ先に出て来たのはあの人の精神に多大な負荷をかけ続け、そして身勝手な理由で世界を滅ぼそうとした男の姿
ここで、男を殴らない選択肢があるのでしょうか?
いいえ。そんな選択肢があるはずありません(反語)
という訳で、コロニーを巡る前に身に付けた護身術を活かして目の前のオールバック金髪に私は殴りかかりました
…私の名前を呼んでいた?
知りません
少なくとも、恩を仇で返すばかりか幼い頃拘っていたはずのあの人にすら迷惑をかけ、そして身勝手に死んだ
そんな人物を私は兄と認めるつもりはないのです
私の兄はラウム・クラヴァス1人
…いえ、そうだとすると私があの人と結ばれる事が有り得なくなるのでそれはマズいでしょうか?
でも、あの娘があの人の娘ポジを奪った以上身内となるには妻か妹しかない訳で
悩みますね
因みに思考に浸っている間も金髪オールバックをひたすら殴り続けているのだが、それは仕方ない事だろう
もし仮にジオンがここに居たのなら、とんでもない事になったと思われる
因みに妹ポジを奪われそうになっている事を無意識に察知したゼナは異様なプレッシャーを発してハマーンに膝をつかせていたり、シーマとマレーネ2人がかりで止められていたりするが余談である
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妹の夢に出たら、声をかけるより先に殴りかかられた件について
シャアとしては憔悴している妹を見ていられなくなった為、ララァに頼み込んで送り出してもらったのだが
まさかの対話拒否からの肉体言語による対話になるとは全く想定していなかった
「…分かりました」
妙に微妙な顔をしていたララァに見送られながら、妹の夢にお邪魔した訳なのだが流石にこの扱いは予想外
因みにシャアから頼られたララァは意気揚々と応じた訳だが、後日この件についてセラーナが知った時
思いっきり煽っていたりする
「大佐の力になれるのは私」
と
これには流石のセラーナも耐えかねたのか、涙目になってその場を後にした
すわ
ララァちゃん大勝利!?
と思っていたのだが、暫く後にシャアがラウムに説教されていたのを見てララァは気付いた
そしてこう言ったとか
「そこでラウムさん《最終兵器》を出すのは卑怯!」
と
なお
「セラーナ、そうだ。それでいい」
「恋は戦争
そう言うんなら、勝つ為にあらゆる手段を講じてナンボさ
セラーナ良くやったよ」
とピンク髪の女性と黒髪の女性(共に匿名希望)は頷いていたそうな
ララァ・スン
彼女の敗因は死んだ後にも、その交友関係を増やす努力をしなかった事
…なのかも知れない
なお、ラウムにべったりのクェスはラウムに近しいセラーナを応援している(セラーナ→ゼナ→ラウム)
ヤザンなどは
「嬢ちゃん、趣味が悪くねぇか?」
と茶化す事があったが
「おじさんの良さが分からない人にどう思われても構わないと思うけど?
あと、ヤザンさんっておじさんの事気に入ってるのは知ってるのよ?試す様な事は言わなくて良いと思うのだけどね」
「ハハハッ!
なるほど嬢ちゃんも確かに変わり者だな。が、変に取り繕っている奴より余程良い」
とクェスとやり取りしていたりする
本人曰く
「はぁ、おじさんみたいな人と生きてる間に知り合いたかったなぁ」
との事
現在はラウムにひっついて(物理)ラウムの知り合い達と様々な話をしていたりする
特にキシリアやサスロからその気質を愛されており、『キシリアおばさん』『サスロおじさん』と呼ぶ程慕っているらしい
…因みに『おばさん』呼ばわりされる事に難色を示していたキシリアだったが
「いい加減歳を考えろ(byギレン)」
「悪あがきも大概にするんだな。そこまでいくと見苦しいだけだろうよ(byサスロ)」
「いや、その、だな。諦めも大事だと思うが(byドズル)」
「姉上にとっての義理の弟であるラウムも叔父と呼ばれるのです
そろそろ諦めるべきではありませんか?(byガルマ)」
「…いい加減にせよ(byデギン)」
と流れる様に見事なcomboを決められた上に
「…私はそう呼ばれる事を期待していたのですが
終ぞ叶う事はなかったのですよ?(byゼナ)」
と妹分(というか、義理とは言え妹である)のゼナと
「諦めは大事
旧世紀から伝わる言葉ですので、そろそろお認めになるべきかと(byラウム)」
との
因みに
「…ふむ?中々呼ばれてみると新鮮な響きではあるな
よし、クェス。何が知りたい?今ならキャスバル坊やの幼い頃の話やアレのジオン軍時代の話を幾らでも教えてやろう
…勿論、ドズルも付き合え。分かったな?」
と割とノリノリであったとか何とか
ドズルは泣いて良いと思う
もう一方の人物は
「…おじ?
