宇宙世紀
それは争いに満ちた世紀であり、宇宙世紀0079における一年戦争より端を発した宇宙市民即ちスペースノイドと地球に住まう人々、アースノイドの間の溝は深まるばかりとなってしまった
しかし、その様な中でも希望を見出した者も確かにいた
公式には行方不明とされている元地球連邦軍外郭部隊ロンド・ベル
その絶対的なエースとして0092における『シャアの反乱』で活躍したアムロ・レイ。彼の乗機νガンダムと彼が引き起こしたとされるアクシズ・ショック
それを目撃した者はそれなりの数いた
例えばアムロのカラバ時代からの部下であったボッシュ
例えば一年戦争から彼と共に戦ってきたブライトや敵として相対してきたシャア
同じく一年戦争からのベテランであるユウ・カジマなど
これは歴史にも記録にも残らない
新たな世代と過去との会合
----
「…驚いたな。まさか連邦議員を目指そうという人が俺なんかを訪ねてくるなんてな」
「私も最初聞いた時は耳を疑いましたよ
…しかし、此処は一体なんなんでしょうか?」
「此処はクラヴァス・ハウス
時代に、そして争いに疲れ果てた者達が集う場所さ
俺はジュドー・アーシタ。宜しくハウゼリーさん」
アムロの自室にて部屋の主人であるアムロと話をしているのはハウゼリー・ロナという人物
彼はブッホ・コンツェルンの創始者シャルンホルスト・ブッホの息子マイッツァー・ロナの息子であり、また今の連邦の在り方に疑問を持っている人物だった
そしてもう一つ
「態々訪ねてきてくれて申し訳ないが、俺は見ての通りもうMSには乗れない身体だ」
「いえ、流石の私もその様な事を言うつもりなどありませんよ
ただ伺いたいのです
連邦軍とは
…いえ、地球連邦とは貴方の人生全てを擲つに足るものだったのかを
アムロ・レイ中佐」
ハウゼリーは自身の疑問を
----
ハウゼリーはあの時、父マイッツァーと共に宇宙にいた
そしてあの暖かく優しい輝きを目の当たりにしている
望遠でしか見えなかったが、落下するアクシズに対して取り付いてその落下を阻止しようとした
それだけならばハウゼリーも然程に衝撃を受けなかっただろう
ところがそこに
つい先程まで剣を交えていた敵同士
しかもアクシズ落としはネオ・ジオンの作戦だった
にも関わらず、彼等はアクシズ落下を阻止しようとしたのだ
あの光とこの光景を見ても何も思わない
などとは到底思えない程の衝撃をハウゼリーは受けたのだった
----
父マイッツァーは何やら宇宙でしようとしているらしいが、それ自体にハウゼリーは興味がない
何をやったところでジオンの二番煎じにしかならないだろうし、そもそも旧公国以上に連邦の脅威となる事は不可能だろう
一時的に連邦を圧倒する事はあったとしても、それは所詮一時凌ぎに過ぎない
コロニーだけの問題ならばさして気にしないだろうが、彼等に明確に敵として定められたが最後
軍事的か経済的かは分からないが、ありとあらゆる手段を用いて連邦は敵対組織を潰しにかかってくる事だろう
独立組織だろうが、武装組織だろうが連邦は潰せるだけの力を持っている
腐敗したと言えど、まだその強大な勢力は確かにあるのだから
----
「ジュドー・アーシタ?
っ!確かネオ・ジオン紛争の」
「まぁ、その辺はあんまり気にしないで貰えると嬉しいかな?」
ハウゼリーのリアクションに苦笑するジュドー
父マイッツァーと考え方が少し異なるとはいえ、彼もまた連邦政府の腐敗を真剣に憂う者
故にこそ、連邦政府や近年起きた戦乱、争乱などについて彼なりに調べ上げていた
「…失礼した
しかし、成程此処はある意味では『時代の目撃者達』の集う場所なのかも知れませんな
…今は亡きラウム・クラヴァス氏にも是非会って話を聞きたかったものです。本当に、本当に残念でなりません」
「ラウムさんの事も知っているのか?」
アムロは正直驚いた
確かにある程度の立場ならば調べる事も出来るのだろう
…現に目の前の人物は戦死したと判断されている自分が此処にいる事を知っている様だ
「恥ずかしい話ではありますが、私の父マイッツァーとしてはかの御仁を『コスモ貴族主義』の規範として喧伝したかった様でして」
「でもラウムさんは断ったんでしょ?」
ジュドーの言葉に
「ええ
何でも「その精神は立派だが、果たしてマイッツァー氏の家族ですらその重荷を背負えるとは思えない。それに私は単なる亡霊に過ぎぬ身だ。此処で朽ちていくのがお似合いなんでな」と言われたそうで」
ハウゼリーはそう苦笑する
そもそも『身を隠して生活している』ラウムに対して今更表舞台に立てという方がおかしな話
かの御仁が身を隠していたのは何故か?
