なのに難産
どうして?
「む、本当にやるのか?ゼナ」
「あなた
せっかく兄さんが話をつけてくれるというのです。それに『好機は逃すべき』ではありませんか?」
「くくく
ドズル。お前の負けだ。流石はゼナ
我等を説得する方法を心得ているか」
「曲がりなりにも我等ザビ家の一員なれば当然だろう?
…まぁ、そうだとしても大したものだと思わなくもないがな」
「サスロ兄さんはもう少し理解される努力をすべきかと思いますか?」
「キシリア姉さん、サスロ兄さんにそれを言っても」
「…そうか、儂も遂に孫娘に会える時が来たという事か
礼を言わせてくれ、ラウム」
が揃い踏みという中々に無い光景であった
その迫力たるや、シロッコやハマーンをして
「…クラヴァスはこちらの世界を支配でもするつもりか?」
「普通にいるだけでも、このプレッシャー
…なるほど、これが一年戦争を動かしてきた者達が持つ凄みというやつか」
と思わず怯む程
なお
「サスロのおじさん
しっかり話してくるのよ!」
とサスロに激励を送るクェスや
「叔母上がた
どうか姫さまと良き時間を」
とゼナやキシリアに頼み込むマリーダ
「ま、せいぜい楽しい時間を送るんだね」
とぶっきらぼうに応援するプルツーなどの姿があった
因みにそんなプルツーの
『頑張れおじさん達!しっかり姪や孫娘と話をしてきてね!!』
と書いた横断幕を両方から持つ
更にその後ろでは
『頑張れ!みんな
ミネバ様の笑顔を取り戻せ!!』
と書かれた応援旗?を必死に左右に振り回すクシャトリヤと偶にバランスを崩しそうになるクシャトリヤをわたわた慌てながら支えようとする量産型キュベレイ達や
『おとーさん、お土産話よろしくね!』
と書かれた旗を2人ずつで振り回しているプルシスターズにそれを慌てて止めようとするプルスリーとプルフォーの姿があったとかなんとか
余った子はそんなみんなを見て楽しそうに笑っていた
どうにも彼女達はラウムの娘認定されてから、ここの生活をエンジョイしているらしい
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「流石に映像だけしか、両親や親戚達を知らぬと言うのはあの子にとってきついでしょうからね
ミネバも何れは母親になる事でしょう。その際『親の温もりを知らぬ』では色々と大変かと思いますから」
「…むう、確かにそうかも知れないが」
ゼナやラウムの言葉を受けてなお渋るドズル
と言うのも、やはりと言うべきか『父親として』何も出来なかった。してやれなかった自分が今更どの面下げて父親と言えるのか?
と言った気持ちが彼の中にあったのだ
「ああ、もうまどろっこしい!
ならドズル!あえて言わせてもらうがな!」
ラウムはそんな
「ミネバを授かる前、ゼナに俺からの話を聞いたお前はなんと言った!?」
ラウムの滅多に見ない剣幕にドズルはたじろぐ
「そ、それは」
「言ったよな!?
『生まれた子を守るのが父親だ。妻共々守り抜いてこそだろう』と!
俺はその言葉を聞いて何と思ったと思うか!?
本当にその意味を理解しているのか?だった!!
分かるか、ドズル!お前の奮闘が連邦軍に少なからぬダメージを与えた事!後のジオン残党に光明をもたらした事!
んな事はどうでも良い!!
何が『ミネバを守ってくれてありがとう』だ!」
ラウムは知っている
自分を父と呼んでいたミネバだが、そこに一抹の寂しさを含んでいた事に。勿論、自分を慕っていなかったとは思わない
が、誰より一番ラウムを父と慕う歪さを知っていたのは他ならぬミネバだろう
あの子がもう少し、弱ければ
或いは愚かなら
その優しい嘘に浸っていられただろう。甘い夢に逃げられた事だろう
が、あの子は強く聡明だった
ラウムと偶に一緒に寝る事があったミネバ
だが、必ずと言って良いほど彼女は
「…お父様、お母様」
と夢を見て涙を流していた。それをラウムはどうしようもない気持ちでただミネバを抱き締めるしか出来なかった
それしかラウムには出来なかったから
「わかるか、ドズル!
