ハマーンがアクシズの指導者として動き始めた頃、それに危機感を募らせている者達も存在した
マハラジャやマレーネ、セラーナを亡き者としながらも、ハマーンを殺し損ねた者達だった
「公国の後継者なれば、アクシズを主導するのはザビ家に連なる者か独立運動に参加した者達であるべきだ
断じてあんな小娘で良いはずがない」
ハマーンの父親であるマハラジャとて、独立運動に参加していたデギン側の人間なのだが、そんな事は彼等からすればどうでも良い
そして、
そして、アクシズは地球圏への帰還を開始
アクシズが地球圏に帰還した時には
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ハマーンはこれを好機と見て、ティターンズとエゥーゴの戦闘に介入
ティターンズは連邦議会を守れなかった事や、旧連邦軍本部ジャブローを囮とした事
そして何より、無責任な市民達がダカールにおける演説を受けて
結果、ティターンズを危険視する論調が政府内や連邦議会において大きくなってしまった
こうなると、連邦政府としてもティターンズへの更なる支援は市民感情を確保を考慮すると難しい事となってしまう
まぁ、だからと言って
などという者は少なかったのだが
前線や現場においてはこの政府のティターンズを切り捨てるかの様な動きに対して反発する者が多く、結果として連邦政府に対する不信感が連邦軍内において高まる事にもなった
エゥーゴはエゥーゴで、ダカールにおける演説に対する
…なお、この時点で連邦軍はエゥーゴに参加している者達全ての軍籍を剥奪しており、エゥーゴは連邦軍内の組織ではなくブレックスやアナハイムの私兵組織と公式には扱われる事となっていたりする
更に地上においてエゥーゴを補佐していた地下組織カラバやそのスポンサーであるルオ商会などについて連邦政府は関係者に対する強制捜査を連邦軍、連邦捜査局等に指示
徹底的なエゥーゴへの支援組織に対する攻撃の姿勢を見せる事となった。如何に世論がエゥーゴを支持しようとも、連邦議会を一時的に占拠。挙句その場を乗っ取っての主張など認める訳には行かなかったのである
連邦政府はエゥーゴのスポンサーであるアナハイムに対しても、今までの協調路線からの脱却を視野に入れた動きを水面下で見せ始める
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こんな状況であるからこそ、ティターンズとエゥーゴ双方は宇宙において激戦を繰り広げていたのだが次第に戦力の回復が難しくなっていたのである
アクシズの参戦は故にこそ、大き過ぎる転機といえた
アクシズは地球圏に帰還したばかり
つまり、その辺の事情にそこまで明るくなかったとも言える
ハマーンは一時的に
さて、そんな前科のあるアクシズがエゥーゴと組んだとあって、果たして政府や軍はアクシズを危険視しないだろうか?
連邦政府は速やかにアクシズの弱体化の為の工作を開始
共和国政府に対しても協力を求めた
そして、連邦政府は密かに『反ハマーン勢力への資金提供』を共和国経由で行なう事としたのである
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グリプス戦役
そう後世から呼ばれる事になるティターンズとエゥーゴ、そしてアクシズによる戦闘は一応の決着を見せた
ティターンズは指導者ジャミトフ・ハイマンを暗殺して乗っ取ったパプティマス・シロッコの死により、混乱
連邦政府や連邦軍からの支援を完全に打ち切られた事により、急激に衰退していく事となる
エゥーゴもまた指導者ブレックス・フォーラ亡き後を継いだクワトロ・バジーナの生死不明により、組織としてのエゥーゴは恐ろしい勢いで崩壊していく事となる
元より『
いきなり『旧公国のエースが自分達のトップ』となった事に対して不満や不信感を抱くものがいなかった訳でもない
更に軍籍剥奪という連邦政府や連邦軍の怒りの深さが垣間見える処置を見て、ようやく自分達のした事がどれだけ危ういものであったのか?を理解した者達もいたのも事実だ
更にティターンズの崩壊を見て、その時点でエゥーゴを離脱する者も現れ始めており、グリプス戦役後のエゥーゴは苦しい状況にあったと言えるだろう
ティターンズとエゥーゴ
双方の組織の力が大幅に減少した事により、アクシズは地球圏における優位を確保したと言っても良かった
一度本拠地アクシズへと帰還したハマーンは即座にアクシズ軍の再編を行ない、各コロニーや各サイドの
本来ハマーンの副官であるシーマ大佐も動くべきものであったが、シーマ達は『コロニー住民を虐殺した』という事実がある
それではアクシズの支配を受け入れるかどうかが怪しくなるとして、シーマ自身はアクシズに留まり、彼女の薫陶を受けた者達が動く事となったのだ
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予想以上に、連邦政府や連邦軍の対応が後手後手に回っている事に危機感を覚えたアクシズ内の『反ハマーン勢力』はある提案を受け入れて実行する事とした