旧公国軍の蜂起のきっかけとなりかねないから?
それとも旧共和国時代の熱がまた混乱を齎すと思ったから?
少なくとも、ハウゼリーはそう思わない
彼は本当に疲れ果てたのだろう
もう二度と何をしたいとすら思えない程に
----
「人類は何れ地球から巣立っていかねばならなくなる時が来るだろう。しかし、それは旧世紀の頃から言われていたこと
それでもなお、まだ地球に
勧誘の為に此処を訪れた父の部下はそうラウムから聞いていた
「
貴殿の雇い主であるマイッツァー殿は大層
「…と言いますと?」
「高潔な精神と強靭な肉体。それを併せ持つのが旧世紀における騎士の
中世期において、領主とはそのまま貴族であり、貴族とは軍を率いる身分でもあった。故にこそその様な思想が上手く合致したのだろうさ
マイッツァー殿は
「…いえ」
「そうだろうよ。近代において指揮官は戦場にあったとしても直接武を振るうのは稀だ
シロッコとやらやハマーン嬢にキャスバルこそ異端とすら言えるだろうよ
戦場の狂気を知るからこそ、それに飲み込まれないだけの精神が必要となる
つまり、だ。強者の理屈なのさ貴族主義は」
と当時ラウムは評している
後の話となるが、マイッツァーの義理の息子にしてハウゼリーの義理の弟となるカロッゾ・ロナはフロンティアⅣ襲撃作戦において、マイッツァーの関知していない作戦『ラフレシア・プロジェクト』を独自に展開。フロンティアサイドに対して無人対人兵器ともいえるバグをコロニー内に投入
サイド市民を虐殺している
…そう、サイドに駐留する
カロッゾは貴族主義という重荷に耐えきれず、狂気という名の仮面を被るしかなかったのだろう
マイッツァーの娘であるナディアもそう。彼女にとってシャルンホルストやマイッツァーの信奉する貴族主義とは堅苦しく、古臭いものであったのだろう。故にロナに飲み込まれた夫カロッゾを捨て、娘と共にサイド3のシオ・フェアチャイルドの元に逃げた
覚悟なき者にとっても
貴族主義が廃れたのは、王政が否定された事もあっただろうがその貴族に求めるものが多過ぎたが故に『真の貴族』が度重なる戦乱の中で消えていったからではないだろうか?
だが、貴族主義の一部は軍律という形で騎士の後継ともいえる軍人達に引き継がれた
だが、効率化を推し進めた結果そこに『
同じことではあるかも知らないが、人間というものは中々に度し難い部分があり、『
----
シャルンホルストにせよ、マイッツァーにせよ旧き血に思いを馳せるのは構わない
が、物事にはそれが成立した理由というものが必ず存在する。そして、それが廃れた理由もまた
それを直視しないでその思想
綺麗過ぎる水には生物すら生きる事が出来ない
思想家はそれでも良い
彼等は目標地点だけを無責任に示せば良いのだから
だが、指導者や政治家はそれでは困る
理想とする社会実現の為に段階を踏んで、現実との折り合いをつけて進んでゆく
そして、いつか
やがて
その
それがラウム・クラヴァスの出した結論であった
----
「祖父シャルンホルストや父マイッツァーは急ぎ過ぎていると私は思っています。ましてや私兵組織を持つなどと」
「それはそうだな。シャルンホルスト氏やマイッツァー氏はティターンズやエゥーゴ、それにネオ・ジオンなどの事を理解していない様に俺には聞こえるな
俺はエゥーゴから連邦軍に戻った口だが、実のところとしてかなり立場がキツかった」
「…俺もハマーンを倒してから連邦軍が参戦してきた事で思わずブライトさんを殴ってしまったけど、後から考えるとあの時の俺達ってかなり危ない立場だったんだろうと思ったよ」
ハウゼリーの言葉にアムロとジュドーはそれぞれ自分達の経験から語る
「エゥーゴのパトロンはアナハイムでしたな、確か
そのエゥーゴであってもそうであったのならば、やはり危ういのですね。父達は」
実のところ、ブッホの有する私兵組織について連邦政府は
「ブッホの私兵集団かね?