どれだけ俺が努力しようが、あの子が俺を父と慕おうが
あの子の母親はゼナで、あの子の父親はドズル・ザビ!
お前しかいねぇ!!
いつまでヘタれるつもりだ!」
それは短いながらもミネバを娘として愛した男としての怒りだった
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ともすれば八つ当たりにも見えるラウムの行動を咎めるものはこの場にはいない
というのも、デギンが
「良いか?ラウムがドズルにどんな言葉をぶつけようと、お前達がそれぞれ考えよ」
とギレン達に言い含めていたからである
デギンは妻を早くに亡くした
だが、それでも子供を沢山授かる事ができていたし、あまり仲が良かったとは言い難かった。家族全員が公国の要職に就いてからは誰一人として本音で話す機会は殆どなかったし、決して家族間でのプライベートな話が気軽に出来たわけでも無い
デギン自身、亡き妻達に胸を張って『子育てをしっかりやった』などと言えるとも思えない
だが、それでも『子育ての経験はある』と言える程度には関わったつもりだ
故にこそ、『親として慕われつつも、本当の親の愛情を与えられなかった』というラウムの苦悩については息子や娘達よりも理解出来るつもりだった
…いや、理解せねばならない。でなくば、デギンは胸を張ってラウムの義理とはいえ家族と名乗る事など出来ないと考えていたのである
それは自分のみならず、自身の子供達にも当てはまると考えたからこそデギンは沈黙を選んだのである
ギレン、サスロ、キシリアは全てとは言わぬまでも父デギンの考えを察し沈黙を、傍観を選んだ
いや、そうではない
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ガルマは正直驚いていた
自分の知る
確かに父デギンや兄ギレンから彼もまた独立運動に参加していた事は聞いている
が、ガルマの中で過激な事が多かったと聞く独立運動とどちらかと言えば日陰の様なイメージの強い義兄。その二つの像が上手く結べなかったのだから
しかし、今目の前で兄ドズルに物凄い剣幕で怒鳴っている
…そう
あの温厚で、仮に怒るとしても静かに怒っていた筈の義兄が
(そうか、ラウム兄さんもやっと感情を表に出せる様になったのか)
ガルマは周りの兄達や姉、それに父があの光景を眩しそうに見ている理由に漸く思い当たった
そして義兄がやっと抱えていた荷物を降ろせた事をガルマも理解して、笑った
なお、事情を知らぬ者からすると『家族が怒られているのを眩しそうに見ていたり、笑っていたりする』という明らかにアレな絵面である事については誰一人として考慮しない模様
この辺の不器用さもまた彼等ザビ家らしいと言えたりもするのだから、なんとも言えない話だったりする
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ラウム・クラヴァスという人物は独立運動まではさておき、両親を喪ってからはひたすら目立つ事なく探さねばならなかった
何せ『
ラウムやラウムの両親であるケイム、セリアからすれば
「独立運動なんていうただでさえ余裕のない事をしているのに、なんで内部抗争するの?
そんな事は後にしろ」
と言ったところであり、逃走する仲間の援護や陽動を行なうラウムがその土地に明るい現地の者(ほぼザビ家支持者)から話を聞くのは至極当然の判断でしかない
事実、当時連邦や現地警察などに逮捕された多くの者は
…まぁ、それはそれでダイクン支持者の一部から
「奴等(ザビ家支持者)は俺達を囮にして逃げ延びている!」
と言った声が上がってしまい、両者の対立の深刻化の一つになっていたりするのだが
ジオンやデギンの側近クラスやラウムと行動を共にした事のある者達はその辺の事情を理解した上でラウムやケイム、セリアを認めていた訳だが、なにせ『コロニー独立』と『自治権獲得』は宇宙移民が始まって以来の悲願ともいえるもの
故にジオンとデギンが中心となって行なっていた独立運動
これが『成功する見込み』が出てきてから協力を申し出る者や参加した者も相当数いたりする
当然大きくなりすぎた結果、組織全体への統制は緩む事となる
その結果、独立運動初期から活動していた者と他の時期に入った者の間に明確な意識の差が生じてしまう
元よりジオンにせよ、デギンにせよ政治家などの家系でなかった為に『組織運営のノウハウ』などが圧倒的に不足していた事も悪い方向へと作用する
本来地球市民であるクラヴァス一家の独立運動への参加は地球の事情に明るくないジオンやデギン等にとって予想外の幸運であった