『
を動かす事を
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「…懐かしい顔だ
まだ血気盛んなのか?歳考えろよ」
「そういう坊主は随分と草臥れた様だな」
サイド3のラウムが住むアパートの自室でラウムとアクシズからの使者はのんびりと話をしていた
「キャスバルも何やってんだろうなぁ
アレでジオンさんが喜ぶとでも思ってんだか
…にしても、幼い子供を盾にしてぶち上げる理想。さぞや素晴らしい世界なんだろうな?」
「…ギレンの息子を名乗る奴がいる」
「あ"?」
ラウムの顔が一瞬で恐ろしいものへと変わった
「お前ならそうなるだろうと思った
馬鹿どもがアクシズでやらかそうとしている。…どうする?」
「聞くまでもない事を聞くなよ
…潰す。ギレンの兄上達の覚悟を、信念を穢そうとする奴は
ミネバを害そうとする奴は
全て俺の敵だ」
「…ふ、さぞ大きな騒ぎになるだろうな」
「鎮魂の為の宴となりゃ、騒がしくても許されんだろ?」
その会話の後、ラウムはムサイ級に乗ってアクシズへと行く事となった
なお、ラウムが住んでいたアパートは彼がコロニーを離れた頃には焼失しておりラウムに帰る場所はなかったりする
更にラウムがコロニーを離れる時、数十人もの者達が口数少なくラウムと共にムサイ級へと乗艦していた
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「貴様かラウム・クラヴァスか
私がグレミー・トト。よく来た」
ラウムがアクシズへと到着した報告を受けたグレミーは少し時間を空けてからラウムをアクシズへと連れて来た者と共にラウムに会っていた
ラカンは現在間近に控えている地球侵攻作戦の為に奔走しており、詳しい事は知らなかった
「お招きいただきありがとうございます
ラウムと申します
…幾つかお伺いしても?」
「構わん、なんだ?」
「何故ハマーンを打ち倒そうと?
現在の状況でハマーンと対立するは連邦に利する行為ではないかと思ますが」
「ハマーンの支配では何も変わらん
元よりハマーンはザビ家の配下の娘。本来ザビ家に従うべき立場のはずだ」
「…妙な事を仰られる
ラウムは敢えて『ミネバ』と呼び捨てにした
目の前の男がそれを咎めるのか?そうでないのか?
それによって、この男に対する動きを変えるつもりだったのだから
「残念な事だが、ミネバも除かねばならないだろう
余りにも親ハマーンの色が強過ぎるからな」
「…ほう?」
ラウムの瞳に危険なものが宿る
が、グレミーは気付かないし、それに気付いている筈の男は平然としていた
「これは異なことを仰られる
ザビ家の配下たり得るべしとつい今しがたグレミー様が仰られたと記憶しておりますが?」
ラウムはそう問う
「いるのだよ。ミネバ以外にもザビ家に連なる者が」
グレミーの言葉に
「…それはそれは
とても興味深い話ですな
が、お気をつけなさいませ?『ザビ家の名声を利用しようとする有象無象は幾らでもおります』からな?」
ラウムの言葉に明らかな嘲笑の響きが混じり始める
「なに?」
グレミーもようやくラウムという男をキチンと見た
「グレミー・
父親は弁護士であった〇〇〇〇・トト。母親は〇〇〇・トト
ジオン敗戦後、アクシズへと渡った
…で?なんだ」
「き、貴様」
「誰の息子だと言い張るつもりか?
さぁ、言ってみろ。今お前の目の前にいる男を論破出来れば、
その代わりに覚悟を決めてもらう」
「覚悟、だと?」
「くく
くくくくく
あっははははは!!」
狂笑
そう思わせる様な笑い声をあげるラウム
「これは傑作だ!
『言葉の!覚悟の意味すら理解していない男』があの人達の血縁を名乗るというか!!」
「き、貴様は何者だ!」
グレミーは何とか目の前の男の雰囲気に呑まれない様にするのが精一杯ながらも声を張り上げた
「はは
それを聞くか?別に答えても構わんが
それでお前の
「まぁ、良い
ならば答えてやるとしようか」
ラウムは満面の笑みを浮かべると
「俺はラウム・クラヴァス。ジオンの姫君であるミネバ・ザビの母親、ゼナ・ザビの兄
そして、お前の父トト弁護士から全てを奪われた男だよ」
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「ば、馬鹿な事を」
グレミーは否定しようとするが
「そうか?よーく思い出してみろ?
お前の母親の金遣いが急に粗くなった時期がないか?」
それは無味無臭の毒
どれだけそれが来ると分かっていたとしても、ほんの僅かな
「さぞやお前の母親は嬉しかった事だろうさ?
何せこんなでも一応それなりに蓄えのあった両親から産まれたんでな?縁もゆかりもないサイド3に移住して来た以上、中々に搾り甲斐があっただろう?その分け前に与れたんだからな」
「そんな、馬鹿な」
「それはこっちのセリフだな
両親を喪ったと思ったら、ありとあらゆる資産が勝手に赤の他人の手に渡る所を見ていた俺の気持ちが分かるかい?