…ふむ、フロンティアサイドには確か
構わない。放置しておきたまえ
この際だ。一年戦争の
「シャルンホルストの思想を色濃く引き継いでいるマイッツァーが指導者なのだろう?
やらせておけ。地に足の付かぬ思想で人は動いても世界までは動かんよ」
とその危険性を理解しておきながら、放置する事を選んでいる
「戦争で活躍した俺達が言っても説得力がないかも知れないが、戦争をしたとしても良い方向に変わる事は無いと思う
精々が悪くなる時期を少しだけ引き伸ばすのがやっとさ」
「ハマーン達を倒したからって、別に連邦が正しいなんて昔も今も俺や仲間達は思っちゃいないよ
ただ、戦争の只中に首を突っ込んじゃったから必死で足掻いた結果がそうなっただけだと俺は思うよ
…もし、今をハマーン達に見せるとしたら俺は胸を張って見せる事なんて出来やしない」
「…そうだな、ジュドー
それは俺もそう思う。恐らく俺だけじゃない。カミーユもそうだろうが、今の世の中をシャアに見せたくはないな」
「…そうですね。私はお二人の様に戦っている訳ではありませんが、仮に自分達の子孫がいたとしてその子達に胸を張れるか?と聞かれると」
ハウゼリーはアムロとジュドーの言葉を重く受け止める
「私は連邦議員になろうと思っています」
「やめた方が良い。恐らく貴方の命が危うくなるだろう」
「アムロさんと言う通りさ
マフティーの事は知ってるでしょ?下手するとハウゼリーさんもそんな事に巻き込まれるって」
マフティー
少し前までハサウェイが名乗っていたものだが、
…そう、
当然それに
そして、雑多な組織であるが故にその
此処でジュドーの言うところのマフティーはハサウェイが所属していた組織の事である訳だ
というよりも、連邦政府がコロニーの情報を集めるのには然程苦労しないものだが、逆にコロニー側の人間が地球の情報を集めるとなると尋常ならざる苦労や負担を強いられる事になっていた
「…しかし」
「貴方が連邦政府の腐敗や世界の行く末を真剣に考えている事は俺達でも分かる
だからこそ、身の安全を何より優先すべきだ」
「急ぎ過ぎた結果、ハマーンみたいになるのもアレだけどさ
ハウゼリーさんが思う以上に連邦ってヤバい所なんだよ」
ジュドーはアムロ達の中で1番ラウムと親しかった
だからこそ、偶にラウムから連邦政府の危険性をそれとなく
これは連邦軍に入っていたアムロや医師として社会的立場を持っているカミーユには少し理解し難い所である
だが、ジュドーは連邦政府の恐ろしさや非情さを木星圏でも目の当たりにしているからこそ、ラウムから聞いた話が決して誇張ではないと判断出来たのだ
アムロやカミーユ達に言うつもりはないが、エゥーゴの地上活動を支援していたホンコンのルオ商会やその協力企業
既にそれ等の存在は
----
ティターンズの評価は確かに悪い
それはジュドーとて否定しない。が、それでも当時連邦政府により認められた組織はエゥーゴではなくティターンズ
「ティターンズの危険性に対抗する為に創られたのがエゥーゴ」
とはよく聞く話である
が、そのエゥーゴに一時身を置いていたジュドーからするとどうにも違和感が拭えない
ジュドーはジュピトリスでルーと共に木星圏へと旅立ち、またジュピトリスで地球圏へと戻ってきた
ジュピトリスでの生活と当時の生活を比べると思うのだ
あれ?