地球側にクラヴァス一家の存在が露見していないなら、連邦政府側の思惑を外す事も出来る
地球における政策を聞いて、その中で取捨選択する事も出来よう
連邦よりも市民に寄り添った政治を行なう事が出来たならば、或いは連邦市民の移民を加速させる事も可能になる事だってあろう
知る知らぬでは全く方法などが変わってくるものだ
しかし、そこまで理解している者は余りにも少なくクラヴァス一家が地球市民というだけで『地球を裏切ったなら、自分達も容易く裏切る』と言ったジオンやデギン、ギレン達からすれば呆れる他ない程度の理由でクラヴァス一家を否定する者もいた
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そして、ある意味『時流に乗った』とも言える連中やダイクン支持者の様に『
故に原因を求め、その
ギレン達やデギン、ゼナも細心の注意を払っていたがやはりと言うべきかラウム自身もまた目立たぬ様に心掛けねばならなかった
…
まぁ、その時は大体親衛隊なり、突撃機動軍なりが何らかの小さなアクションを起こすという陽動を行なっていたので、セーフだろう
勿論、当時のキシリア補佐を務めていたマ大佐やランゲル少将の気苦労は想像するに余りあるだろうが
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一年戦争後も目立つ事は控えねば、己が身のみならず様々なものを巻き込んでしまう程の大事になる
ミネバと会う前に死ぬ訳にもいかなかった事もあり、ラウムは息を潜めて日常を送っていたという訳だ
当然、感情を露わにする事もまたラウムにとっては危険なものであった為に『感情を押し殺す』しかなかったのである
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そんなラウムが不甲斐ない自分の為に声を荒げている
しかも、その理由が『
そこまでされておいて、何も感じぬ程ドズル・ザビという男は薄情でも鈍感でもない
「…すまない、兄上
そうだよな、そんなミネバをどうにも出来なかった兄上が一番辛かった。そんな簡単な事にも気付けない
…本当にすまない」
「死んでなお、面倒をかけさせてくれるなよ?義弟殿」
ドズルの言葉に声を震わせながら茶化すラウム
「ゼナ!すまなかったな
ミネバと会わねば親として、兄上の弟としても面目がたたん。…付き合ってくれるか?」
「貴方が望むなら、地獄にだってお供しますよ?」
「親父、兄貴達!
ミネバにキチンと会って欲しいから、付き合ってくれるか?」
「漸く腹を決めおったか
死んでからもラウムにあまり負担をかけるでないぞ?ドズル」
「…ふむ。これで私も晴れて叔父と呼ばれる訳か
なるほど思ったよりは悪くないな」
「図体はデカい割に思い切りが足らんのではないか?ドズル」
「ですから、サスロ兄さんの様に誰もが割り切れる訳ではないのですよ?
それはそうとして、やっと可愛い姪と話が出来ますか。本当にラウムには感謝しかありませんね」
「変なところでドズル兄さんは足を止めるからなぁ
さて、一応身だしなみを確認するとしようか。流石に姪と会うのに恥ずかしい姿は見せられないからね」
皆それぞれの言葉でドズルの言葉に応えるザビ家の者達
「…あと、すまんがラウム兄上にも一緒に来てもらいたいのだが」
「お前なぁ!!」
ラウムの楽しそうな怒声か辺りに響き渡った
補足
赤いキュベレイ
「アタシは遠隔操作も出来るんだ!オヤジを乗せても大丈夫!」
クィ〇〇ンサ
「いや、こっちは二人乗り出来るしIフィールドもあるから安全だから!」
クシャ〇〇ア
「あの、私も
…その」
量産型キュベレイ(プルスリー機)
「よーし」
量産型キュベレイ(プルフォー機)
「みんな、かかれー!」
量産型キュベレイ's
「「「「「わぁい!!」」」」」
量産型キュベレイ達により無効試合
とラウムを自分に乗せたいバトルが勃発する場合、大抵こうなります
つよい(確信)
IFルート
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狂った者(公国ルート)
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潜む刃(ソフィルート)
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悪意の先に(アクシズグレミー討伐ルート)
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その他