アレと同じ扱いなのか?
………
まぁ、構わんか
で、何が聞きたい?そうだな、そこのボンクラの小さい頃の話などでも聞きたいなら話してやるが?どうだ」
と、かなり食い気味にクェスと話をしていたりする
クェス・パラヤ
何気に愛されキャラとして立場を固めつつあったりする少女であった
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シロッコもシロッコで先の話で何かを感じたのか、今までの様な態度を崩す事こそ無かった。しかし、様々な者達との意見交換や会話をする様になっている
これにはギレンもにっこりであった
尤も、その笑顔を真意を理解できるのが未だもって家族達やセシリア、ゼナ、ラウムに親衛隊長くらいしかいないのが玉に瑕である
「セシリア、兄貴の誤解を解いてやるべきではないのか?」
ある時サスロはそうセシリアに切り出した
サスロ自身は寧ろ『誤解されてなんぼ』というスタンスであったが、流石に自分の兄が死してなお、誤解されている状態には少々思うところがあったらしい
ところが
「…私はそれでも構わないと思いますが?」
「…何?」
サスロは耳を疑った
目の前の女性は兄が死して尚もその想いを受け継いだ人物
戦後20年余り共和国の監視下に置かれながらも、その一切の情報を胸に仕舞い込んだまま過ごしてきた
そこまでしてきた彼女の口から出たとは到底思えない言葉だったのだからサスロの戸惑いも無理ないだろう
「あの方の真意を知るのは本当にごく僅か
それで私は良いと思っています。サスロ様を始めとした御親族にゼナ様、そして師匠。私に親衛隊長と恐らくはミネバ様とその夫バナージさんも知ったと思います
…それであの方は満足されていると私は確信していますので」
「確かにそうかも知れんが」
セシリアの言葉にサスロとて否定し切れる訳ではない
しかし、やはり弟として何も出来なかった負い目のあるサスロとしては思うところもある
が
「あの方の気持ちを理解できる家族以外の女性は私だけで良いのですよ?サスロ様?」
「…なるほどな」
その満面の笑みの裏にある危険な考えにサスロは気付いたものの、それをスルーする事を選んだ
(如何にもこうにも愛の重い奴が多い気がするが、まぁ構うまい)
ザビ家の暗部を司っていたサスロをしてセシリアの在り方は『迂闊に触れるのは危険』と思わせるものであった
なお、後日
「おい、ラウム。実は兄に対するセシリアの事だが」
「放置一択で」
「…なに?」
「放置一択ですよ?」
サスロの質問に笑顔で応えるラウム
「いや、しかしだな」
「放置、なんですよ?」
「…そういうもの、なのか?」
「放置です」
何を言おうとも、笑顔で『放置』と繰り返すラウム
そこにサスロは確かな狂気を感じ
(よし、忘れるか)
とサスロもこの事を追求する事を諦めたりする
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シャアとしてもいつまでも妹にやられっぱなしという訳にもいかない
これでも元軍人、しかも一つの組織を率いた身
ロンデニオンでアムロと取っ組み合いをする程度にはある程度、生身での格闘術?の心得もある
軍属と言っても、20年ほど前の話である妹に負けるつもりはなかった
そう、なかった
筈なのだ
ところが
「ええぃ、アルテイシア!ここまでやるとはっ!」
「私も20年遊んで暮らした訳ではないのよ!
逃げ続けて過ごした兄さんより、弱いとでも思って?」
「っ!その動きは」
シャアとアルテイシアは取っ組み合いの喧嘩をしていた
とはいえ、形勢は明らかにシャアが不利
つまり、アルテイシアが優位となっていたのである
アルテイシアは地球で護身術を学び、ラウムの元に来て出会ったカミーユから格闘術を更に習い、加えてラウムによる指導を受けていた
護身術はともかく、後の2つは『実戦を想定した』或いは『実戦の中で磨かれた』技術である
言い方はよろしくないが、『お綺麗な護身術や格闘術』相手にはとても
シャアは妹の動きの中にカミーユの姿を見て動揺する
そのシャアの動揺をアルテイシアは見逃すはずもない
何せ、数少ないラウムとの逢瀬を邪魔された上に兄のした事が間違いなくラウムの生きる気力を奪っていた事を知っていたのだから
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「兄さんは勝手過ぎるのよ!