本当にエゥーゴって軍隊だったのだろうか?
と
確かにハマーン率いるアクシズと戦闘をしていたし、それなりの縛りはあった
だが、緩かったのだ
当時好き勝手にやっていた自分達が言うのも何だが、自分達の意思を押し通せる軍隊というのは明らかにおかしなものでしかない
それが罷り通っていたエゥーゴが健全な組織とジュドーにはどうしても思えないのだ
----
さて、異論百出しそうな話であるがとにかくティターンズは曲がりなりにも『連邦軍正規部隊』であった
ジャミトフが死亡し、シロッコが実権を握るその瞬間までは
そしてエゥーゴによる『ダカールにおける連邦議会襲撃』
この時、
ジオン公国は確かに消滅した。が、賠償金の支払いなどを行なっている事から、連邦政府は『ジオン公国の後継者』としてジオン共和国を扱っていた
となれば、旧公国軍軍人の処遇についてもまた共和国預かりとなるのが法的には正しい在り方といえるだろう
本来であれば、エゥーゴの参加させる前に一度共和国側に旧公国軍兵士は引き渡さねばならないのだ
シャアやアポリー、ロベルト等は本人がどう
それを無視して
つまりダカール演説を支援した時点で『現体制に対する反逆行為』と認定されるには充分過ぎるものであった
故にこの動きを察知した連邦政府は
「地球連邦軍とは地球圏の平和を
連邦市民を護るべき剣である。その剣が自分自身の意志で敵味方を定めたいと言うのであれば、残念ながらその剣に存在してもらう意味はない。宇宙市民に対して同情的な思想を持つのは結構だ
だが、それを軍務にまで持ち込んだかの人物の責任は極めて重い」
と当時臨時に開催された連邦政府と連邦軍との議場で発言されている
その為、連邦政府は連邦捜査局を動かしブレックスの居所を掴むとティターンズに対して始末する様に
更に連邦治安維持局を動員して、ダカール演説の僅か1ヶ月後にはルオ商会などの企業に対する
その後の事はさしていうまでも無い事だろう
ハヤト・コバヤシらカラバのメンバーに対しては『
ダブリンにおける戦闘にて、カラバトップのハヤトが戦死した事によりカラバの実働戦力が低下した事を確認した連邦政府は決断を下した
『カラバとその協力者を
と
この一連の強硬的な動きの中でアナハイムもウォンやメラニーも対象となり、
「連邦市民が連邦政府のあり方に疑問を持つのは良い
…だが、武器を取った時点で彼等は連邦市民ではない。
これでも連邦政府からすれば時間的な猶予を与える温情を見せていた
仮に今の連邦政府であれば、迷う事なく連邦軍を動員してでも関係者全てをあの世に送っていただろうから
そもそもエゥーゴなどと連邦軍の一組織を名乗っていたが、連邦政府にとってのティターンズとの対立を激化させ地球圏に新たな争乱を巻き起こしたエゥーゴ
それは0083に発生した
勿論ティターンズもティターンズで実質崩壊してから『ニューディサイズ』なる組織が反連邦的な運動を行なった挙句、次期主力機の候補であったゼク・アインなどを私的に使用。終いには
シャアの反乱が起きたのは連邦政府の腐敗や宇宙市民への締め付けが強過ぎた
とよく言われている
が、政府側からすれば既に連邦軍そのものに対して拭い難い不信感を強めていた事もまた理由の一つだった
コロニー調査を担当するロンド・ベルの指揮官もエースパイロットも
----
「ハウゼリーさんの考えは立派だと思うし、そのマイッツァーさん達のやろうとしている事が多分碌でも無い結果になるだろうと俺は思う
連邦政府や連邦軍は俺達が思うよりもずっとヤバい組織だろうから」
「…そうだな。確かにそうかも知れない
俺やブライトは長い事連邦軍に居たからその辺の感覚は鈍くなっているのかも知れないな」
「しかし」
ジュドーやアムロの言葉は理解できる
だが、ハウゼリーとしてはやはりどれだけ隔意を抱いたとしても大切な家族が道を外れようとしているのを放ってはおけなかったといえる
