何もない空間
そこには無数の影のみが存在していた
???
「はぁー、やっとお勤め終わった
ホントまぁ、こき使ってくれたもんだよ」
???
「いやホントお疲れ様ですわ、先輩
俺等の始祖とも言える先輩が20年以上経ってなお現役って凄いっすね、ある意味では」
???
「確かになぁ。本当にお疲れ様っす先輩」
???
「後継機が多いのは良いんだけど、俺達の出番があるってのは
???
「なんでニコイチの急造機のワイが15年以上酷使されるんですかなぁ!?(半ギレ)」
???
「いやまぁ、ドラ坊は仕方ないだろう?
需要的に
???
「だな。そんな事言ったら戦時の急拵えのカスタム機でしかない私がまさか祖国が滅んでなお戦わねばならなかったのもおかしな話だろう?」
???
「や、マリニキはウチの連中の中でも飛び抜けてキチガイだからね?
幾らカスタムしてもアクシズ製のMS相手に奮闘どころか圧倒したとかおかしいから」
影の中で数人がやいのやいのと話をしていた
ドラ坊
「いや、そもそもデラーズの奴が『物資も資源も無い無い尽くし』の中で苦し紛れに作ったのが俺っすから
つか、相手さんの量産機にすらビーム兵装が標準装備されてる時勢にバルカンとビームサーベルとか正気の沙汰ではないでしょうよ!?」
ドラ坊こと、ドラッツェは怒りの声を上げる
???
「まぁ、確かにそうだよな
俺も横目で見てたけど、正直『コイツら正気かよ!?』って思ったわけだし」
???
「や、連邦軍が次々新型量産機出してるのに一年戦争中期に出てきたお前さんがあの戦場に多くいた事もかなりおかしいからな?」
???
「…否定できねぇ」
項垂れるのはMS-06通称ザクと呼ばれているモノである
バリエーションが豊富すぎるので一括してザクと呼称する
寧ろさせて下さい
お願いします
???
「連邦軍のパイロットが『この戦場は地獄だ』なんて言ってたらしいが俺らからしても地獄だったぞ。まぁ、デラーズの軍の中でなら最新鋭機なんだったけどよ、それでもリックドムなんだがなぁ」
と嘆くのはドムタイプ
開発当初は正しく『地上の覇者』とも言える程の性能を持っていたが、連邦軍の反則とも言える物量と回復力の前に屈した形である
その後ドムシリーズはアクシズにおいてドライセンという傑作機を生み出したのだが
「や、先達であるマリニキに喧嘩売るとか馬鹿なの?死ぬの?」
と後輩の情けなさに怒り心頭の様子
???
「まぁ、強かったと思うがな」
???
「それをマリニキが言うと嫌味にしか聞こえない件について
まぁ、ウチ等の中でアクシズ製の高性能機やキュベレイ相手に奮戦するとか痛快でしかなかったけどな!」
「それはそう」
「喧嘩売る前に自分の腕を磨いてもろて?」
「つか、強化人間とやらのクローンとか相変わらず業の深い人類だこと」
「というか、マリニキのパイロット連中の連携の練度がおかし過ぎただけだと思うのですが」
「…まぁ、そうだろうよ
素直に言えば楽しかったな、アレは」
「後輩達からすれば悪夢でしかなかった件について」
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改造しても所詮一年戦争時代の骨董品
そうシーマやその部下達を侮った当時のグレミー軍兵士達はその侮りの代償を支払う事になった
旗艦はザンジバル機動巡洋艦リリーマルレーン
僚艦に公国時代かムサイ後期生産型が6隻
それがシーマ艦隊の戦力であった
自分達の方が数もMSの質も上
負けるはずがない
彼等はそう確信していたのだ
戦闘の先陣となったのは元デラーズ・フリートの兵士であり、ドラッツェのパイロット四名
彼等はガトー等と別ルートでアクシズ艦隊に回収されており、司令官であったデラーズと乗艦のグワデンはコロニーと共に連邦軍によるソーラーシステムⅡの光の中に消えた事。そして残存部隊を指揮していたガトーと彼の駆るノイエジールもまた補給を終えたヘボン艦隊による包囲網突破の為の戦闘においてサラミスに特攻し宇宙に還った事もハスラーから聞いたのである
それでも彼等の意思を継ぐ為にアクシズにおいてハマーン等に協力していた
「腕自体は悪くない
…でも、アンタらはそれで戦いたい。そう言うんだね?」
ハマーンの副官であったシーマ大佐の問いに彼等は頷いた
その為、コア3守備の任に就いていたのだがまさかのグレミー軍の裏切りである
それはかつてのア・バオア・クーにおける戦線崩壊のきっかけとなったキシリア・ザビによるギレン殺害を思わせるものであった
各方面にて疲弊している自軍を圧倒しているグレミー軍
だが、自分達を侮る程度の相手など、彼等からすれば安い鴨でしかない
モノアイを強化されたバルカンで撃ち抜き、僚機が混乱する敵機に急接近して大出力のビームサーベルで両断、ないしはコクピットを貫く
それだけで済むのだ