住み慣れた我が家すら追われて、挙句『時代の遺物』とまて揶揄される様なアパートに押し込められ、妹に満足な生活すら送らせてやれなかった気持ちが?」
「妹が学校に通える様になっても、一度として妹は『自宅に友人を招けなかった』それがどれだけあの子の心を傷付けたのか?
お前達が俺達兄妹から奪った金で裕福な生活を送っている時、そんな生活を俺達は送らせてもらってたよ」
「聞くところによると、お前の父親は事故死したらしいな?
ま、当然だろう。ジオン国内における弁護士の立場はまだ不安定だった。そんな中で『依頼人の資産管理』を勝手に行なった挙句、『その遺族に不利益を与えた』なんて話になりゃ、他の弁護士からすればふざけんな!と言うところだろう?」
ラウムとて、自分の両親のあらゆるものを奪い去った連中に復讐を考えなかった訳ではない
仮にラウム独りだったならば、迷う事なくラウムは弁護士や連中を殺す為にありとあらゆる手段を講じた事だろう
が、
しかし、それは相手の情報を集めない、という事では決してない
機会が訪れれば迷う事なく牙を突き立てる為に、ラウムは一番調べやすい弁護士の事を徹底的に調べ上げた
幸いと言いたくないが、ラウムの両親の一件は弁護士達の間でも噂になっていたらしく、相手の事を特定するのは容易だった
ラウムが勤めていた建設会社の経営者はどうしてもそういった事に対応しなければならない時もある為に弁護士との繋がりもある
ラウムが妹を養う為に働いている事はその会社内でも有名であり、経営者はラウムの相談に応じて、調べていたのだ
勿論、ラウムの両親に関する事を彼女は詳しく聞き出すつもりはなく、彼女自身が独自に調べる事にしていたりする
そこで分かった事実に彼女は怒りを覚えた
ラウムやその妹であるゼナの事は多少なりとも知っている
そして、そんな二人の苦労など知らぬとばかりに羽振りの良くなったトト弁護士の話を聞いた彼女が独自に動いたのはある意味仕方のない事だろう
そこからは伝言ゲームの様に弁護士達にその話が
「で、出鱈目だ
貴様の妄想に過ぎん」
「ま、そう言うと思ってな?
優しい優しいラウムさんはキチンと証拠を持って来ましたよ?」
ラウムはそう言って一枚の書類をグレミーへと差し出す
グレミーの発言は元よりトト弁護士の妻などからも出てくる事は想定できる
なら、現実逃避を許さないものを突きつけるのみ
その書類はグレミーの父親の写真のついた弁護士の資格者証の写しだった
「さて、これで君の父親がザビ家に連なるものでない事は証明された訳だ
勿論これで終わらす訳ないが、な?」
「…くっ!」
グレミーは咄嗟に携帯している銃を取り出そうとするが
「遅えよ、ガキが」
ラウムはグレミーの足を蹴って、グレミーは倒れてしまう
「どうにもお上品なもんだ
更にラウムはグレミーの掌を踏み潰した
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「生憎と拷問は俺の管轄でもない
…んで、どうするよ?」
「な、何をやっている!
早くその男を止めろ!!」
ラウムが自分の兵に話しかけるのを見てようやくグレミーは声をあげた
が
「勝手に殺すのもアレだ
ハマーンに連絡したらどうだ?ラウム坊」
「…今でも俺はガキ扱いかよ」
ラウムは発言に苦笑しながら、通信モニターへと向かう
「き、貴様は」
グレミーはようやく理解した
この男は自分の味方でない事に
「どうにも頭がお花畑なお前さん達には分からんだろうが、俺達の戦争はとうの昔に終わってるんだよ
そんな俺達にもどうしても許せない事があってな?」
男はグレミーの近くに立つと
「戦争に無関係な子供を巻き込む
死者の想いを勝手に捏造する
死者の気持ちを踏み躙る
そんな事を目の前でされちゃ、俺達も素直に墓場の中でゆっくりとしちゃいられないんでな?」
「…さて、そろそろ過去の亡霊達にも退場してもらうか
いつになったら休めるのやら」
男はそうぼやくと懐にある無線のスイッチを入れた
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その日、アクシズの各地で『反ハマーン派』と目される者達が次々と始末される事になった
「奴等は何処にでも溶け込む
たとえ不倶戴天の敵である強硬派であっても、必要となれば自身の名誉や命など平気で打ち捨てられる
…だからこそ、奴等は我等の同胞なのだ」
ギレンはかつて彼等をそう評した
全ては明日を生きる者と、明日を目指し志半ばで散った者達の想いを守らんが為
死者を利用し、子供達を利用し、己が利益をもさぼろうとする連中は彼等の敵である
彼等は『独立運動にて戦った闘士』
未だその牙と誇りを胸に生き続けている亡者の群れでもあった
実はラウム自身かなり殺意満々のまま生き残っていたので、明確な復讐相手が出てくるとこうなる
なお、このやり取りの時アクシズ内にいたハマーンやプルは異様なプレッシャーを感じたとか何とか
IFルート
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狂った者(公国ルート)
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潜む刃(ソフィルート)
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悪意の先に(アクシズグレミー討伐ルート)
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その他