この辺の感覚については連邦軍のMS開発主任として『V作戦』に従事していた父や疎遠となった母を持つアムロやグリプスにおいて両親と死別したカミーユ。元より親の庇護などなかった身で妹リィナを育ててきたジュドーには理屈では理解出来たとしても感情の面については大凡理解出来るものではないだろう
そう言った意味でハウゼリーを理解出来るとすれば、バナージであったがハウゼリーとしては『
「連邦から逃れるのは恐らく至難だろう
ハウゼリーさん、一つ聞いても構わないだろうか?」
「勿論です。元より突然の訪問や不躾な質問をしたのは私なのです。叶う限りお答えしますよ」
アムロの言葉にハウゼリーは朗らかに応える
「すまない
その『コスモ貴族主義』とやらを掲げてマイッツァー氏はいったい何をするつもりなんだ?…まさかとは思うが建国戦争でもするつもりなのか?」
「申し訳ないのですが、どうもこれについて私ははずされているみたいでして詳細は掴めていないのです
…ただ」
「ただ?」
「既に自前の戦力としてMSの配備を検討しているとは耳にした事があります」
「…そう言えば、アイツ等も言ってたっけ
『あるコロニーがMSのパーツやジャンクなんかを大量に買い付けてる』って」
仮に一年戦争時のサラミスやムサイであったとしても、無価値ではない。勿論MSもそうであり、一部関係者の間では
「あそこが次に
と言われていたりする
地球圏は度重なる戦乱により、荒廃し、多くの犠牲と悲劇を生んだ
そして、その犠牲の分だけ墓標ともいえる多くの瓦礫やジャンクが生まれたのだ
連邦政府としては、一年戦争後にこれを連邦軍によって回収させる事により違法業者の跋扈する状況を減らそうと予定していたりしていた
----
一年戦争が連邦の勝利によって終わった事により、ジオン公国は消滅。戦後賠償はジオン共和国に引き継がれる事となる
それに伴い、共和国政府はジオンの力の源泉である各種MS開発メーカーの身売りを行ない、賠償金に充てる事を選択した
その技術力はアナハイムに吸収される事となった訳だが、ジオンの技術者の中には
そう言った者達の中には新たに工場を立ち上げるなどを選んだ者も確かに居たのであった
そこにジャンク等を持ち込まれると、下手をすれば非合法的な戦力を民間が持ちかねないとの危惧による判断だった
尤も『水天の涙』や『星の屑』。更に『グリプス戦役』など地球圏は到底平穏とは無縁となってしまう
そこで連邦政府は甚だ不本意であったが、『ブッホコンツェルン』の様なジャンク回収企業を公式に認める事としたのである
ビーチャ等が起こしたものもこれに当てはまるだろう
しかし『第一次ネオ・ジオン紛争』以降、MSの大型化が進む事になる。併せてそのMSを搭載、運用する艦艇もまたある程度の大型化がなされる事となると軍事費も今まで以上に連邦政府の財政を圧迫
故に連邦政府は連邦軍に対して
「煩雑な量産機の開発。これを認めず」
との異例の通達を出している
元より艦船開発は連邦軍技術局などが主導して行なっていたが、MS
開発についてはアナハイム任せの部分が多く、そのアナハイム自体が地球圏の混乱を助長している。それ故に連邦政府は連邦軍内においてMS開発計画の見直しを求めると共にMSの小型化についての検討などを行なうように合わせて指示した
結果、ジム系統の正統後継機であるジムⅢの改良と新規量産計画として開発がスタートされたジェガンタイプを軸とする事となった
更に民間に任せていたジャンク回収についても、連邦政府としては連邦軍主導とする事によりある程度とはいえ資源や資金の回収を考え始めている
「MSなどが高性能化する以上、コストの上昇はやむを得ない
が、であればこそ今までの様なやり方では闇雲に予算が増え続けるだけだ」
これもまたMSの小型化についての理由の一つであろう
とはいえ、小型化に成功したからとても性能が大幅に低下しては本末転倒。故に連邦政府はある程度の時間をかけてMSについては行なうべきとの判断を下した
…一方で反連邦組織『マフティー』の残党などが行なっている地球規模のテロ行為については連邦軍で対処出来ないと判断。と言うよりも一年戦争時における軍の暴走紛いの状況やグリプス戦役におけるティターンズとエゥーゴとなりかねないとの理由もあった