行き掛けの駄賃と言わんばかりに彼等は数機のガ・ゾウムを血祭りに挙げた後にシーマ艦隊へと合流
そして敵軍の主力部隊との戦闘において
臨時指揮官となったロイヤルガードを率いるキャラ・スーンは悩んだがシーマ艦隊の次席指揮官より
「コイツらも俺達と同じさ
既に俺達の時代はとうの昔に終わってる。それでも貫き通したい意地があるんだろう
…そうだな?」
との言葉に4人は通信越しに『公国式敬礼』を返した
結果彼等は先陣となり、彼等が全滅するまでにガ・ゾウム二機、ズサ一機、バウ二機の堂々たる戦果を挙げ、最後はグレミー軍の巡洋艦に特攻しその命を散らした
なお、その壮絶ともいえる覚悟の思念を受け取ってしまったプルクローン達はその時点でやや統制を欠くこととなり、シーマ艦隊との戦闘により一機を残して全滅する事となる。グレミー軍の数的主力部隊もこの戦闘で壊滅的ダメージを受け、残存していたハマーン軍により殆どが討ち果たされる事となった訳だ
ロイヤルガードとシーマ艦隊の全滅と引き換えに
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そんな訳でドラ坊はマリニキに対して戦友の様な思いを抱いており、それはマリニキことゲルググマリーネカスタムも同じであった
他の者達からすれば、何とも羨ましい話だろう
負けはした
だが、彼等の生涯において最も華々しい戦闘であった事もまた間違いないのだから
余談ではあるが、そのせいで量産型キュベレイやグレミー軍の機体達はドラ坊とマリニキを極度に恐れていたりする
同世代のジムⅢやZZなどには全く恐れないのに、である
言うまでもないが、虹の向こう側でも同じ事が起こっており、プルクローン達は元より気の強いプルツーですらシーマに相対する時には涙目だったりする(プルトゥエルブことマリーダもその点は同じ)
その為、
マリーダ経由で知り合ったラウムに対して彼女達は父性を感じているという訳だ
結婚してないはずのラウムに娘がさらに増えるとか、これはもうわからんな
なお、『ラウムの娘』という立ち位置に拘る某人物だが、マリーダであれば
「…マリーダとその姉達、ですか
……分かりました。では今後は私をオードリー姉さんとでも呼んでくださいね」
と渋々ながらに受け入れる事だろう
クェス?
間違いなく揉める、でしょうねぇ
多分ハサウェイは巻き込まれそう。というか、多分巻き込む
右往左往するハサウェイとどっちの味方?と迫るクェスとオードリー
よかったね、ハサウェイ
初恋が叶ったね、ある意味では
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「しかし、いつになったら人間は剣を置くのやら」
「無理だろうな。最早本能だろう、あそこまで行くと」
「…それで戦場に引っ張り出される身にもなって欲しいもんだ
周りはジェガンですら旧式的な扱いを受ける惨状だったんだが」
そうぼやくのはジオン系MSのある意味頂点に君臨するMS-05.所謂旧ザクである
彼が言うのはラプラス事変のトリントン襲撃の事である
「というか、トリントン襲撃されすぎでは?」
「確かに
大戦末期、デラーズ紛争、ラプラス事変」
「加えてまたぞろやらかそうとしていたとか何とか」
「何故か袖付きでも運用されていたとです、はい」
「や、流石にピンクはないのではなかろうか?」
「ピンク色の機体…
隠密性と何もあったものではないな」
「逆に戦意高揚の為の機体ならばワンチャン?」
「「「「むぅ」」」」
皆唸ってしまう
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「兎にも角にも、人間達が我等の存在を遥か遠い過去のものとして欲しいものだな」
「いつまでも殺伐とした世界はゴメンだからな」
「血と涙と悲しみの果てにある未来
それが本当に彼等の欲しい明日なのだろうか?」
「何だろう
何故か遥か未来でもこき使われている姿が思い浮かぶのだが」
「奇遇だな。何故か指揮官機として働かされているイメージが」
ザクと旧ザクは乾いた笑い声を上げる
それを気の毒そうに見つめるドラ坊、ドム、ゲルググにマリニキ
いつか、我等が必要とされない平和な時代を
叶わぬ願いと知りながらも彼等はそう祈った
兵器にも心があるとすればこんな事を思っていたりするかも?的な話
微妙に作品の設定を混ぜていますが
こういった短編、要ります?
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いる
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いらね
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書けるなら書いて、ほら役目でしょ?