私やラー
「ぐっ」
既に妹は涙を流しながら自分に攻撃していた
それを見ると、どれだけ自分が妹に負担を強いていたのか。漸く理解してしまった
「まずアルテイシアに謝ってこい
話はそれからだ」
あちらで幾ら話をする機会があっても、ラウムはそう言って取り合わなかった
「しかし」
「しかしもなにもない
お前とアルテイシアは血を分けた兄妹だろうが。生きている事を知りながら家族とわかり合おうとしない奴と話す事はない」
「…」
「なぁ、キャスバル
俺もお前のした事で悲しんださ。でも、誰よりそれを悲しんだのがアルテイシアだって事くらい分かってやれよ」
「それは」
自分に諭す様に
いや、懇願する様に話すラウム
「家族がいるのに、大切にしてやれない
それがどれだけ贅沢な事か、お前には分からないのか?」
「!」
ラウムは両親を妹を
義理の兄妹を、唯一残った姪を
ひたすら求め、耐え続けた
「お前のライバルのアムロも両親は他界している
お前が期待していたカミーユもそうだ。ハマーンと戦ったジュドーは親に半ば捨てられていたと聞く
ミネバは両親を物心つく前に失い、バナージも両親を喪った
なぁ、キャスバル
なんでお前は唯一残った家族のアルテイシアと静かに暮らす事を選ばなかったんだ?」
それは血を吐く様な苦しげな問いかけだった
その問いに自分は答える事が出来なかったのである
「…すまん、アルテイシア」
「っ!
謝れば
謝れば何もかも戻るとでも思って?」
泣きながら攻撃してくる事よりも
妹の悲しみを
やり場のない怒りを
激情を
どうしようもなかった虚しさを
ない混ぜにしてぶつけてくる、その言葉が何よりも痛かった
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「しかし、よくよく考えてみるとアルテイシアとこうして喧嘩する事は無かった気がするな」
「…喧嘩になりそうな時は誰かが仲裁していたからかしらね」
お互い胸の奥にしまっていた感情をぶつけ合ったキャスバルとアルテイシアは本当に久しぶりに話をしていた
「…でも、驚いたわ。まさか兄さんが夢に出てくるなんて」
「会わせる顔がなかったのは理解している。が、…まぁそのだ」
言い淀むキャスバルに
「…はぁ
おおかたラウムさんにでも怒られたのでしょう?
違うかしら?」
アルテイシアのジト目と溜息混じりの言葉に
「…ああ、死んでからも本当に頭が上がらんよ」
「…本当にあの人は私達にとって、兄の様な存在ね」
キャスバルは苦笑いすると、アルテイシアもまた苦笑いして互いに笑い合った
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「しかし、アルテイシアも大変だな」
「??
大変って?」
久しぶりに笑い合った後キャスバルのふと漏らした言葉にアルテイシアは疑問の声を上げた
「いや、なに
あちらでもラウム兄さんは中々人気でな。全く話が出来ない始末なのだが」
「あの人にとってはいつまで経っても『手間のかかるキャスバル坊ちゃん』なんでしょう、兄さんは」
「…ううむ、否定したいが否定出来んな」
「それはそうと、大変って?」
後に彼は語る
「ここで話を終わらせていれば良かった」と
「いや、実はラウム兄さんを慕う娘がいてな」
「兄さん?」
キャスバルの見るアルテイシアの視線の温度が急激に下がった気がした
「ラウムさんを慕う娘、ですって?その話詳しく聞かせてもらえるわよね?」
この後詳しい話を聞いたアルテイシアが再びキャスバルへの攻撃を再開するまであと12分
という訳で世にも珍しいダイクン兄妹による喧嘩?シーンでした
なお、この後2時間ほどキャスバルはアルテイシアにボコボコにされる模様
戻ってから笑顔のラウムにお仕置きされる事になりますが、それはまた別の話
ラウム・クラヴァス主催
『ちゃっとオハナシしようか?』
参加者
ギレン・ザビ
宇宙空母ドロス
キシリア・ザビ
戦艦グワジン
ドズル・ザビ
ビグザム
ガルマ・ザビ
デギン・ザビ
サスロ・ザビ
戦艦グレート・デギン
ヤザン・ゲーブル
ハンムラビ
パプティマス・シロッコ
ジ・O
ハマーン・カーン
キュベレイ
シーマ・ガラハウ
ゲルググマリーネシーマカスタム改
ゼナ・ザビ
マレーネ・カーン
セラーナ・カーン
マハラジャ・カーン(超激怒)
ユーリ・ハスラー(友情出演)
戦艦サダラーン
クェス・パラヤ
αアジール
???
クィン・マンサ
???
クシャトリヤ
友情出演
エギーユ・デラーズ
セシリア・アイリーン
戦艦グワデン
アナベル・ガトー
ノイエ・ジール
vs
シャア・アズナブル
サザビー
ララァ・スン
エルメス
変則マッチ、ファイ!!
結果は皆さんのご想像に任せます
あと、ラウム直率に
???
量産型キュベレイ×7
いたりしますが誤差でしょう
こういった短編、要ります?
-
いる
-
いらね
-
書けるなら書いて、ほら役目でしょ?