その為、対テロ組織として『マン・イーター部隊』を創設する事で其方の対処をする事としている
----
現在の連邦政府はビスト財団やアナハイム、いやマーサ・ビストの影響から脱しつつあるが故に派閥間の闘争や政争が激しく行なわれている。マフティーの後ろ盾であったクワック・サルヴァーもその動きの一つと言えるだろう
最大の懸念事項であった『ジオン共和国』の自治権放棄に伴い、連邦軍と連邦政府の間に少なからぬ意識の差からの軋轢も生まれている。それ等がマイッツァー達の動きに対処するリソースを減らしている
…そうマイッツァーやカロッゾ、ハウゼリーすら思っていた訳だ
----
勿論そんな訳はなく、連邦政府は敢えてこの動きを見逃しているに過ぎない
連邦政府の方針に対して懐疑的な連邦軍や協力する姿勢を見せないコロニー群に対して連邦政府としてもそろそろ我慢の限界に達しつつあったのである
ジオン公国の時には一年
それで
南極で、オデッサで、ソロモンで、ジオン公国が敗戦した時
止まる機会はあったのだ
…だが、エゥーゴ、アクシズ、シャアのネオ・ジオンにフロンダルの袖付き
火星におけるレジオンや近年のヌーベル・エゥーゴなど
彼等はその
連邦政府内において、宇宙市民との共存を掲げていた者達も確かに存在したし、それなりの影響力と発言力を持っていた時もあった
だが収まらぬ戦乱の連続により、彼等のそれは徐々に賛同者を減らしていく。連邦政府内の人間とて、
この30年ほどの間で技術力は遥かに向上しただろう
…だが、それと同時に大きすぎるものや多くの人命を喪った。その中にはこの世界をより良い方向に導ける人間もいたかも知れない
ジャミトフは政軍共に理解が深く、地球の未来についても真剣に考えていた
シロッコは野心家であったが、彼の持つ技術力と発想力は決して軽く見れるものではない
ハマーンは父の跡を継いだとはいえ、寄り合い所帯であったアクシズを一つの方向に向ける事が出来た。…指導者としてもう少し余裕のある組織を率いていれば後世において高い評価を受けただろう
シャアならば、ジオンの息子として宇宙市民の代弁者たり得た。そして連邦政府としてもキチンとした交渉であれば応じた事だろう。事実シャアの反乱においてロンデニオン会談での事を連邦政府はキチンと連邦軍に対して遵守させているのだから
残念ながら、フロンタルや裏で動いていたモナハン・バハロの掲げている『サイド圏共栄思想』については連邦政府は認めないだろう
その思想自体に問題はない。寧ろ『やれるならばやってみれば良い』というスタンスになる
しかし、彼等はそれを成す為に選んだ手法が悪過ぎた。モナハンの父であり、第二次ジオン共和国の初代首相となったダルシア・バハロ
連邦政府の中には泥沼化する可能性もあった一年戦争を曲がりなりにも終わらせる決断をした旧公国の政治家としての感覚は決して侮るべきものではなかった。加えて必要とみればかつての同胞すらも
旧公国時代の空気や人間を多数抱えながらも、その方針は親連邦という間違いなく反発を受けるであろうものを維持し続け、それを次代にまで引き継いでいる。非凡とは対極な所にいる人物だと多くの者達は確信する程だ
その息子であるモナハンであったが、良くも悪くも欲深い某人物の言葉を借りるならば『俗物』であった
確かに旧公国軍兵士として従軍したという経歴や、歳の割には整った顔立ちなどは支持を集めるに足るもの
野心を持つな
とは言わない。が、その野心に全てを委ねるでは余りにも小物である。
連邦政府や
が、連邦政府首脳部等はこう断じるだろう
「放っておけ。どうせ碌な死に方はせぬ」
彼等にとって目障りではあっても、モナハン・バハロという人物の価値などその程度でしかない
…事実、ジオン共和国が自治権放棄する直前
モナハン・バハロは暴漢に襲われて死亡していた
----
連邦政府が各組織を動かすのにはそれ相応の理由がある
第一次ジオン共和国成立時にはその存在と在り方がまだ不透明であった為に
ジオン公国の時は明確な脅威であったから
エゥーゴは連邦軍でありながら、反連邦的な活動を行ない尚且つ
アクシズは明確な敵であり、そのアクシズに反旗を翻したグレミーもまたザビ家の残光を
シャアはテロ組織を率いて、再び
現在のところ、マイッツァーやカロッゾ等の動きは問題視していない。仮に彼等が何処かのコロニーを制圧したとしても、そこまで
----
純軍事的な脅威として彼等の私兵組織は存在しよう
が、建国したとして
あくまでも『武力による制圧』となる以上、それはどの様な
各サイドに支援を求めたとしても『コロニーを武力制圧』したという事実がある以上、余程の事が無ければ支援は勿論、一統治組織として認められる事すら覚束ないだろう
言うまでもなく、地球圏の安定に対する挑戦をした彼等を連邦政府が認める筈もない。中立地帯である月面都市群とて、非合法な手段を振るう彼等に対して親身になるとも思い難い
マーサ・ビストが支配していたアナハイムが健在であったならば、ファンブラウン辺りは裏から支援する事もあり得たかも知れないが、現在のアナハイムはアルベルト・ビストによる原点回帰が行われている真っ最中
『アナハイムはものづくりのみを行なうべきであり、そこに政治的な思想や活動を含めるべきではない』
との事。無論反発も相当なものであるが、このままでは太客である連邦との関係が拗れる事を踏まえるとその判断を支持すべき。との考えが徐々に浸透しつつあった
それを踏まえるとマイッツァー等に対して支援を行なうとは考えにくい
ブッホコンツェルン自体は確かにそれなりの規模を持った組織であり、少なくとも独自にMSなどの開発が出来る程度には力のあるものとなりつつある
されど、ブッホコンツェルンとて一枚岩である訳もない。その上将来的に連邦との衝突すら考えているという関わるにはそれなり以上のリスクを負う事にもなる
『シャングリラ・ギルド』
これはジュドーの友人であるビーチャが社長として始めたジャンク回収業者であるが彼等にも実はそのジャンクの買取りを打診していたりする
尤も、副社長として半ば強引にビーチャの補佐に回されたイーノやビーチャの妻であるエル、現場担当のモンドに経理担当のリィナ等はこの件に関わるべきでないと判断。ビーチャもまた彼等彼女達の意見に同意し、シャングリラ・ギルドとしてブッホコンツェルン側との取引は継続するもののその全ての買取は認めないとした
シャングリラ・ギルドの経営陣となるビーチャ、イーノ、エル、モンドに外部協力者であるジュドーとルー
彼等は『第一次ネオ・ジオン紛争』において戦乱の只中にあり、数々の激戦をくぐり抜けている
それこそ規格外とも言えるジュドー程の腕前は無いが、彼等彼女達の実力はマイッツァー等が現在用意している組織の平均レベルを遥かに上回るもの
「貴様等への退職金がわりだ」
とウォンが百式、ガンダムMk-Ⅱ、メガライダーにZガンダムまでも譲渡する様に手筈を整えていた事もあって、自衛の戦力としては過剰にも程があったりする
更にMSの部品も豊富に揃う事もあってか、連邦軍の正式量産機であるジムⅢやジェガンを複数機所有もしている
これは本来なら大問題となるものであったが『第一次ネオ・ジオン紛争』における彼等の功績に対する褒賞として連邦政府が特例として認めていた
その代わりに連邦軍のMSのジャンクの中で状態の良いものについては連邦軍シャングリラコロニー駐留軍への優先的な売却を求められてもいる。加えて有事の際には連邦軍に対する協力も約している
連邦政府はこれまで割と民間に任せきりだったジャンク回収などに対する規制強化も議論している。これはゲリラ組織などの運転資金や装備などの維持する為の資源として使われている可能性が極めて高いからだ
ある意味では地球圏に混乱の種をまいていたアナハイム。正確にはマーサ・ビスト等がその権力を失った事により急速な正常化に向けて新経営陣が動いている事もあった
「アナハイムという武器商人が裏で動かなくなる
…となれば地下組織に対する支援は滞るのが普通だろう。此処で奴等の武器や資金供給源であるジャンク回収業者に制限をかける
…さて、これでも息をしている組織があるとすれば、誰が裏にいるのかな?」
連邦政府はジオン共和国が消滅した事により、少なからず旧ジオン系の組織に対して動かしていた諜報力などを他の反連邦組織へと振り分けていた
既にジオンという名前は過去のものとなり、彼等が頼むべき旗印はザビ家の姫であるミネバだろう
…だが、そのミネバ自身の口から連邦政府に対して非公式ながらに『ザビ家の復興は考えていないし、今後も考えるつもりはない。私は一市民として周りの人達と歩み続けるつもりです』との話を聞いており、彼等は敢えて藪を突く必要はないとそれを文字通りの意味として受け取った
が、連邦政府として
…流石に連邦軍を動かす訳にもいかない上に、元々連邦政府に対する心象の悪いサイド3。下手に連邦政府や連邦軍が動くのは逆に混乱を招きかねないとの判断からであった
さりとて、サイド3の人間にとってザビ家とはかつての栄光の象徴であると同時に忌むべき象徴でもある
故にこそ、
傭兵などは全くもって信用ならないだろう
----
そしてそうなると連邦政府の目が向くのは地上と近年勢力を急激に拡大しているブッホコンツェルン
実態を巧妙に隠しているが、ブッホコンツェルンとその傘下の企業群がMSの開発に着手している事も時間が経てば連邦政府の知るところとなるだろう
「連邦政府は私達が思うよりも恐ろしい
そういう事ですか」
「…ああ。その辺についてはどうやらハウゼリーさんの理解が足りていないと失礼だとは思うが俺は思う」
「地球圏の中で連邦政府の手の届かないところは確かにあると思うよ?…だからこそ、それが一番危険なんだ」
ハウゼリーの言葉をアムロとジュドーはそれぞれ肯定する
ブッホコンツェルンやその傘下企業群は防諜を強化している
…が、それにより連邦政府高官は彼等に不穏なものを感じたのだ
「…どうやら彼等は
との話も既に出ている
何せ将来的には独立勢力を立ち上げようとしているのだ
艦隊も必要となるだろうし、旗艦クラスや艦隊基幹戦力としての戦艦や巡洋艦も必要だろう
勿論MSもそれなりの数が必要
当然動く資源や資金の量も尋常なものではない
マイッツァーは私設武装組織
それは間違いなく地球圏の秩序安定に対する挑戦であると知りながら
----
ハウゼリーはその後色々な話をアムロとジュドーとした後に彼等の元を辞した
「我々が望む未来はなんなのか?、か」
ハウゼリーはジュドーから聞かれた言葉をシャトル内で反芻する
『武力をもって何かをするっていうのは最終手段だと俺は思うんだ
ハマーンはアクシズを纏めきる為に連邦との戦争を選ぶしかなかった。…そうじゃなきゃ、多分ハマーンの命も危なかったんじゃないのかな?
でも、ハウゼリーさん。アンタは違うだろ?
話し合えるだけの時間も余裕もある。もう一度考えてくれよ
アンタ達が望む未来ってのは『多数の犠牲を出さなきゃ掴めないものなのか?』をさ』
ジュドーはアムロやカミーユ、ハサウェイやバナージにラウムとは違い両親の庇護の無い所で生きてきた
それがどれだけ歪な事であるか?それがどれだけ不幸な事なのか?
ジュドーは良く理解している
だからこそ、ハウゼリーの語る未来の下に自分みたいな人間が生まれるだろう事を何よりも不満に思ったのだ
「父や弟と話をしなければならんか」
ハウゼリーはこのまま行けばロナの未来が暗いことを今更ながらに理解して何とか足掻こうと決意する
だが、ハウゼリー・ロナはこの翌年に
方向性が迷子になったので風呂敷を畳む準備中
小ネタ
「地球人類の半数を殺せと言われればこうもなろう!」
「ならんが?」by
「覚悟の無い人間の戯言だな」by
「その業も背負う覚悟がないならば、なぜ剣を取った!」by
「生の感情丸出しなど品性の欠片もないな」by木星帰りの男
「…俗物が!」by某摂政
IFルート
-
狂った者(公国ルート)
-
潜む刃(ソフィルート)
-
悪意の先に(アクシズグレミー討伐ルート)
-
その他